夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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最近ライスペーパーを食べることにハマっている雑草です。
ライスペーパーってマジ万能ですよね、何巻いても大概おいしいし、低カロリーだし、満足感あるし。
ただ動画とかでよくアイスとかを包んでいる人がいるんですけど、一応ライスペーパーは米だから会うのかどうかちょっと気になっていたりもしますね、はい(・ω・)


第三項

「え、復帰していいんですか!?」

 

亜怜と一戦交えた後、敗北し気絶していた誠

目を覚まして、自室だと気付いた辺りで敗北したことを悟った彼はベッドの上で項垂れ、軽く落ち込んでいた。

またやり直しだ。悔しい、次こそは…と諦めず次は勝つと画策する誠

そこでノックが聞こえ、部屋に入って来たのは日向(ひゅうが)であった。

起き上がり慌てて挨拶をし、用件を尋ねた所「明日から任務に復帰してこい」と説明されたのだ。

しかし誠は困惑を表した。

 

「で、でも副隊長。俺まだ亜怜さんから一本も取れてないですよ…?」

 

眉を下げ、誠が心配げに聞く。誠の言葉を聞いた日向(ひゅうが)は「は?」と首を傾げ「ああ、どうりで」と小さく呟く。

 

「所属部隊の隊長、副隊長から了承を得ればいつでも復帰できるルールになってんだよ」

「えっ、そうなんですか!?」

 

日向(ひゅうが)の言葉に誠は驚愕を露わにする。

その様子に日向(ひゅうが)は「言い忘れか勘違いだろ。気にすんなよ」という。

 

「ま、そういうことだ。今日は休んで明日から復帰な」

「わかりました」

 

寧ろ早く復帰したかったので頷けば日向(ひゅうが)は鼻を鳴らす。そうしてじっと誠をみつめる。

 

「氷雨。一つだけ質問するぞ」

「えッ、な、なんですか?!」

「坂谷が死んで、どう思った」

「……え?」

 

どくりと誠の心臓が脈打つ

 

「ど、う…とは」

「お前が思ったこと話せ」

「……」

 

誠は唇を噛む。

思ったこと、そんなの決まってる。

 

「腹が立ちました」

 

誠はぎりっと歯噛みする。

 

「自分の弱さに」

 

顔を歪め、誠はいう。

 

自分の弱さが、情けなさが憎い。

 

「俺が強ければ…あいつは…」

「……」

 

日向(ひゅうが)は俯く誠を見下ろす。

 

「…黎明にゃ変な常識が多く存在する」

「……ぇ?」

「人がすぐ死ぬ環境だ。死ぬのなんて当たり前

知り合いが死んでも、ああ、そうか。で終わる人が殆どだ。誰も後悔しない…悲しみことも、ない」

「…」

「自己防衛の一種だ。

中には人との関りを煩わしく思うやつもいる。

他者が邪魔だと感じて切り捨てて、見捨てる人も。

長くいればいるほど、その”常識”は猛毒みたいに思考と感性を麻痺させ、心を鈍らせ壊していく」

 

日向(ひゅぅ)は誠の頭をぐしゃりと撫でる。

 

「お前の今抱えている悲しみ、苛立ち、苦しみ。

その感情はお前をこの先もずっと苦しめ続けるだろうな。

手放した方がいいと思う時も来るだろう。でも…大事に抱えておけよ」

「!」

「その感情は紛れもないお前の本心なんだから」

 

そういってふっと笑うと日向(ひゅうが)は「ゆっくり休めよ」と言って部屋を出ていった。

誠はバタンっとベッドに倒れ込む。

 

(大事なもの)

 

誠は自分の心臓のある部分に手を置く。

どくりどくりと心臓の音が伝わる。

 

(俺は、強くなりたい)

 

誠は手を掲げる。細かい傷に塗れた手だ。

 

「……」

 

目をつぶり、そして跳ね起きる。

 

「…明日から復帰だと思ったら体がむずむずする…!ちょっとだけ!」

 

そしてすぐにベッド横に立てかけていた木刀を掴むと訓練場に飛び出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆっくり休めっつったのに」

「元気なのはいいことだよ」

 

ここは戦闘部隊の隊長室

隊長室の窓からは丁度戦闘部隊が利用できる訓練場が見えており、その訓練場へ走っていく誠を窓から見ながら、日向(ひゅうが)は舌打ちを零す。

その後ろで隊長室に置かれた机に持たれながら日向(ひなた)は面白そうにクスクスと笑う。

揃いの赤い瞳が弧を描いたのが見える。

 

「にしても、お前が僕の代わりに会いに行くなんて珍しいこともあるもんだ」

 

楽し気にいう日向(ひなた)の言葉に日向(ひゅうが)は鼻を鳴らす。

 

「前に見た時は糞見たいな面構えしてたからな。また同じような顔してるならぶん殴って除名してやろうと思ったんだよ」

 

どこか不機嫌そうにいう日向(ひゅうが)日向(ひなた)はふっと笑う。

 

「てことは彼は日向(ひゅうが)の御眼鏡に叶ったわけだ」

「……前に比べりゃ、まだマシだっただけだっつの」

 

日向(ひゅうが)の返答に、また日向(ひなた)は笑みを零す。

その何とも言えない居心地の悪さに、日向(ひゅうが)は思わず舌打ちを零すのだった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「てことで今日から俺も復帰だから」

 

翌日、誠のリングが受信した任務に口角を上げた誠は、久しぶりの制服に腕を通し、早速地下道へ向かう。

誠に任務が来たということは、彼のチームメイトである紡や律にも当然任務が届いているということだ。

地下へと向かえば既に彼らは地下にいて、誠は嬉々とした様子で復帰したことを伝えるれば「わぁ!やったねマコちゃん!」と、嬉しそうに誠の周りを回る紡

「しっかり働け」と言ってくる律。二人に頷いた誠はキツく眼帯を締め直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠の復帰任務の舞台はK地区だ。

ハコビにK地区まで運んでもらった三人は民家を出て外に出る。

 

「にしてもK地区は都市開発が進んでるんだな」

 

やって来たK地区は大きな建物が立ち並んでいる地区であった。

ビルというほどの高さではないが、どこもかしこもそこそこなデカさの建物が建ち並んでいる。

地面にはキチンと道路が舗装されており、人やロボットがそこかしこを歩いているのが分かる。

ふと顔に影が差す。顔を上げれば丁度彼らの頭上を巨大な船が通り過ぎていくところだった。

見れば空にも透明の管が何本も通っており、その管の中を船や車が通っているのが見える。

 

「やっぱ都市によって違うよねぇ」

「まぁ、その都市の風貌は、都市の管理者が作るからな。

古めかしいのが好きなやつが管理者になってる場所なんかは、都市っつーより村って感じだし」

「見てて楽しいよね。いつか全地区見て回りたいなぁ」

「そのうちな」

 

言いながら誠たちは走り出す。

 

「にしても数分前に不死者が発見されて、避難命令出てるっつーのに吞気だな」

「発見場所はここから少し離れた場所にある。

そもそもこういう地区は不死者が入ってくることが少ないぶん危機感が薄い。

一体で地区を半壊させるような不死者はそういない。現実味が薄い」

 

そんな会話をしながらデバイスを開けば、そこには一枚の写真……その建物で不死者が発見されたのだろう。それならばこの建物を探さないといけないわけで。

 

「あ、あれじゃない?」

 

紡が指さした先を見れば一等背の高い建物が見える。

写真と見比べても、アングルこそ違うものの似たような物だというのが分かる。

比較的最近に建てられたもののようだが遠目からでも分かるほど既にあちこち劣化が始まっているのが分かる。特に数枚の部屋の窓ガラスに関しては割れているようだ。

そして、その周りには建物周辺を封鎖する支援部隊の人間がチラホラ見える。

そんな彼らに誠たちは近寄ると彼らは顔を上げる。

 

「あ、戦闘部隊の人ですよね!?」

「そうです。遅くなってすみません」

「この奥に不死者が潜んでいます。被害は現状分かっている限り死者9人、負傷者21人が出ています。早急な駆除をお願いしますね!!」

「はい、任せてください」

 

建物に入っていく誠たち。そこには三つの建物全て壊されていた。

どこもボロボロで、この三つのうちのどこかに不死者がいるであろうことは予想できる。

 

「ここからは手分けして探すか」

 

マンションの前まで来ると律が提案する。

 

「は?固まって動いたほうがいいだろ」

「被害の規模からして夜縁って訳じゃない。なら花咲か花無しかのどっちかだ。

それなら実力もそこまで高くない。ばらけて探したほうが効率的。俺達はこの一ヶ月そうしてた…それとも怖いか?」

「…あ”?」

「なら仕方ない。筑波、ついてってやれ」

「ん?いいよ!」

「いらねぇよ!!!」

 

誠はビキビキと額に血管を浮き上がらせて叫ぶと、ズカズカと律たちを押し退けた。

 

「俺は奥のマンション見てくる。テメェ等はその辺のやつ行け!」

 

捨て台詞のように吐き捨て、誠は走り出した。

 

(やっぱりアイツ嫌い)

 

誠は歯をギリギリと噛みながら道を駆ける。

相変わらず。どうでもいいと言いたげな冷めた目が気に入らない。

どこまで行っても彼らは馬が合わないのだろう。

誠は律の顔を思い出して、ボコボコと殴る妄想をしながらも脳内を仕事モードに切り替えた。

 

まず誠が今向かっているマンションは見た所、他二つよりまだ被害がマシなマンションだ。

なぜここを選んだのか。別に特に何も考えずにここを選んだわけではない。

単純な話、人間が減れば次の場所に移動するだろう、というわけだ。

どうやらここらは集合住宅となっており、被害がマンションの住民ばかりというのは、周りにマンションばかりが並んでいるからだ。

マンションの住人はすでに非難を完了させている。

これ以上被害が拡大することは、このマンションの中ならないが、だからといってちんたらとする気もない。

この通りを抜けて、もっと大通りの方に逃げられても困るのだ。

其の為にも可能性の高い食い荒らされていない所を探しに来た。

そうして足を踏み入れ。

 

「…………いる」

 

顔を上げた先、窓からマンションの通路が見えたのだが、そこに明らかに人間の姿とは程遠い影が通り過ぎて行ったのが見えた。どうやらビンゴだったらしい。

 

「律、紡、当たりだ。今すぐコッチこい」

 

短く連絡を入れ、リングのボタンを押して武器を取り出すと同時に、ガタっという物音が近くから鳴る。

音の元を見ればそこには”開かれた窓”

しかしそこに不死者は見当たらない。気のせいか?そう首を傾げる。

 

「!」

 

だが何かの気配を感じ、刀を降り抜いた。空を切るかと思われた白刃は目には見えない何かと激しくぶつかり甲高い音が響いた。

刀で受け止めたのは、先ほどまでは無かったはずの大きな爪だ。直ぐに弾いて、後ろに飛ぶ。

そうして不死者が姿を現した。

その体は緑と紫の中間のような色に変色し、顔のパーツが本来あるであろう部分には大きな目玉をこさえた花が一つ割いていた。そしてその手には鋭い爪が。

弱点は分かりやすく顔面にあるが先程の攻撃から考えるに、恐らくこの不死者の能力は透明化だろう。

 

(厄介だな…)

 

透明になった瞬間、僅かに空気が揺れたのを感じて横に躱す。顔の横を空気が過ぎて行くのが分かる。

こればかりは律に言われた通り練習して良かったと心底思う。

ただ見ずに戦うことが完璧に出来るようになったわけではない。頬にピリッとした痛みが走る。

怪我というほどのモノではない。だがそれでも何かしら掠ったらしい。

直ぐに刀を振れば、手ごたえを刀越しに感じ、黒い血が何もない空間から落ちた。どうやら当たったらしい。

だが、当たっただけでは意味がない。急所に当てなくては不死者は殺せない。

誠はひたすら攻撃をかわしつつ顔を狙う。だが如何せん顔が何処にあるのかが完全に分からなくなってしまった。

 

(もう一度顔を出してくれりゃ狙えんのに…っ)

 

しかし不死者も完全な馬鹿ではない。流石にそれはしないだろう。思わず舌打ちをする。

 

「マコちゃん!」

 

どうしようかと頭を悩ませる誠の耳に、そんな声が響いた。

振り返ると紡が駆けて来ていた。紡を見て直ぐに誠の脳内に打開策が浮かぶ。

 

「お前ここに重い奴ドカンと入れろ!」

 

見えない攻撃を弾きながら誠が叫ぶ。

誠に言われた紡は声を上げる。

 

「えぇ、マコちゃん素振りの練習するのは偉いけど、真面目にやらなきゃだめだよ!!」

「飯の事で頭いっぱいなテメェに言われたくねぇよ!てかいいからやれ!」

 

もう一度誠が言えば、紡は高く飛び上がる。

そしてくるりと空中で器用に一回転すると、勢いをつけた状態でリングからツヴァイハンダーを取り出すと振り上げ

 

「おりゃぁぁ!!!」

 

どこか気の抜ける掛け声とともにドカンッとツヴァイハンダを地面にぶち込んだ。

正直、これで仕留められてくれたら楽だったが、どうせそういう展開にはならないことくらい想像がついている。だからこそ、これを狙った。

紡によって地面が抉れ、巻き起こった砂埃……そんななか、砂埃が明らかに可笑しな動きを見せる。

まるで人らしきものが動いているかのように、砂がそれを形作った。

 

「みつけた」

 

今度は逃がさないように素早くその場所へ駆ける。

一瞬見えた頭らしき形の場所に向かって誠は勢いよく刀を振り下ろす。

刀ごしに何かを切り裂いた感覚が腕に伝わると同時に、ぶしゃっと黒い液体が不死者の体から噴き出す。

それにより、少しずつ不死者の体が見え始め、やがて完全にその体を出現させる。

姿を現した不死者、その顔の目玉はしっかりと刀で両断されている。

そしてそのまま地面に黒いシミを作りながら崩れ落ちた。

生存確認を刀で不死者の体を切り裂いて確認する誠

不死者狩りに貢献した紡は突然姿を現した不死者にぎょっとする。

 

「うわ!不死者が出て来た!?」

 

完全に絶命しているのを確認した誠はピッピと刀についた血液を振り払い、リングに刀を仕舞う。

 

「透明化の不死者だ。で?律はどこ行ったよ」

 

飛んできたのは紡一人だ。律のことも誠は呼んだというのに律はどこにもいない。

訝しんで紡に聞けば紡は「ああ」と納得するように声を上げる。

 

「りっちゃんは途中で子供見つけてさ」

「コドモ?」

「うん。なんでも逃げ遅れたか何かでクローゼットに隠れてたみたい。

それで、途中の道で会ったんだけど。その見つけた子を腰にくっつけたまま来ようとしてたから、支援の人たちの所に連れてくように言ったんだ。だからまだこっちには来ないんじゃないかな」

「アイツ餓鬼引っ付けて来ようとしたのかよ、どういう神経してんだ」

 

紡の説明を聞き、誠は今この場にいない律の行動に内心引く。

いや内心ではなく前面に出して思いっきり引いていた。

紡が途中であって律に指示を出さなければ律は間違いなく子供を連れたまま不死者と交戦していただろう。

控えめに言っても頭がおかしい。何を考えているんだ。誠の感想は真っ当であった。

 

「戦闘部隊として仕事しようとしただけだ」

 

そんな誠の言葉に申し立てるように声が聞こえた。振り返れば律がノロノロとやって来ていた。

 

「いやだからって子供はくっつけてくるなよ。怪我させたらどうするんだ」

「お前と違ってそんなヘマしない」

「はぁ!?俺だってヘマしねぇよ!」

「する」

「しねぇわ!!!」

 

怒りに体を震わせ律に怒鳴る誠。だが律は平然とした顔で「カルシウム足りてないのか?」と言ってのける。

 

(ああ、此奴殴りてェ……!)

 

ここ最近割とストレスフリーだった誠は早々に目の前の人物のせいで膨れ上がったストレスが爆発しないようにギリギリと拳を握って耐えていれば、ふと紡が小さく笑ったのが見えた。

ギッと誠は紡を睨む。

 

「おい、何笑ってんだよ」

「えっ、あ!ごめん!!」

 

誠に睨まれ紡は直ぐに謝るものの、その顔は僅かに緩んでいる。

眉を顰めると紡はキョロキョロと視線をうろつかせて苦笑いを浮かべた。

 

「その…やっぱりいいなって」

「は?」

「ヤヨちゃんが死んじゃって、マコちゃんが療養を受けてる間、僕たち二人仕事をして回ってたけど…こんな感じの会話はしなかったから。なんか久しぶりでいいなって思っちゃった」

 

何処か楽しそうに紡が言う。その言葉に、表情に気が抜けた。

 

「…」

「お前さ、よくそんなこと言えるよな」

「え、ええ……?」

 

律は無言で、誠はどこかげんなりとすれば紡が困惑したような表情を浮かべる。

「僕何か変なこと言っちゃったの?」と不思議そうな顔をする紡の頭を誠は雑に撫で、背を押す。

 

「ま、任務も終わったし帰って一緒に飯でも食うか」

「ご飯!」

「寝る」

「テメェは協調性ってやつを学べ!」

 

小競り合いをしながら誠達は本部に帰還するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ儡、速報があんねんけど」

 

見慣れた廃墟。広い室内でいつものように階段に腰かけ、長い髪を指で絡めながら子禽が口を開いた。

彼女の膝の間にはちょこんっと婁邪が座っていて楽しそうに足をぶらぶらと揺らしている。

一階にて子禽に声を掛けられた儡は、読んでいる本から目を逸らすことはなく「なんだ」と子禽に話の続きを促す。

 

「この間な、儡のお姫様らしき子を西の方で見かけてん」

「…ほんとか」

 

儡は本を投げ捨てると一気に飛躍し、子禽のいる階段の手すりに飛び乗る。

血色の悪い肌を僅かに明るくさせ、濁った赤い瞳は心なしかキラキラと輝いて見える。

いつもの彼からは想像もつかないほど無邪気そうに儡は身を乗り出した。

 

「本当」

「殺したりして無いよね?」

「殺しとったら言えへんで。そんなんしたらウチが儡に殺されるやんか。

最近観光がてらに行っただけやさかい、ウチはお姫様どころか他の人間にすら手は付けてへんで」

「他のやつはどうでもいいけど……そう、教えてくれてありがとう」

 

言うなり儡は階段から飛び降りる。

その様子に子禽は面白い物でも見たかのように目を細めた。

 

「早速会いに行くん?」

「当り前だろ。彼女なら直ぐに迎えに行ってあげないと」

 

ふやけたような笑みを浮かべて儡は廃屋を出て行く。そんな彼の背中を子禽は見つめる。

 

「どんな干渉も跳ねのけ、人間でのうなった今でもなお、思い続ける…ロマンティックやなぁ」

「ろま…?」

 

彼女の膝に乗っていた婁邪は機嫌のよさそうな子禽を見上げながらポケットからあの血の滴った飴玉を取り出すと袋を破く。

袋の中から出て来たのは、人間の眼球だ。やはり、ただのアメではなかった。

婁邪はそれを頭の被るモノを僅かにずらして口に入れながらケラっと笑う。

 

「ライにぃ、きょうはごきげんさん!!」

「そうやな。ご機嫌さんや」

「でもなんでごきげんなの?」

 

まだ難しいことがわからない婁邪は、どうして儡が嬉しそうなのか、その理由がわからないのだろう。

 

「そら」

 

子禽は婁邪の頭を緩く撫でてニンマリと笑う。

 

「”愛”ってやつやろうな」




儡くん始動。人類の明日はどっちだ!?(=^・^=)
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