いやですよね、中間テスト、雑草は死にます(*^^)v
ここは”殲滅学園”小中高一貫の学校だ。
名前こそ物騒だが、ごく普通の学園だ。
ここ学園の1年Aクラスはというと、現在ホームルームをやっていた。
このクラスの担任である
「皆さん。三日後には中間テストがあります」
「入学一か月で!?」
神妙な面持ちの彼女の口から飛び出た言葉に思わずこのクラス所属の氷雨誠が声を上げる。
そんな彼を見た充幸は名簿を取り出しながら笑みを浮かべる。
「私語は慎んでくださいね。氷雨くん」
「え、いやだって、昨日五月始まったばっか…」
「氷雨くん。今期の数学の成績1にしますね」
「理不尽!?」
充幸の理不尽発言にぎょっとするが、彼女は「いやなら黙っててくださいね」と微笑み、誠は内心「教師が生徒脅してやがる…」と彼女に内心ドンびいた。
だが充幸は対して気にする様子もなくコホンっと咳ばらいを一つこぼす。
「話を続けますね。
皆さんも知っての通り、我が校には『殲滅学園』と呼ばれる所以があります。それは……」
彼女は教室を見渡す。そして言った。
「赤点を取れば即退学という制度があるからです」
「……は?」
その言葉を聞いた瞬間、誠は自分の耳を疑う。
しかし周りにいるクラスメイト達は平然としている様子からして、どうやら聞き間違いではないようだ。
「成績が悪い生徒はこの学校にはいられませんので、精一杯頑張ってくださいね」
それだけ言い残して充幸は教室を出ていった。
「いや赤点で退学ってなんだそりゃ!!」
先生がいなくなると同時に爆発するように悲鳴を上げる誠
隣の席に座っている坂谷八生は苦笑いして「まぁ驚くよね」という。
「いや驚くも何もっ」
「まぁまぁ落ち着いてよ誠君」
「落ち着けるか!そもそも赤点って何点だよ!?」
赤点制度。それは学校によって基準が違う場合が殆どだ。
平均の半分を赤点にする場合もあれば、予め点数が設定されているものもある。
一先ずどちらの制度なのかだけでも聞きださねば。
誠はバシバシと机を殴りながら聞けば、八生はスッと片手を上げ、親指と人差し指で丸を作り微笑んだ。
「0点」
「いやラインひっく!!!」
思った以上のラインの低さだった。
「成績悪い生徒は云々の下りどこ行ったよ…」
「だってね、0点にでも設定しないとこの学校から人がいなくなっちゃうから」
「問題だらけじゃねぇか。もう赤点制度無くした方が早いだろ」
「それをすると皆0点ばっかになっちゃうから」
「何しに学校来てんだよ…」
げんなりしながら誠はため息を吐く。
「まぁいい、0点なら問題もねぇ。つか流石に0点取るようなヤツは…」
言葉を続けようとして…ふと彼の視界に人が入る。
それは八生の後ろに座る男子生徒二人。
彼らは無表情のまま片手を上げている。
まるで「自分はとりますけど?」と言いたげだ。
「…とるんだな。お前ら」
「とりますけど!?なにか文句でも!?」
「流れるように逆切れすんなよ。情緒どうなってんだ」
叫んで誠の机に勢いよく手をついたのは
大きな瞳を吊り上げて彼がいえば誠はげんなりとした顔で彼を見上げた。
「まぁ落ち着けよ筑波。氷雨は外部受験だからこの学校の恐ろしさを知らない」
荒ぶる紡の肩を背後から掴んだ少年。
「恐ろしさ?」
紡と律のいう”恐ろしさ”の正体がわからず誠は神妙な顔をする。
(やっぱりなんかあんのか?0点ラインとはいえ、テストはテストだ。
この学校…なんかおかしいし。0点を取ってしまう可能性のある何かがある可能性だってないとは言い切れないか…?)
誠が考える中、紡は真面目な顔つきで「恐ろしいんだ。それは」と尋常ならぬ雰囲気で言う。
紡の言葉に誠はごくりと唾を飲み込み「それは」と聞き返し…。
「テスト三日目は四時間目に授業があるんだ!!
食堂のおばちゃんたちがご飯作ってる時間!
しかも四時間目だからただでさえお腹空いてるのに空気に乗っていい匂いがきて集中を乱してくる!!!なんて卑怯なんだ!!!!!」
「しらねぇよ!!!」
一瞬でシリアスな空気が崩壊した。
思わず紡の額を弾く誠
「いたぁ!?」と涙目になって額を押さえる紡
彼に代わって律は「それだけじゃない」と口を開く。
「この学校の国語のテストは罠ばっかだ」
「あ?国語?あれって言っちゃなんだが、比較的簡単な教科じゃねぇか…罠ってなんだよ」
「心情問題だらけだ」
無表情で続ける律
「他の学校では漢字の問題があると聞くが、この学校は小テストで漢字をやる。中間・期末には一切出ない。心情なんてその人にしかわからない。
なんなんだ。走っているメ〇スの心情を答えろって。
疲れてるとか腹減ったなとか思ってる可能性だってあり得るだろ。なんでバツなんだ。しかも三角もなく問答無用でバツ、おかしいだろ」
「いや知らねぇよ…」
「先生は生徒の個性を尊重すべき!模範解答なんて廃止しろー!」
「お前は黙ってろ」
「あぶっ」
誠は再び騒ぎ出した紡の額を叩く。
「で、でもどうしようマコちゃん!このままじゃ僕ら赤点とって退学になっちゃうよぉ」
「そうか、じゃぁな」
「薄情だな、氷雨見損なった」
「まこちゃんの人生が色鮮やかになったのは僕らのおかげだって言ってたじゃん!!あれは嘘だったの!?」
「んなこと言った記憶ねぇよ!!記憶を捏造するんじゃねぇ!」
律と紡の避難の言葉を一蹴した誠はため息を吐き、律と紡に再び目を向ける。
「つかお前らさらっとここいるが、中等部だろうが。中等部なら義務教育なんだから退学はないだろ」
机に肘をついて誠が言う。
彼らは誠の一つ年下の中等部三年だ。
敬語なども一切使わないし、何故かさらっと高等部の教室に侵入し、我が物顔で椅子に座っているが彼らは中等部の生徒なのだ。
つまり、中学生。流石に退学の制度はないだろうと誠は考えたのだ。
だがこの学校は何度もいうが普通の皮をかぶっているだけのぶっ飛んだ学校だ。
もしかしたら中等部でもそういう制度があるのかもしれない、と誠はちらっと八生を見れば誠の考えていることに気づいたのだろう八生は苦笑いする。
「流石に中等部と小等部の退学はないよ?高等部からの制度だからね」
八生がいうなら間違いないだろう。誠が八生から視線を外し、二人に目を向ければ、彼らは先程の切羽詰まったような、そんな表情から一転し、どこか余裕ありげな表情を浮かべていた。どや顔ともいう。
「まこちゃん。短い間だったけど楽しかったよ!」
「じゃぁな氷雨。お前のことは忘れるまで忘れない」
「テメェらの方が薄情だろうが。つかその勝ち誇った顔止めろ殴るぞ」
静かに切れる誠を無視して「負け犬が吠えてるな」「さ、ご飯食べに行こ!」とそれぞれ教室を出ていく。
そんな彼らの姿にギリギリと誠は拳を握るが、反対に八生はどこか心配そうな顔を浮かべる。
「でも退学はないだけで0点取っちゃったら”追試”と”追加課題”は出るんだけど…。
しかも国語の担当、今年から
その数日後、実施された試験で見事0点を取った律と紡は国語の担当教師である儡先生に数時間ぐちぐち言われながら山積みの課題をやらされる羽目になり、泣きを見たという。
因みに誠はしっかり赤点回避したし、なんなら成績上位に名を刻んだらしい。
おまけシナリオでは皆結構普通です。
基本的に硬い印象の律も割と喋りますしボケますし、誠くんも下らないことで笑います。
因みに誠くんは眼帯をここでもつけていますが、なんでもメバチコでつけてるらしいです。
いやぁ、平和やで(*´﹃`*)