夜の帷が消えるまで   作:発狂する雑草

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今回はちょっと短いよ!!!


第二項

「いきなり呼び出して何のつもりだ」

 

睨み付けるのは東のトップ。佐久間(さくま)吟彦(おとひこ)だ。

彼は現在、襲撃の真っただ中だというのに西の本部へと足を運んでいた。

彼の目の前には足を組み、ソファーに腰を下ろした浅葱大賢(あさぎたいけん)の姿があった。

彼は吟彦を椅子に座る様に促すと足を組むのをやめ、代わりに前かがみとなり手を組んだ。

 

「いや、なんてことはない。

今彼らは夜縁の根城に攻め込んでいるだろう?

一部の隊員には極秘で、夜縁の体や血液の一部でも手に入れたら即刻帰って良いと言っているんだ。

場合によっては莫大な金を渡すともね。

あれだけ大量の囮がいるんだ。大怪我を負う可能性はあれど、周りを使えばそれらを奪取可能だ。

事実、既に何人かはそれらを手にして休んでいる。

昨日死体を1つお前に送っただろう?お前の言っていた実験もこれでかなり進むはずだ。だからここで、友情を戻そうと考え、お前を招待したんだよ」

 

大賢は紅茶を一口飲むと、ジップロックに入ったものをだして机に置く。

それにちらりと目をやって吟彦はふんっと鼻を鳴らす。

 

「……つまりなにか?お前は今回の夜縁侵略は勝てないと踏んでいる訳だな?一部帰還命令を出すと言うことは、そういうことなのだろう?」

「ふふ、何を言っているんだい。今まで何度戦争をし、敗れたと思っている。

勝てると希望を持つ方が間抜けだ。

化物には化物を、人類の為、彼らには礎となってもらい、我々は化け物(兵器)を生み出す。これらは全て人類の為だとも」

「そうかそうか。確かにそうかもしれないな」

 

にやりと笑う吟彦はそこで漸くソファーに腰を下ろした。

そんな彼に、千歳がお茶を置く。

 

「ここに呼んだということは、研究素材をこちらにも提供すると言うことだな?で?代わりの品は、此方の研究記録か、前々から言っていたものな。

だがなぁ、この程度の品で我々の研究記録を渡すのはいささか割に合わんとおもわんか?お前はただでさえ前回の失態もあるんだ」

「ああ、そうだね。だからそちらの研究は渡さなくていいとも。これは謝罪だ。遠慮なく、品だけ受け取ってくれ」

「……随分と潔いいな」

 

そういいながらもジップロックのそれを受け取る。

そんな彼に大賢は笑みを浮かべる。

 

「ああ、当然だとも。

なんせ、そちらの研究記録を譲ってもらわずとも_____奪えばいいのだから」

「は?」

 

直後、げほっと血を吐きだす吟彦

その後強烈な痛みに胸をかき荒く息を吐きながら身を丸める。

 

「っ、な、んだ、貴様!なにをっ!!!」

「少し前に不死者の核から育てた花を原材料に作られた薬が流行していたこと、御存知ですか?その薬を少し改良し、溶かして紅茶に入れてみたんです。

いい匂いがして気持ちが休まるかと思いまして」

 

扉を開く。入ってきながらいうのは楓であった。

彼の説明。今現在自身に起っている現状を見て理解したのだろう。吟彦は血走った目で大賢を睨みつける。

 

「図ったなァ、浅葱ぃ!!」

「すまないな。俺はどうしてもこの実験を成功させたいんだ。其の為にも、お前の実験データが全ているんだ。

お前の事だ。きっと肝心なデータは隠すだろう?

それに、過去のことから疑り深いお前は本当の意味で俺を信頼することはないと踏んだんだ。わかるよ、なんせ親友、だからな」

「き、さまぁ」

「さぁ、佐久間__人類の礎となってくれ」

 

そういうが最後、吟彦は血を吐き「殺してやる、ころして」と呟き…………息絶えた。

 

「千歳」

「はい、なんでしょう」

「清掃を頼むよ」

「わかりました」

 

命令を受けた千歳はせっせと掃除を始める。

 

「すまないね来栖(くるす)くん。こんな状況だというのに急に毒の調合を頼んでしまって」

「いえいえ、構いませんよ。良い実験ができましたから」

「そうかい」

 

それだけいうと大賢は機嫌よく部屋を出て行く。

扉がしまると、楓はそっと大賢の飲んでいた紅茶を揺らす。

 

「ええ、とてもいい実験ができました。

あの薬を元に”即効性の毒”と”遅効性の毒”を前々から作ってはいましたが…試す機会なんてありませんでしたから」

 

そういうと紅茶をジップロックに入れ、傍で掃除している女をみる。

 

「それにしても、こんな話をしても眉一つ動かさないとは”育”の出身者は本当に感情が死んでる方が多い。非常に興味深いです。感情のメカニズムは未だわかっていないことが多いですから」

 

そういうと煙草を取り出し咥える。

 

(そういえば彼が"自分のような人間はナニカに執着して初めて人になれる…と言ってましたが、彼女も執着できる対象がいれば変わったのでしょうか)

 

なんて、内心で考える楓

 

「さて、と。これで私でも覗けなかった研究のデータが見られそうですね。

正直彼らの実験にはそこまで興味はないんですが、隠し事をされるのは矢張り気分が悪い。データの削除も頼まれていますし」

 

ふぅと煙を吐き出しながら楓は思い出す。

それはZ地区に行く前の日の出来事。

楓は朔に声を掛けられ廊下に連れ出された。

 

『多分研究データ、全部壊すっていう約束を善さんとこの後することになると思うんですよね。

だから総統たちの脳みその中に入っているデータも消したほうがいいかなって思ってまして。

データブースにないくらいの情報が彼らの脳みそには皺となって刻まれてるでしょうし。

ああ、楓は悪用しないと思うのでデータみていいですよ。その代わりアイツ等、殺してくれません?』

 

そう頼まれたのだ。

 

「正直、なぜ彼が総統クラスしか知らないような情報を知っているのかは些か疑問ですが、まぁいいでしょう。

天満くんの性格上殺害までは考えてなさそうですが…まぁその辺の事情は私には関係ありません。さっさと終わらせてあちらに戻りましょう」

 

そう呟いて扉を出る

するとそこには血を吐いて階段から転げ落ち、首が折れて死んだ大賢の姿

 

「本当に……人の死というものはあまりにも呆気ない。だからこそ美しい」

 

楓は階段を降り、その足を掴んで研究室へと入っていくのだった。




前に行ったよなぁ、会話作るの面倒だから仲良く隠居していてくれって
次二人で会合なんてしたら、二人仲良くあの世へ送るからってさぁぁぁぁぁぁ!!

有言実行するタイプの雑草です☆

まぁぶっちゃけこの二人は早々に退場する予定だったのでいいんですけどね!はははっ
それにほら、悪の科学者ムーブかますやつは終盤辺りに死ぬっていうのは定石ですからね。しゃーないしゃーない。
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