professional of joker 作:たいたい35
「もう、ドキドキしたんだから!リングくらいさっさと見せなさいよね!」
試験が終わり、二人はドラキッドの拠点に戻ることにした。ユウリはかなりもったいぶってリングをリーヤに見せたが、もちろんあのパフォーマンスを見せられて不合格なはずがないので、リーヤは特に驚くことはなかった。しかし、素直に褒めるのは恥ずかしいので、リングを見せられるまで合否の心配をしていたことにする。それでドキドキしていたわけではなかったのだが、ユウリの鮮やかな勇姿に見惚れていたので、間違いではない。薬指にはめたそのスカウトリングは、ヒスイのように深い緑色の輝きを持っていた。
「これで僕たちも正式にドラキッドのメンバーだね」
ピキーッとスラっちが反応する。どうやらルタのぶっちーに再会できるのを心待ちにしているようだ。リーヤの腕の中から抜け出し、二人の間を歩き始めた。そう、これでスラっちも肩身の狭い思いをする必要はない。二人は堂々と塩パンをくださいと言うことができるし、スラっちにちぎったかけらを渡すこともできる。次は何を買おうかな、そんなことを考えながら、ソレアのもとへ帰還した。
「やあ、おかえり二人とも!今日は歓迎会だぁ!新しい仲間の帰りを祝おう!」
「ワイン飲みたいだけだろ。まったく、これだからリーダーは」
フューンの強烈なツッコミ。ワイン片手のソレアの顔は赤く染まり、室内には大きなケーキと自作の看板。「祝入団」とお世辞にも綺麗とは言えない字で書かれていた。ただそれでも、ソレアの歓迎の意はユウリたちに嫌と言うほど届いていた。
「ユウリおにーちゃん、リーヤおねーちゃん、おかえり!ルタも見てたけど、とーってもかっこよかった!」
「うんうん、ルタの言う通り。やっぱりあたしの見立てに間違いはなかった!これから楽しくなりそうだ、ね、フューン?」
「うっざ、もう酒回ってんのかよ。俺はもう戻るから。ルタ、後は頼んだ」
その女性は奥の薄暗い部屋へと戻っていってしまった。しかし二人はフューンとは初対面、目を点にして、新しいお客さんかと勘違いしてしまった。
「あの子がドラキッド最後の一人、フューン。ちょっと口調が乱暴だけど根はいい子なんだ。研究に没頭しすぎて服とは髪とかボロボロだけど、虐待しているわけじゃないよ!何度言っても興味ないの一点張りで、ねえ二人とも、なんて声をかけたらいいと思う?」
ユウリに腕を回してちょっかいをかけ始めた。酒気を帯びた酸っぱい吐息が彼にかかって苦しそうな表情を見せる。慌ててリーヤが止めに入った。
「ちょっと、離れてください!ユウリが嫌がってます!」
「ああごめんごめん、この子はリーヤクンのものだもんね、そんなつもりはなかったんだ」
「そ、そういうことじゃないです!」
ひとしきり暴走した後、ふらふら千鳥足でソファに力尽きた。ルタに背中をさすられながら、思い出したかのように話し始めた。
「あ、別に敬語なんて使わなくていいよ、ソレアって呼んでくれればいいし、あだ名つけちゃってもいいよ。もう二人とスラっちは仲間だからね、あたしの大切な大切な宝物。何かあったら全力で守るから安心して、それがリーダーの務めだからさ。ほら、ケーキ食べよケーキ」
「ソレアは酔ってるともっと素敵だよね!」
「ま、そういうことー」
温かい言葉にルタが感動している。さっきまでの鬱陶しい絡みとの落差に二人は驚いたものだが、アルカンというこの大都会で信頼を寄せられる人ができたというのは大きな安心だった。どうしてソレアが虹のスカウトリングを持つことができたのか、そして認められているのか、その理由が二人には分かった気がした。
「それで、これからのことなんだけど」
ピシッと指を立てて、ルタにホワイトボードを持ってこさせた。