たとえ燃え盛る炎の中にあっても、数多の修羅場をくぐってきた頑丈な皮膚と筋肉は裏切らない。ましてそこに鉄獣戦線特製である耐水耐火耐電耐衝撃仕様の装束が合わさったことで、ケラスはひるむことなく歩くことができた。
「どれ、この辺じゃな」
後ろから飛んできたメカモズが持ってきた消火用弾薬を担いだ巨大銃剣に詰め替え、先ほど自分が狙い撃った大木に狙いを定める。もはや全体がひとつの松明のように燃え盛るその中心に向けて引き金を引こうとしたその時、炎の中心……大木の中心部分に、四方を炎に包まれて今なお倒れない人影が揺らめいて見えた。
「……むっ!」
それは、戦士の本能だった。いくら頑丈なケラスならば耐えられるとはいえさすがに涼しくはない環境の中、その人影を見た瞬間に嫌な予感と同時に背筋に寒気が走る。一切の躊躇なくほぼ反射的に引き金を引き、放たれた弾丸が空中で爆散してその中身を撒き散らした。
果たして効果覿面、その煙を浴びた部分の炎の勢いはみるみる弱まっていくものの、それと反比例するように今度は消火剤の煙が充満し始めたため彼の目にはいまだその輪郭しか見えないままで。
「あらあらぁ、人の領域まで来ておいて随分好き放題してくれるじゃない?突撃兵の牡牛さん?」
くすくすと笑う女性の声は、すぐ後ろから聞こえた。いつの間にか背後を取られていたことを理解すると同時に一切の躊躇なく横殴りに叩きつけた銃剣は、その圧倒的な質量と彼自身の膂力も相まって命中すればドラグマ異端審問会の手による地下牢獄の壁さえも数回のフルスイングで吹き飛ばすだけの破壊力を秘めている。
その、はずだった。ケラスの剛腕に比べるとあまりにも細くたおやかな青白い手が銃剣の先端にすっと触れると、磁石に吸い付いたかのようにピタリとスイングが止まる。止めたのではない、止められたのだ。筋肉が盛り上がり両足を大地に踏ん張るも煙の向こうから差し出された女の細腕はやはり動かず、その得物を引き戻すことすらもできない。
「……貴様じゃったか、レディ……!」
「ご明察よぉ、牡牛さん。ドレス、赤の方がよかったかしらぁ?」
無駄な抵抗と知りつつ全身の力を込めながら旧知の中であるその相手に吐き捨てるように呟くと、レディと呼ばれた声の主がクスクスと上品に笑う。視界を奪う煙の向こうから現れたのは、紫色のドレスに身を包み病的に青白い肌をした貴婦人。ただ肌の色に対して不自然なほどに赤く紅い瞳と唇、そして小さく覗いた異様に鋭い犬歯が彼女もまた人外の存在だと物語っていた。
「なんで貴様がここに居るんだわい、まだ日は高く」
「いつの話をしてるのよぉ、牡牛さん?ここは『帝国』、ヴァンパイア
その言葉とともに、周りに立ち込めていた消火剤の煙もゆっくりと引いていく。レディの言葉通り確かに先ほどまで天頂にあったはずの太陽はどこへやら、同じ位置には不気味に赤い月が浮かんでいて。ふと気が付けばケラスの周りには、先ほど狙い撃って炎の中に消えたはずの漆黒の蝙蝠がその羽根をはためかせて宙を舞っていた。
「次はお馬さんの番かしら、それとも山猫ちゃんかしらぁ?誰が来るにせよ、よろしく伝えておいてねぇ」
「……フン。今回は儂の負けじゃい、覚えちょれ」
負けを認めるが早いが、彼の視界がぐるりと回転した。銃剣ごと持ち上げられたのだと理解する暇もなく、先ほど自分がやってきた鉄獣の戦線へと放り投げられる。空中を無様に舞う視界の中で、先ほど自分が見た炎の中の人影……今なお不気味にその一本足で立つ魔法使いを模した案山子の姿が視界の端に見えた。
戦場は動く。いつの時代も、くるくると目まぐるしく。
ターンプレイヤー:『帝国』
1,ドロー、スタンバイフェイズ、メインフェイズ
2,ヴァンパイア・レディ召喚。セットされたヴァンパイア・シフトを発動。効果によりデッキからフィールド魔法、ヴァンパイア帝国を発動し、墓地のヴァンパイアの使い魔を蘇生
ヴァンパイア・レディ 攻1550
ヴァンパイアの使い魔 守0
ケラスが最後に見た魔法使いの案山子こそ、ヴァンパイア・シフトの媒体。時間そのものを吸血鬼のそれに引き込むことで、太陽は沈み滅んだはずの同胞が墓から蘇る大魔法。つまりこのゲームになぞらえるなら、デッキから特定のフィールド魔法……ヴァンパイア帝国を発動し、同時に墓地のヴァンパイアを蘇生する二つの効果。けれど世界の理を変えるほどの力を持つだけあって制約も厳しく、強大な力を持つ『帝国』の『彼女』がこの領地から離れたがらないのは、この地の外ではこの権能が使えないからではないかと言われていて。
……今のは全部私の知識で、同時に受け売りの話。170と9番目の『聖女』はそういう話が好きで、仕事の合間に趣味で色々と調べていたから、その知識もある程度はわたしたちに共有されている。そしてわたしは、同時にわたしたちでもある。これはわたしの知識であり、だからわたしたちのもの。
3,ヴァンパイアの使い魔の(1)効果発動。500LPをコストにデッキからヴァンプ・オブ・ヴァンパイアを手札に
『帝国』 LP2800→2300
4,バトルフェイズ。ヴァンパイア・レディで鉄獣戦線 ケラスに攻撃。ダメージ計算時、ヴァンパイア帝国の効果で攻撃力500アップ
ヴァンパイア・レディ 攻1550→2050→鉄獣戦線 ケラス 攻1200(破壊)
鉄獣戦線 LP4000→3150
5.ヴァンパイア・レディの効果発動。モンスターカードを宣言
6,鉄獣戦線、デッキからホップ・イヤー飛行隊を墓地へ
7,ヴァンパイア帝国の効果発動。デッキからヴァンパイアの幽鬼を墓地に送り、鉄獣の戦線を破壊。
そしてヴァンパイア帝国は自身の同胞、つまりアンデット族が戦闘を行う際にその攻撃力を500アップさせ、ヴァンパイア・レディは戦闘ダメージを与えることでモンスター、魔法、罠の中から好きな種類のカードを宣言することで相手にそれをデッキから捨てさせる効果を持つ。するとその、相手のデッキから直接カードが墓地に送られた、をトリガーとしてヴァンパイア帝国は更なる効果を発揮し、デッキから同胞たるヴァンパイアを墓地に送りつつ相手のカードを破壊する。
ここまでいいようにしてやられているわね、鉄獣戦線?さあ、ここからどうしてくれるのかしら。
8,メインフェイズ2、カードを1枚セット。ターンエンド
「ケラス!」
瞬間的に昼から夜に変化した風景、そして上から降ってきた突撃兵。案山子の前で気安く手を振るドレス姿の女の姿を認め、シュライグは小さく息を吐いた。一方のケラスも落下の衝撃で意識こそないものの、胸の部分はかすかにだが規則正しく上下している。命に別条はなく、外傷もなし。放っておくか水でもかけてやれば、すぐに息を吹き返すだろう。
本当に心底、ここの連中は自分たちとの『殺し合い』ではなく『戦い』を楽しんでいる。だから、こちらの命を絶つことに拘ってはこない。
「で。次は誰が行こうかしら、リーダー?」
「よし、なら俺が行くわ。フラクトール、援護頼む」
「……心得た」
「あらそう?じゃあ任せたわよ」
「ああ、頼む」
短いやり取りの後、フラクトールがクロスボウを引きながら吸血鬼への距離を一気に詰める。
「今度はお馬さんの方かしらぁ?少しは楽しめるといいけれど」
放たれた矢は走りながらの射撃というハンデをものともせずに狙い違わず飛んでいくも、次の相手を視認した吸血鬼もまた一際鋭い笑顔を残すとその体は煙のように掻き消え、大量の蝙蝠の群れに変化する。大量の羽ばたきの中をすり抜けて後ろの地面に突き刺さった矢には計算通りとばかりに目もくれず、ジグザグに走りながら二の矢をつがえるフラクトール。
一方のヴァンパイア・レディもそれをみすみす指を咥えて待つような真似はせず、大量の蝙蝠が接近戦を挑もうとその走りに追いすがりにかかる。フラクトールも全力で走り続けはするものの徐々に両者の距離は縮まっていき、その無数の牙がいよいよ無防備な彼の馬体に躍りかかろうとした、その瞬間。
「うおおおおっ!」
雄叫びと共に身を潜めていた草むらから飛び出したルガルが、その脚力で一気に上を取った。
いかに無数の蝙蝠に分かれようとも、その実体はヴァンパイア・レディただひとり。一見闇雲に見えたフラクトールの走りによってさりげなくその位置を誘導されていた吸血鬼に、斬る、撃つというよりも叩き切るという動作に重きを置いた形状と重心の銃剣二刀流が月を背負って襲い掛かる。
「やるわね……でも、残念ねぇオオカミちゃん?ここに来たのは、私一人じゃないのよぉ」
辛うじて初撃を回避した吸血鬼が、蝙蝠の群れから再び人の姿に戻る。着地と同時にすぐさま地面を蹴って躍りかかろうとしていたルガルが、二の矢を構え回避動作を牽制しようと狙い定めていたフラクトールが、まるで気付かぬうちにその周囲にはびこる得体の知れない無数の気配に追撃を急遽諦め周辺の警戒に切り替える。
確かに、何かがいる。目には見えない何かが地に落ちる影のひとつひとつ、闇のそこかしこに潜んでいる。警戒しつつも掴み切れない様子をまた笑いながら、ヴァンパイア・レディの姿がまたしても蝙蝠の群れになってその場でくるくると回りだす。まるでつむじ風にでも乗っているように、竜巻に巻き込まれでもしたように無数の翼が黒い渦を巻く。渦を構成する蝙蝠は明らかに時間と共にその数と勢いを増していき、銃剣とクロスボウを構えるルガルとフラクトールの見つめる中……始まった時と同じように、いきなり解かれた。
そんな四方八方に散っていく蝙蝠たちの中心にいつの間にか立っていたのは褐色の肌に短く切りそろえられた銀髪が月光を反射する、限りなく人間に近くありながらも同時に一目で異形の存在であることが理屈ではなく獣の本能で理解できる破滅的な妖艶さを持つ美の結晶。
「お久しぶりねルガル、それにフラクトール」
「出やがったな、妖怪若作り。相変わらず血の匂いばっかプンプンさせてよ」
「あら、相変わらず血の気が多いわね。最近はそっちも色々忙しかったみたいだけど、元気そうで何よりだわ」
うんざりしたことを隠そうともしない言葉にも余裕の笑みで返し、ノータイムで放たれた弾丸と時間差をつけて飛んできた矢も虫か何かのように軽く手で払いのける。彼らは幾度となくこの『挨拶』に付き合わされてきたゆえに目の前の『彼女』、『帝国』の支配者たるこの女への遠慮をする気など一切ない。どうせこの程度では脅威になりはしないことも、そもそも万にひとつ今の攻撃が命中したところで致命傷にはなり得ないことを承知しているからだ。
「それじゃあ、早速だけど味見させてもらうわね。ふふ、生命に溢れて美味しそう……」
赤い舌をチロリと出してなまめかしく唇を舐め、その目が次第に赤く光を放ち始める。咄嗟にその四つ足で思い切りバックジャンプして距離を取るフラクトールに対し、ルガルはあえてその場に残ることを選ぶ。銃剣を構えつつ顔を伏せ防御姿勢に入るが、それがいけなかった。
「ぐっ!?」
目の前の本体を囮に、その首筋に一羽だけ別に飛ばしていた蝙蝠が分厚い毛皮をものともせずに小さくも鋭いその牙を突き刺す。むしり取って叩き落とそうとする動きはしかし途中でぎこちなく止まり、その両腕がだらりと力なく垂れさがった。辛うじて銃剣だけは手放さなかったのは、戦士として体に染みついた無意識ゆえの動きだろうか。
「直接吸血しての
指一本動かさないルガルに音もなく近寄って、その耳元で甘く囁く。だがもはや意識があるのかないのか、その言葉が彼の耳に届いているのかすらも、その仮面に覆われた表情からは区別がつかない。
「だとしても、悪手だったわね。さあルガル、私の可愛い犬。手始めにフラクトールを倒し、あの最終防衛ラインまで攻め込みなさい?」
その言葉に反応し、ルガルの背筋が操り人形のようにぎこちなく伸びた。両腕は二丁の銃剣を握り直し、やはり人形めいた動きで持ち上がり突撃の構えをとる。振り返ったその両目は、仮面越しでもわかるほどに真紅の輝きを放っていて。
三の矢を用意してどうにか吸血鬼を打ち貫く機を窺っていたフラクトールが二対一のプレッシャーに己の不利を察知して一歩下がるが、その間にもルガルと吸血鬼は三歩の距離を詰める。構えたクロスボウも、その射線上にルガルがいるため引き金を引けない。
「……」
寡黙な彼は、どれほど不利な戦局であっても無駄な弱音を吐きはしない。だが、これは……。
バサリ。
思考を、翼の音が断ち切った。
バサリ。
月光を、鉄翼の影が遮った。
バサリ。
逆境を、片翼の凶鳥が吹き飛ばした。これまでもそうであったように。
「……!」
「あらあら、大本命のお出ましかしら?」
半人半馬の獣人が、『帝国』の吸血鬼が、揃って上を向く。果たしてそこにいたのは、誰もが予想したその姿。黒鉄の武装に身を包み、常に最前線からその戦場に死の影を落とす最強の鳥人。ある者には忌み名として、またある者には英雄の名として語り継がれる男。その名が、叫ばれた。
「「……シュライグ!」」
「一つ訂正しよう、ヴァンプ。彼は犬ではなく、狼だ。牙も爪も研ぎ澄ました、誇り高き狼だ」
言うが早いがその右腕に構えた巨大な銃、もはやガトリングと称した方が適切なほどに武骨で優美な金属の塊の引き金を引く。
「さすがにそれは、当たれないわね……っ!」
この戦闘において初の明確な回避の意思を見せて後ろに下がり、ルガルと吸血鬼の距離が離れる。地上に降り立った百舌鳥はまず魅了の効果が薄れたことでその場に崩れ落ちそうになったルガルの体を支え、場の状況を呼んで静かに近寄ってきたフラクトールの背に載せる。
「ルガルを頼む。すぐ目を覚ますはずだ」
そう言い残し、次なる魔法を唱えようとしていた吸血鬼へと走る。だが詠唱をキャンセルし、無数の蝙蝠に変化しての回避を……。
「ここで矛を収めてくれるのなら、俺もこれ以上争うつもりはない」
速い。翼を薄く広げ半滑空状態になっての瞬発力とトップスピードは、吸血鬼の動体視力をもってしてもなおとらえきれないほどに速かった。喉元に付きつけられた冷たい銃口の感触とこの状況からシュライグが引き金を引くまでの時間、この体が蝙蝠に変化するまでに生じるタイムラグ。あらゆる考察を一瞬のうちに終えたヴァンプは、あっさりと結論を出した。
「はいはい、わかったわよ。この通り、降参するわ。あーあー、せっかくあの鉄獣戦線に今度こそ勝てると思ったのに」
肩の力をふっと抜き、両手を広げて上げる。言葉とは裏腹に楽しそうな笑顔は、まだまだ彼女が本気を出していないことを物語っていた。
「あらあら、もうおしまいにしちゃうの?」
「……貴様も来ていたのか」
「はぁい、フラクトールちゃん」
大きく移動した最前線からは一歩離れた位置にいたフラクトールが、地面に落とした影。一体いつの間に潜んでいたのか、ぽわぽわとした掴みどころのない女の声と共に無数の蝙蝠がその色濃い闇から大量に飛び出し、日傘を手にした少女の形を作りだした。先ほど彼とルガルが感じた無数の気配には、ヴァンプだけでなくこちらも含まれていたらしい。
「ごめんなさいねフロイライン、次の『お客さん』へのご挨拶は譲ってあげるから」
「そ。約束よ、期待しないで覚えておくわ」
金髪の吸血鬼が、月光の下でつまらなそうに伸びをする。その言葉を締めに、鉄獣戦線もまた構えていた武器を下ろした。
終わったわね。お互いに礼節を守っての本気ではない死闘、そういうものもあるのかしら。わたしたちの教義とは違うけれど、そのドラグマが今はないことを考えるとより長く残っている『帝国』式の方が正解だった?
なんて、特に興味もないけれど。今起きたのは、鉄獣戦線反撃のターンね。
ターンプレイヤー:鉄獣戦線
1,ドロー、スタンバイフェイズ、メインフェイズ
2,鉄獣戦線 フラクトール召喚、(2)効果発動。墓地の鉄獣戦線 ケラス、虚栄の大猿、ホップ・イヤー飛行隊をコストに除外して鉄獣戦線 銀弾のルガルを特殊召喚
鉄獣戦線 フラクトール 攻1900
鉄獣戦線 銀弾のルガル 攻2400
墓地の仲間の魂をコストに、エクストラデッキから決められた種族のリンクモンスターを特殊召喚する……それが、彼ら鉄獣戦線のコンセプト。戦い散っていった仲間が多ければ多いほど、彼らの実力は底なしに上がっていく。その一致団結こそが、最大の武器なのかもね。
3,『帝国』、メインフェイズ終了時にセットされた魍魎跋扈を発動。(1)効果でヴァンパイアの使い魔とヴァンパイア・レディをリリースし、手札のヴァンプ・オブ・ヴァンパイアをアドバンス召喚
ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア 攻2000
そしてこっちが、さしずめここのボス。メインフェイズ中に通常召喚を行う罠カード、魍魎跋扈の効果で2体のモンスターをリリースしてのアドバンス召喚。満を持して出てきた『彼女』は最上級モンスターの割に攻撃力は低い……それでもほとんどのわたしたち『聖女』より遥かに格上だけれど、やはり君臨するには物足りない。
でも、彼女は数値だけで『帝国』なんてものを作り出したわけじゃない。
4,ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア、鉄獣戦線 銀弾のルガル対象に(1)効果発動
吸血と魅了魔法の重ね技による眷属化……これこそが彼女がヴァンプの名を欲しいままにした由縁。カード的に言えばモンスター1体を対象として自身の装備カードに変更する力、ね。しかもその攻撃力を取り込むことで、彼女の攻撃力は最上級どころかそれを飛び越えて強くなる。
でも、そうはならなかった。あの仲間のためなら体を張ることを苦とも思わない欲張りな片翼は、それを許さなかった。
5,鉄獣戦線、チェーンして
リンク3の銀弾のルガルは、リンク召喚を行うために必要なマーカー3つ分として賄える。本来素材が重い凶鳥のシュライグも、彼らの効果を使えば軽々と出てこれる。ましてフリーチェーンでリンク召喚を行える星遺物からの目醒めまで構えていたら、ね。
でも純粋な実力もさることながら、このフットワークの軽さも鉄獣戦線がドラグマにて数多の異教徒集団の中でも第一線の警戒を受け続けた理由。よく存じているわ、わたしたちは。
鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ 攻3000
6,鉄獣戦線 凶鳥のシュライグの(1)効果発動。ヴァンプ・オブ・ヴァンパイアを除外
自身または仲間が場に出た際に発動する、挨拶代わりに除外を行う異教徒に相応しい魔の弾丸……もう、いくらずっと戦ってたからってそんなに拗ねないの、わたし。ごめんなさいね、ちょっとわたしたちのなかで、今ちょっとだけ自我が強くなったわたしがいて。
7,『帝国』、サレンダー
そして自ら敗北を認める行為、サレンダー。実際にここでシュライグの攻撃が通れば終わる盤面ではあったけれど、本当のところはどうだったのかしらね。最後に顔だけ見せたフロイライン、彼女があのまま参戦していたらもう少し勝負はもつれこんでいたけれど、鉄獣戦線にもまだまだ余力は残っている。でも少なくとも、この場はこういった形でお互い収まった。
……そろそろ、一度この『聖女』の力を休めようかしら。私はどこに行こうとしているのかは、やっぱりまだよくわからないけれど。また気が向いたら、その時に会いましょう?
ターンごとに分割しようと思って見返したら絶妙に短かったのよねここ。