professional of joker   作:たいたい35

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ロンダの街

「やっぱりギガスラッシュだったよね!すごかったなあ。どこで覚えさせたんだろう。今度あったら聞かないと!」

「多分また突き放されて終わりよ。あんな態度だけど、ちゃんと実力はあるのね。さすがだわ」

「リングの色見た?紫だよ紫!確かCランクを制覇すると変わるんだよね!早く僕たちも強くならないと、ね、スラっち?」

 

興奮が止まることを知らない中、ようやく村へと到着した。バットとキャロルは入り口で待っててもらうことに。スラっちを側に寄せて、砂岩や日干しレンガが新しい未知の集落へ、いよいよ足を踏み入れた。

 

「アルカンとは全然雰囲気が違うね。こんなに熱いのに活気があって、ずっと暮らしてると慣れちゃうのかな」

「バザーもやってるみたい!ねえユウリ、ちょっと見てもいい?」

「いいけど買い物はほどほどに……。行っちゃった」

 

右を見ても左を見ても、客寄せの声が止まない。民族衣装だろうか、見たことのない服装も散見される。太陽の照りつける強烈な日差しの下で、砂漠とは思えないほどの雑踏と繁盛だった。

 

「僻地なのに、とっても賑わってるんですね」

「ここは各地から商人が特産品を持ち寄り、バザーで売るんだ。本来店を出すってのは手間と金がいるんだが、そんな面倒な手続きを全部パスできる。ここのバザーは商人にとっては大海のような場所なんだ」

 

確かに、屋台を始め屋根が無く品を机に並べただけの簡易的な売場や、風呂敷を広げて座り込んでいる物売りまで様々だった。しかし並んでいる商品はどれも真新しく、薬草なんかは見たことがあるけれど、武器や防具は砂が被った屋台に不釣り合いなくらい美しく、近くで見てみるとユウリの顔は煌びやかに反射した。

 

「ここの王は競争を見るのが好きでね、夜飯の多数決に始まり、殴り合いの喧嘩や競馬、さらにアルカンの闘技場。そして、ここロンダの街のバザーで行われる資本競争。誰でも簡単に売り手に回れるから、手腕次第で大金持ち、王の大好きな競争が激化するってわけさ。その分いい品も集まってくるから街自体も潤う。よく考えてるぜ、全く」

 

馬車が一台、目の前を通った。きっとこの人も荷台には大量の商品が載っているのだろう。中身は宝石か武具防具か、それとも生活用品か、銀河の石についての情報を集めるだけの滞在予定だったが、興味が湧いてきた。遠くでリーヤが呼んでいる。あのはしゃぎ方を見ると、きっと目ぼしいものが見つかったようだ。今日も財布が軽い。フューンさんから頼まれた依頼の品、ちゃんと持ち帰らないとまずいなあ。はあ、今日のため息は大きかった。

 

「このネックレス、綺麗だわ!ねえユウリ、どっちが似合うかしら!」

「あ、えっと、どっちもかわいいと思うよ、ウン……」

 

ちらりと見えた値段にユウリが狼狽していると、老人が隣を掠った。すみません、ユウリの謝罪を無視するどころか、聞こえていないようだった。この活気にしてみれば異端で、衣服はボロボロ、顔は痩せ細り杖を持ってしても歩様が定まらない。純白のシルクのドレスに黒い斑点が生まれてしまったような、そんな異様さだった。後ろ姿は病人のようで、目が離せない。最も不思議なのは、周囲がその存在を気にも留めていないことだった。彼は本能的に目で追ってしまっていたというのに、どうして皆無視できるのか。リーヤはアクセサリに夢中で気づいていない。その老人に話を聞かなければ、心奥で何か強烈な不安が渦巻いていた。

 

「ねえ聞いてる?あ、ちょっと、待ってよ!」

 

この人混みだ、見失わないようにしないと。人混みを押し除けて後を追いかけた。急にどうしたの?彼女の言葉への返答も簡潔に、視界から今にも消えてしまいそうな、目の前の老人を尾行した。

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