夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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戦闘描写ってホント頭使うからいっつもお菓子食べながら書いている雑草です。
最近はお菓子ではなく、マスカット食ってますけどね。
めっちゃおいしいですよねマスカット。買ってきてくれたお母さんに感謝(∩´∀`)∩


第三項

「くそ、しつけぇ!」

 

苦虫を嚙み潰したように顔を顰めて走る誠。そんな彼を追いかけてくる和真。銃弾を躱して走りだす誠は苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

 

(さっきから的確に狙ってきやがって……!つか明かに球数可笑しいだろ!改良品か?二丁の理由は連射性能落とさねぇためかよ…!!)

 

拳銃はやはりライフルなどと違ってどれだけ改良を重ねたところで球数が劣ってしまうのは仕方がないことだ。

またその分、リロードの回数が多くなり、連射性能が下がってしまう。

だが射撃技術と二丁という条件が加われば、必ずしもそうとは限らないのだ。

連射は二丁交互に行うことで再装填はその命中精度で敵を警戒させることで強引に時間を作る。結果半永久的に銃をぶっ放しているような状態だ。

誠はその技術の高さに苛立つ。そんな時だ。通信が入る。

 

『誠くん!』

「護さん?!」

『今そっちに向かってるので君が相手取ってる相手を挟みこたいんですが…出来そうですか?』

(てことは……体制を逆転させればいいのか)

 

ちらっと後ろを向く。

 

「…わかりました」

 

誠は銃弾をよけ、近くの木に滑り込むと、そのまま来た道を戻る。

 

「およ?」

 

少し不思議そうな顔をしながらもこちらに銃を向ける和真

そうしてその場から離れすぎないように調整する誠。そんな彼がチラリと振り返り。

 

和真の背後。少し離れた場所に此方へ向かってくる誠の姿を発見した。

そうして彼は走りながらもボウガンを構え、放つ。

 

「!」

 

が、和真は後ろを振り返ることなく銃を背後に向かって発砲して見せた。

見もせずに打ったというのにも拘らず、カズマの打った銃弾は器用にも矢を打ち落とし、同時に迫った誠の刀をもう片方の拳銃で受け止める。

金属がぶつかり合い、激しく火花が飛び、二人の力がする。背後からの矢すら片手の銃で弾き返す和真。

 

「マジですか…っ」

「噓だろ」

「俺に奇襲は通じねぇぞ!!!ぎゃんぎゃん聞こえっからなぁ!!!!」

 

和真が誠目掛けて蹴りを放つと同時に回転しながら銃を連射し牽制する。

 

 

『君達に一つアドバイスをするなら、戦闘部隊の人間との一対一は極力避けた方がいい』

 

 

それは練習中に日向が言いだした言葉である。

 

 

『コッチと違って向こうは基本単独任務に就く人が多い。

一対一なら向こうの十八番だと言える。流す程度なら出来るだろうけど撃破は難しいだろうね』

 

 

 

日向の言葉を全く持って真に受けていなかったわけではない。

そりゃ一筋縄に行けると思えるほど彼らは自信家ではない。ただ

 

(わかってはいたが思った以上に強ぇ)

 

その予想すら甘かった。

一方、ともに戦っている護は自身の背後を見る。

 

(さっきから爆弾の音が聞こえない。嫌な予感がするんで早く倒してしまいたいんですけどね…)

 

先程までしつこいほど響いていた追撃の音が一切聞こえないのだ。

護はそれも警戒しつつも素早く矢を飛ばす。

それを弾きつつ護に急接近する和真。しかし誠が刀を飛ばすという方法で接近を封じる。

投げられた刀は木に突き刺さり和真が一瞬体を引いた隙に誠もまた接近

鋭い蹴りを放つ。だがそれはしゃがむことで交わされ、カウンターとばかりに和真の拳が誠の顔に直撃する。

鼻から血が少量でて視界が揺れる。そのまま腕を掴まれ、護に向かってぶん投げられる。

護が誠の体を受け止められるわけもなく、二人の体がぶつかり倒れ込んだ。

 

「誠くん平気ですか?」

「い、ちおう…くそ」

 

ぐらつく視界に眉根を寄せる誠が顔を上げると、そこには黒い鉄

 

「まだまだだな!新人!!!」

「!」

「やば___」

 

ゼロ距離からの連続銃撃。誠も護も咄嗟に的を守る。

 

(威力は低いが、クソいてぇ…っ)

 

鋭い痛みが庇った腕に刺さり、二人は呻きながらもなんとか距離を取ろうとする。

後ろにいた護は距離をとることが出来たものの、前に居た誠は逃げ切ることができない。再び飛んでくる蹴りに顔を歪める。

 

(この距離じゃまた距離を取ろうとしても無理に決まってる…なら)

 

蹴りをすれすれで躱した誠は距離を取ることなく拳をふるえば、逆に彼方が片足一歩後ろに下がる。

しかしその距離感は対して変わらない。

すぐに銃弾が飛んでくるので、それを地面に転がることで回避すると地面に落ちた刀を掴んだ。

 

「誠くん!」

「!」

「右23です!!!」

「…………!」

 

護の言葉を聞いた誠は目を見開くとキッと目を細め……そうして勢いよく和真目掛けて走りだす。

 

「特攻!いいな!!」

 

両銃から飛んでくる銃弾。頬を掠めることも気にせず只管切り込む誠。

酸欠になりそうに成程の激しい動き。息が切れそうになりながらも誠は懸命に食らいつく。

 

「っ、まだまだ!!」

「オラオラドンドン!」

「っ……!!!っ、はっ……!!!」

 

銃弾を弾き、的目掛けて切り込もうとする誠の腹に鋭く蹴りが突き刺さり、そのまま頭を拳銃で殴打され、誠はカハっと口から息が漏れる。

凄まじい一撃。それを受けて、意識が霞む、が。

 

「ん?」

「けほっ、わ、りぃな……俺の目的は倒すことじゃねぇ……!」

 

地面に崩れ落ちる前に誠は和真の腕を掴みニヒルに笑う。そんな和真の背後に迫る影

 

「ナイスアシストです。誠くん!」

「なっ」

 

和真目掛けて放たれる一本の弓矢

 

「そう簡単に負ける訳ねぇし!!」

 

だがそれを、和真はいとも簡単に弓矢を打ち落とす。

 

「ま、ですよね」

 

打ち落とした弓矢

その弓矢の後ろには寸分違わず二本目があった。

 

(は?ブラインド!?)

 

銃でやるならば振動が来ることによって非常に難しい高等技術であるが護の武器は軽いボウガン

故に銃に比べ反動は少なく比較的簡単にその攻撃を産み出すことができた。

そんな予想外の事に動揺する和真。だが直ぐに冷静になると銃口を合わせる。

 

(でも打ち落としちまえば勝ちだろ!)

 

そうして打とうとして……銃が軽い音を立てる。

 

(玉切れ!?)

 

想定外の重なりにさらに動揺する中、ふと和真は思い出す。

今の自身が誠に封じられているのは左手、そして

 

(右23って残りの弾数!?此奴等、あの状況で冷静に数えてたってのかよ!でも、まだ躱しちまえば)

 

そう少し仰け反ろうとして……ふいに和真の視界に黒い髪が映る。

振り返れば、そこには自身の腕を掴みながらもいつの間にか刀を振り上げている誠の姿

 

「挟み込まれ___」

 

 

そうして銃弾が先か、誠の刀が先か…和真の的にぶつかり___。

 

 

 

その時だった。

 

 

 

最初に反応したのは誠

痛む体を無理矢理動かし、和真に刀を振り下げるより先に回避行動をとる。

瞬間、キラリと何かが反射し自分たちが居た場所に銃弾の雨が降る。

そうして銃弾が降った先……そこにはポケッとした和真と、そして

 

「え?」

 

肩に付けられた的が打ち抜かれた状態で呆然とする護の姿

的は貫通することも無く銃弾が当たった瞬間パカリと割れて地面に落ちる。

 

瞬間

 

「なぁん」

 

どこからともなくハコビが現れて護の姿が消える。

護は失格になった。護が落とされ、誠の思考に空白が生まれる。

しかし、壱年目とはいえ夜縁を二度相手取っただけはあった。故に直ぐに脳内を切り替える。

視界の隅で護の姿が消える……と同時に誠は同じく驚いた顔をした和真の懐に飛び込む。

 

(せめて此奴だけでも!!!)

 

刀を和真の額にある的目掛けて振り下ろす、が

 

「うお!?」

 

後ろに一歩下がる。

刀は代わりに和真の胴を切るが流石は交流会専用の武器

ガッツリ刃は当たった筈なのにも拘わらず服を切り僅かに皮膚を傷つけただけで終わる。

それに誠は舌を打ち、和真目掛けて蹴りを放つとそのまま身を翻す。

 

「流石に動きがいいですね」

 

彼らの戦いに割って入ってきたのは茉莉であった。

木に登り、上から見ていたのは茉莉は硝煙が立つライフルを握り小さく笑う。

彼は誠の行く手を阻むため、ライフルから目を離す。

 

「さて、と。由宇彼方の話ならそろそろですね。綾瀬和真」

「ん?なにがだー!?」

「……二秒後来ます」

 

次の瞬間、林の中から影が飛び出してくると、彼は振り上げた獲物を地面に叩き付ける。

その勢いは凄まじく、地面を割る。そうして地響きが起きる。霧が吹飛ぶ代わりに土埃が立った。

 

「ここから先は、通さないよっ!」

 

薄っすらとシルエットが見えてくる。正体は、紡であった。

それも、彼一人だけしかその場にはいない。

誠と和真は既に撤退した後であった。

 

「ふっふっふー。ボクがここは食い止めるよ!だからマコちゃん!マコちゃんは先に行って!……あれ、マコちゃん?」

「氷雨誠なら既にどこかへ行きましたよ」

「えええ!?そ、そんなぁ、要請受けてダッシュできたのにぃ、ふ、ふんだ!なら僕が君たち二人を足止めして」

「いや、綾瀬和真も、もうあそこにいますが」

「え?えええええええ!?い、いつのまに!?」

 

振り返った紡、そこには既に小さくなる背中となっている和真の姿

「踏んだり蹴ったりだぁ」とシュンッとする紡、そんな紡を見て茉莉は顔を顰める。

 

(それにしても、彼は面倒だ。先程の破壊力、話には聞いていましたが予想以上ですね。

間合いに入らせないように仕掛けるしかないでしょうか。いえ、戦闘を避けれるなら避けたいですね。どのみち一人は落とした。無理にやる必要はありません。適当に巻くことにしましょう)

 

考える茉莉、一方紡の所にも連絡が来ていた。

 

『筑波くん!』

「ん?どうしたの?」

『宝箱の場所分かったよぉ、答えは電波塔!そこに宝箱があるみたい!』

「でんぱとう……あのでっかい建物…?」

『そう!一応辰巳くんにも行ってもらったんですけどぉ、敵の胴体が既にそっち行ってて、出来れば筑波くんにも向かってほしいんですけどぉ!』

「それはいいんだけど……今敵対してて、これ逃げれるかな…!?」

 

呟いた紡はチラッと茉莉を見上げ…数秒見つめた後「ん?」と首を傾げる。

 

「ねぇおにいさん!おにいさんもしかして皇っていう苗字だったりするー?」

 

その叫び声が聞こえたのだろう。紡を見下ろしていた茉莉は怪訝な表情のまま首を傾げ「違いますが」と返答する。

 

「僕は早緑茉莉。皇ではないです」

「あれ、違ったかぁ」

「ええ…それがどうかしたんですか?」

「知り合いにね、皇充幸(みゆき)ちゃんっていう女の子がいるんだけど、その子にちょっと似てたから!兄妹なのかなぁって!」

「……ああ成程、そういう」

 

何処か納得したように頷く茉莉。今度は紡が首を傾げる番だった。

そうして茉莉はどこか嘲笑うような表情で紡を見下ろし。

 

「あの”出来損ない”は貴方方の所に居たんですね。てっきり野垂れ死んでいるものとばかり思っていたのですが」

「…は?」

 

”出来損ない”と突然言われた言葉に紡は目を見開いて固まる。

だが茉莉は表情をぴくりとも変えることなく言葉を続ける。

 

「ええ、貴方の予想であっていますよ。口に出すのも恥ずかしいですが、アレは僕の腹違いの妹に当たる人です」

 

茉莉は言う。その言葉に紡は顔を顰める。

 

「口に出すにも恥ずかしいとか、出来損ないとか……なんでそんな酷いこと言うの…?腹違いとはいえ兄妹なんでしょ?なんで…?」

「おかしなことを言う。兄弟だからといって仲がいいとは限らないんですよ。

まぁ貴方はあの”異常的”な施設の中、夢物語ばかり読んでいたからそんな脳内お花畑のような事が言えるのでしょうがね。

僕はアレに何の感情も抱いていません。金にもならない、使えもしない人間など我が家では不要ですから」

「……」

 

その言葉に絶句し、俯く。紡の肩は僅かに震えていた。

 

「……して」

「はい?」

「撤回して!今言った事全部!!」

 

バッと顔を上げた紡は目を吊り上げて叫ぶ。

 

「君がミユちゃんに興味ないのはまだいい…でも出来損ないとかアレとか、不要とか!全部撤回して!!!

ミユちゃんは…ミユちゃんは頑張り屋さんで、優しい女の子なんだ!そんな……そんな酷いこと言われるような子じゃない!!!」

 

叫ぶ紡のリングからは叶恋が「お、落ち着いてぇ筑波君!」という声が聞こえるが紡はリングをキッと睨むと感情のままに叫んだ。

 

「僕此奴倒す!ごめん!!」

『え、ええぇ!?ま、まってぇ!つく___』

 

困惑した様な叶恋の声がするが、紡は無視してリングの通話を切った。そうしてすっと獲物を茉莉に向ける。

 

「僕が君を倒す!」

「……はぁ、まぁいいでしょう」

 

溜息を吐きながら、茉莉もまた紡に目を向けた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ここにあるにゃんか?」

(また語彙が変わってる…にゃん、て)

 

指示された場所へやって来たのは彼方と萌の二人であった。頭脳班からの指示を受けた二人は宝を探しにやって来たのだ。敵がいないかどうかを警戒しながら二人はとある場所を探す。

 

「答えは”電波塔の下”ねぇ」

「にしてもやっぱり早緑さん凄いですね……こんな直ぐに見つけるなんて!」

「ねー、さっすがにゃん」

 

会話をしつつ歩いていれば

 

「にゃにゃにゃんだほーーーー!!」

「え、ど、どうしました?ついに気でも触れました!?」

「掘り返されたと思われる地面発見!調査するにゃん!!」

「あ、ほんとだ!」

 

濃霧の中、目を凝らして地面を探していれば、一部土の色が茶色になっている地面があった。その部分は柔らかくなっており、明かに一度掘り返されている。

ここだと当たりを付けた二人は早速地面を掘り起こす。そうすれば

 

「あ。あった!」

 

穴の中には一つの箱が埋まっていた。それを掘り出してパカッと開ければ中には紙が一枚入っている。これが暗号らしい

 

「バーコード……」

「頭脳のリングじゃないと読めないように作ってるにゃんね

リングに写真機能はないにゃんから、絶対に頭脳のところまで持ってかないと駄目ってことにゃんね」

「ズル対策ってコトですか…」

「そういうことにゃん。まぁ何はともあれこれを頭脳組に持っていけば万事解決にゃん」

 

そういい、じゃーんっと宝箱を掲げる彼方…と、その時

 

 

「バン」

 

 

空から銃弾が降り注いだ。

 

「!」

 

直前に殺気を察知した彼方が爆弾を空にぶん投げ、相殺はするものの殺し切れなかった風圧で二人は地面に叩き付けられる。その衝撃が戦場に伝わった。

 

「か、彼方さっ」

「回避!!」

 

奇襲されたことに気を取られた萌の元に無数の銃弾が襲い掛かる。それは後方に飛ぶことで回避するも萌は脚に銃弾が走り痛みに顔を顰める。

 

「い、いきなりなんなんですかぁ!野蛮!野蛮人ばっかだぁ!もういやぁぁぁ!」

「十中八九敵にゃんね……単純に解読してきたか。それともオイどんたちの動きをヒントに早急に割り出してきたか……どっちにしろ向こうの頭脳も優秀らしいにゃん」

 

「うん。二人とも優秀、なんだ」

 

くぐもった声が土煙の中から響く。

姿を現したのは天緒であった。彼を前に彼方は腰をわずかに落とし、そっと一本のステッキを取り出す。

 

「あんまりこれは使いたくないにゃんが……まぁしかたないにゃん!」

 

そういって軽く一度ステッキを叩けば、瞬間ビームのような物が打ち出され周りの木々が縦波倒れる。

 

「え、え、!?な、なんっ、なんでソレ!?」

「我らが科学部隊で制作している特殊武器だにゃぁん!」

「知ってますよ?!ぼ、ぼくも科学なんですから……いや、そうじゃなくて!それまだ実験段階の試作品でしょ!?」

 

「威力がやばいって騒いでたじゃないですかぁ!今回持ち込みは駄目だって隊長に念押されてたじゃないですかぁ!!!」と萌が焦る。それをきいて彼方は「あ」と呟く。

 

「……ま、まあほら、多分大丈夫にゃ…うんうん、まぁいいじゃにゃいか!ほらいくにゃん!」

「で、でも…っ!?」

 

次の瞬間、霧の中から何かが顔を出す。それは銃口

 

「っ!」

 

発射と同時に萌はしゃがんで逃げる。

 

「おお、ちゃんと生きてたにゃ!安心にゃん!」

「よ、よろこんでる場合じゃっ!」

 

攻撃を仕掛けられ、その後も執拗(しつよう)に狙われ萌は汗を流す。

その間、ビームを打たれないように上手く萌を盾にしながら動く天緒

その様子にニコニコしながらも彼方は戦慄する。

 

(オイどんたちの攻撃を初手で避けたうえ、ビーム撃たれないようにかぐらんを盾にしながら上手く動いてるにゃ…しかもかぐらんが痛めてる脚狙ってきてるにゃ)

 

先程の攻撃で足を痛めた萌、そこを迷わず狙っていた。

 

「良い目を持ってるにゃん。がんばるにゃんよ、かぐらん」

「は、はいぃぃ」

 

彼らの目に油断は無い。そうして戦闘が開始する。

 

「っ!動き早すぎて全然狙いが定まらないですぅぅ……!」

「報告じゃライフルと短刀って聞いてたにゃ、報告書偽造したにゃん!?」

「殲滅では基本ライフルと短刀ばかり使うから書いただけ。他も使えないとは言ってない」

 

天緒の外套の中には大量の武器が収まっていた。その全てが小さい武器ではアレど威力は十分であり、大体、遠距離中距離近距離全てに対応出来る武器が揃っていた。

それをうまく駆使して立ち回る天緒。だが彼も内心焦ってはいた。

 

(今僕が潰れたら戦況は劣勢になる。簡単に脱落は出来ない)

 

二対一、相手は両方遠・中距離だからこのまま距離を詰めつつ一人ずつ撃破するしかないだろう。

 

(とはいえ、キツイ)

 

顔を僅かに顰め、取り出した針金バージョンのボーラを片手から垂らす。

すぐ背後に迫るビームを飛んで躱し、腕に付けていたグローブ拳銃を滑らして手に取るとそのまま発砲した。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「流石に戦闘慣れしてるなぁ、辰巳さん」

 

映像を見ていた日向が感嘆の声を漏らす。

 

「もしかして彼、元戦闘部隊?」

 

環が画面を見ながら訪ねれば日向は一つ頷く。

 

「そうですね。でも戦闘部隊での生活が肌に合わなかったらしくて」

「支援に移ろうか悩んでいたので私が引き抜きました」

「マジ?支援に移ろうとしてたのに、よく科学に引き抜けたなぁ。楓くんって意外と勧誘上手?」

 

煙草を生命線といい、死体を愛で、研究に明け暮れるような男が実は勧誘上手かもしれないという事実に驚いたように環は楓を振り返る。楓は「いえ」と首を横に振りながら深く煙草を吸い、吐き出した。

 

「彼が科学を省いた理由は断罪業をやりたくなかったという理由らしく。

丁度善くんが断罪部隊を立ち上げてくれまして

開発部隊に変わってからは不安要素が消えたのか引き抜かれてくれたってだけですね」

「僕としては辰巳さんには戦闘部隊に残って欲しかったんですけどね。彼くらいでしたよ、ここまで多様な武器を持ち歩くのは」

「そりゃね。暗器の類は小さく軽量、でもその分扱いが難しい…それにプラスしてライフルまで上手い…戦力としては申し分ないよね。それに…対応も悪くないし」

 

善もまた画面を見ながら言った。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

天緒は何かを考えこむ。そして一気に急接近したかと思えば地面を滑り、なんなく間合いに飛び込み近距離からのライフルをぶっぱなす。その直後に何かが爆発し、辺りを破裂させた。

数秒、景色が晴れる。

 

「かぐらん、的は大丈夫にゃん?」

「っ、!」

「!?」

 

突然の爆風に驚きつつも彼方が声をかける。

返ってきたのはくぐもったような声だった。

数秒、目が慣れてきた彼方が見たのは、間一髪で的と自身の肩目掛けて降ろされたナイフを両手の素手で掴む萌の姿だった。

いくら威力が下がった武器とはいえ、柔らかい手のひらの皮膚くらいは簡単に破いてしまう。萌の手のひらから血がポタポタ流れて地面に落ちた。

直ぐさまビームを打ち込む彼方

ビームが直撃する前に天緒は後ろに飛んで躱すと少し二人を見た後「仕方ない」と呟き即座に踵を返して撤退を選択する。

直ぐに追いかけようとする彼方、だが

 

「ま、待ってください彼方さん!今はこれを届ける方が先決ですよ!敵を倒すことも大事ですけど、今は…!」

「……そうにゃんね」

 

萌の制止を聞いて、それが最優先だと頷く彼方…だが彼はすぐに違和感に気が付いた。

 

「かぐらん、その中身無事?」

「えっ」

 

言われ、萌は自身が持っている箱に目を落とし……慌ててパカッと中を開ければ

 

「な、ないです!」

 

中身は綺麗に空っぽとなっていた。

顔を真っ青にした萌は「すぐ追いかけましょう!」と慌てながら言う……が

 

「待ってかぐらん!!」

「!?」

 

走り出そうとした萌の首根っこを彼方が慌てて掴んで止めた。

 

「やられたにゃんね。これは」

「ど、どうしたんですか!?」

「よく見てみるにゃん」

「え?」

 

そうして萌は目を凝らし

 

「針金!?え、いつのまにっ?!」

 

辺りには針金が張りめぐらされていた。

 

「大方動きながら張られたにゃんね、器用にゃん」

「器用ってレベルじゃないですよ?!人間やめてるでしょ?!?!あっ!でも爆弾で吹き飛ばせば…!」

 

だが彼方は首を静かに横に振り、視線を上へ向ける。

釣られるように萌もまた視線を受けㇸ向けて…驚愕に表情を染めた。

 

「なっ」

「いやぁこっちが考えることは向こうも考える、ってことにゃんね」

 

彼方の持つものとは違い小さい、キーホルダーほどの塊。

だがそれは明らかに爆弾で…針金のすぐ上にいくつも乗っていた。

 

「爆発して糸を飛ばしてもアレが落ちてくるし、最悪連鎖しかねない。そうなったらいくら威力落としててもここら一体吹飛んでオイどんたちはどのみち戦線離脱が確定するにゃん。

爆発を食らえば不戦勝でこっちが勝てるかもしれないにゃんが…流石にたかが大会のために四肢を吹き飛ばされたくはないにゃんし、先にこのステッキ使ってるぶん、痛み分けにされかねない」

「こっっっわ!この短時間でソレ考える西怖っ!!!」

 

顔を青くし、引きつらせる萌

 

「これは一杯食わされたにゃんねー」

 

だが反対に彼方は心底楽しそうに目を細めて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思ったより時間かかったが、まァいい」

 

濃霧が張りめぐらされる森の中、僅かなそよ風に揺られる木

その上には一人の青年、飛鳥の姿があった。

彼は視界の悪い状況にあるにも拘らず、ただ一点、少し離れた場所にあるビルを眺めて冷笑を浮かべた。




ぶっちゃけ区切りがわからん…。
この章の話も大概短いからなぁ
一先ず一節はこれにておわり。
恐らく二節で終わりだから、次回の節で終わりかも。
いやぁほんっと短いなぁ~
もっといろいろ書きたいんですけど、それしたらごちゃごちゃしそうなので断念なのです。
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