夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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【前章までのあらすじ】

Z地区への遠征を決める浅葱、一方不死者の掛け子などの怪しげな実験を行っている佐久間。両組織のトップたちの思惑が交差する。殲滅隊の明日はどっちだ!

無慈悲な雑草の一言〈この章は全体的にちょっとセンシティブというかなんというか…胸糞要素のある章となっています。観覧にはとても気を付けてくださいねっ!!!あれ、雑草がまともなこと言ってるっ!?


第七章 零レタ虎百合
第一節 第一項


夢を見る。

あたりを見回すが、何処までと闇一色の空間が広がっている。

だが一部分、白い空間があった。

不自然なほど真っ白で四角い空間が闇の中にぼんやりと映し出されている。

それはまるで、テレビの画面のようで。

眼の前に座り込んだ長い髪の子供は深い溜め息を吐き出す。

ああ、またこの夢だ。子供はそう感嘆した。

 

起きた時には何も覚えていない。

だというのに、夢でこの光景を見るたびに毎日自分は同じ夢を見続けている、ということを思い出してしまう。

その不快感が具現化したように汗に変わって現実で肌にしがみついてくる。

 

二十年以上たった今も忘れることのできない。

最悪の人生の始まりが、ジジジという不快感を煽るノイズ音に交じって流れ始める。

色褪せた映像。所々グリッジや画面が乱れるなどしてとても見れる代物ではない。

だが、この映像は所謂”記憶”

見れなかったとしても、その部分は海馬が勝手に補正してくれる。はっきりいって有難迷惑だ。

 

乱れた映像にはところどころ音声が混じってくる。

耳が痛いほどの怒声と汚い口、血走った眼

吐き気がして、思わず皮膚を掻き毟りたくなるほどに悍ましい記憶の断片が、ただ淡々と流れていた。

 

子供には母親がいなかった。違う。いたのだ。

だが体が弱かった母親は子供を産んだ後、重い病に侵され命を落とした。子供が4歳の時のことだ。

母親が死んでから子供は父親とともに暮らしていた。

……が、母親が死んで以降、父親は仕事に行く事も無く酒に飲まれる生活を送り始めたのだ。

家の床はゴミに塗れていて、白かったはずの壁はタバコの煙によって黄ばんでしまった。

汚い環境。なのにも関わらず子供の髪は伸びっぱなしの割には綺麗に一つにまとめられていた。

理由は父親が、毎日髪を梳かして括ってくれるからであった。

それでも体臭は酷く、顔には汚れが付いていることに変わりはない。

そんな中、子供は一人懸命に生きていた。

母親が生きていた頃に撮った写真を心の支えに…いつか自身を救ってくれる誰かが来ると信じて、神様を夢想して…。

 

その日は子供が7という年になった日だった。

子供がいつも通り寝ていると、上から何かの圧力を感じ目を覚ました。

すると…父親が子供の上に乗り上げていた。なにがなんだかわからなかった。

ただ、とてつもなく嫌な予感がした。

ハッハッと耳元で吐き出される欲の滲んだ荒い息。その全てが怖くて、恐ろしくて、悍ましくて。

今すぐ逃げろと頭の奥で警鐘が鳴り響く。だが脳みそとは裏腹に体は竦みあがり、逃げることなど到底できない。せめてもの抵抗に、子供は必死に薄い布団を抱きしめた。

だが、子供が大人に叶う筈もなく…薄い布団を引き剝がされると、そのまま服を引きちぎる様に剝ぎ取った。

 

たすけて

 

たすけて

 

たすけて

 

だれか

 

かあさん

 

 

たすけて

 

 

 

 

 

 

 

そんな悲鳴すら目の前の男の口の中へ溶けて消えた。

 

 

 

 

 

 

 

その後のことは、あまり覚えていない。

ぼんやりとした記憶ばかり。

自分の体と精神が分離したような感覚さえ覚えた。

それほどまでに、自分の身に起こったことに対して他人事のように感じられた。

 

「お前は本当にアイツにそっくりだなぁ。特に髪…母さん譲りの綺麗な髪……大事にしろよぉ?」

 

そういって男はずっと髪を撫でてうっとりとした顔で…黄ばんだ歯を剥き出しにして笑った。

 

そしてまた悍ましい手が伸びてくる。

触られて、弄ばれて、貫かれて、奪われて、摑まれて、叩かれて、揺さぶられて、舐められて、突かれて、飲まされて、笑われて、辱められて、苛まれて、押し潰されて、貶められて、蹂躙されて、穢されて。

 

 

穢れきって、堕ちていく。

 

 

父親を前に初めは涙ながらに懇願した。

やめて欲しいと叫んだ。だが父親は「黙れ」と顔を殴りつけた。

 

「何を泣いてる?気分が悪くなるだろ」

 

そういってまた殴った。泣くことが出来なくなった。

この現実から逃げたくて男から顔を背けた。でも顔が見たいと無理やり仰向けにされた。

恐ろしいものを何度も眼に焼き付けさせられた。吐き気がするような光景を何度も何度も

死にたい。死んでしまいたい。早く楽になりたい。何度も何度も思っても…死ぬことは叶わない。

さっきまで乱雑に足や腰を掴んできた手が、今度は労わる様に優しく長い髪を撫でる。

親が子を褒めるように、優しく優しく。

本来なら喜べるはずの行為。だが子供にとってそれは震え身を縮こませるほどに不快で仕方がなかった。

 

逃げ出したことだってあった。

 

外の人間に助けを求めたことだってあった。

だけど誰も助けてくれなくて、気づいたら家に連れ帰られていた。

 

「お前は普通じゃない。異常者だ。こんなところで生活してまともなわけがないだろ?

汚くて頭の可笑しい餓鬼を助けてくれる人間なんていない。わかるな?」

 

何度も何度も刷り込まれるように言われた言葉に絶望して…もう、逃げるのはやめようと思った。

汚くて異常者な自分を誰も助けてくれない。酷くなるくらいなら、と。心の中で早く終わってくれと願う日々が続いた。

事の最中は全部覚えていないのに、ところどころではっきりと思い出せる記憶の数々

文字通り瞼の裏にはっきりと焼き付いた光景

 

それを思い出すたびに思う。

この男は誰なんだ、と。本当に父親か?欲に満ちた目でこちらを見る、汚い手で穢してくるこの男が?

そもそも人なのか?化け物じゃないのか…?これは、なんだ。

 

もう何が何だかわらからなくなった。

だから考えることを止めた。自らの精神を守るために。

「神様なんていやしない」子供が悟った現実であった。

仮に居たとしても神様というものは見守っているだけだ。

見守るだけ…見てるだけの無能なら居ないのと一緒だ。

 

子供は神に助けを求めることも、父に懇願することもやめた……。

 

だから、いつものように自身の体を貪り、睡魔に身を任せて眠りこける父を前に、子供はゆっくりと体を起こした。

 

「はぁ、はぁ……っ」

 

立ち上がれば、ゴミ溜めのなかで大の字で(いびき)をかく父親の姿があった。

全裸の状態で、薄汚い布をかけた父親に、子供は足音を殺してゆっくりと近づく。

そうして、手に持っているのは…父が普段から使っている灰皿

 

「じぶんを。まもれるのは…」

 

ぼそぼそと自身に言い聞かせるように呟いて、子供はゆっくりとソレを振り上げる。

眠りこけている父親が起きる気配はない。

誰も助けてくれない。なら自分でやるしかない。

これを振り下ろせ。

そうすれば、この地獄は終わる。

はぁ、はぁ、と荒い息が出て、静かな静寂に響く。

 

頭に落とせ

 

頭を殴れ

 

これで殴れば簡単に…。

 

 

 

 

「……っ」

 

 

 

 

振り下ろせなかった。人を殺めてしまうのが恐ろしくて…これを落とせば終わると分かっているのに腕が震えて、殴ることが出来なかった。

だから子供は灰皿を置いて、散乱するゴミの中から財布を抜き取ると、薄い布を掴んだ。

 

逃げられない。

 

逃げたい。

 

ならアレを殺すしかない

 

怖い

 

ここにいたくない

 

逃げたい

 

逃げたい

 

 

 

 

逃げろ。

 

 

 

 

無理だと冷静な部分が諭してくる。

また連れ帰られて、殴られて、穢されて。苦しむだけだと。

だが、必死に子供は家から逃げ出した。

臆病だから、終わらせることもできない自分は臆病者らしく逃げるしかないと。

連れ戻されることにならないように、誰にも見つからない何処か遠くへ

地獄()へ引き戻されないほど、遠くへ。




初手からシリアスかましてくぜぇ!

はい、ということで、気分転換に雑草の最近起きたことを話しますね。
雑草はですね、話しかけやすいオーラを纏っているのか、よくぼーっとしていると人に話しかけられるんですよ。

道を聞かれたり、迷子だって言われたり、雑談したり(宇宙人が数年後侵略してくるんだぜ?しってるか?!みたいな話をされた。知らんおじさんに)
スクラッチを削ってくれと頼まれたり(突然、知らんおじさんに。因みに1000円当たった。何故か1000円もらった。なぜ)
お誘いを受けたり(大学生くらいの人に遊ぼって突然言われた。普通に怖い)
体調悪いんですか?と心配されたり(多分顔が死んでるように見えたんだと思う。雑草はめっちゃ元気だったけど)

まぁ色々あるわけですが、この間椅子に座ってぼーっとしてたら隣に座った人に「救急車呼んでくれますか」って言われた時は流石にビビった。呼んだけど。
人に状況説明するのって予想以上に難しいね。
因みに頼んできた人は割と元気に救急車乗ってったから多分大丈夫…恐らくきっと。
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