「はーっ、大丈夫。痛てて、ようやく頭がはっきりしてきた」
何度か瞬きしたナーベルがそう言ってケラスの腕から飛び立ち、近接用の細身のナイフを腰から引き抜く。ルガルの犠牲を嘆いて立ち止まるのは、後でいくらでもできる……などと言えば、いや死んでねえよと当の本人は憮然とするだろうが。
そしてルガルの奮戦によって稼いだ時間を活かした命が、ここにもう一人。
「お望み通りやったげるけど、『これ』まだ試作品だからね!どうなっても恨まないでよ!」
「ああ。頼む、キット」
ルガルが見たら、あまりいい顔はしないだろう。お前はすぐになんでも背負いすぎる、そう口酸っぱく言われ続けてきたしそれが彼なりの気遣いであることも理解している。
だが、やはりじっと見ているだけというのはあまりにも性に合わなかった。この半身を縛る茨は、どれほど丈夫であろうともベースはあくまで植物。それは成長、という生物特有の要素を活かすことで彼への奇襲を成功させるようなメリットも多いが、反面どれほど品種改良や魔法による補強をかけたとしても逃れられない生物としての業を背負っているということにもなる。
「キットちゃん謹製!試作式超小型マイクロ火炎放射器、ファイヤーっ!」
つまり、こういう手が取れる。異様なまでの丈夫さによりナイフの刃も通らない茨だが、炎ならば?
実は以前より、メカモズに炎を纏わせることで暗闇での戦闘時に自立して先導する松明代わりにしたり、瞬間的な攻撃力を持たせたりという案は絶対派手で楽しい、という見解と共に彼女から進言されていた。
しかし、それでも肝心の小型火炎放射器がいまだ試作止まりなのには理由がある。炎を出すにあたり必要な燃料とメカモズ自体の加積重量の比率、安定した発火を続けるだけの小型軽量化、もちろんそういった技術面の問題も山積みだ。だが、キットほどの発明家が本気で取り組んでいれば恐らく今頃にはとうにその問題も解決できていただろう。
「ぐっ……!」
「リーダー!?」
「構うな、もっと火力を!」
「も、もう……ごめんねっ!」
試作ゆえに制御が甘く、あまりに勢いの強すぎる炎が体を容赦なく舐めていきシュライグの表情が苦悶に歪む。だが強靭な意志の力だけで反射的にそこから逃れようとする本能を抑え込み、むしろ体を反対側に捻り炎に茨を押し当てにいく。
……当初こんなものを作りたいとの話を受けた時、また変なもの思いついてと呆れ顔を隠せないフェリジットに対しシュライグ自身は別に反対するつもりはなかった。ゴルゴンダ砂漠を縄張りとするスプリガンズたちの生き様に対し何かしらインスピレーションを受けた彼女ならば、そういう兵器も思いつくだろうと思った程度である。だが、ナーベルを筆頭としたシュライグ以外の鳥人タイプの猛反対によって計画は一時凍結。彼曰く仮にも同じ鳥型が焼き鳥になるところは見たくない、だそうで、誰もの想像以上の剣幕にそこまで言うのならと先に折れたキットが予算申請を取り下げ、結局それっきりだ。火炎放射器自体は手持ちの兵器として転用するため開発を続けるという案も出たがそこは獣人の性、ドラグマに住んでいたいわゆる人間種族と比べるとどうしても本能的に火を恐れる傾向がある。暖を取り夜の暗さを和らげる焚火や暗闇の進軍には夜目が効く一部の種族出身を除き欠かせないシャッター付きのランタン程度ならばどうということもないが、武器として振り回すのには構想段階で忌避感を示す団員が多かった。
その判断自体を責めるつもりも、後悔することも彼にはない。実際キット本人ですら当時はとりあえず思いついたからやってみたい程度の案であり、明確に嫌がられているのを押し切ってまで誰も持ちたがりすらしない武器の開発を続けるつもりはなかった。それにこの研究にさっさと見切りをつけたおかげで完成した数多の武器は、幾度となく彼らの命を救ってきたのもまた事実である。
「ぐっ……!」
しかしその判断の結果が、巡り巡ってこの地で牙を剥く。キットに指示する寸前、舌を噛まないよう引き抜いて口に咥えていた普段腰から下げている青いスカーフ。もしそれが無ければとっくに歯が折れているであろうほどの力で歯を食いしばりながら、どこまでも続くのではないかと錯覚するような苦痛にただ耐える。
「なんということを!ブ、ブラック・ローズ・ドラゴン!」
自分が拘束した相手がいくら抜け出すためとはいえ生きたまま火達磨になっていくあまりに凄惨な絵面に目を丸くしていた薔薇の巫女が、いまだ衝撃冷めやらないながらも薔薇の竜の名を呼ぶ。竜もまたそれに応え滑空して火柱と化したシュライグに近寄ろうとしたが、突如その顔面で小規模な爆発が起きた。ダメージ自体は大したことはないが、それでも動きはそこで中断される。突然の横槍にぎろりと向けたその視線の先には、硝煙たなびく銃剣を構えたケラス。
「ふん、やらせはせんわい」
さらにもう一撃を叩きこもうとする彼の方へ、まずは貴様だと言わんばかりに向き直った薔薇の竜。その反対側から、音もなくまっすぐに一本のナイフがやはりその横顔めがけ飛来する。瞬間的な反応でわずかに首を動かしたことで狙いだった眼球への直撃は叶わず、硬い鱗には突き刺さることすらなく金属質な音とともに弾かれたが、ケラスからは目を離さぬまま次なる邪魔者の正体を確かめるべく下を向く。そこにいたのは、先ほど戦線に復帰した小柄な鳥人。同じ空の住人でありながら、龍と比べればあまりにも矮小な鳥人。
「へへっ、怒った?鬼さんこっちら、手の鳴るほうへっ!」
次のナイフをちらつかせるナーベルめがけ漆黒の茨が鞭のようにしなり、大理石を破壊しながら振り回される。一撃当たればただでは済まないであろうそれを、持ち前のすばしっこさと小柄さを最大限に活かして回避するナーベル。同時にケラスもまた牽制を込めて放たれたブレスを大きく横に飛んで回避し、茨の届く範囲の外側ギリギリの位置を保ちながら円を描くように移動しつつ着実に砲撃を当てていく。
「馬鹿な!」
一方で、それに唖然とするのが薔薇の巫女である。真後ろで苦悶の呻きと共に火達磨になっているのは、ほかならぬ自分たちのリーダーだ。だが彼らはそんな様子を一瞥すらすることなく戦いを続け、それどころかその連携のキレは先ほどよりも明らかに良くなっている。ナーベルがジャンプからの細かな羽ばたきで空中でわずかに姿勢制御、同時に二本の茨を回避しつつ死角から迫る三本目にはケラスの砲撃が命中しわずかに向きを逸らす。僅かに稼いだその隙に着地、そのまま勢いを殺さず地面に転がり込んだその後をわずかに遅れ、四度目の叩きつけが虚しく大地を穿つ。
「なぜ、味方ではなく私たちの方をそこまで執拗に……」
正面戦闘では到底敵わずとも、遠近に分かれての巧みな連携と幾度もの戦闘経験に裏打ちされた生存能力を最大限に活かして黒薔薇の竜をその場に足止めし続けるナーベルとケラス。だがこの状況で炎に身を焼かれるシュライグよりもなお自分たちに集中する姿に、薔薇の巫女が疑問の声を漏らす。
「そんなの、決まってるっしょ!」
「まだまだ甘いのう、嬢ちゃん!儂ら鉄獣戦線に、理由なんてひとつで十分じゃわい……」
ナイフを地面に突き立て、それを支点にして本来ありえないような軌道で茨の鞭を回避しながらナーベルが笑う。的確に黒薔薇の竜の顔面に砲撃を当て続け、視界を奪うことでその援護をしながらケラスが大笑する。
「「リーダーが、そう決めたから!」」
口を揃えてそう叫び、己の役割である足止めに徹する彼ら。
そしてその声に、その想いに、その信頼に……羽ばたきが、応えた。太陽を遮って空中から舞い降りるその姿はまさしく、この地に住むものならば大なり小なり誰もが知り、そして様々な感情と共にその名を口にする片翼の鳥人。味方には希望を、敵には苦渋を味合わせる最強の凶鳥。
「リーダー!」
「遅くなってすまなかった、ナーベル。ケラス」
「ほんっとだよもう、いたいけな小鳥を最前線に追い出して回避盾なんて……うわとととっ!?」
よよよとこれ見よがしなオーバーリアクションで泣き崩れようとしたところでまたもや飛んできた茨を慌てて回避し、ひとまず余裕やってる暇はないとさっさと離脱しケラスと合流しに行くナーベル。背中をシュライグに任せたことで警戒を解き、その途中でちらりと振り返り……絶句した。
逆光になっている時はわからなかったが、散々茨と共にその身を焼いた炎の影響は彼の予想以上に色濃い。分厚いコートとブーツは見るも無残に焼け爛れ、いまだあちこちから煙さえ放っている。耐火加工済みの武装ですらその有様なのだから、その中身の肉体などひとたまりもないだろう。ああやってその足で立つだけですら、凄まじい苦痛が襲っているはずだ。だがそんな様子はおくびにも出さず、銃剣ひとつ担いで自分よりもはるかに巨大な黒薔薇の竜を相手に一歩も引かず冷静に見上げている。あえて攻撃を仕掛けないことで、自分が安全な距離を取るのを待っているのだ。それを理解したナーベルが走り出すとほぼ同時に、シュライグが垂直に飛んだ。筋肉も神経も焼き切れて動かずともおかしくないような両足が力強く地を蹴り、瞬間的にブラック・ローズ・ドラゴンと同じ目線の高さまでに至る。そのまま銃剣を構え、空中で正確にトリガーを引こうとする。
「……っ!さ、させません!」
ボロボロの体をものともせず最前線に現れたその姿に言葉を失っていた薔薇の巫女が、黒薔薇の竜への危機にようやく我に返る。魔法による妨害を仕掛けようと、懐からまた植物の種の入った袋を取り出して。
「きゃっ!?」
乾いた音と共に突如としてその小袋が弾け、その手から弾き出される。もう一度同じ音が響き、空中に舞うその袋がまた弾かれてもはや薔薇の巫女の手が届かない位置にまで吹き飛ばされた。
「悪いけど、うちのリーダーの邪魔はさせないわよ。さっきのお礼も兼ねて、ね」
聞こえていないだろうとは知りつつ伏せ撃ちの体勢で小さく呟いたのは、フェリジット。薔薇の巫女には知る由もないがこれはシュライグとキット、ナーベルとケラスがそれぞれ自分の為すべきことをしている間に音もたてず密やかに、誰にも気取られることなく狙撃に十分なスペースと開けた視界を確保していた彼女の粘りが実を結んだ形である。
「それともご存じなかったかしら?泥棒猫はしつこいの」
ペロリと舌を出す彼女による連続狙撃でのサポートで反撃の手が未然に潰され、事実上ブラック・ローズ・ドラゴンとシュライグが一騎打ちの状況になる。
両者更に上空へと飛び立ち、空中で睨みあう竜と鳥が同時に激突した。
「その動きは、先ほども見た」
短期決戦。すでに重傷を負った身であるシュライグがいまだ大きな一撃を受けていないブラック・ローズ・ドラゴンに対処するには、それしかない。長引けば長引くほどその傷は体を蝕み、無尽蔵に等しい体力の差、生物としての格の違いがそこに追い打ちをかけていく。
だから、ただそうしただけ。
「少し手の内を見せすぎたな、黒薔薇の竜」
当たらない、当たらない。彼自身は負傷のせいもありさほど体を動かしていないのに最小限の動作だけで茨の鞭はその体を捉えられず、ブレスは明後日の方向へ飛んでいく。
静かに語りかけながら最小限の動きで距離を詰めていく様を頭上に見ながら、狙撃用にずっと付けていたゴーグルを外したフェリジットが誰にも見られず小さく笑った。ああなったシュライグは、もう負けはしない。
……彼の戦士としての強みのひとつでもある、その異様なまでの観察眼。おそらくはかつて『羽なし』でしかなかった彼が物心ついてから群れから追われるまで、そして追われてからも頼るものなくただひとり命を繋いできた期間に嫌でも身につけたのだろうと彼女自身は分析していたが、彼はとにかく目に見えるもの、動きの癖を読み取りそれを利用する術に長けている。しっかりとした食事や睡眠をとれるようになった、あるいは単に遅れてきた成長期なのか今ではかなり大柄な彼ではあるが、その昔は体も小さく痩せ細っていた。それでも必要に迫られればギラギラとした目で相手を観察し、一方的にやられると思わせておいて最後には最小限の動きで一回りも二回りも大柄な獣人相手であっても素手で喧嘩を制してきていたのを、旧い付き合いの彼女は知っている。
そういった物理的な観察には長けた半面自分たちに出会うまであまりその必要性に迫られなかったからかどうにも他人の心の機敏に対しては無頓着になりがちな傾向もあり、まさに今のように大怪我を押して最前線に行くなど他人に自分が心配されているという概念がそもそも頭にないような言動には今も含め散々手を焼かされてはいるが、敵対する分にはそのさもなにか秘策や隠し玉を抱えているかのような無茶っぷりが余計に恐ろしさや底知れなさを加速させているであろうことはまあ想像に難くない。いい加減その思考回路にも慣れた彼女に言わせれば例えば今だって「みんな頑張って戦っていた中で俺だけ動けなくて迷惑をかけたなあ」「じゃあさっさとこの拘束を抜けて俺も頑張ろう」程度のことしか考えていないと断言できるのだが。
ともあれブラック・ローズ・ドラゴンは確かに種族として絶対的強者の類ではあるが先のルガル、そしてケラスにナーベルと少し彼の前で自分の戦い方を見せすぎた。あそこまで完全に読み取られていては、加勢すらもむしろ邪魔になりかねない。
「恨みはないが、少し眠っていてもらおう」
そして薔薇の巫女がまた何かおかしな横槍を入れないか一応見張っているうちに、重い銃撃音と共にあっさりと空中のぶつかり合いは終わった。蓋を開けてみれば一方的な展開で、銃剣でざっくりと貫かれた傷口に麻酔弾を叩きこまれた黒薔薇の竜が大量の花びらを、まるで自身の墓を作るかのように撒き散らしながら重たく落下する。絶句する薔薇の巫女の眼前に音もなく降り立ったシュライグが、いまだ硝煙たなびく銃口を突きつけた。
「俺たちの勝ちだ……ということで、いいだろうか」
「え、ええ……私の、負けを認めます」
呟くようにそう口にした薔薇の巫女に、小さく頷いて銃を下ろすシュライグ。そうした動作ひとつひとつを取る度に鉄の、そしてその奥にかすかだが隠しようもなく確かに感じる肉が焼ける臭いに、改めて彼女は戦慄した。
……そう。どうなるかと思ったけど、やっぱりまた勝ったのね。東方のどこかの国の言葉ではこういうの、肉を切らせて骨を断つ、でしたっけ?ふふっ、400と94番目の『聖女』はこういう格言めいたものが好きで、まだ立派な人、だったのかその皮を被っていたのか、少なくとも博識であったことは間違いなかった
また話が逸れたけれど、やっぱり獣人は人間よりも野生の本能というか生存への思い切りが強い傾向にあるのかしら。いざとなれば躊躇なく自分の身を削る選択肢が取れる、だからたとえ名を残す前に戦場に消えていくような一兵であっても本当にとどめを刺すまで安心しきれない。フルルドリスがとにかく強かったうえそんな彼女が積極的に兵士の鍛錬を見ていたから全体的には互角に戦えていたけれど、兵全体の質という点ではどうしてもドラグマが半歩劣りがちだったのよね。数も地の利もこちらにあったけれど、それを補ってなお粘るだけの強さが鉄獣戦線にはあったものだわ。
さあ、その話はさておき。ラストターン、見ていきましょうか?
ターンプレイヤー:鉄獣戦線
1,ドロー、スタンバイフェイズ、メインフェイズ
2,鉄獣戦線 ナーベルを召喚、鉄獣戦線 ケラスの(2)効果発動。墓地の鉄獣戦線 キットと鉄獣戦線 銀弾のルガルをコストに除外してエクストラデッキから鉄獣戦線 仇花のフェリジットを特殊召喚
鉄獣戦線 ナーベル 攻0
鉄獣戦線 仇花のフェリジット 攻1600
3,通常魔法、火炎地獄を発動
薔薇の巫女 LP3400→2400
鉄獣戦線 LP1250→750
自分への500ダメージと引き換えに1000ものダメージを1枚で与える通常魔法、火炎地獄。え、あれでシュライグより薔薇の巫女の方がダメージを受けているのが理解できない?
……安心なさい、私もよくわからないわ。あえて言うなら身体的にはやたら頑丈な獣人の特性と薔薇を愛するがゆえに火を恐れる巫女の精神バランス、後は覚悟の決まり方、なのかしらね?それかドラグマと小競り合いしていた時期にフルルドリスの雷撃を浴びすぎて、無自覚のうちに変な耐性ができていたのかも、なんて。『聖女』最強の称号は伊達や酔狂じゃないから、あながち笑い話でもないのがなんともねえ。
4,鉄獣戦線 ナーベル、鉄獣戦線 ケラス、鉄獣戦線 仇花のフェリジットを素材に、鉄獣戦線 凶鳥のシュライグをリンク召喚
鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ 攻3000
5,鉄獣戦線 仇花のフェリジットの(2)効果発動
5,鉄獣戦線 凶鳥のシュライグの(1)効果発動。ブラック・ローズ・ドラゴンを除外
ひっそりとフェリジットが墓地に送られたことで先ほどは発動できなかったその効果、ドローしつつ手札をデッキボトムに戻して手札交換をする能力が発動。
え、なんだか随分あっさりしているようにみえるかしら?四の聖痕をひとつの肉体に持つフルルドリスの強さに慣れていると色々と感覚がマヒしがちになるけれど、本来あの凶鳥はルガル以上の上澄みだもの。よーいどんで向かい合ったとしても薔薇の竜がやっと相打ちに取れるぐらい、それが後出しで出てくるならそれは一方的なことにもなるわね。ケラスとナーベルが足止めするのに精いっぱいだったのを見ればわかると思うけれど、本来そんなものはハンデにすらならないくらい種としては壁があるはずなのだけれどねえ。
そうこう言っているうちに、今回もこれでおしまいね。
6,バトルフェイズ。鉄獣戦線 凶鳥のシュライグで直接攻撃
7,薔薇の巫女、攻撃宣言時に速攻のかかしの(1)効果発動
速攻のかかしは、直接攻撃宣言時に手札から捨てることで攻撃を無効、しかもバトルフェイズも終了させる守りのカード。良い手だけど、これが彼女の手札にあることは先のターン、白薔薇の回廊で予見する引き札を使ったからもう見えているのよね。だから、ここでフェリジットの手札交換が生きてくる。
8,速攻魔法、墓穴の指名者の(1)効果発動。速攻のかかしを除外
そして引きこんでいた墓穴の指名者で、コストとして捨てられたばかりの速攻のかかしを即座にゲームから除外。それだけじゃなくてそのモンスター及び同名カードの効果は次のターン終了時まで無効になるから、最後の抵抗の目はフェリジットがきっちり摘み取った形になる。そういうところあるのよねえ、あの泥棒猫。フルルドリスやドラグマの騎士団が優勢の時にいつの間にか逃げ道を確保して被害を抑えたり、長距離狙撃で文字通り退路を開いたり。直接戦闘力だけで考えた場合の優先度はどうしてもシュライグ、ルガルに比べて一段落ちちゃうけど、放っておくとすごく面倒な女。
鉄獣戦線 凶鳥のシュライグ 攻3000→薔薇の巫女(直接攻撃)
薔薇の巫女 LP2400→0
それじゃあ、そろそろまたのお別れね。次はいつどこで、どんな形で会うことになるのかわからないけれど、私はまた旅を続けるわ。名前も無かった竜の落とし子に、鋼鉄で武装する獣人に、砂漠で歌う陽気な煤に……そのほかたくさんの生命に、この大地はこんなにも開かれているんですもの。