professional of joker   作:たいたい35

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森林の化け物

「ソレアさん、どうかしましたか」

「いや、なんでもないよユウリクン。さあ奥へ進もう」

 

森が深くなっていくのに比例して、湿度と気温も上がっていく。年頃のリーヤにしてみれば、こんなサバイバルのような状況は耐えがたい。しかし文句ばかり言うわけにもいかないので、美容の頼みとしてスラっちに顔を埋めたりしていた。

 

「スラっちはやっぱり気持ちいいわ!」

「あんまり力加えちゃだめだよ。あれ、なんでここだけ色が禿げてるんだろう」

 

雑草まみれの道が続くと思われたが、唐突に獣道のような不自然な一本道が現れた。サラサラと乾くその地面は硬く、どこまでも続いている。周りは痛いほどの緑に囲まれているのだから、なおさらおかしかった。

 

「わっ、なにこれ、地震!?」

 

考えていても仕方がないので奥に進もうとしていたところ、地面がうねるように振動し始めた。木の隅で休憩していたスライム三匹も、それを狙っていたきりかぶこぞうも、土を掘っていたいたずらもぐらも、その地震と共にどこかへ消えていく。まるで何かから逃げるように。その地響きはますます大きくなっていき、ついにその正体を現した。

 

「な、何よあれ……。あんなサイズのモンスター、聞いてない……」

 

徐々に近づいてくるそのモンスターは、規格外の大きさだった。ありえない……、尻もちをつくリーヤの怯え切った声が地震にかき消される。地面を這いずって、少しずつ、少しずつ。不自然な獣道は、この巨大な魔物が地面を這いずって行動する際に擦れて緑が禿げたものだったのだ。

 

「ソレアさん、一体あれは……」

「あー、ウン。情けないことに、あたしも驚いてるよ。さすがにあのレベルの大きさの魔物を見たのは初めてだ。森林にこんな化け物がいたなんて」

「ちょっと、こっち来てるじゃない!早く、早く逃げないと!」

 

一旦引こう、ソレアの冷静沈着な一言の後、音速でティアラが目の前にやってきた。彼女の表情を見て状況を察したのか、身体をぷるんと震わせた。

 

「ティアラ、あのデカいのを見張ってて。もしかしたらとんでもない速度で走ってきて、あたし達を襲うかもしれない。もしあれが殺す気で向かってきたら、ティアラも出し惜しみしなくていいから」

 

少しズレた王冠の位置をソレアが優しく修正して、一行は後退を始めた。その背後でティアラは仁王立ちで構えている。思考がままならない二人だったが、今はティアラに任せて逃げるしかなかった。

 

 

「ソレアさん、あんなのと戦ったらティアラが死んじゃいます!」

「大丈夫、たとえ相手が太陽だったとしてもあたしのティアラは負けない。それよりも、ちょっと頭の中を整理しないとね」

「そ、その通りだわ。図鑑にもあんなデカくて長い魔物は載ってなかった。あれは何?ミミズ、ミミズなの?」

 

これにはさすがのソレアも頭を抱えていた。森林は生態系も比較的穏やかだと思ってたけど、まさかあんなのがいたなんて。これはフューンにも報告だ。

 

「よし、帰ろう」

 

いたって快活な一言だった。

 

「得体の知れない魔物がいる場所の探索をこれ以上ユウリクンたちにさせるわけにはいかない、でしょ?とりあえず帰って、今後のことはそのあと考えよう」

「で、でも」

「リーダー命令!」

 

くくっと笑った。こんな状況なのに、彼女は明るい。たちまち二人もつられてしまった。

 

「リーダーの命令なら仕方ないかあ、スラっち、キャロル、帰ったらおいしいご飯をいっぱい食べよう!」

「そうそう、ユウリクンにはその顔がお似合いだ!」

 

夕暮れ時、満月が顔を見せ始める前に、ユウリ達は拠点へと重い足を進ませた。

 

 

 

「ただいまー。あれ、こんな早い時間に出てきてるなんて珍しいね、フューン。もしかして、ユウリクンの作るご飯が待ち遠しくなっちゃった?」

「ま、そんなとこだな。ソレア、話がある」

「ちょうどいい、私もフューンに話があったんだ。と、いうことで!悪いんだけどさぁ、お二人さん、夕食の準備しててくれないかい。食材の買い出しはルタに任せてあるからもうすぐ戻ってくると思う。それじゃ、頼んだ!」

 

二人は奥へと消えていってしまった。きっと僕たちの前ではできない話なのかな、そう自分を納得させて、ユウリは食料庫を漁り始める。

 

「ルタ、何買ってきてくれるかな」

「あの子ならでっかいお肉を買ってくる、そんな気がするわ」

「またパーティになっちゃうね。よーし、張り切っちゃうぞー!」

「ふふっ、何よそれ。でもそういうとこ、嫌いじゃないけど……」

 

バタン、二人の予想通りのテンションで、予想通りの食材を抱えたルタが扉を勢いよく開いた。

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