夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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いよいよ戦闘も次回で終わりかな!漸く戦闘ラッシュから抜け出せるぜ!いえい!
いや楽しかったんだけどね?やっぱちょっと疲れるかなって!
最近学校が忙しくて中々筆が乗らない雑草ですが、行進をさぼれば平気で一年くらい放置しちゃうという自分の性格を理解しているのでこれからも頑張るぞい!!


第二節 第一項

「ああああ!クソうぜぇ!!!」

 

舌打ちをしながら誠は駆ける。その背後には矢張り和真の姿があって。

だが今の誠では和真を取ることはできない。それがわかっているからこそ、誠は追いつかれないように銃弾を躱しながら走るしかないのだ。

 

(せめて宝箱ってのを誰かが届ける迄は此奴を引き付けておきたいんだが…)

 

そうして器用に攻撃を回避しつつ走り回っている訳だが、やはり先程の戦闘で負ったダメージが凄まじく、中々思ったように動けないのが現状であった。だが

 

「!」

 

急にリングがなった。

びくりと驚きながらリングの通知を見れば、そこには【脳に相手の間の手が迫っています】という文字

 

(まさかバレたのか!?一先ず連絡)

 

直ぐにリングを開く誠

 

「お前等!敵の手足がそっち行ってる!今すぐ隠れるなりなんなりしろ!」

『え、う、うそぉ!』

『了解。モニターから一旦離れるぞ。来るならまずここだ』

『わ、わかったぁ!』

 

そんな声が聞こえる中、誠は顔を歪めた。

 

(明らかに発見早すぎるだろ。

このフィールド、マップ見る限り相当広いうえ、霧と木々で支配されてんだぞ。

脳が潜んでいる建物は全部で15。そのうちの一つは自陣のものだとしても14分の1…こんな早々見付けられるわけねぇのに)

 

和真を背中にくっつけた状態で乗り込めば更に頭脳組を危機へ陥らせかねない。

だからと言って今の自分に撃破するだけの実力があるのかというと否だ。

 

(やっぱあそこで討ち取るべきだった…。

いや、相手も打ち落としに来てた。あそこで迎撃したら俺が負けるのは目に見えてる。

あの場じゃこの選択が最善だった。だが……くそ、過ぎたこと考えたって意味ねぇ。今は後のこと考える)

 

思わず奥歯が軋むほどの力で歯噛みするが今更だ。思考を切り替える。

 

「出来るだけ急ぐ。それまで隠れてろ」

 

リングで確認した所、そこまで拠点への距離は遠くない。

だが、敵の手足と思われるマーカーは既に律たちの居る建物とぴったり重なっている。つまり、すでに建物に侵入してきている。

 

「一か八か……」

 

迷っている暇などない。

誠は足を止めると振り向きざまに刀の鍔に手をかけ、襲い掛かる銃弾を弾きながら必死に頭を回す。

考えることは一つ。どうすればここを抜けられるのか。

しかし妙案は浮かぶことはなく、ただただ時間のみが過ぎていく。

焦る中、一先ず適当な場所に隠れて追いかけてきたところを切るしかないと身を潜める。

だがしかし、一向に銃声が響かず、足音もしない。

 

(諦めたのか?こんな土壇場で……)

 

ちらりと木から顔を出せばすぐ真横に銃弾がうち込められた。慌てて顔を引っ込める。

 

(考えていることはお互い一緒って訳か……だが向こうは遠距離武器。こっちに分がわりぃ…ノコノコ出てこようものならやられかねない)

(えーっと、なんか飛鳥が侵入してるから今は時間がっぽり稼げばいいんだっけ?ならこれでいいよな!)

 

うんうんと和真は頷く。二人の間に仄かな緊張が満ちるのを両者は肌に感じながら、消して逃がさないと言う意思のもと見つめる。

 

(くそ、これじゃ埒が明かねぇ!向こうに急がねぇとヤバイのに!!!)

 

そうして、誠は数秒目を瞑り、息を吐いて刀を構える。

 

(いや、さっきやったんだ。なら同じことで躊躇うんじゃねぇよ!!)

 

目をカッと開くと同時に一歩踏み出す。木から木へと素早く駆け抜ける誠を追うように銃弾がうち込められる。

そのまま、地面に転がるように落下すると、即座に起き上がり和真を見据える。

和真は走る体勢をとり同時に銃口を構える。だが関係ない。

 

「止める」

 

そうして、走りながら刀で切り、身体で躱す、しかし量が多くて交わしきれない。

 

(このままじゃ、さっきの二の舞だっ)

 

銃弾は交わせられる。だが時間経過と共に疲れていくのはこちら。

なら、さっさとケリをつけなくてはまた負けてしまう。考えろ、考えろ!!!と頭を回し

 

 

『頑張る君に面白い技を教えてあげましょう』

『は?面白い技…?』

 

 

そうして一つだけ思い付く。

 

(しくじれば俺が負ける。だが勝ちたきゃこれしかねぇ!)

 

誠は鞘を和真目掛けて投げつける。

しかし、その鞘は頭を僅かに擡げることで軽々と躱されてしまう。

 

(なんだ?自棄でも起こしたのか?)

 

僅かな違和感を感じながらも銃口を向ける和真

銃弾により地面の土が舞い上がることも気にせず低姿勢のまま誠は地面を駆ける。

 

 

『まぁ対人戦でしか使えないけど、人相手なら絶対に隙を作れる小技だよ』

 

 

訓練のとき、善が教えてきた技であった。

 

 

『は?絶対に隙を作る?』

『そ、少しでもずれたら大失敗。逆に自分がピンチになるけど成功させれば隙が作れる。

単純だけど結構難しいし、皆意外と知らないんだよねー、君は勝利に執着するタイプだろ?ヤバくなったら騙されたと思って使ってみ』

 

 

これをやる際の条件は三つ

一つ、武器を二つ持っており、そのうちの一つを手放している。かつ自身の体半径50メートル以内に置いておくこと

 

(鞘も一応カウントされるのは実践済み)

 

二つ、手放した武器が敵の真後ろにあり、自身は直線上にたっていること。

 

土にまみれることすら厭わず、滑り込み、和真の反対に移動する。そして三つ目

 

「うおおおおおお!!!!!」

「!?」

 

相手の集中が、完全にこっちに向いていること。

 

誠は叫びながら走り出す。銃弾すら恐れぬ特攻

先程と違いまともに交わさないことで、体中に銃弾が撃ち込まれて行くが別に死ぬ威力ではない。的さえ守れれば問題はない。

歯を食いしばり、構わず走る。そして

 

「!」

 

誠が右手を振り上げる。

 

(なんだ?)

 

反射的に、つられるように和真もまた誠を見るために顔をあげ

 

「っ!?!」

 

和真は銃を後ろ手で撃ち抜く。

それは冷静な行動に見える。だが違う。

冷静に銃で後ろから飛んでくるものこそ撃ったが、和真は動揺していた。

なんせ、人は後ろには"いなかった"はずなのだから。

なのに、後ろから何かが襲い掛かって来た。そういう”音”がした。

 

(誰だ、誰かいるのか?!でも生物の音はぎゃんぎゃん聞こえねぇぞ!?)

 

仕組みは単純

誠がただリングの武器引っ込みボタンを押しただけだ。

それにより、刀と共に鞘が引き寄せられた。

その鞘が和真の後頭部へ襲い掛かったのだ。

和真はその攻撃を受けなかった。

だが動揺を見せてしまった。その一瞬の隙が全てを決めた。

誠はすでに間合いに入り込んでいた。そのまま前傾姿勢になる。

そんな誠にゼロ距離射撃を行うが、近すぎる距離感と、咄嗟のことにより標準がまともに定まらず、銃弾は少し頭をずらした誠の頬を大きく引っ掻いた程度で終わる。

すでに構えの姿勢に入っている誠は、再び出現した刀を流れるように抜き

 

「っ!!」

 

 

 

ざくりと心臓についた的を切り裂いた。

 

 

 

「く、くっそぉぉぉぉ!!!!」

 

切られた和真は絶叫し、せめて道ずれにと銃口をむける…がそれが撃たれる前にハコビが現れ、その姿を消した。

残ったのは肩で息をする誠だけであった。

 

「はぁ、な、なんとかなった……あ、急がねぇと!」

 

誠はデバイスを起動させ走り出す…と、そこで

 

「誠くん!」

 

自身の名前が呼ばれ、弾かれたように振り返ればそこには此方に走って来る天緒の姿

 

「天緒さん!」

「いいところに。確か誠くんは頭脳組の場所分かるんだよね?これ、箱の中身」

「手に入れたんですか?!なら急いでいきましょう、今襲撃されているみたいで…!」

「え?」

 

目を見開く天緒。一先ず拠点へ向かうのが先だと二人は走り出した。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

カンッという物凄い音が響く。続いて鳴り響く銃声の雨

それを鳴らしているのは木の上から器用に此方に銃撃をしてくる男が理由であった。

彼はゴツイ武器を軽々と扱う。その立ち姿は悠然としており、どこか余裕を感じられた。

そんな銃撃を交わすのは新人の少年

 

(衝撃で銃弾を吹き飛ばしてもきりがない!)

 

たらりと汗を流しながら、武器を凪げばその衝撃で銃弾が地面に落ちるが直ぐに第二波が迫るものだから溜まったモノではない。

 

「先ほどの勢いはどうしたんですか」

「っ……!」

 

打ち落とし切れなかった銃弾が頬や肩をかすめる。

木の裏に隠れてもたちまちマシンガンによりハチノスになってしまい紡は只管に走り続けることを余儀なくされる。

 

「まけ、ない!」

 

脚力で地面を蹴り、一気に飛躍しそのまま茉莉の元へ向かう。

 

「安直」

 

だが茉莉は木をから木へと飛ぶと、そのまま体を捻り空中で銃撃をする。

空中じゃ上手く身動きが取れず紡は的を庇うが上手く受け身を取ることができず地面に落下する。

 

「くっ…」

 

そんな彼を、茉莉は見下ろす。

 

「あのような愚物の為に愚かな選択を取るからこうなるんですよ」

「ぐ…ぶつ」

 

茉莉の言葉に紡は顔を上げる。

 

「ええ、ただでさえ穢れているのにも関わらず我が家に堂々と居座り

家に何一つ貢献すらしなかった役立たずのボンクラですから。

家に貢献したのだって結局売り飛ばす際の金額くらいですかね」

「…うり…と、ばすって……なに、それ……売るって……」

「貴方は家族というモノに夢を見ているのかも知れませんが、そんなもの、この世界にはないですよ。幻、という奴ですね。

良くある話です。小さな子供なら兎も角、あの年にもなって大したことが出来ない役立たずのただ飯ぐらいを置くほど裕福な家庭はそうありませんから…そういう時は売り飛ばすに限るんです。

健康で見目も悪くないので優良物件です。当時は10代だったので、まぁ躾も間に合いますので余計に」

「!!」

 

その言葉に紡の顔色が変わっていく

 

「わ、かんない……わかんないよ……なんで家族なのにそんなこと……なんでそんな酷いこと平然と出来るの?なんで、ねぇなんで………」

「これが現実というものですよ。貴方だって施設で散々味わったでしょう?

施設の中だから違うと思いました?残念でしたね。施設の中も外も変わらない。

この世界は一ミリも綺麗じゃない。全部全部穢れてる」

 

茉莉は銃口を紡に向ける。

 

「ただ……それだけの話です」

「!」

 

そうして銃弾の雨が一気に紡に放射される。

「あ”っ」と鈍い声を上げながらも紡は何とか的を守るが、もう体は至る所がズタボロであり、頭から血がだらりと流れ出している。

ひゅうひゅうと変な息が漏れるが、それでも紡は茉莉を見る。

 

(威力が弱いとはいえ、これを耐えるとは…やはり耐久力は高い……面倒ですね。

報告によれば、敵にすでに宝箱の中身を持っていかれている。

先程狗星飛鳥が敵の本拠地を割り出したらしいですし、距離を考えればまだ間に合いそうですね。

なら、ここでちんたらしているのは時間の無駄だ。どうせもう瀕死でしょう)

 

内心で考え、茉莉は地面に降り立つ。そのまま、すたすたと紡を置いて歩き出し。

 

「ま、だ……まだまだ!!」

 

直後、強風が茉莉を強襲する。

振り返るが、そこには紡がやはり地面に座り込んでおり、その手の武器を凪ぐことで風を起こしただけらしいことが分かる。

 

「そこで大人しくしておいてください」

「そ、ういう訳には……行かない!」

 

膝を震わせながらせ、武器を杖のように地面につきながらも紡は立ち上がる。

その目には未だに闘志が滾っており、硬く鋭く此方見据えている。

その目を見て、僅かに茉莉は気圧され、背に悪寒が走る。しかしそれも一瞬、直ぐに冷静さを取り戻す。

 

「今の貴方に何が出来ると?」

「っ…これは、僕の我儘だから…」

「はい?」

「僕のわがままで皆を振り回してる…ならその責任を取らないと。

それになにより……ミユちゃんは僕の事……友達だってまだ言ってくれないけど、僕は友達だって…!思ってる!!

僕はミユちゃんのいいとこ、一杯知ってるから!!知らない事も多いけど!

いい所は一杯知ってるから!!きっとこれからもいっぱい知ることになる!

その時、友達だって胸張って言える様にしたい!そうなりたいって思ってるから……っ」

 

武器の切っ先を真っ直ぐ茉莉に向ける。

 

「ミユちゃんを……僕の友達を悪く言うなら、絶対に許さない!!!!」

「!」

 

そうして、木々を利用して走って来る紡。向かい打つべく直ぐに銃を連射しようとするが

 

「なっ」

 

それより早い横振り。

ブンっとツヴァイハンダーが投合され、茉莉目掛けて飛んでくる。

まさか武器を飛ばすと思っていなかった茉莉は目を見開き驚くも、直ぐにしゃがんで回避行動をとる。

そうして、衝撃波により木々が激しく揺れ、ツヴァイハンダーが回転しながら茉莉の背後の木を倒した。

振り返った茉莉は直ぐに木を回避し、紡が居たであろう場所を見るが、何処にもいない。

そうして、またもやブーメランのように何処からともなくツヴァイハンダーが投合され、不規則に木を薙ぎ払っていく。次々と倒されて行く木々

倒れてくるそれを悪い視界の中躱しながらも、茉莉の顔には僅かに焦りが生じる。

 

「どこからっ」

 

木が揺れることでがさがさと辺り一帯から音が無り、音の判断は難しい。

ならばツヴァイハンダーを掴めばいいが、如何せん視界の悪さと予想困難な攻撃により、難しい。

そうしてツヴァイハンダーが空を切り、茉莉の顔スレスレを通り、ブーメランのようにターンを決め、頭上へ飛ぶ。直後、地面に出来る影

茉莉が弾かれたように顔を上げれば、そこには高い場所から飛躍した紡が

その手には先程戻って来たツヴァイハンダーが握られている。

 

いけぇぇぇぇぇぇぇええええええええええ!!!

 

そうして紡の気持ちを乗せたツヴァイハンダーが茉莉目掛けて振り下ろされる。

ツヴァイハンダーは周りの物を巻き込み、砂や泥を巻き上げ地面を抉った。

立ち込める霧と砂嵐により視界が鈍る。

 

 

 

 

 

そうして彼らの勝敗は____。

 

 

 

 

 

「…言ったでしょう。現実はそう甘くないと」

「ぁ…ぐっ」

 

茉莉に軍配が上がった。

 

地面に倒れ込んだ紡は苦し気に呼吸を繰り返しており、必死で茉莉を睨み上げている。

だが茉莉は意に返すことなく紡の手を蹴り飛ばし、持っていたツヴァイハンダーを掴めない位置まで弾き飛ばすと、紡の腹に片足を乗せ、的に銃口を向けた。

 

「ま…だ。まだ終わってなんか…っ」

 

未だに諦めずに動こうとする紡

そんな彼を茉莉は見下ろし、ふぅっと息を吐く。

その瞳には落胆したように…諦めるような色が滲んでいて。

その姿が

 

「!」

 

充幸の悲しそうな顔に一瞬ダブって見えた。

 

「なんで…そんな悲しそうな顔」

 

困惑したように言葉を零す紡

だが茉莉はその問いには答えず

 

「思いの強さだけで勝てるのならば…この世界はこんなに穢れていませんよ」

 

紡の的を撃ち抜いた。




茉莉君の家系図は色々複雑というか、中々面倒くさい感じになっています。
だがそこがいい!茉莉くんの拗れ具合が雑草はお気に入り。でもあんまり掘り下げられないのが残念なんですけどね。

とはいえ、現実は甘くない。いやホント「それな!」ってよく思います。
思いの強さだけじゃどうにもならないんですよねぇ
ははは、思いだけでどうにかなるなら雑草はイラストのコンクールでいつも1位取れてるんですよ!はははははっ、人生はクソ!よくわかんだねッッ!!!!
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