3月の行事といえば何が思い浮かぶだろう。
ここは学校だ。その観点で言えば一番に思い浮かぶのはきっと”卒業式”
4月になれば自然と心機一転。新たにことが起きる季節だと感じる人もいるだろう。だからか3月は終わりの時期。物事が終わる季節だと思えた。
善もまた、その内の一人だ。
窓を見れば空には大きな月があって、その近くには枯れ木にぽつぽつと咲く桜の蕾が見えた。もう一月もすれば満開になるだろうが、今は全然咲いていない。
それをぼんやりと眺めながらふぅ、と息を吐いた。
「新年あけたと思えば気づけば卒業式かぁ
ま、付属の大学行くから寮は変わんないし、校舎も隣だし、あんまり寂しさとかは感じないけど」
「善、式始まるよ」
「はやくしろー」
声の方へ目を向ければ廊下の奥で
善は「今いくー」と返事を返すと、ゆっくりと踵を返し、彼らの方へと歩みを進める。
「……」
ふと、足を止める。
振り返る。反対側の廊下の先。そこに広がるのは闇だった。
灯が無くて広がっている暗闇ではない。どこか禍々しくて、懐かしい、そんな深淵が広がっていた
その闇の奥には人が立っている。顔は見えない。
否、見えないのではなく”ない”のだ。
顔には空洞が空いていてその奥にはなにもない。歯すらなかった。服は汚れていて素足で。その足の足首から下は真っ黒に塗りつぶされていた。まるで落ち武者の幽霊のようだ。
「カ縺∈帝繧クケ榊荳ォ縺コ轤ョ縺ココ紋莉 ェ縺°壹諢 縺ェ縺l上繧ア蝣」
その化け物が何かを言っている。善はそれが何を言っているのか理解できない。
続けて化け物は話す。
「@峨繧淵肴縺鋳呈繧クケ榊荳 ↓阪蜑k帙縺i舌閻r悶莉ェ閾」
化け物は善の首に手を伸ばす。
「ュ縺サュ乗縺ゥ譌」
禍々しい手。善がその手の方へ一歩踏み出し、僅かに指先が首に触れた。
「善?」
「置いてくぞ」
だがすぐに離れる。善が二人の方を振り返ったからだ。
「待ってー」
善は彼らの方へ駆けて行く。
もう善は後ろを振り返ることはなかった。
明るい光のある廊下の先へ歩いていく三人
______影は一つだけ、伸びていた。
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真っ暗な空間に人口電球が空を輝かせる。
それはいつもと変わらない、この世界の”普通”の光景だった。
静かな闇。相も変わらず空を覆う帷
何一つ変わらず、世界はそこにあった。
その静かな夜道を平然とした顔で一人歩く青年の姿があった。
「珍しいですねぇ、貴方が俺に連絡してくるなんて…俺と貴方は確か面識がなかったはずなのに。
ああ…もしかして何か気づくこともでありました?
ふふ、そうですかそうですか。いえいえ、大丈夫ですよ。あの時撃たれて死ねばよかったのに、と思うくらいには俺は貴方が嫌いですが、ともに戦った
通話の相手はわからない。ただ彼が大嫌いな誰か、なのだろう。
「ああ、いえ、こっちの話なので…とはいえ不死者は少しずつ減っていってますよね?数年後には全滅させられるかもしれませんねぇ
だからもう探す必要なんてないのでは?だって今の貴方には関係ないでしょう?気になるって…大丈夫ですよ」
朔は楽しそうに笑う。
ふと彼は立ち止まる。彼の前には大きな蔦の塊。それを前に朔はゆっくりと顔を上げる。
不死者の行動には全て等価交換がある。
無意識だろうが、意図的だろうが、だ。
故に、自分で自分の命を差し出す……その代償に対する等価は一体何なのか。
無意識に願ってしまったのだ。
それは、生き物なら誰もが願うこと。
「もう誰にも殺せませんから」
そういってピっとリングの通話を切り、彼はニコッと微笑んだ。
「ねっ」
蔦には人が絡みつかれていた。
否、絡みつくというより、外敵から身を護る様に蔦はその人を…天満善を囲っていた。
蔦の中心で善は眠りについている。その表情は、非常に穏やかだ。
そんな善の腕にあるのはクマのぬいぐるみ。朔はそれを引っこ抜くと、その場で真っ二つに引きちぎった。
「朝は喰われ、星は太陽になることなく流れ、夜は守られた。
貴方の願いは正しく昇華され、この体は死にながらに生きつづける…幸せな夢のなかで」
朔は目を伏せる。
「でも、まだトゥルーエンドは回収できてないみたいです。未回収要素があるならきっちり回収しないと」
パキリ、と何かが割れた音がした。朔は顔を上げる。帷に罅が入っていた。
ばきりと割れる帷。本来なら、月光か、日光が差し込むはずだった。だが違う。その奥から出てきたのは更なる闇だった。
帳の罅が伝染するように地面にも罅が入り、まるで大きな地震でも起こったかのように土が盛り上がり、崩れていく。
崩壊していく……何もかもが。
「こんな物語は妙だって思います?でもあなたも無関係じゃないんですよ」
朔は賭けていた丸いメガネを素手で壊すと、血の付いた手を伸ばす。
「貴方がこの話を読み始めたから世界は新たに生まれた。
この結末は、貴方が進んだ結果だ。無関係じゃないですよ、わかります?」
壊れる
なにもかもが崩れ落ちる
「さぁ、また一から世界を見届けに来てください。
大丈夫ですよ。この世界は何度だって繰り返される」
「夜の帷が消える迄」
___________________この物語は、終わらない
最終回だといったな。アレは嘘だぁ!
エイプリルフールなのでね。
終わると思いきやってやつですよ。ということでこの物語は続編出ますし、この”世界”でいえばまだまだ全然終わりません
果のない地獄。さぁ頑張って皆!ハッピーエンドを目指すのよ!
ということで丁度100話目にして第一部完!お付き合いくださりありがとうございました~(^◇^)