夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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戦闘描写苦手だぁ。難しいよぉ


第三項

ガンっと衝撃で建物全体が強く揺れた。

 

「また揺れたね」

「そうだな。偶に凄ぇ揺れるけど今のは一番強かったんじゃねぇか?…で、これはハズレか?」

「まぁある意味当たりじゃない?」

 

不死者を全滅させたヒナタ日向(ひなた)日向(ひゅうが)は不死者の死骸を背に扉の奥へと進む。扉の奥は受付となっており、縦に長い部屋

 

「お早いご到着やなぁ」

 

部屋には大量の糸が張り巡らされ、場所によっては血で赤く染まっている。

場所によっては人の生首や四肢が落ちており、その糸の上に座っているのは一人の美女

夜縁の子禽(ことり)だ。

彼女は真っ黒なベビードールに身を包み、二コリと笑う。

 

「いつもは白い服なんやけど、偶にはちゃう服にしよう思て態々この服取ってきたんや。どや?似合うてる?」

「とても似合っていると思いますよ」

「おい」

「ふふ、お世辞でも嬉しいわぁ

にしてもあんさんら、なんやウチらと配色似とるけど…もしかした月美の子供かいな?」

「月美?」

「…その反応はちゃうみたいやな。ええで忘れて。

さ、あんまりお話ばっかりやっとったら怒られてまうさかい、早速始めましょ」

 

そう優雅に笑う彼女に日向(ひなた)日向(ひゅうが)は警戒を持つかのように武器を構えた。

突然放たれる無数の糸

その糸を切る様に振ると千切れた糸数本の中、切れなかった糸は蛇のようにぐにゃりと歪むとそのまま日向(ひゅうが)の頬を僅かに裂く。

 

(……伸縮自在かつ柔らかい糸のくせ、鋭さは針金並みってわけか)

 

日向(ひなた)の方は糸に触れないように動きながら障害物を利用して上手く躱している。

その間に、子禽は一瞬で接近してくると腕を振る。それを日向(ひなた)は銃身で逸らし、右脚を振り上げる。子禽は横に躱して、手に絡めた糸を間近で飛ばすものの

 

「!」

 

全くの死角から銃弾が撃ち込まれ腕を抑える。

 

「これだけ糸が固いと跳弾しやすくて助かるよ」

 

堅く束ねた糸に弾けて弾丸が撃ち抜いたのだ。

日向(ひなた)の腕は後ろ手に組まれ、握られたライフルからは硝煙が立ち込めている。

直後、日向(ひゅうが)が切り掛かる。

それを躱し、鋭く束ねた糸で薙ぎ払うように動かせば日向(ひゅうが)は後ろに飛ぶ。

そして素早く脚を滑る様に動かして、体勢を立て直す。

 

「はぁ……偶におるんよねぇ。妙に強い人間。

あんさんらはその類か。かなんなぁ……ストレス発散がてらに雑魚で憂さ晴らししたい気分やったのに」

 

再び自らが引っかかる様に糸に両腕を引っかけながらいう子禽

そうして、すかさず糸で襲い掛かって来る。

それを躱し、日向(ひゅうが)は糸の線を踏み、上に飛ぶ

日向(ひゅうが)目掛けて糸を飛ばしてくるが、身を捩って受け流すように刃を滑らせ、そのまま強引に迫ると子禽の右肘を狙って掬い上げるように振り上げる。

しかし、1本の糸が横から飛んできて、刀の軌道を逸らしたと同時に入って来た銃弾が代わりというように子禽の腕に被弾する。

その間に逸らされた刀を振れば足元の糸が緩み一歩前に出ることができず振る。

だが、浅くではあるが子禽の顔に傷が入った。

 

「全く気ぃ抜けへんものやなぁ」

 

しかし、子禽が突如笑みを浮かべる。

 

「そやさかい、応援呼ばしてもろうたわ」

 

ぱちんっと指を鳴らした瞬間、色んな場所から大量の扉が出現し、そこから流れ込んでくる不死者の群れ

 

「ちっ」

 

ぐるっと体制を変え落ちてくる不死者を日向(ひゅうが)が刻むと同時にその足に巻き付こうとする糸を日向(ひなた)が打って散らす。

その体には上着がない。途中で脱ぎ捨てたらしい彼は柔和な笑みを浮かべ、子禽の前に出る。

 

「選手交代。ここからは僕がエスコートさせてもらうよ」

「ふふ、ええよ。楽しいことしよか♡」

 

素早い糸が襲い掛かるのを日向(ひなた)は銃弾で的確に打ちながら、躱して動く。

其の中に時折跳弾を交えて打っていくことで子禽も躱さざるを負えない。

そうして時折銃弾ではなく、足で蹴りながら糸の矛先を逸らす。

 

「雰囲気に似合わず結構激しいんやね」

「肉弾戦はそこそこ得意でね、なんせ片割れが血の気多いから」

「そう。兄弟で仲がええんやなあ。ならこんなんはどうやろか」

 

子禽は糸で地面に降り立つと、右腕に絡ませた糸を鞭のようにうねらせ、高速で日向(ひなた)の背後で戦う日向(ひゅうが)に向けて糸を飛ばす。

同時に日向(ひなた)に向けて右腕に巻いた分厚く鋭い糸で斬りかかった。

 

「他の男に目移りするのは感心しないね」

 

日向(ひなた)は目を細めると、近くにあった糸を撃ち抜き、僅かに綻んだ部分を引きちぎる様に掴むとグッと引っ張る。

それにより日向(ひゅうが)へ向かっていた糸と激しくぶつかる。

そしてその振動により糸ごと日向(ひなた)の体が跳ね、自身に向かってきていた糸を躱すと、そのまま宙で糸から手を離し、一気に上から子禽に迫る。

子禽は左脚に絡ませた糸を鋭くすると、そのまま振り上げて蹴りを繰り出す。

日向(ひなた)は顔を後ろに仰け反らせて躱し、同じく左脚を振り上げると同時に片腕を地面についてバランスを取りながら銃口ゼロ距離から発射する。

 

子禽は左脚を振り上げた勢いのまま、体を仰け反らしてバク転し、今度は右脚の糸で蹴り上げる。

日向(ひなた)は左脚を無理矢理右に方向転換して、足を躱すと右脚だけで踏み込んで子禽に詰め寄る。

子禽は両腕の糸を左右斜め後方に飛ばして壁に突き刺し、体を浮かしながら体を起こす。

そして、銃身に糸を絡めて引っこ抜こうとする、が

 

(細身のくせに異常な怪力やな…)

「よい、しょ」

 

ぐっと思いっきり引っ張られ、子禽もまた取られないように糸を引くが、先に耐久が限界を迎えたのは糸であり、ぶちぶちと糸が引きちぎれる。

その反動で僅かに子禽の体が傾くと同時に日向(ひなた)は一気に地面を蹴る。

そのまま鈍器のようにライフルを振り上げそれを糸に引っかけて上に上がると、素早く銃弾を打つ。

 

子禽は銃弾の跳ね返りを確認しようと目を向け、ずるっと糸が緩むのを感じた。

見れば撃たれたのは糸が張られていた部分、建物を銃で撃つことで糸の周りを崩して糸を落としたのだ。

直ぐに糸を出して空中に留まろうとするが、その位置を予想する様に銃弾が駆け巡る。

その間に日向(ひなた)本人は自分が使う糸を残して最短で駆け上がる。

そして、体が上がった子禽の前に銃口を向けようとして、足が止まる。

目を向けると、左脚に糸が絡まっており、右腕にも巻き付いていた。

 

「このままその腕と脚、千切ってあげましょね」

 

そのままぐっと糸に力が入るが、顔を顰めることも無く発砲すれば子禽はひらりと躱す。

日向(ひなた)の足首から少し血が出てくる中、そんな日向(ひなた)の体を貫こうと糸が迫るが、跳弾で天井を崩し、その瓦礫で一瞬視界を切ると、ぐっと腕に巻かれた糸を動かし、瓦礫を貫いてこようとした糸で千切ると銃口を足首の糸に向け、発砲

完全に千切れないがあとは力任せに千切り、天井をガンガンに破壊。視界を塞ぎながら距離を詰めていく。

 

「随分と野蛮なことしてくるなぁっ!」

 

顔を顰め糸を飛ばすが、全て僅かな動きで躱すと銃口を向ける。

 

(発砲には時間が少しかかる。糸でギリ間に合__)

 

だが日向(ひなた)は撃つことなく、まるで刀のように銃口を掴むと柄から刀身を抜くかのように掴みの部分でフルスイングする。

打つことへの時間を考えていたがために銃身が顔面に直撃し、瞼があるとはいえ、かなりの力のこもった攻撃で目玉にダメージが入ったのがはっきりと分かった。バキリという音と共に血がダラダラ流れ、子禽は射殺すほどの眼力で日向(ひなた)を睨みつける。

 

「あ”ッ!?この、人間風情がァ!!!!」

 

苛立ったのか顔を片目で覆いながら手を向ける。だがそこには日向(ひなた)の姿はない。

気配を感じバッと後ろを振り向けばそこには銃口

 

「!!!」

 

ゼロ距離からの銃弾。それは火薬が大量に籠められた爆発型の銃弾

ぶつかった瞬間爆発し、火花が飛ぶ。

 

「っ!ツァアアア!!」

 

子禽は再び吠えながらも、ぎりっと歯を噛み足に力を込める。

 

(怯む思たら大間違いや、次の行動に移るまでの時間を稼ぐために距離取りたいんやろ?逃がさへんで。ウチの顔にこんなことしたんや。ズタズタに引き裂いたるッッ!!!)

 

そのまま臆することなく煙を突き抜け飛びだす。

 

「なっ」

 

まさかこのまま突っ込んでくるとは思っていなかったのだろう驚いた顔をした日向(ひなた)の姿

糸を出した手で引き裂こうと伸ばし……次の瞬間前からも後ろからも衝撃が走り、目が見えなくなる。

 

「は?」

 

そのまま地面に崩れ落ちる子禽

 

「……な、ん」

「エスコートする男の顔くらい覚えとけってことだ」

「ま、すぐ目移りする浮気性みたいだから難しいかな?」

 

子禽が襲い掛かったのは日向(ひなた)ではなく日向(ひゅうが)だった。

不死者の群れを殺し終わり、あの一瞬で二人は場所を入れ替わったのだ。

そしてしっかり銃弾の準備をした日向(ひなた)は後ろに素早く回ることで狙撃したのだ。

 

生存を確認するように日向(ひなた)は数発体に打ち込んでから二人は一緒に歩き出す。

その途中で日向(ひなた)は床に落ちた上着を身に着け、銃を持ち直す。

 

「リング使えないのはやっぱり不便だね。安否も分からなければ状況も把握できない」

「確かにな。でも仕方ねぇよ。ないもん強請っても意味ねぇし」

「まぁそうなんだけどね」

 

そんな会話をしながら病室を開けようとして

 

「!!」

 

日向(ひなた)は足を止める。

そのまま振り返るがそこには地面に倒れたままの子禽。ピクリとも動く様子はない。

 

(嫌な感じ…でもアレじゃない。全方向からする……動いてる…?)

日向(ひなた)?どうした。早く次行くぞ」

日向(ひゅうが)、まだ敵が___!」

 

直後日向(ひなた)日向(ひゅうが)の腕を掴み引き寄せると自分と入れ替わる様に後ろに押し退ける。

 

「い”っ……なにすんだよ!!!」

 

押し退けられ、尻餅をついた日向(ひゅうが)が文句を言いながら顔を上げる。

 

 

 

 

「………は」

 

 

 

 

顔を上げた先。そこには、銃を落とし、先程己が開けようとした扉、其の奥から物凄い勢いで糸が飛びだしていた。

その糸は赤く染まっている。糸は………。

 

「ひ、な……」

 

日向(ひなた)の体を貫いていた。

肩を貫いた糸。それだけなら問題はなかっただろう。だが

 

「あーあ……やらかした」

 

糸には”蔦”が巻き付いていた。一種類だけではない。三種の蔦が何重にも巻き付いて肩、二の腕、そして胴体に突き刺さっていた。

その蔦は、日向(ひなた)の傷から内部に侵入するとドクリドクリと蔦が脈打っており、日向(ひなた)の首や見えている手には蚯蚓腫れのようなものが出来上がり、静かに蠢いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、なんでそれ食べてんの?おいしいから?」

「ん?そこにあるから食べていただけや。なんか落ちてると食べたなるんや。ほんで、自分は何なん?」

 

辿り着いた場所はリビングを模した空間。

明りがあり、テーブルや書類、ご丁寧に絨毯なんかが敷かれ、善の足元には可愛らしい鉛筆で書かれた紙や額縁なんかが踏みしめられている。

しかし気に留めることも無く、此方を見る男、(まと)を見続ける。

その近くには死体が詰まれており、べったりと口に血を付けている。

気怠そうに善を見る絡に善は少し微笑を浮かべて告げる。

 

「君を殺す殲滅隊員さ」




はい、ちょっと地獄要素出て来ましたねェ!

ここで気分を切り替えるために和む(?)お話

善は基本戦闘に置いて苦手な相手はいないのですが、唯一日向(ひなた)だけは苦手らしい。

曰く

「あいつ知的に見えて面倒くさくなったら普通に殴り掛かってくる脳筋なんだよね。
しかもただでさえきっしょく悪い銃スキル持ってるくせに普通に鈍器みたいに殴り掛かって来るんだよ。馬鹿なの?銃は撃つものであって殴るものじゃないんだよ??」

だそう。
なお、実は過去に一度だけタイマン張って善は日向(ひなた)に負けた経験があるそうな。
その際再戦を申し込んだのに日向(ひなた)が受けないせいで負け越してることになっていて非常に悔しいらしい。
善もそうだが日向(ひなた)も相当負けず嫌いである。
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