Fate:finale record 天望のラストダンス   作:菜月 優

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それ=魔法使いの日常

男は魔術を使って盗みを働く者だった

 

夜の街を駆けて幾つもの宝物を奪う。──そんな存在。

 

基本的に盗むのは、宝石だ。

それは裏ルートを通して宝石魔術師達に渡す為の行為。

そうやって自分を誤魔化してたくさんの宝石を盗んでいた。

男はある意味自信家で、それでいてかなり慎重だった。

それ故、自分の痕跡を残したり、何か面白いことをしでかそう何て考えはこれっぽっちも無かった。

──────だからだろう。これまで1度も捕まったり見つかったりしたことがなかったのは。

 

しかし、当然何度も何度もそう言った行為に成功していくと人は自信過剰になってしまうものだ。

何より……スリルを求めるようになってしまう。

 

──────そうやって人は堕ちていく。たとえ誰かのため、生きるため、どんな正当化できる理由があったとしても。……だ。

 

ヒヤリハット。という言葉を知っているだろうか?

ヒヤリとした数が増えると、やがて事故に繋がるというものだ。

さて、彼は幾度ヒヤリとしたのだろうか。

……それは分からない。ただ、世界の幸福の総数が決まっているように人の幸運にも限度がある。

 

……そうして彼は()()()()()()()()()()()のだから。

 

 

 

 

──────「やあ、早速で悪いんだけど死んでくれないか?」

 

いつも通り盗みを終えて、宝石を抱えた俺を突然そんな声が呼び止める。

その異様な仕草と声の圧で俺はその奇妙な存在に引き止められてしまう。

いつもなら慌てて姿を隠すのだが、何故かそんな考えが頭をすり抜けていく。

 

──────「おかしい」

俺は明らかに何かがおかしいそれを何故か認識できなかった。まるで、そう……記憶から常に抜け落ちるような……そんな違和感。

 

「誰だ?!」

……どうして、逃げなかったのか。俺には分からない。

 

──────「さて、誰だろうね?まぁ君が知ることは無い。何より君にはそんな余裕はないと思うよ」

 

俺はその女から逃げるために慌てて魔術を起動する。

隠密魔術。

それが俺の得意な魔術だ。16年間かけて身につけたある意味手足のようなその技を俺は発動させようとして

 

──────発動しなかった。

そんな馬鹿な……俺は慌てて何度も何度も行うが……何ひとつとして発動はしなかった。

何度も何度も唱えても……そう、まるで初めて魔術を教えてもらった時、あの何も出来なかったあの日のように。

 

「──────あ、れ?」

 

そうして俺は気づく。体が少しづつ砂のお城が崩れるようにボロボロと消えていく。

気がついたら俺は何も思い出せなくなっていた。

──────あれ?俺は……ぼくは……■■■■

 

 

 

 

 

 

目の前で崩れていく少年を横目に私は空を仰ぐ。

本日もまたいい天気だ。パリ郊外の夜空は少し街の灯りに照らされてほんのりと曇っていた。

 

相変わらず星は見えないが、それでも……いい天気だ。

 

と私は深くため息をついた。

 

──────「依頼完了……悪趣味な依頼だった。未来ある子供の未来をへし折るのはさすがに……まぁどうでもいいか」

 

──────少年はその身を劣化して消えた。これが彼女の持つ劣化の魔法。

その効果は()()()()()()()()()()()()()()()というものである。




遅くなって申し訳ないです
また近いうちに投稿します
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