professional of joker   作:たいたい35

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再び森林へ

「うう、暑くてジメジメしてて、気持ち悪いわ……」

「もはやジャングルだね、ここは。でも、こんな環境だからこそあんな大きなミミズちゃんが生まれたわけだ」

「あれだけ大きいなら闘技場があと五つはいりますね!」

「あははっ、もうスカウトする気でいるんだ!ユウリクンはやっぱり面白いね。でも、タイラントワームが君を認めるには相応の力が必要だよ。スラっちとキャロルの力をもっともっと引き出してあげなきゃいけないね」

 

ユウリの足元でじゃれ合う二匹を見て優しく微笑んだ。

和やかなムード漂う中でも、タイラントワームの活動範囲は着々と近づいている。そう、あの巨大な獣道が。タイラントワームが体を引きずらせ、樹木を薙ぎ倒しながら進むことで生まれるその道は、彼が、もしくは彼女がこの森林一帯の頂点に君臨していることの証左だった。

それでも、ソレアはここでユウリにスカウトさせることを選んだ。彼が新しい仲間を迎える他に、何か目的があるのだろうか。

 

「そろそろかな」

 

花をかき分け雑草をかき分け、不自然に木々がうなだれるそこはもう、危険地帯だ。彼女の声が一段階低くなったのを感じたリーヤは、無意識に一歩、身体をユウリに寄せていた。

 

「大丈夫大丈夫、タイラントワームは来ないよ。二人は安心してスカウトしちゃって!ほら、あそこで固まってるスライムベスなんかいいんじゃない?スラっちにお見合いさせたらいい感じかもしれないよ!」

「適当なこと言わないでください!」

 

リーヤはスライムベスのように頬を赤く膨らませ反発している。そうは言っても、周囲には他の魔物もあまりいない。これだけ過ごしやすい環境のはずなのに野鳥一匹すらいないのは、かのモンスターがどれだけ一帯に影響を与えているかを物語っている。ガキ大将かリーダーか、それとも王様か。しかし、だからこそ、ソレアの心は燃えていた。

 

「よし、ここからは二人に試練を与えよう。ずばり、キャロル、スラっちと共にモンスターをスカウトしてアルカンまで戻ること!しばらくあたしは外れるから、もちろん二人で。おっと、そんな口を大きく開けながら驚いてもダメだよ。これは試練だからね」

 

それじゃと軽い挨拶をした後、木々の雑踏の奥へと彼女は消えていった。ポツンと取り残される二人、片や心細さに震え、片や背筋を伸ばして張り切っている。

 

「よーし、スラっち、キャロル、頑張るよ!イケてる子をスカウトしてソレアさんにカッコよく報告しないと!」

 

スラっちとキャロルを抱きかかえたユウリはスキップをしながらさらに奥へと進んでいった。

 

「待って、どうしてそんな物分かりがいいのよ!燃えてるのよ!ちょっと、置いてかないで!」

 

茂みから彼女を覗くモンスターに怯えながら、ユウリの影を踏んでいくのだった。

 

 

 

 

「リーヤ、あそこあそこ!ギガンテスがいるよ!あれだけ大きくても、ソレアさんならきっとスカウトしちゃうんだろうなあ」

「あ、あんなの、私たちじゃ一溜りもないわ!頼むから変な気起こさないでよね!」

 

森に潜むのはタイラントワームだけではない。例えば、数メートル先に並び立つ樹木。そこに複雑に絡み合ったツルの中にはいばらドラゴンが隠れているし、水辺ではパオームが水浴びをしている。洞窟の中には、ドラキッドの顔であるドラキーだって闇に紛れている。その雄大さは自然にあまり慣れていないリーヤはともかく、ユウリにさえ新鮮に映るはずだ。それでも恐怖することなく、怯むことなく、ただ見つめていた。

 

「僕、ここに暮らすみんなと仲良くなりたいなあ」

 

自然と相対する度に彼は言った。巨大な魔物を目にしても、鋭い牙を持ったモンスターに襲われたとしても、その発言は変わらない。そして今もこうして、輝かしい眼差しを彼らに向けている。岩場に隠れてはいるけれど、身体を精一杯前のめりにして、目を大きく開かせて。子どものような彼の行動に、リーヤも思わず笑顔を浮かべてしまった。

 

「ふふっ。ほんと、ユウリは変わらないわね」

「もちろん!きっとあのギガンテスだって、根は寂しがり屋だよ!」

「私にはそうは見えないわ。でも、ユウリが言うならそうなのかもね」

 

一歩、彼女はユウリに寄り添った。鼓膜に反響する森のざわめきも、ユウリの隣だと何も感じない。まるで二人きりの空間になってしまったかのような、そんな信頼を寄せてしまう。彼の勇気が頼もしく、美しかった。彼女にはもはや隠れる気も起きず、うとうとと彼に肩を合わせてしまっていた。

 

「ああっ!あそこ、あそこ!」

「きゃっ、び、びっくりした……。今度は何よ!もうデカいのは勘弁なんだけど……!」

「あの木の上、巣があるよ!誰の巣だろう……」

 

考え込むユウリの答えを待つまでもなく、その主は翼を光らせて巣に舞い戻った。暗黒の瞳を広げ周囲をしばらく伺っていたが、やがてその巨大な爪を折り畳み、卵を身体の中に隠し、温め始めた。

 

「あれは、ヘルコンドルだわ!」

 

図鑑片手にピシッと指を指す。鼻高々に宣言したが、ユウリはどうやらこのモンスターを知っていたようだ。思った以上の軽薄な反応に彼女は少し拗ねてしまっていた。そんなことはお構いなく、彼は観察を続ける。

 

「僕が知ってる子よりちょっと色が薄い気がする。サイズも小さいかな。大丈夫だよリーヤ、ほら、熱心に卵を温めててかわいいよ!」

「大丈夫って、何の確信があってそんなこと……。言われてみれば……、少しだけ、かわいいかも……。でもさっきの爪!鋭く尖ってて、大きくて!警戒してるしとても近寄れないわ」

 

リーヤの警告を遮るようにユウリは言った。

 

「決めた、あの子をスカウトしよう!」

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