夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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キャラ同士の関係性を構築していくのたのちぃぃぃぃ(^▽^)
あと紫空くんの口調ムズイ。ブレる…くそぉう|д゚)


第二項

「隊長たちの特別訓練?」

「お二人は何でここに居るんですか」

 

夜縁襲来から早数週間が経過した或る日

数分前に一対一の訓練を終え、充幸と紡は汗を白いタオルで拭いながら水を飲んでいたのだが、その途中で充幸のリングに通知がやってきて確認すれば今回の育成の内容がざっくりと送られてきていた。

それを紡に教えようとしたところ、先程までいなかったはずの誠と律が立っていたのだ。

だがこの二人、現在リハビリ期間であり、ここにいるはずがないのだが…どういうわけか素知らぬ顔でここにいる。

そんな彼等に充幸は白けた目を向ければ誠が苦笑いする。

 

「半月も寝てると流石に暇なんですよ」

「貴方は特に、絶対安静と言われていたはずでは?」

「肩はくっつきましたので平気です。昨日亜怜さんに多少なら動いていいって許可は貰ってますし」

「……まぁいいでしょう」

 

色々文句を言いたげな充幸だったが、一旦それを呑み込み、一つ咳払いをする。

 

「育成期間中は2度、体調副隊長による特別訓練が入っています。といってもその時の忙しさによって回数は変動しますが…今年は夜縁の登場により2度実施予定です。

一度目は日向(ひゅうが)さん、そして天満さんが参加する予定です」

「…天満さんってこの間の会議に居た人?ですか!」

「そうですよ。あの見るからにやる気なさそうに机に肘を付けてクッキー齧ってた人です」

「てことは………アイツか」

 

顔をあからさまに顰める誠、充幸もまた表情こそ変わりはないが何処か棘のある口調だ。誠は兎も角、ここ半年近く彼女のそんな反応を見たことがなかった紡は恐る恐る尋ねる。

 

「……充幸さん。もしかして天満さんって人の事あんまり好きじゃない?」

「そもそもあの人を好きだっていう人のほうが珍しいですよ。氷雨君もお嫌いでしょう?」

「嫌い」

 

即答する誠に紡は「一体どんな人なんだろ…」と考える。

 

「まったく…仕事は最低限こなしますがそれ以外がだらしない…日向(ひなた)さんを見習ってほしいですよ」

日向(ひなた)隊長?」

「ええ、日向(ひなた)さんは仕事も丁寧ですし、他の隊員にも優しく、気配りもできる。真面目で思慮深い人なんです」

 

少し早口でいう充幸。誠は何かに気づいたようにニヤリと笑う。

 

「充幸さん。もしかして日向(ひなた)隊長のこと好きなんですか?」

「はぁ!?ち、違いますよ!!!」

 

そう叫ぶ充幸。その顔は少し赤くなっている。

その反応を見た紡はコテンと首を傾げる。

 

「えぇ、ホントにホント?」

「ホントにホントですよ!!!好きとか、そういうのじゃないです!」

「でも名前で呼んでる…」

「家族がいらっしゃる場合は総じて下の名前を呼ばせていただいています!…まったく、若い子はどうしてすぐ恋愛に結び付けたがるのか」

 

やれやれといった様子で肩を竦める充幸

 

「ただ…少し憧れてはいますけど」

「憧れ?」

「ええ、亜怜さんの次に、私は日向(ひなた)さんに憧れを抱いてます。あの人、本当にすごいんです。

11才っていう最年少で入隊して、14歳で副隊長。15歳で今の地位に立ちました。

其れだけでもすごいのに、頭もよく、不死者討伐数も高い。

そのうえ、人柄も良くて亜怜さんや他の隊員達からの信頼も厚い………私より年下なのに…本当にすごいです」

 

顔を暗くする充幸

 

「充幸さ___」

「とにかく、初日はその二人ですから。個人練習の際に聞きたいことがあればまとめておいてくださいね」

 

充幸の言葉に三人は頷く。

 

「所で二人はいつも何の訓練してるんです?」

「筑波君の要望で私たちの部隊でやっている訓練をやったりとかしたりしてます」

「例えば?」

「支援部隊は人の救助活動をよくやっているので、水がたっぷり詰まった大きなボトルを背負って数キロ走ったり、普通に筋トレのメニューを行ったり…あとは」

「一対一の模擬戦とかやってるんだ!あのね、充幸さん強いんだよ!」

 

キラキラとした目で紡が言えば、充幸は「いえ、そんな」という。

だが誠は紡の言葉を聞いて「ふーん」と頷くとニっと笑う。

 

「なら俺とも一戦やってくれません?いい加減体が訛って仕方ないんで」

「…………わかりました。その申し出、受けましょう」

 

充幸が頷いたのを確認して二人はトレーニングルームへと入って行った。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん!これ持ってきた!」

「アリガトウ。綺麗な花だネ」

「うん!」

 

キャッキャと楽しそうに花を持ってやって来る早苗の頭を撫でる蓮

その傍らでは朔が芽吹を抱き上げて遊んでいる所であった。

 

「ねぇねぇ朔兄!ずっとここで俺達と暮らそうよ!」

「うーん、仕事がありますからぁ…そういう訳にもいかないんですよねぇ」

「えー、ここで仕事すればいいじゃん!」

 

駄々をこねる子供に困ったように眉を下げつつ、小さな頭を撫でる。

 

「ねぇ朔兄と蓮兄。何か面白い話してよ!」

「ぼくも聞きたい!」

「話ですか?うーん」

 

くっついてくる子供たちを膝に乗せた朔は思案するように空を見る。

 

「何の話がいいですかねぇ…あ、そうだ。とある御伽噺でもしましょうか。

ん”ん…むかーしむかし。ある所に一輪の花がありました。その花は不思議は力を持っていました」

「不思議な力?」

「そう、不思議な力。

花は最初、他の花に優しくあろうとしていました。

その見返りに愛してもらおうと考えていました。

しかし花が愛されることはありません。

 

”どうして愛してくれないのだろう。

どれだけやっても報われないなんて、なんて自分は可哀そうなんだ。きっと私ほど可哀そうな花はいない”

 

だから花は考えます。

 

”どれだけ頑張っても周りが答えてくれないのなら、こっちだって好き勝手やってやる。だって周りは自分よりずっと幸せなんだから”と。

 

それから花は不思議な力を使い、自分の幸せのために悪いことを沢山しました」

「お花さんの悪いことってどんなことしたの?」

 

そう聞く芽吹に朔は少し思案し。

 

「人を攫っていっちゃう、とか?」

 

少し冗談っぽく言う朔。

彼の予想では「怖い!」とか「ひどい!」とか、そういう子供らしい反応が返ってくると思っていた。

だが、朔の予想に反し、二人は顔を合わせると「じゃぁここにもお花さんいるの?」と少し怯えながら聞いてくる。

その反応に、今まで静観していた蓮が近寄って来る。

 

「なんでソウ思うノ?」

「だって近所のソウちゃんいなくなっちゃったもん」

「ソウちゃん?」

「友達!」

 

顔を暗くする二人を前に、蓮と朔は顔を見合わせる。ビンゴだ、と。

 

「ちょっと詳しく聞いても?」

 

優しい声で朔が説明を促すようにいう。二人は頷き話し始める。

 

「あのね、僕等の町よく人が消えちゃうの。昔からそうなんだって……でね、毎回水祭りの日に起きるんだ」

「水祭り?」

「うん。町の豊作と安全を願うお祭りなの」

「それ、次いつやルの?」

「丁度一週間後!」

「一週間後、ね。因みに誰がお花に攫われたか、とか分かる?」

「うーん、わかんない!でもじいじなら知ってるかも!」

 

ニコニコとした子供らしい純粋な笑みを浮かべて言う早苗

じいじ、というのが誰だかわからないが町の大人なら確かに詳しく知っている可能性はある。聞いてみる価値はあるだろう。

 

「そっか、じゃぁじいじに聞いてみますかね。家まで案内してもらっても?」

「わかった!」

 

そうして朔と蓮は子供について、二人の言うじぃじの家に向かった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「なるほど、この村の村長の家ってわけですか」

「そう見たイ」

 

子供に連れてこられた家を見ては二人は呟く。

 

「じぃじー!」

 

早苗と芽吹が元気よく家に向かって叫ぶ。すると扉がゆっくりと開き、中からは優し気な表情を浮かべた老人が出てくる。

老人は抱き着いてきた芽吹たちの頭を撫でた後、蓮たちを見て少し目を開く。

 

「おや、あなた方が噂の他地区からいらっしゃったお客人ですかな?」

「そうですね。お世話されてます。俺は出雲朔っていいます」

「川上蓮デス」

「ご丁寧にどうも。私はこの町の町長をやってます。登坂といいます。で、今日は何用ですかな?」

「俺たち、旅行先の歴史を調べるのが趣味なんですけど」

「それはそれは。勉強熱心なのですね」

 

感心したように頷く登坂

朔は彼に頭を撫でられている子供を見ながら言う。

 

「先程子供達から水祭りなるモノがあると聞きまして」

「ええ、水祭りは半年に一度行われる村の伝統行事でして。如何せん辺鄙な村なので作物の豊作や疫病が蔓延しないように、村全体で祈りを捧げるのです」

「それは子供達から聞いています。気になるのはその後なんですよ」

「その後、というと?」

「なんでもその祭り、終わると人が居なくなる、と」

 

そういった瞬間、ここまで穏やかであった登坂の顔が強張った。

微かな変動。だが殲滅隊をやっている二人にはその変化がはっきりと映った。

暫しの無言。その後、明らかに目の色を変え、警戒する様に登坂は朔を見る。

 

「それは……誰から?」

「この子達カラ」

 

蓮が登坂に抱きつく子供二人を見て言う。登坂は硬い表情のまま子供を見下ろす。

子供たちは首を傾げ登坂を見上げる。そこで漸く登坂の表情が和らいだ。

 

「いいえ。神聖な水祭りの夜に人がいなくなる…なんてことありませんとも」

「でも実際にその子達のお友達であるソウちゃんという子は行方不明になっているらしいですが?」

「…それなんですが」

 

登坂はすすっと二人の耳元に唇を寄せる。

 

「この二人、妄想癖なんです。現実と想像がぐちゃぐちゃで、その状態で村の人間や貴方方のような外から来た人に話してしまったんでしょう。いい子ではあるんですけどね……。

だから、あまりこの子らの話は鵜吞みにしないでください」

「てことは、ソウちゃんって子も想像と?」

「ええ、そういうことになりますね」

 

登坂は暗い顔で頷き、ぱっと子供たちの方を見る。

 

「さ、時間も遅くなって来たし、そろそろ帰りなさい。お父さんが心配してしまう」

「じいじまたきてもいいー?」

「ああ、勿論、またおいで」

「やった!じゃぁねじぃじ!」

「バイバイじぃじ!」

「お話ありがとうございました」

「ごザいマした」

 

穏やかに笑う登坂に見送られながら、朔たちは家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃぁ俺は料理の手伝いしてきますね」

 

家に帰るなり、台所で料理をする男の所に向かっていく朔

そんな彼を見届け、蓮は自身の足に引っ付いた早苗と芽吹をのせたまま家に上がり、部屋に入る。

畳の敷かれた床に座れば、子供たちはコロリと畳に寝転がり、蓮を見上げた。

 

「蓮にぃって朔にぃっと仲いいけど、いつからのお友達なの?」

「僕が15で朔が16ノ時、だから……4年前?くらいだネ」

「そっかぁ!なんで仲良くなったの?」

 

後ろから早苗が凭れ掛りながら聞いてくる。

聞かれて蓮は少し事を思い出すように思案し、口を開く。

 

「僕の家族。すごク仲良しだったんだけド。或る日を境に少しズつ仲が悪くなっテいってネ」

 

思い浮かべるのは、幸せだった家族の顔……同時に、布団で寝続ける父と部屋に男を連れ込む母の姿、汚部屋と化していく家の中もまた、思い起こされた。

家族は誰も、小さく部屋の隅で縮こまる少年には見向きもしない、あの日の光景を。

 

「僕、それが嫌だったノ。でもどうすればいいのか分からなくて困ってた。その時に紫空と出合ったんダ」

 

今でもあの日の光景を蓮は鮮明に思い出せた。

家から出た薄暗く汚い路地裏。そこで蹲り涙を流す少年の頭上に落ちてきた影

顔を上げれば、そこには同じ年くらいの少年が、顔を覗き込んできて、そしてにこりと微笑んだ。

 

 

”どうしました?こんなとこで泣いて。よければ話、聞きましょうか”

 

 

あまりにも優しく笑う彼に、少年は家のことを話した。

 

 

”家族を元に戻したい?”

 

”難しい…というか正直無理だと思います。一度壊れた物は元には戻らない。俺の尊敬する人も良く言ってました”

 

”でも時間を巻き戻すことはできませんが止める事なら出来るかもしれませんね”

 

”それ以上腐敗が進まないように”

 

 

「朔がアドバイスをくレたんダ。それが面白いくらイうまくいってネ……今でも感謝してモしきれないんダ」

 

彼はそっと自身の首を触る。

マフラーで覆われた部位が彼の手でほんのわずかに露出する。

そこから覗いた肌は、爛れている。それは火傷の痕だった。

 

「そっかぁ………なんだかソウちゃん見たい!」

 

蓮の話を聞いて芽吹が笑う。

 

「ソウちゃんね!僕等が泣いてたらいつも飛んできて助けてくれるんだよ!!」

「ヒーローみたいなの!」

「………二人はソウちゃんに会いたい?」

「…うん」

「会いたい…」

 

頷きながら、顔を昏くする二人。小さな頭を蓮は撫でる。

 

「大丈夫。そのうち会わせてあげるカラ」

 

そういって一瞬見えた雑面の下の唇はニコリと笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・

 

 

 

 

 

時刻は深夜2時

皆が寝静まった晩。蓮と紫空は家から抜け出すと、夜道を歩いていた。

始めてこの町にやってきたときと同じく人気はなく、ただ静かな闇が辺りに広がっているだけだ。

 

「朔」

「ん?」

「続き気にナる」

 

静かな道を歩いていると、ふと思い出したように蓮が朔に話を振る。

だが蓮の言葉で彼が何を言いたいのかピンとこなかったのだろう。

朔は「続き?」と首を傾げる。

 

「花の話。続き聞きたい」

「ああ、あれか」

 

蓮の補足でようやく合点がいった朔は「構いませんよ」と言って笑う。

 

「悪いことをした花は、周りから危険視され、ついに駆除されることになった。

駆除されることを知った花は必死に考えた。

”私だけこんなに苦しい思いをして、挙句殺されるなんておかしい”と。

逃げ回っていた花だったが、ついに追い詰められ”命さえ他者に奪われてしまうくらいならば”と花は自ら自害する道を選んだ。その際花は願った。”やり直したい”と」

「やり直しタい?」

「人生を一から。花の願いが叶ったのか花は人生をやり直せた。

でも、花が幸せになることもなく、しかもそのループから抜けることが出来なくなってしまった。

永遠に続く苦しみの果てに花はまた考えた。

”私だけこんな思いをするのは間違ってる”と。

だから、花は願った。

”私じゃなくてこいつらがこの苦しみを味わえばいい。呪いが解けるその日まで永遠に”

そして不幸にも花の最期を見届けることとなった二輪の花が、その呪いを受けることになった。

度重なるループの末、精神を病んだ花たちは他の花にその呪いを押し付けあうようになる。

そして押し付けれた新たな二輪はまた呪いを誰かに押し付けて、押し付けて押し付けて……やがて一輪の花にその呪いが押し付けられ、その花は挫けそうになりながらも周りに励まされ、助力を受けて無事呪いを断ち切れました。めでたしめでたし…という話ですね」

「最初の花ハどうなっタ?」

「さぁ?まぁ途中退場した悪役のことなぞ誰も興味ないですからね。そこまで作られていないのでは?」

「へぇ、それ朔も誰かから聞いタ話なの?」

「そうですよ。又聞きってやつです」

 

そんな話をしている間に一軒の家に辿り着く。そこは登坂家で。

彼らは鍵をピッキングすると、そのまま家の中に忍び込んだ。

 

「にしても町長の家という割には無防備ですねぇ」

「忍びコム奴なんて殆どいないからデショ」

「でもこんな貴重なもの隠してというのに平然と机に放置とは…見てくれと言ってる様なものですよ」

 

朔の手には古い帳簿が握られていた。

所々ボロボロなそれは年季を感じられる。

 

「それ日記?でも人の日記はあんマり見ちゃ駄目だヨ」

「軽く確認するだけですよ」

 

ペラペラと項をめくっていく。ふいに朔の動きが止まった。

 

「見つけた」

 

蓮もまた、朔の手元にある帳簿が覗き込む。

そこにはずらりと人の名前が並んでいるのが見えた。

 

 

伊達はる子(33)後藤正太郎(12)宮本かをり(24)浜田雄一(7)田中周五郎(17)長塚操(20)久我与一(9)山田詩織(9)根岸小春(19)源加住(10)湯浅幸治(11)小原みえ子(26)

 

 

そんな風にずらずらと名前と年齢が並ぶ。その下には井口壮太(13)という文字も並んでいる。

 

「この子がソウちゃんですかね」

「やっパり嘘じゃなかったんダ」

「子供の言うことだから、あれで騙されるって思ってたんでしょう」

 

言うなり、他の頁もペラペラ捲り、朔はパタンと日記を閉じる。

 

「ん、これで確定。町長は完全に黒。地区の人間がどこまで黒かは調査次第ですが、恐らく西エリアの人間は黒の可能性が高い。

水祭りもなにやら西エリアで行われる催しだと帳簿に乗っていましたし」

「隠蔽、よくナい」

「まぁ全てを明るみにするのは一週間後の水祭りってコトで。折角の長期休暇ですしね。ゆっくりしながら他エリアも回ってどこまで黒か確認しましょうか」

 

朔は綺麗な灰色の目をすぅっと細めて笑った。




誠君たちは楽しそうでいいですねぇ
朔くん蓮くんたちはなにやら不穏ですねぇ。
温度差で雑草は枯れそうですねぇ(^-^)
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