professional of joker   作:たいたい35

18 / 36
森林へ

よし、ソレアは気合を入れるように深呼吸をして、涙を拭った。いつのまにかロビンはどこかへ消えてしまっていたが、ソレアが言うには、呼んだら戻ってくるとのこと。

 

「ロビン、また今度僕にもじっくり見せてください!」

「もちろんいいよ。ユウリクンとリーヤクンには特別に、他の仲間たちもみんな紹介してあげよう。こんな機会滅多にないよ、二人は特別の特別だから」

 

雨が降ったわけでもないのに、アルカンの空には虹がかかっている。まるで今のソレアの心境を映し出しているようだ。街を出て平原に到着すると、青空に向かって腕を突き上げ、パチンと指を鳴らす。一瞬の静寂の後、彼女の周りにモンスターが集まってきた。

 

「みんな、おかえり。紹介するよ、この子がドラキーのキートス、ドラキッドだからね、ドラキーはいないと、うんうん。次にこの子がメタルキングのティアラ、キングなのにティアラって、かわいいでしょ?女の子だからね。そしてこの子が、うちのエースのロビン。最強のアタッカーだよ。キラーマシンと言ったらあたし、あたしと言ったらキラーマシン。まさに切っても切れない仲って感じ」

 

彼女の薬指のリングが躍動するように激しく光る。自慢げに口角を上げるソレアと、圧巻の光景に開いた口が塞がらない二人。並んだ三体のモンスターは、ユウリの視界には決して収まりきることはない。その雄大さにひたすら胸を躍らせていた。これがバトルGPを優勝したソレアさんの仲間たち……。彼はその瞳に何を感じたのだろうか。もっと見たい、聞きたい、募る思いは山々だったが、それを伝える前にいつのまにか二人の前からキートス以外は消え去っていた。

 

「よし、もうすぐ森林だから、到着したら早速スカウトに挑戦してみよっか」

 

スラっちとキートスが戯れている。「スラっちは他の魔物と打ち解けるのが早いね、まるでユウリクンを映す鏡みたいだ」彼女がふと漏らした。関心が止まないのは、どうやらソレアも同じのようだった。

見渡す限りの平原が続いていたが、唐突に鬱蒼とした森林が遠くに見え始めた。ギャー、ギャー、叫び声のような音が、ユウリの耳を貫く。

 

「いやー、ここも結構暑いね」

 

額の汗を拭き取るソレア。ジャングルのような蒸し暑さが一行を襲った。辺り一面は森林というよりも密林で、こんな深い森が大都会の付近にあったことに驚くばかりだった。

 

「ここは現れるモンスターもそこまで強くないし、かといって草木のせいで不意をつかれることも多いから油断はできない。まさに新人にピッタリってわけ。ほら、ちょうど」

 

ガサガサ、雑草をかき分け背後から何者かが襲ってきた。思わずきゃっ、と声をあげてリーヤが後退する。彼女を守るため、スラっちが瞬時に標的へと体当たり。鈍い音がリーヤの鼓膜に響く。相手は目をバッテンにしながらめまいを起こしていた。

 

「さすがスラっち、敵を認識してこんなに早く対応できる子はなかなか稀だよ」

 

警戒の姿勢を解こうとしない二人とスラっちに対して、ソレアは呑気にスラっちを撫でている。倒した相手がどんな魔物だったのかも見ていないだろう。常に相手に背を向けていた。

 

「いや、あたしは大丈夫。ピンチになってもユウリクンたちが助けてくれるからね。くくっ、何その顔、冗談だよ冗談、あははっ!まあまあ、だいじょぶだいじょぶ、本当にヤバくなったら時こそあたしの出番。この程度で動揺してたら、二人を守ることなんてできない」

 

頼り甲斐があるのかないのか、よく分からない。ただ、その胆力の強さにソレアの実力が垣間見えた気もした。

 

「どれどれ、気絶してるあなたは何者かなっと……、あ、ももんじゃだ。ちょっと他より色が薄いかな?直に目を覚ますだろうし、先に進もっか」

 

どうやら会心の一撃だったようだ。やりすぎでないといいけど……、そんな小さな不安をよぎらせながらも、緑の奥へと進んでいった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。