ラブライブ!の世界に転生した俺はトップアイドル兼プロデューサー!? 作:とある幻想郷の暇人
「こ、これがアルパカか・・・! くっそ可愛いじゃねぇか!」
本日の大イベントであるメルヘンな生き物、アルパカと触れ合いをするために俺はアルパカ小屋に来ていた。
アイドル研究部から離れるためとアルパカへの会いたさから、体の奥に溢れ出る力で無我夢中で走ってきたため、絵里と希の手がいつの間にか離れてしまっていて2人をどこかへ置いてきてしまった。
というか何だこの生き物は。初めてアルパカを見たけど超可愛い!!
「うん! すっごく可愛いよね〜!」
「このモフモフとした毛につぶらな瞳! あぁっもうモォフモォフしたい!」
「ふわふわで気持ちいいよぉ〜」
「うわ! 本当だ。お持ち帰りしたいなぁ」
「それはダメだけど〜ことりならお持ち帰りしてもいいよ〜〜!!」
「えっ! ことりならお持ち帰りしていいって・・・ことりぃぃぃぃぃいいいい!?」
白いアルパカを抱きしめている俺の隣に、満面の笑顔でバンザイをして俺を見ている南ことりがいた。
おい、なんだよその、だっこして! みたいなバンザイは。
「・・・いつからいたんだ?」
「暁君が来る前からいたよ? お母さんから暁君が今日音ノ木坂に来るって聞いてたからことりが案内しようと思ったんだけど、お母さんが、あなたはまだ入学して1ヶ月しかたってないんだからダメよ、って言って許可してくれなかったの。だからここでアルパカさんに慰めてもらってんだ〜」
「そうか・・・」
満面の笑顔が崩れて泣きそうな顔をすることり。歯を食いしばって位涙を堪えているが、このままでは泣いてしまいそうだ。
でももう回るのはここで最後だから今から案内してとは言えないし・・・あ、そうだ。
「なぁことり」
「なぁに? ことりをお持ち帰りする?」
「・・・どういう意味で言ってんだ?」
とりあえず思いついたことは置いといて、さっきから気になっていたことを聞く。別に期待してなんかはいないけど、ただ好奇心で聞いてみるだけだ。
まぁ、ことりのことだから絶対に俺が期待し・・いや、思っていることとは違うだろうな。
「んん? お家に連れてってもらって、いい子いい子して可愛いがってもらうことだよ?」
くっ・・・やっぱりか。ことりだもんな。わかってたよ、わかってたさ。でも少しくらいは期待してもいいだろう!? 男なんだからさぁ!
「そ、そうか。ところでさ、ことり。俺はそろそろ生徒会の人と合流してひなさんと話しをしてから帰るけど、ことりも一緒に帰るか?」
そう言って俺は照れた顔でことりのサラサラとした髪をクシャッと撫でる。撫でられたことりは嬉しそうにはにかみ、首を縦に振って返事をした。
「うん!」
***
それからしばらくして、俺たちは絵里と希と合流した。というより、もっと撫でて〜なんて言われてことりを撫で続けていたところに2人がやってきただけだが。
ちなみに、2人が来る前にこちらが先に気づいたので、密着していたことりから少し離れておいた。俺は別に見られても友達なら構わないけど、ことりが嫌がるかもしれないからな。
「暁君、ここにいたんやね。 やっぱり、カードの言う通りや!」
そう言って希は、トランプくらいの大きさの長方形のカードを右手の人差し指と中指に挟んで胸元から取り出した。
「カード?」
まさか・・・実はカードとはクレジットカードのことで、カードの言う通りや! とは、金の力を使って手に入れた情報が正しかった!って意味じゃねぇだろうな。
いやまぁ学生なんだから有り得ないとは思うけど。
その答えに、希ではなく絵里が答えてくれた。
「希はタロット占いが得意なのよ。だからカードはタロットカードのことよ」
何だ、タロットカードか。
「それよりもあなた、南さんとは知り合いだったのね」
絵里は、俺の後ろに立っていることりの顔でをチラリと見ると、聞いてきた。
「あれ?ことりのことを知ってるのか?」
「理事長の娘だもの。みんな知ってるわよ」
そりゃそうか。学校のトップである理事長の娘が入学してきたら有名になるに決まってるよな。
それでことりが嫌な思いとかしてなければいいんだけどな。
そう考えていると、ことりが俺の横に来て絵里と希に話しかけた。
「あの、そろそろお母さんのところへ行きませんか? 日も暮れてきましたし」
「そうやね。案内もここで最後の予定だからちょうどだったからちょうどええわ」
「んじゃあ行くか」
「えぇ。でも私達は荷物を取りに行かないといけないから先に行くわ」
そう言って絵里と希は先に校舎へと向かってしまった。その背中を見送り、俺はことりに話しかける。
「俺たちも行こうぜ。ひなさんも待ってるだろうしな」
「そうだね。じゃあ早く行こっ?」
ことりは俺の指とことりの指を絡ませ、俺の顔と繋いだ手を見て満足そうににこっと微笑んだ。いわゆる恋人繋ぎというやつだ。握ったことりの手は男である俺とは違っていて、スベスベとしていて、少し冷たかった。
「えへへ♪ 誰かに見られちゃったら誤解されちゃうかもねっ!」
向日葵のようにはにかんだ笑顔は抱きしめたくなるほど魅力的で、可愛いらしくて、天使のようだった。
***
理事長室に着いたところでちょうど絵里、希と合流した俺たちは、来校したときに座ったソファに座っていた。
ドアを開けて理事長室に入ったとき、ひなさんはことりが俺たちと一緒にいることに驚いていなかった。おそらくそんな予感がしていたのだろう。
全員が座ったのを確認したひなさんは俺に顔を向けて真剣な顔つきをした。本題に入るのだろう。
「さっそくだけど暁君、音ノ木坂を見学してみてどうだったかしら? 」
音ノ木坂はどうだった、か・・・。
「そうですね・・・落ち着いた雰囲気があって過ごしやすいと思いました。生徒は優しいですし、生き生きとしていました。 それと、不思議な魅力がありました。」
音ノ木坂には不思議な魅力があると思った。なぜなら他の学校に比べて、生徒の目が輝いていたからだ。青春を満喫している! 楽しい! などの前向きな気持ちが目を見るだけで読み取れるような輝いた目。だが、何故そんなに生徒の目が輝いていたのか?と聞かれると答えようがない。俺にもわからないからだ。
「不思議な魅力? アルパカのことかしら?」
何でそこでアルパカが出てくんねん。どう考えたって違うだろ。
「いや、アルパカも含めた学校全体が持っている魅力ですよ。でも上手く言葉に説明できなくて・・・おそらく、実際に見てもらわないと理解して貰えないでしょうね」
ひなさんは眉尻を下げて困った表情をした。俺がしっかりとした言葉を言えなかったからだろう。
「力及ばずで申し訳ないです・・・」
頭を下げて謝る。ひなさんの期待を裏切ってしまうようで心が痛い。
「いえ・・・そんなことはないわ。なんとなくだけど方向が見えてきたかもしれないし」
そう言って人差し指を右ほおに当てて考え込み始めた。
「確かに暁君の言うとおりかもってことりも思うな〜。ことりは音ノ木坂に入ってまだ1ヶ月しか経ってないけど、音ノ木坂は大好きだもん。どうして?って聞かれるとわからないんだけどね」
えへへと苦笑いをしながらことりは、俺の言う不思議な魅力を自分も感じると言った。
俺は1回来ただけで音ノ木坂が好きになったんだ。ならば俺よりももっと長く音ノ木坂いることりは愛着心が湧くのだろう。おそらく絵里も希も同じ意見のはずだ。
「うーん、でも見ないとわからないってことは、その魅力を伝えるためには一度、音ノ木坂まで来てもらわないとわからないってことでしょ? 難しいわね・・・」
「あの、俺が呼び込みましょうか? そうすれば人は集まると思うのですが」
俺が音ノ木坂の講堂を使ってライブを行なえばファンの人は集まってくれるはずだ。それで音ノ木坂が有名になってくれればと思った。
「ん? どうやって暁君が呼ぶん? 」
「そうよ。私達生徒会も呼び込もうとインターネットで宣伝してるのに、あまり効果が出てないのよ? 」
そういえばまだ2人に俺の正体をバラしてなかったな。そろそろ言おうか、と思ったのだが、
「それはダメよ。この問題は私達音ノ木坂の関係者が解決しなければいけないわ。暁君の申し出はありがたいけど、それでは意味がないの」
断られてしまった。まぁ確かに音ノ木坂の問題に部外者の俺が首を突っ込むのは良くない。ただ、手伝いはしたい。
「わかりました。でも困ったときはいつでも俺に頼ってください」
「えぇ、ありがとう」
ひなさんは嬉しそうに言った。
今の所では生徒が減少していてマズイというぐらいの問題だが、もしかしたら廃校・・なんてこともあるかもしれない。そのときに俺は全力でサポートをするつもりだ。だが、俺は部外者であるから表立って行動することはできない。
だからいつの日か、太陽の光のように強くこの音ノ木坂学院を照らす誰かが現れてくれれば・・・。
***
「それじゃあそろそろ俺は帰ります」
「えぇ。今日は本当にありがとう」
「いえいえ」
俺はソファから立ち上がる。すると隣に座っていたことりも立ち上がった。そういえば一緒に帰るんだったな。
「お母さん、ことりも帰るねっ!」
「あなたは待ちなさい。さっき保健室の先生が呼んでたわよ? 今日はことりの当番の日なのに保健室に来てないって」
少し怒り気味なひなさんはことりの手を取り、帰れないようにした。
「えぇ〜〜!? そんなぁぁ!!!」
悲しそうな表情をし、ペタンと女の子座りで座り込む。そして俺の顔を見てうるうると瞳を揺らす。口はへの字になり、泣きそうになるのを堪えているみたいだ。
「はぁ・・・昇降口のところでことりの用事が終わるまで待ってるよ。だから早く行ってこい」
パァッと表情を明るくしたことりはスクッと立ち上がった。
「うん! すぐに終わらせてくるから待っててね! 絶対だよっ? 」
そう言って一言を残し、ことりはタタタッと小走りで部屋を出ていった。
「困った子ね・・・。あ、それと絢瀬さんと東條さんも帰っていいわよ」
「「わかりました」」
2人は立ち上がり、お辞儀をして出ていった。うーん、何だか型にハマってるなぁ。
俺も帰ろうと思い、理事長の取っ手を掴む。だが、そこでひなさんに話しかけられた。
「暁君、ことりのことをよろしくね?」
ん? 帰宅への安全を見守るように、ということだろうか。
「? わかりました。俺に任せてください!」
俺は振り返って、ぐっと拳を握って親指を立てた。そして今度こそ部屋を出る。
***
理事長室を出たところで絵里と希がいた。どうやら俺を待っていたようだ。
「今日は案内をしてくれてありがとな」
「どういたしまして。・・・ねぇ暁、良かったら連絡先を交換しない?」
そう言って絵里は水色のスマホを取り出した。それに見習って希も紫色のスマホを取り出した。
「あぁ、いいぞ。ほいほいほいっと」
無事に連絡先を交換し、スマホをしまう。
「ねぇ暁君、今度こそあなたの正体を教えてくれへん? ウチらはそれが気になってたんや」
ふむ・・・さすがにくどくなってきた気がするな。そろそろ正体をバラすか。
「実は俺はアイドルなんだ。でもまぁ俺がアイドルだからといって遠慮する必要はないぞ。むしろ今までと同じ態度で接してくれると助かる」
別にアイドルが特別だとは思っていない。アイドルだってただの人なんだ。だから特別視されると悲しいしさみしくなる。
「えっ、じゃあ本物の神座暁なの?! 」
「ちょっ、ちょっと待って!」
希はスマホを操作し、カメラを起動させて俺の顔を撮る。そして画像に落書きをできるアプリを起動させて俺の目のあたりに黒ペンでサングラスを書き始めた。
あ・・・テレビに出ている状態の俺だ。
「ああっ!? 本人やっ!」
希は落書きされた俺の画像と俺を見比べて指を突きつける。いや、だから本人だって言ってるだろ。嘘つかねぇよ。
「えっ、ちょっと希! 私にも見せて・・・あぁっ!? 本人だわっ!」
あぁっ!? 本人だわっ! じゃねぇよ。何なんだよ・・・。俺、もうサングラスかけてテレビに出たりライブをやったりするのやめようかな。さすがにサングラスが俺を見分けるポイントだってのは辛い。
そもそもサングラスをかけてデビューしたのが間違いだったんだよ。誰だよ俺の楽屋にサングラスを置いてったやつ。俺の小道具だと思ったじゃねぇか。
「あぁ、うん・・・本人ですよー、サングラスが本体だと思われてそうな神座暁ですよー」
絶対サングラスなんてやめてやる!!
「あっ、そうだ。ここにサインを貰えないかしら? 妹があなたの猛烈なファンなのよ」
絵里はメモ帳とペンを取り出し、俺に渡した。
「お安い御用だ。妹の名前は?」
「亜里沙よ。・・・・アリーチカへと書いて貰える?」
「チカ? なんだそれ」
「ロシア語で、『ちゃん』って意味よ」
「なるほど・・・アリーチカへ・・とほいよ」
サインを書いたメモ帳とペンを返す。
「ありがとう。亜里沙も喜ぶわ」
絵里は優しく微笑んだ。
「そういえば暁君、南さんと一緒に帰る約束をしてたんやないの? 時間大丈夫?」
希の言葉にハッとなり、スマホを取り出して時間を確認すると既にことりが理事長室を出てから15分以上経っていた。もしかしたらもう用事は終わっているかもしれない。
「ちょっとマズイな。俺はもう行くよ。2人とも、気軽に俺にメールしたり電話してくれよ? 構ってくれないと泣いちゃうからな?」
「ふふふ、わかったわ」
「えぇで〜。後、実はウチは神田明神で巫女のアルバイトをしてるから、神田明神に来れば会えるかもね」
「そうか、なら今度御賽銭でも入れに行くよ。じゃあまたな〜」
希の巫女姿かぁ・・・う〜む、素晴らしい。ぜひとも今度見に行こう。
***
「ごめ〜ん! 待ったぁ?」
絵里と希と別れて昇降口で待って数分後にことりは小走りで来た。
「いや、待ってないよ」
まるで恋人のようにやり取りをする。
これは以前、ツバサと遊ぶために待ち合わせをしたときに、「お待たせ」と言われて、「おせぇよ」と言ったら足を踏まれて言い直させられたためだ。
ブーツで足を踏むとかありえないだろ・・・下手したら骨折だぞ・・・。
「じゃ、帰ろうぜ? 手、繋ぐか?」
俺は右手をことりに差し出す。
「うん!」
ことりは左手で俺の手を握り、嬉しそうに俺と共に歩きだした。
外に出て、見えたのは綺麗な夕陽だった。空を紅く染めて、自分の存在感を強調している。
あーあ、来月は仕事が溜まってるから、次に暇になるのは夏ごろになってしまうだろうな。
こんな綺麗な夕陽を見れるのもしばらくはないだろう。しっかりと、目に焼き付けておかないとな。
***
絵里side
学校から帰ってきて、部屋に着いた私は自分がいつも寝ているふかふかのベッドに腰掛けた。そして鞄からスマホを取り出し、最近の習慣となりつつあるロシアにいる妹への電話をする。
最近の出来事を話すためや、妹の話を聞くためだ。だが、今日は少し違う。妹が喜ぶサプライズがあるからだ。
「あ、もしもし? 亜里沙? 元気?」
『あっ、お姉ちゃん。元気だよ。 あっ! そういえばねっ、おねぇちゃん! 今日おばあちゃんがね、クレープを作ってくれたの! すっごく美味しかったんだよ!』
「あら、それは羨ましいわね。 私も1個欲しいな〜」
『ダメダメ〜! 亜里沙が全部食べちゃったもーん!』
おばあちゃんの料理や菓子は絶品で、一度食べたら忘れられない味だ。
また・・・食べたいな。
「ねぇ亜里沙? 亜里沙って神座暁のこと好き?」
亜里沙が暁のことを好きなのは知ってるが、確認のためだ。
『うん、大好きだよ! でもいきなりどうしたの?』
「実はね、今日神座暁に会ったのよ」
この先の展開に予想し、スマホを耳から遠ざける。
『ぇぇぇえええええええええ!!!! お姉ちゃんずるいっ!』
耳から離しておいて正解だった。
亜里沙は以前から来日して神座暁のライブに行きたいって言っていた。だから亜里沙にとっては暁と会ったというのは喉から手が出るぐらい羨ましいことだと思って、それは予想通りだった。
「安心しなさい。ちゃんと亜里沙へのサインを貰っておいたわ」
『ほんとっ!? お姉ちゃん大好き!』
「えぇ、後で送っておくわ」
そして後は他愛もない世間話をして通話を切った。
何だか今日は色々あったなぁ・・・なんて思って背中をベッドに預ける。ふかふかのベッドは私の背中を優しく受け止めてくれた。
「神座暁か・・・不思議な人だったわね」
容姿が整っているのを鼻にかけたりしないし、アイドルだというのを自慢したりしなかった。
「だからこそトップアイドルなのかもね」
優しかったり、面白かったり、私をからかったりもした。からかわれたときは恥ずかしかったり怒れたりしたが、何だか心が温まった。
もともと私は友達付き合いが苦手で、初対面の人には刺々しかったりしてしまう。でも、暁と初めて会ったときはそんなことはなかった。少し話しただけで心を縛っていた鎖が外れたように、本心で接することができた。
こんなこと、初めてかもしれない。
希と仲良くなったときは希がめげずに何度も私に話しかけてくれたから仲良くなることができた。
でも、暁の場合はたった1回でしかも数分で、だ。
「本当に不思議な人だったわ・・・」
また会いたい、なんて思えた。
「絵里」なんて暁に呼ばれると、内心では心がドキッとしていた。
自分でそう呼んでと言ったのだが、少し恥ずかしかった。
「後でメールを送ってみようかしら」
暁が帰ろうとしたとき、ここで何もしなかったら暁とは二度と会えないかもしれない、なんて思って交換した連絡先だが、交換しておいてよかった。
もししていなかったら後悔で泣き寝入りなんてことになっていただろう。
「ど、どんなメールを送ればいいのかしら? そういえば私、男の子にメールするのは初めてなのよね」
また・・・会いたいな。
これにて春編は終了です。次回は夏編の予定です。
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