「協定、だと……!?」
その言葉を聞いた東の殲滅隊トップ、
それにより顔の筋肉が思い思いの方向に力強くひきつり、造作の左右の歪さが極端なまでに強調され、あちこちに深い皺が寄り、目が素早く奥にひっこんだ。
鼻と口が暴力的に歪み、顎がよじれ、唇がまくれあがって白い大きな歯がむき出しになる。
その身体は怒りでふるふると震え、机に置かれた彼の拳は今にも振り上げられんとばかりに握り込まれている。
そうして、細まった目が睨む先に座る男。
その表情すら忌々しいとばかりに彼は唸る様に喉を震わせた。
「先に我らの計画を反固にしたのは貴様の筈だ。ワシの考えた計画書を奪い、実験成果だけならず、
先代より預かった実験体すら掠め取り、挙句逃がした!!その失態…忘れたとは言わさんぞ…っ!!!」
そういってガンッと机を殴りつける吟彦
殴られた机に振動が伝わり、机の端に置かれた茶がたぷんっと揺れる。
大賢は表情を崩すことはせず、諭すようにいった。
「ああ、分かっているとも、我が友よ。しかしな、奪い取ったとは人聞きが悪いとは思わないかい?
私が君に提案し、君は私の案にのり、研究を此方に渡した…そうだろう?」
「よくもまぁのうのうとのさばるモノだな!?貴様がワシを騙して丸め込んだのだろう!?おかげでこちらは大損だ!!!!」
「ああ、だからこその提案さ」
激情する吟彦を見ながら大賢は今回の提案を申し出た。
「実はね、協定を組みたい理由は遠征を実施したいと思っているからだ」
「……遠征だと?」
「遠征地はZ区」
「なに!?」
目を見開く吟彦。
食いついた、とバレぬように大賢は少し笑みを深める。
「ああ、そうだとも。嘗てのZ区は危険極まりなく、そう簡単に向かうことなどできはしなかったが、ウチの優秀な隊員のおかげで危険度も幾分か下がり、地区全体の内装もある程度分かっている。
我らの隊員と其方の隊員での腕利きを集め、遠征に行かせるのはどうだろう……そう思って居てね」
「!」
「其方としても悪くはない提案の筈だ。なんせZ地は始まりの地であり、まだ奪取できていない資料も多い。更に、そこの不死者を一体でも捕まえれば……君の今やっている”計画”も最終段階まで引き上げられるかもしれない」
「なっ」
大賢の言葉を受け、吟彦は思わず立ち上がった。
ガランッという音と共に彼の座っていた椅子がひっくり返るものの、彼はそれには気を止める事無く、信じられないという目で大賢をみた。
その顔色は僅かに悪く、脂汗が少し流れている。吟彦は震える唇で問いかける。
「な、ぜそれを…貴様っ、どこまでっ!!!」
振るえる吟彦とは違い大賢は飄々とした態度で立ち上がった吟彦を見上げた。
「なに、想像に難しいことではないさ。あの実験に誰よりも心血を注いでいたのはお前だろう?
それを私は誰よりもよく知っている。大方、あの実験の再現をしようと思っているのだろう?」
「……」
「だが、あの実験に必要不可欠な物は夜縁の存在だ。だが、今現状夜縁を手に入れることはできない…。
ならば、どうするか。代打を作るしかない。その代打の実験は私の方もやっているが、中々うまくいかなくてね。だからこそ、お前と手を組みたい」
「その言葉をワシが信じると思うか?」
「まぁ信じれないだろう。だから、研究の件はこの際後でいい。大事なのは遠征だ。
これが完遂するならば、私との協定を破棄してもらっても構わないとも。遠征に関しては、お互いに理がある筈だ」
大賢が言えば吟彦は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。
その目にははっきりと嫌悪感が滲んでいる。
だが、彼はその感情を口に出すことはなく己を落ち着かせるように静かに目を閉じると一泊置いてから目を開く。
「話は分かった……協定の件は容認しよう」
「そうか。それは助かった」
「だが、二つ条件がある」
「何かな?」
一度鳴りを静めていた激情
吟彦の瞳には先ほどの劇場とはまた違う、欲が滲んでいて…その目で大賢を見据えた。
「一つ、貴様が先程言っていた研究の成果とやらを此方に渡してもらおう」
「……全て失敗の記録だが?」
「構わん。失敗から学ぶものは多いからな」
「……成程、それは一理ある。わかった。帰り次第直ぐにデータを送らせよう。それでもう一つは?」
「ワシの研究に耐えられる
「ああ。いいとも。ではこれで交渉は成立だ」
大賢が笑みを浮かべ手を差し出す。だがその手は呆気なく払い落される。
「付け上がるなよ、浅葱。ワシは貴様と馴れあうつもりはない。そのことをその薄汚い脳みそにしっかりと刷り込んでおけ。分かったらさっさと出て行け」
睨まれ、大賢は肩を竦めると言われた通りさっさと部屋を出て行く。
そうして、ポケットから取り出したリングを起動させる。
「ああ、私だ。
突然ですまないが今回君の部隊の隊員を遠征メンバーとして入れさせてほしくてね。
ああ、大丈夫。舵取りは
大賢はリング越しの人物にそう告げ、目を細める。
「さ、私も私の実験に戻るとするか」
この節はこれにて終わりです。
彼等、どっちも研究大好きな方々なんですよねぇ
研究に夢中になって足元掬われなければいいですよねぇ(ΦωΦ)フフフ…
あと彼らの会話から凡そ予想がついている方もいるでしょうが、この話で若干の殲滅隊の闇深さが垣間見えたりします。どういう意味かって?さぁ??
ただ雑草は頭が悪いので、真面目な会話とか、頭使いそうな会話をするシーンはとてもしんどいので、彼らは今後一切一緒に喋らないで欲しいですね。はい。
君ら一緒にするとシリアスにしかならんのよ。
会話作るの面倒なのよ。頼むから仲良く隠居していてくれ。( ̄д ̄)マジで
次二人で会合なんてしてみろォ、二人仲良くあの世へ送ってやるからなァ…!!!