ラブライブ!の世界に転生した俺はトップアイドル兼プロデューサー!?   作:とある幻想郷の暇人

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お久しぶりです。お待たせしました。 これからは週一以上の更新ができるよう頑張っていきますのでよろしくお願いします。


原作スタート1年前 夏編
にこの着信音


ミーンミンミンミーン。ミーンミンミンミーン。

太陽の光が強く照り輝く、とても暑い季節になった。

今年は去年よりも暑く、我が家のエアコンは大活躍している。

 

「はぁ…また暑い季節になったなぁ…今日は何日だっけ? ……8月1日か。俺は収録はまとめて一気に撮ってもらうから、7月は今月の分も働いたから今月は暇なんだよなぁ……」

 

オニイチャーン! デンワダヨーデンワダヨー! デナイトニコニーガナイチャウヨー!

 

「……なんだこの着信音は」

 

ベッドの上に置いといたスマホがにこの声の着信音を鳴らしながら揺れだした。

着信相手はもちろんにこだ。

 

「こんな着信音にした覚えはないぞ…。 はっ! まさかこの間にこに貸したときに……!」

 

この間、にこにスマホを俺のと同じものに買い換えたいから少し触らせて欲しいと言われたから貸してみた。

たぶんその時に勝手に設定したのだろう。

というか、にこの方が年上なんだからお兄ちゃんじゃねぇだろ!

 

俺は怒りで震える腕でスマホを握りつぶさないように優しく持ち、電話に出る。

 

「……はい」

 

『にっこにっこにー! あなたのハートににこにこにーの矢澤にこにこー! にこにーって呼んでラブにこっ! 』

 

あ、ダメだ。これはウザい。

 

「おい、にこ…」

 

自分で出したとは思えないほど冷たい声が出た。

だが、俺の怒りに気づかないのか、にこはまだ続ける。

 

『だぁめだぁめぇ! にこにーは〜み〜んなのアイドルだからぁ! でもぉ、どうしてもって言うなら考えてあげてもいいけどぉ?』

 

何を考えてくれんだよ。

 

「用がないなら切るぞ。俺は今変な着信音のせいで機嫌が悪いんだ」

 

『へ、変!? 私の最高傑作なのに!? やだなぁ、そんなに怒らないでってば! ほら! にっこにっこにーだよ! にっこにっこにー! にっこにっこにー!暁も一緒に… 』

 

俺は耳からスマホを遠ざけ、口元まで持ってくる。

すぅぅぅっと大きく息を吸い込み、大声でマイクに怒鳴りつける。

 

「にっこにっこにー! じゃねぇよ! 誰のせいで怒ってると思ってんだ!? もし人前で鳴ったら恥ずかしすぎて外に出れなくなるわ! 」

 

ちなみにお兄ちゃんと呼ばれたのは何気に嬉しいが、それは年下や妹限定で年上はダメだ。

ただ、どこかの巫女服が似合いそうなお姉さんが恥ずかしそうに「お、お兄ちゃん…」ともじもじしながら顔を紅潮させて言うのならいつでもカモンだ。

『や、やだなぁ。そんなに怒らーーー』

 

俺は電話を切り、設定画面を開いて着信音を変える。何度も電話がかかってきて変えずらかったが、何とか変えるこもができた。

 

「これでよし、と」

 

今もなお電話がかかってきているが全て無視する。

 

「今日は反省してもらうために今日1日は放置しとくか……ん?」

 

電話がかかってこなくなったと思ったら今度はメールがきた。

 

 

『 ……どうして電話に出てくれないのぉ? でもにこにーは〜心が広いから〜今なら許してあげる! だから〜早くにこにーに、電話して?』

 

………。見なかったことにしよう。

 

そうだ、気分転換に布団でも外に干そう。せっかくの良い天気だし、今日は干してフカフカになった布団でたっぷり寝よう。

 

そういえば何で干したばっかりの布団で寝ると気持ちいいんだろう? ………まぁいいや。

 

持ち運びやすいように布団を3つ折りにし、ベランダに運ぼうとしたところでまたメールがきた。

 

『何よ! 何なのよもう! 何で電話も返信もしてくれないのよ!暁のバカ! バーカバーカ!!! 』

 

無視だ無視。

 

スマホをポケットに入れ、布団をかかえてベランダに出る。

ベランダに出るために窓を開けた途端、うだるような暑さと夏特有の清々しさに包まれた。

雲1つないどこまでも青い空は言葉に出来ないほど美しく、自分の怒りなどこの大空の下ではちっぽけなものだと感じてしまう。

 

「…………はぁ、にこに悪いことしたかな…。俺ももっと広い心を持たねぇとな。」

 

そうだ、にこに謝ろう。

 

にこに電話するために、さっきからずっと振動しているスマホを取り出す。

 

「ふぁっ!?」

 

画面を見ると、大量に着信とメールの通知がきていた。

 

怖っ!数分しかたってないのに!

 

留守電を聞くのはなんだか恐ろしいため、メールを適当に開く。

 

 

にこからのメールの内容は…

 

 

『バカなんて言ってごめんね? 本当はバカだなんて思ってないよ! 本当だからね!』

 

『お願い、電話に出て? 暁の声が聞きたい』

 

『もしかして今誰かと一緒にいるの? 女?』

 

『…ヤダ。ヤダヤダヤダ! 暁の側から離れたくないよぉ』

 

『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』

 

『私から暁を奪ったのは誰?』

 

『許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない』

 

『捨てないで…。一人にしないでよ…』

 

『また誰にも相手にされない生活に戻るのは嫌なの……』

 

『何でもする…何でもするから……』

 

『そっち行く』

 

 

……これは完全に俺が悪かったな。にこにはできるだけ優しく接しようと思っていたのについやってしまった。

 

にこはもともとボッチ…もとい孤独だった。それがようやく俺という無二の親友ができて孤独ではなくなった。だが、俺がにこを無視してしまったことで、にこはまた自分が孤独になったと誤解してしまったのかもしれん。

最近のにこは俺に依存していて打たれ弱くなっている。……気をつけてたつもりなんだけどな。

 

 

 

というか、20分前のメールに今から行くって書いてあるけど、ウチからにこの家までは歩いて25分の距離だからすぐ近くにいるんじゃないか?

 

 

「えーと、にこの家は向こうの方角だから……いた! てかもうマンションまで後少しの距離じゃん。……けど、泣いて、る?」

 

涙をポロポロと地面に落としながらうつむきながら、右手に俺と同じ機種のスマホを持ち、ふらふらとおぼつかない足取りで歩いてきている。まるで肉体のみがこの世界に残っていて、精神は死んでいるような、空っぽのような感じだ。

周囲を歩いていた人は怪訝な顔をし、見てみないふりをするか、話しかけるが無視されるかのどちらかだった。

 

……。…………。

 

 

「うぉぉおおお!?」

 

俺は急いでベランダから部屋に戻り、スマホを充電し、財布とカードキーを持って廊下を走り抜けて部屋から飛び出した。

 

 

「ごめんね! ごめんねにこぉおおお! 俺が悪かったぁ! うぉぉおおお!!!」

 

今のにこを見ると罪悪感しか湧かなかった。

 

エレベーターがもどかしく感じ、常用階段を駆け抜けてにこの元へと急ぐ。

 

……何だか彼女に逃げられて追いかけている女々しい男に見えるが断じて違うぞ。

 

 

***

 

「にこーーー!!………いたぁ!!!」

 

マンションの非常用出口から出て、入り口に回る。そして、マンションの入り口にある、エントランスに入るためのゲートを開ける装置こ前ににこはいた。

 

だが、何かに夢中のようでまだこちらに気づいていないようだ。

 

……何をやってるんだ? さっさと入ればいいのに。どうせ俺の番号は知ってるんだから。……もう少し近づいてみるか。

 

見つからないように壁伝いに進むと、にこの手元と、声が聞こえるようになってきた。

 

 

「どうして…どうして開かないのよ!! 暁に教えてもらった番号はこれでいいのに……!」

 

いや、無理矢理聞き出した番号の間違いじゃねぇか?

というかごめん、番号は先週に変えちゃったよ。

 

だって穂乃果は勝手に入ってくるし、最近はストーカーの被害にもあってるし、しかもにこだって勝手に入ってくるじゃねぇか。

 

それに、男には女の子に見せられないものだってあるのに見られちまうとちょっとな。

 

「…壊してやろうかしら」

 

待て待て待て。お前が右手に持ってる物はなんだ? 文明の利器であるスマホを使って俺に連絡すればいいじゃねぇか。

 

「あっ! 暁に電話すればいいのよ!」

 

そうだそうだ。最初からそうしてくれ。

 

にこはスマホを耳に当て、俺が電話に出るのを待っている。

 

さて、出てやるか……って、スマホがない! えっ嘘!? あっ…………部屋だ。

 

電話に俺が出ないため、にこがまた泣き始める。

 

「出ない…。やっぱり無視されてるんだ…。あかつきぃぃあかつきぃぃ…うぅ…。暁と会いたいよぉ…暁と話したいよぉ…暁に触れたいよぉ…」

 

にこ……。お前って奴は…なんて可愛い奴なんだ! 俺を友達としてそんなに好きなんて!!! 安心しろ、にこ。俺は一生お前の親友でいてやるからな!!!!!

 

「にこーーー! 俺はここにいるぞぉ!!」

 

にこの元へ走り、背中から抱きしめる。

小さいが柔らかくて女の子らしい身体だった。

 

にこは振り返り、俺の顔を見つめた後、腕を俺の首に回して抱き合った。

 

「…え? 暁? 暁ぃ!!! うぇぇぇん、にこのことを嫌いにならないでぇっ! 何でもするからぁっ! 暁の奴隷でも何でもなるからぁっ!」

 

ど、奴隷? え、ちょっとだけ興味あるかも…。いやいや、だめだだめだ。にこは親友なんだから。

 

「馬鹿だな…にこは。俺がにこのことを嫌いになるはずがないだろう? だから女の子が何でもするとか奴隷になるとか言うなよ。そんなことを言っちまうと、本気にしちまう奴が出るぞ?」

 

そいつは俺です、なんてのは言わない。

 

「…暁だったらいいんだけど? 」

 

上目遣いで俺を見つめる。

 

「アホか。俺はお前が(友達として)好きなんだぞ? (友達として)好きな奴を奴隷にしたいと思う奴がどこにいる?」

 

いや、にこが俺の物だったらいいなぁなんて少しだけ思っちまったけどさ。

 

「……。あのね? 私ね、暁のことが好き。あなたのこと、好きなの。この世界の誰よりも、あなたのことが大好きなの! あなたのことを考えるだけで幸せになれて…あなたのためなら何だってできるって思えるくらい好きなの…」

 

うんうん、にこが、俺のことをそんなに友達として好きだなんて……。いやぁ、友達冥利に尽きますなぁ!

 

「…俺も、にこのことが好きだ。 この(にこを親友だと思う)気持ちは一生変わることはない…。それと遅くなったけど、無視したりして悪かったよ」

 

「うぅん、もういいわ…。暁がにこのことを好きって言ってくれたから。その言葉だけで十分伝わったわ」

 

「そうか……」

 

さらに、にこを強く抱きしめる。

 

「あっ……少し、痛いわ……」

 

「嫌か?」

 

「うぅん、嫌じゃないわ。むしろ嬉しいわ」

 

それから俺たちは1分間ほど抱き合った。

 

というか、暑い。夏なのに抱き合うとか暑いし熱い。友情確認の抱き締め合いなら涼しい所ですべきだろ。

 

「……部屋に行こう」

 

早くエアコンが効いた部屋に行きたい。

 

「そ、それってもしかして……。い、いいわよ? でも初めてだから…その……うぅ……」

 

初めて? 何の話だ? エアコンが効いた俺の部屋に入ることか? まぁ、確かににこが前回来たのはまだ暑くなかったからなぁ。

 

「いや、にこが俺に電話してきたのは何の用だったのか聞きたかっただけだけど……?」

 

するとにこは何かを勘違いしていたのか、顔を茹でた蛸みたいに真っ赤にさせ、あたふたと慌てた。

 

「あれっ? えっ? えぇぇぇええ!?…………何だ、そっちかぁ…。勘違いさせないでよ!この鈍感アイドル!……でもまぁ相思相愛になったんだから、鈍感でもないのかな……?」

 

あ? 何? 耳元で鈍感アイドルとか言われたから耳がキーンとして何を言ったか聞こえなかったんだけど。……まぁいいや。どうせ俺の悪口だろうし。

 

俺は装置に番号を入力し、ゲートを開けてさっさと中に入る。

 

「ちょ、ちょっと! 置いてかないでよ! 」

 

慌てて追いかけてきたにこは俺の左手を掴み、手を繋いだ。

 

「これで暁とにこは離れられないわね!」

 

そう言ってニコッと微笑んだ。

 

「そうだな」

 

「ふふっ。ねぇ、新しい番号教えなさいよ。いつでも暁のお世話ができるようにしとかないと!」

 

「俺のお世話はありがたいけど番号は教えられんな。一応、これでも俺はアイドルだからな」

 

というか、俺の部屋にある例の物を勝手に見られるわけにはいかんだけだけどな。

 

「むぅ〜、にこと暁の仲じゃない! いいでしょ〜?」

 

「ダメ、嫌だ、しつこい。……あ、エレベーター来たぞ」

 

にこは俺にしつこいと言われて、悔しそうに下唇を噛んだ。

 

「………わかったわよ。ケチ」

 

誰がケチだ。誰が。………まったく。

 

 

そして俺たちはエレベーターに乗り込み、俺の部屋へ向かった。

 

 

 

 

 




夏編が始まりました。まぁ、現実は冬ですけどね。 夏編が終わると、秋編はすっ飛ばし、冬編のあと、原作の時系列に入ります。そこでは、アニメ版を軸にストーリーが進んで行く予定です。

では、また次話でお会いしましょう。感想をくださった方、ありがとうございました。そして、感想をくださるかた、評価をくださる方、どうもありがとうございます。

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