Splatoon 赤き稲妻   作:春の日差し

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はじめの一歩、バンカラ街へ。

 ガタンガタン。

 

 電車に揺られる、イカしたインクリングを目指す若者が一人。彼女はシオカラ地方からバンカラ街へと向かっているようだ。大きな鞄を抱えながら座っている。その瞳は緊張と期待を含んでいる。今の彼女はお世辞にも決してイカした格好とは言えないがそんなことはたいした問題ではない。現在伝説の強さとも言われているインクリング達でさえ最初はイカしてなどいなかった。この少女がどんな物語を無理広げていくかは誰にも分からないのである。

 

「次はバンカラ街、バンカラ街。」

 

 電車のアナウンスが流れ少女は下車準備を始める。彼女以外にも多くの若者達が降りる準備をしているようだ。目的は皆同じだろう。キョロキョロ辺りを見回しながら少女は下車準備を終わらす。それと同時にキーッと音を立てながら電車が停車する。立ち上がりドアの前で扉が開くのを待つ。その顔から緊張は消え失せ、目の前に広がる街への期待しかなさそうだ。

 扉が開いていくにつれ、街から聞こえてくる声が少女の体を包みこんでいく。心臓の鼓動が大きくなっていき自身の体に響き渡るのが感じられるのだろう。表情は少し前と比べてもよく分かるくらいに明るい。電車からバンカラ街へと降り立つ記念すべき一歩。耳元を通り向ける風、顔に当たる街の熱気、彼女の新たな生活が始まるのだ。

 

 駅から出ると少女は左手に見えるロビーをまじまじと見つつ、カンブリアームズへと足を進める。この少女はイカしていないと門前払いをされてしまうことを知らないみたいだ。バンカラ街の洗礼を浴びる事になるだろう。カンブリアームズの前まで来ると肩から提げていた鞄を少し開け、中を確認する。その流れで扉に手をかけ入店する。店内に入るとすぐにこの店の主人であるブキチが声をかけてくる。

 「いらっしゃいやし~!本日はどんなご用件でしか?」

 少女はそう言われると鞄からとある武器を取り出しながら聞く。

「このブキって現在の試合で使えますか…?」

 ブキチはそのブキを見ると少し驚いた顔をする。

「これは珍しいものを持ってきたでしね……ボールドマーカー7、しかも初期モデル。」

「そ、そうです。昔姉から譲ってもらってずっと大切に保管してたこれを使いたいなと思っていて……」

 少女はブキチの返答を不安げに待つ。

 

「使えるには使えるでし。確かに以前はスペシャルウェポンの総入れ替えがあって暫くは使えなかったんでし。でしが今は新たなスペシャルウェポンのウルトラショットなどと以前のスペシャルウェポンのマルチミサイルなどが混在している状態なんでし。そのようなルールになる過程で、実はひっそりと最初期のスペシャルウェポンのスーパーショットなども使えるようになったんでし。だからその『ボールドマーカー7 Ver.1』と呼ぶ事の出来る初期モデルも今はバトルで使用することが出来るんでし!最初期のスペシャルウェポンはすべて強力なものなのでしが、今は使ってるイカしたヤツはほとんどいないでし。なぜなら、インクリングやオクタリング達は流行に敏感なんでし。新しいルールとなり、新ルールに合わせて販売し直されるブキを買うためにみんな古いブキを全部リサイクルに出すんでし。リサイクルに出せば出した個数と同じ回数、ブキ買うときに割引されるんでし。だからほとんどのみんなは古いブキは持ってないんでし。キミみたいなインクリングは珍しいんでし。」

 

 ブキチは長い長い説明を終える。少女は大切にしてきた自慢の『ボールドマーカー7 Ver1』を使用できるとわかり安心しているようだ。ブキチはそわそわしながら少女に聞く。

「そのブキの解説、してもいいでしか?」

 少女はすぐに答える。

「あ、はい!お願いします!」

 その返事を聞くとブキチはすぐに解説を始めた

 

 

「――かわいがってほしいでし!」

 2回目の長い解説を聞き終わる。

「ところで他のブキはどうでしか?……ってキミ、ランク1なんでしね。他の僕のブキもかわいがって欲しいでしが、さすがに経験が足りなすぎでし。ナワバリバトルを何回かやってランク2を超えたらまたここに来てブキを見て欲しいでし。」

 少女はそう言われると支度をする。

「いろいろと教えていただきありがとうございました!この子で戦ってきます!」

 ブキチにそう告げるとカンブリアームズから退店し、少女はロビーへ向かうため広場の階段を上り始めるのだった。

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