今が幸せなら、良いのでしょう
明日が幸せなら、良いのでしょう
努力した先が、頑張った先が幸せなら、良いのでしょう
自分が報われなくとも、誰かが幸せなら、良いのでしょう
でもふと思うのですー
居なくなった貴女は…本当に幸せでしたか?
ーFrederica Bernkastelー
―――ひぐらしが鳴いている…
繰り返し繰り返し、もう何年この鳴き声を聞いてきたのだろう
数えるのが馬鹿馬鹿しい程の時間を気の遠くなるほどの長い旅をしてきた、それがようやく終わったのだ…絶対の運命、昭和58年6月を乗り越えて、私は…いや私達は新しい世界に踏み出せたのだ、諦めかけていた、見ることのできないと思っていた未来へ、大切な仲間達と共にーでも…
「貴女が居てくれたから、ここまでこれた…なのに貴女が居ない…」
物心がついた頃から共に居て、居るのが当たり前だった、友であり、母であった存在のことを、私は彼女の好物だったシュークリームを用意しながら、今宵も思うのだった…
Monologueー百年の魔女独白ー
その日はとても晴れた日で、田舎特有とも言える早朝の冷たい空気をめいっぱい吸い込みながら、俺、前原圭一は学校への通学路を歩いていた、隣には同じ学校の生徒であり、部活メンバーである竜宮レナがいて、一緒に登校しているいつも通りの光景がある。
「さ~て、レナ、まあ最近色々あって調子狂っちまったが、今日から部活も再開するんだよな?」
レナは口元に指をやりながら答える。
「その筈だよ、とっておきの企画考えておくからってミぃちゃん言ってたから、楽しみだよね」
東京だとか山狗部隊と鷹野さんだとか、雛見沢症候群だとか物騒なことが続いて、楽しみにしてた部活が中止されちまったから、今日から再開すると部長のミオンが宣言してたから、楽しいでしょうがないぜ。
しばらく、田舎のあぜ道をレナと談笑しながら歩いているとー
「あー、やっときた、圭ちゃん、レナ遅いよーおじさん先にいっちゃおうかなと思ったよ」
緑色の髪と同じ色のウマ耳と尻尾を揺らしながら、一人のウマ娘が待ち合わせ場所に待っていた。
「そんなに遅かないだろ、ミオン」
「あっミぃちゃんおはよーだよ、だよ」
こいつの名前はソノザキミオン、学校のクラスメイトでウマ娘であり、俺らの部活の部長も務めている。
こいつの家、ソノザキ家は雛見沢の顔役とも言える御三家のひとつであり、中央トレセン学園との太いパイプすら持っているとも言われている名家である…ヤバイ方々との繋がりもあるが、名家である。普段のミオン見ているとそんな名家のお嬢様って感じは全然しないけどな。
「あははっ、冗談だよ、冗談、それに遅刻しそうになっても走れば間に合うじゃん、ちゃんとついてくるんだぞー」
「ウマ娘のお前についてけるわけないだろ?!」
「ついてく…ついてくのかな、かな?」
俺達の反応にミオンはカラカラ笑いながら、
「大丈夫大丈夫、スクーターとかならあたしの走りについてこれるからさ、さ、行こうかね〜学校に向けて出発〜」
「ミオン…その案は中々いいと思うが…まず免許なんぞはもっとらんわ!!」
ミオンの冗談とも本気とも言える発言に、俺らに合わせて走らず歩き出したその背中に向けてツッコミを入れる俺、うんいつも通りの光景に安堵する…本当に色々あったからな…別の世界の記憶とか、雛見沢症候群とかいう風土病を巡る騒動とか――それらを乗り越えて、いつもの当たり前の日常に帰ってきて来られて心底ホッとしているのだ、多分俺達はみんな…どこかが何かが足りない、そんなちょっとした喪失感を抱きながら
喪失感の原因は分かっているのだ、きっと知っていた筈のあの角の生えた女のコ…彼女が居ない、多分それが――
当たり前の日常を過ごしながら、俺はそれを皆に口にできずにいた、仲間の1人だった筈の彼女のことを、それは皆も同じなんだろうなと思う。
その思いを心の奥底に閉じ込めて、皆で談笑しながら通学路を歩いていく。ずっと続けばいい、こんな平和な、偶に刺激のある毎日が、俺は本気でそう願っている。
「ねえ、アナタ達、この村の子達だよね、ちょっと話聞かせてくんないかな?」
どうやら刺激は偶にではないみたいであるが…
分校近くのあぜ道に、いや、雛見沢に天衣無縫が舞い降りたー
ソノザキミオンー雛見沢の名家、ソノザキ家のウマ娘であり、圭一達の通う雛見沢分校で、現クラス委員長である圭一の前のクラス委員長を務めていた。圭一も所属している部活の部長でもある。基本的になんでもこなせる優秀なウマ娘ではあるが、勉強だけは苦手。双子の妹が居る。夢は笠松トレセン学園に入学して笠松レースにてデビューすることと…お嫁さん(圭ちゃんの…) 凄まじいくらい捏造ですが、許してちょんまげ