夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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体育祭かぁ、友達多い人とか、種目沢山出る人は楽しいんでしょうね。これ。
雑草は友人多くないですし、種目も全員参加の大繩とムカデ競争、ダンス、あとは短距離走出た程度ですから。
運動神経はあんまり悪くないと思うんですけど、クラスの中心人物たちが楽しそうな種目を根こそぎ搔っ攫っていくもので…はははっ
休みたくても当時雑草は体育委員なんてものについているおかげで休むことなど出来ず…。

こんな体育祭だったら雑草も楽しかったんでしょうねぇっ!!(血涙)
残念ながら雑草はクソ熱い炎天下の元
一人寂しく体育祭の仕事して(片割れの体育委員は休みやがった)
暇な時間はひたすら母が作ってくれたお弁当をむしゃるだけでしたけどね!!!おにぎりうまし。唐揚げ最高バリムシャァ
応援?勝利?んなことより飯だ飯ィ!!!!


酩酊賛歌〜体育祭〜

本日は___

 

『これより、第102回。殲滅学園体育祭を開幕いたします』

 

体育祭だ。

 

 

体育祭

それは、年に1回行われる全校生徒が強制参加の大型行事だ。

赤チーム、白チームに分かれ、点を競い合うわけで。

殲滅学園には血の気の多い生徒がそれはもう在籍する。この学校ではかなり盛り上がる行事なのだ。

 

「しゃぁ!お前たち!気合入れまくりなさい!!」

「赤チームに吠え面かかせるっすよ!」

 

そう叫んだのは白組の応援団衣装である黒の袴に白の浴衣をきた高等部3年、虫生(むしゅう)(のぞむ)と高等部2年、垣本(かい)だった。

彼らが今年の白組応援団であるのだが、會は暑いのか前をはだけさせているがそれすら様になる。

望はというと頭に巻く白い鉢巻を可愛らしくリボンにしており、彼が動くたびに風でふわふわと揺れている。

 

「テメェら気合い入れろ!」

 

それに呼応するように声を張り上げたのは高等部3年、雪村日向(ひゅうが)であった。

赤組である彼の着ている衣装は王道である学ランだ。

銀髪に映える黒。會と同じく前が開かれているが、腹の部分には包帯が巻かれている。

また、彼の瞳と同じ赤のタスキと鉢巻が風に靡いて揺れた。

普段オラオラしている彼の学ラン姿。着崩していても何か萌える者があるのだろう。

 

日向(ひゅうが)くんかっこいい!!」

「優勝頑張ってー!」

 

観客席から声援が響いた。

多くが赤組だが、その中には白組の姿もあって

 

「お前たち!なに敵の応援してんのよ!!!白応援しなさい!白を!!!」

「くっ、赤組め!卑怯な手で士気を上げやがるっす!」

「普通にやっただけだろうが…」

 

既に負けたように歯ぎしりする彼等に日向(ひゅうが)は苦笑する。

なお、体育祭はまだ始まってすらいないのだが、すでに盛り上がりようが凄かった。

 

「白組!」

「赤組!」

「「勝つぞ!!」」

 

かくして彼らの声により、体育祭は華々しく幕を開けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

体育祭、記念すべき第一種目は学年混合リレーである。

本来なら校長の挨拶や準備体操など、そういったものが入るはずなのだが、殲滅学園の問題児はそんなもの興味がない。ということで悲しくもカットされた。各自で準備運動を終え、レーンに並ぶ生徒たち。

そうして教師がスタートの合図を鳴らし、一斉に駆け出した。

次々と繋がれていくバトン。盛り上がる観客席、拮抗する走者。そうして次でアンカーの番となる。

 

「これは学年合同リレー…もしやとは思ったが。お前とあたることになるとはな」

「…」

 

そしてアンカーとなる走者がレーンに入ったわけだが、白組のレーンに入ったのは氷雨誠であった。

対して赤組のレーンに入ったのは勅使河原(てしがわら)(りつ)である。

忘れそうになるが彼らは学年が違う。

従ってクラスも当然違う訳で、ぶつかる可能性はあった。

だがまさか、こんな序盤にぶつかるとは…と言いたかったのだろう。

 

「お前のその涼しい面、ひん剥いてやるよ」

「…」

「なんか言えよ!!」

 

誠の言葉に律は特に反応をしない。それに腹が立ったのか誠が叫べば

 

「なんか」

 

投げやりに律が呟いた。

 

(なんか言えっつったがそういうことじゃねぇよ…!!)

 

律の態度にカチンとくる誠

ギリッと歯を噛みしめ「ぶっちぎってやる」とバトンを待った。

そうして、(せめ)ぎあいならバトンを持った生徒がやって来る。

どちらが先か…そんな時だ。

 

「きゃっ!」

 

赤組の女子生徒が転んだ。

その際、バトンが空を飛ぶ。

これは確実にロスだ。その間に誠にバトンが向かい。

 

「……」

 

律は後ろ足を無理矢理捻り、落ちそうなバトンを蹴り上げた。

浮いたバトンは前方に跳ね上げられ、そのままキャッチする。

 

「な___」

 

その一連を見ていた誠は突然の律の行動に驚き、固まる。

その間に律は誠より早く飛び出した。

 

「かっこつけてんじゃねぇ!!つかなに前走ってんだ!!」

 

その姿に我に返った誠はキレながら律を追いかける。

 

 

 

 

 

そうして結果は

 

 

 

 

 

「……」

「あああああああ!!!」

 

律の手には1と書かれた旗

地面に崩れ落ちた誠の近くには2の旗が転がっていた。

悔しそうに喚く誠。それを見下ろして律は

 

「ふっ」

「てめ!今、鼻で笑いやがったな!?」

 

ぎゃんぎゃん吠える誠を置いて律は真顔で席へと戻っていった。

後ろでは「覚えてろよ!!」といういかにも弱そうな人間が叫びそうなセリフを叫ぶ誠の姿

はっきり言ってダサかった。

 

「くそ!チームに貢献するって意気込んでたのに、結局2位じゃねぇか!畜生!」

 

項垂れる誠。そんな彼の肩に手を置いた人物がいた。

誠がハッとしたように顔を上げれば

 

「紡…」

「任せてマコちゃん。僕1位とってくるから!」

 

決め顔で言った紡の姿

言い忘れていたが紡と律は実はクラスが違う。律は赤組だが紡は白組に振り分けられていた。

そんな紡の自信に満ち溢れた顔を見て誠は次の種目を思い出し目を見開く。

 

「お前、次って確か…!!」

「うん。そうだよ。次は」

 

 

 

 

 

 

 

「僕のごはんんんんんっ!!」

 

次の種目に参加した紡は、ものすごい勢いで宙に吊り下げられたパンに食らいついた。

 

「筑波くん、マジやばだね」

「あ、環先生」

 

観客席から見る誠、そして観客席に来ていたらしい(みささぎ)(たまき)は紡の必死具合に苦笑いしていた。

 

「あいつ凄いですよね。ああいうとこは」

「あはは、確かに…でもマジ趣旨変わってるよね。あれ一応障害物競争なのに…筑波くんマジ物ともしてないし」

 

そう。このプログラムは障害物競争だ。

だが紡は小柄な体を使い網を潜り抜け、平均台を爆走し、大きなタイヤを張り手一発でゴールに押し込むとパンに食らいついたのだ。

もはや障害物などないといわんばかりにパンにしか目がいっていない。

 

「おいひぃぃ!!!」

 

一度のジャンプでパンを仕留めた紡

するりと大きなジャムパンが紡の口へ引きずりこまれていく。

後はゴールするだけ。一位でのゴールインだと誰もが思った。

 

「ちょっ!」

「えぇ!?」

 

のだが。

二位に上がっていた生徒、夜縁螺(やえんにな)がパンを食べようと飛んだ…次の瞬間他の吊るされていたはずのパンが消えた。

どこに?紡の口の中に、だ。彼は吸い込んだのだ。どこぞのただ一つの吸引力を誇る機械もビックリな吸引力だった。

そのまま彼は優雅にゴールテープを切った。

 

「ふっ、余裕」

「ルール違反で失格ですかね…はい」

「え」

 

だがルール違反により、一発退場であった。

審判の犬成(いんなり)護によってレットカードを食らった紡は絶望したし誠はブチギレ、紡の米神をぐりぐりした。紡は泣いた。

 

 

そうして次の種目は借り物競争であった。

 

「借り物競争!たのしみぃ!」

 

そういってワクワクしているのは中等部2年の松田(まつだ)叶恋(かこ)であった。

彼女もまた可愛らしく鉢巻をリボンにしており、緩く巻かれたハーフツインテールと共にふわふわと揺れている。

 

「そうだね。楽しみ」

 

そんな彼女の言葉に答えたのは高等部1年の坂谷(さかや)八生(やよい)であった。

彼女らはこの種目の出場メンバーであった。

 

「でもでもぉ!好きな人、とかいうお題引いちゃったらぁどうしよぉ!」

「毎年盛り上がるもんね。そのお題」

「恥ずかしいけどぉ、思いを伝えるチャンスっていうかぁ…青春って感じだよねぇ!」

 

そういってきゃっきゃと笑う叶恋。頬に両手を当てて楽しそうに笑う彼女は大変可愛らしい。

その様子を見て八生は「そのお題は私は当たりたくないなぁ。見てる分にはいいけど」なんて思う。

そうして準備も整い彼女らは位置についた。まもなくピストルが鳴り、全員が走り出す。

最初に籤を引いたのは…叶恋だった。

 

「さ、お題は~」

 

そうして開いて

 

「」

 

固まった。

その顔は崩壊している。凡そ人様に見せられない顔を晒した彼女はその場に崩れ落ちる。

彼女の手からお題の紙が落ちた。

そんな彼女のお題の内容は…”赤のパンツを履いている人♡”だった。

 

「誰だこんなお題入れた人ォォォ、これどうしろっていうのぉぉぉおおおおおおおおお!?」

 

地面に両手をついて絶叫する叶恋

続いて籤に辿り着いた八生は「やばいお題引いたんだろうな」と内心不憫に思った。

そうして彼女が引いたお題は

 

「えっ」

 

”ゴスロリを着た人”であった。

きょとんとした八生だが、お題の内容を脳内で反芻して、途端に困ったような表情を浮かべる。

 

「いやいや、こんな炎天下でゴスロリ来てる人なんて、いるわけな___」

 

そこで彼女は言葉を飲み込んだ。

何故なら

 

「……」

 

いたからだ。

 

彼の名前は物集女(もぶめ)才良(ざいりょ)

非常勤講師な彼は今日、教え子たちの姿を見るために体育祭へやってきたわけだが

門をくぐったところで突然今日の体育祭は、ドレスコードならぬコスプレコードをしないといけない、という嘘に踊らされ、渡されたゴスロリを着ることになった哀れな男であった。

ゴリゴリの体に厳ついスキンヘッドの顔。そして愛らしいゴスロリ衣装

とてもアンバランスであった彼は腕を組んで仁王立ちしている。

内心(あっれー?皆コスプレしてなくない??)と大混乱中だが、何分顔に出すことが無いため、周りからは趣味で着ているのだと誤解されているのだが…知らない方がきっと彼は幸せであろう。

 

「え、あの人連れて行かないといけないの…?」

 

八生もまた、誤解した人間の一人であった。

あの先生何やってんの?という感情の元、呆然とする他なかった。

他にも籤を引いた生徒たちは悉く崩れ落ちており「校長先生のカツラとかなんだよ!つかあの人ズラだったの!?いやどう言って貰えってんだ!?」とか「美人の脱ぎたて靴下とか!俺に変態になれって言ってんのか!?」とか叫んでいる。

悉くクソみたいなお題を引いているらしいということは一目瞭然で、八生の目は死んだ。

 

(((誰だ、こんなお題いれたやつっっ)))

 

彼らの心が完全一致した瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ盛り上がっているねぇ」

 

そういって水筒を傾ける雪村日向(ひなた)

彼は一応この学校の生徒会長を務めており、三年は前期まで…つまりこの体育大会までしか仕事ができないため、最後ということもあって権限を行使し、クソみたいなお題をバンバン通した張本人であった。

尚、恋愛系統のお題は一切NG

そんなもの入れた日には彼は毎秒貸し出されることになる。

それがいやなので、却下した。私情に塗れているが生徒会長である彼を止められる人間などいない。

参加者は泣いていい。

 

「楽しそうだよねぇ」

 

同意するのは天満(あまみ)(よい)

こいつは日向(ひなた)を通してネタ系の籤の内容を考えた張本人である。

同じ風紀委員をやっている叶恋が引いた赤い下着と校長のカツラというお題を入れたのはこいつだ。叶恋は泣いていい

 

「学ランクソ熱い。ぬぎてぇ」

 

汗を拭って顔を顰めるのは雪村日向(ひゅうが)であった。

彼もまたこの作戦に加担している一人である。

こんな真面目な顔しておいてゴスロリネタと美人の靴下を入れたとんでもねぇ野郎だ。

物集女にゴスロリを渡したのも彼である。

真面目っぽい雰囲気がためにすんなり騙された物集女は泣いていい。

 

(こいつら悪魔だろォ…)

 

そして全てを知っている狗星(いぬほし)飛鳥(あすか)は涼しい顔で観戦している三人を見て思いっきり引いたのであった。

 

 

こうして(一部が)楽しい体育祭は終わったのであった。




おまけ

~去年の体育祭にて~

「雪村くん!いいかな!」
「構わないよ」

「ごめん雪村くん!一緒に来て欲しくて!」
「いいよ」

「あ、あのヒナタ君…来てくれないかな!お題で、そのっ」
「……わかった」

「あっ!ヒナタ君みつけた!ちょっと来て!」
「…いいですよ」






「今年はネタで固めようと思うんだよね」
「おう?」
「へぇ、通常のやついれないの?」
「うん。入れない。てことでネタ欲しいんだけど。全部生徒会長権限使って通すからジャンジャン頂戴」
「まじ?」
「へぇ?…おっけー、まかせろ」


こうして地獄は生まれた。
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