professional of joker   作:たいたい35

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お前を倒す

「スライムは諦めろ。貴殿はモンスターマスターではないゆえ、魔物を操る資格はない。だが、三秒与えよう。スライムを野生に放つか、セリにかけるか、殺処分するか。好きなものを選べ」

「そんなの、考える必要なんてない」

 

ユウリは心の底から彼を軽蔑した。侮蔑にも近いかもしれない。彼とスラっちを繋ぐ何よりも強固な絆を、たかが数秒で引き裂く?冗談じゃない。何より、生きているモンスターの運命をそんな簡単に決めるこの老人には吐き気がした。心臓が押しつぶされそうなこの圧迫感も緊張も、グラスターを許さないというユウリの激情に絡め取られて消えていく。しかし、怒りで収まる範囲をとっくにオーバーしていた彼の態度は、存外クールだった。

 

「グラスター、あんたの好きにはさせない。スラっちは絶対に返してもらう」

「ほう、聡明な若造だと評価していたが間違いだったか。この程度見誤るとは、歳は取りたくないものだ。まさか一時の感情に囚われるだけのクソガキだったなど。いったい何秒無駄にしたか」

 

グラスターの表情は崩れない。崖に建設された強固な城を落とすのは難しいように、グラスターの権威は全く揺るがない。

 

「いいや、僕は二秒で答えたよ。だから残り一秒どうしようって考えた時に、浮かんだんだ」

「やはり三秒は与えすぎだったか。述べてみろ」

「今この場で試験を受けさせろ。そして、合格したらスラっちとリーヤを解放しろ!」

 

呆れて声も出ないようだった。失笑とも嘲笑とも思われる笑いが彼からこぼれた。

 

「後出しときたか。自分にはリングを手にする実力があったのだからスライムを先に使役していたとしても問題ない、そういうことか。スカウトリングとモンスターの使役、その順序が逆になっても問題ないと?クク、ククク、笑わせてくれる。どこまでも浅はかなクソガキだ。社会を知らないというのも、ここまでいくと清々しい」

「何を言ってるか分からないけど、僕だってこの期に及んで皆と同じ試験を受ける気はない。僕が受ける試験は、グラスター、お前をぶっ倒すこと」

 

「は?」当然の反応だった。どこか人を見下した視線を常によこすグラスターでも、空いた口が塞がらないようだ。しかし、聞き間違いじゃないことを確認した瞬間、顔を真っ赤にして笑い始めた。

 

「スライム一匹しか持たぬ貴殿が私に挑むと?いったいこれは何の余興だ!愉快愉快、快くてたまらない!この地位に安住してから、私の人生はさらにつまらなくなったと何度悲観したか分からないが、悪いことばかりではなかったようだ!」

 

バトルGP協会会長の大笑いが部屋中を駆け巡る。リーヤは震え上がっているが、ユウリの表情は変わらない。むしろ彼への嫌悪が沸騰直前まで迫ってきていた。「僕は本気だ」という声にも、まるで耳を傾けなかった。

 

「実に愉快だ。もうよい、いいだろう、気が変わった。あのスライムは解放してやろう。もちろん貴殿らも。試験も受けるといい。無礼も全て許す。だが、一つ条件がある」

 

大きく息を溜めて、瞳孔を開き切って言った。

 

「その言葉、ゆめゆめ忘れるな。スライム一匹では無謀ゆえ解放してやるのだ。モンスターマスターとして己を磨き続け、バトルGPを見事優勝してみせろ。その頂の暁にようやく、貴殿の言葉は、その強さは、私に届く。虚勢を証明してみせろ。愚者の戯言を玉座という蜃気楼に届かせてみせろ。さあ、話はここまでだ。あと三十分二十三秒もすれば試験は始まる。おい、この者らを連れていけ」

 

言いたいことはいくらでもあった。けれど、それらが我先にと喉を通ろうとするせいで、詰まって出てこない。そうしているうちに番兵に腕を掴まれ、強制退出させられた。

 

「バトルGPの優勝、すなわち『プロフェッショナル』の称号。モンスターマスターの最高の名誉を手にしてみせろ。そして私への活路を開け!全てを暴いてみせろ!ユウリ、なんとつまらぬ男だろうか。ああ、ようやく私の人生から無駄な時間の一切が消滅する。愉快で愉快でたまらない!なあ、お前もそう思うだろう?」

 

ギィ、ギィ、ギィ。カチ、カチ、カチ、カチ。グラスターの歪んだ視線の先、その巨大なモンスターは静かに時を刻んでいた。

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