彼岸花は燃えているか…?   作:ローマン

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 この前、カリオストロの城リバイバル上映に行ってきました!

 名作はやはり色褪せませんね!!

 通常版での鑑賞だったので、最後に来年のルパン映画の特報ロングPVを観られましたが、ルパンvs複製人間に繋がる物語とのことなので今から楽しみです!

 それでは本編どうぞ!!








心臓の在処

 

 

 

 〜サンマリノの大病院〜

 

 

 

 

たきな「千束、大丈夫でしょうか……?」

 

次元「さぁな、だがこのままじゃ千束のクローンの命は危ういだろうしな。」

 

 

 

 ライオットの屋敷での一件から数日、千束たちはレベッカが手配してくれた病院でクローン2人を治療してもらっていた

 

 クローンたきなはその後持ち直したのだが、クローン千束の方はオリジナルの千束と同じく先天性心疾患があり、危篤な状態が続いていた

 

 しかし、千束の人口心臓はアラン機関が開発した数世代先の技術のため、代わりになる人口心臓が存在していない

 

 そして今も病魔に苦しむクローン千束を、オリジナルの千束が病室に付きっきりで見守っている

 

 いつもは明るい千束の珍しく曇った表情を見て、たきなは不安になっていたのだった

 

 

 

レベッカ「たきなちゃん、あなたのクローンの検査結果が出たわよ。」

 

たきな「どうでしたか……?」

 

レベッカ「健康上の問題は無しね。」

 

たきな「それは良かったです。」

 

レベッカ「けど、あの子はたきなちゃんのクローンよ? これからどうするつもりなの?」

 

たきな「どうするって……?」

 

次元「あのクローンを生かすか殺すかってことだ。」

 

たきな「そ、それは……!」

 

 

 

 よくよく考えれば、千束とたきなのクローンはマッド博士の手によって生み出された実験体

 

 彼女たちが生み出された目的はライオットが世界を支配しようという野望を叶える為であり、今となっては残されたクローンに存在意義などは無い

 

 だが、たきなの心にはどうしても拭いきれない思いがあった

 

 

 

たきな「あの2人の時間を奪うことはしたくありません……目的がどうであれ、2人が生まれてきたことは悪いことじゃないはずです!」

 

 

 

 たきなは、自分のクローンが怯えた目で銃を構えていたのを思い出す

 

 きっと引き金を引くのが怖かったんだ、本当はそんなこと望んでいなかったのだと理解していた

 

 だからこそ、2人の時間を奪うという行為は出来ないと断言したのだ

 

 

 

次元「お前さんも千束に似てきたな。」

 

たきな「え?」

 

レベッカ「たきなちゃんは分かってるかもしれないけど、あの子しっかりドクターの言うことも聞いてくれてるの、きっと根は真面目なのね。」

 

たきな「それって……!」

 

レベッカ「大丈夫、クローンちゃんたちは千束ちゃんとたきなちゃんに育ててもらうから!」

 

たきな「はい!!……って、育てる?」

 

レベッカ「だってそういう意味じゃない? 私に子育ては出来ないし、ルパンたちに預ける訳にもいかないでしょ?」

 

たきな「確かに……」

 

 

 

 その時、たきなの眼に一筋の光が差した

 

 よそよそしい足取りでこちらへ歩いてくる1人の少女

 

 そう、クローンたきなである

 

 クローンたきなはレベッカの後ろに隠れ、ひょこっと顔を出す

 

 

 

クローンたきな「えっと……」

 

たきな「……ここまでよく頑張りましたね、偉い偉い……」

 

 

 

 たきなは自身のクローンに対して、そっと頭を撫でる

 

 クローンたきなは目を細めて、たきなの手の温もりを感じているようだった

 

 その様子は、本物の姉妹の戯れそのものだった

 

 

 

レベッカ「あなたにとっては姉のような存在よ。」

 

クローンたきな「じゃあ、お姉ちゃん……?」

 

たきな「……」

 

 

 

 その時、たきなの心は何かに撃ち抜かれたような衝撃が走った

 

 心の奥に秘められていた本能が刺激され、彼女を護りたい感情が爆発した

 

 

 

たきな「レベッカさん、彼女は私が護ります。」

 

レベッカ「え、何何? 新手の告白?」

 

次元「こりゃ、クローンに一本取られちまったな。」

 

クローンたきな「……?」

 

 

 

 幼い顔立ちで頭をコテンと傾げるクローンたきなを前に、たきなは彼女を絶対に守り抜くと心に誓うのだった

 

 

 

レベッカ「そういえば、この子の名前は決めたの?」

 

たきな「名前ですか?」

 

次元「たきなが2人いるとややこしいだろ? 折角だから名前でも付けてやったらどうだ?」

 

たきな「別に、名前は付けなくてもいいと思いますけど……」

 

 

 

 

 

_______________________________________

イメージBGM

炎のたからもの バリエーションⅠ

大野雄二

(ルパン三世 カリオストロの城 サウンドトラックBGM集より)

 

 

 

 

 〜病室〜

 

 

 

 

千束「……」

 

 

 

 一方、千束は自らのクローンが入院している病室に居た

 

 クローン千束には沢山の機械が繋がれ、その病状は徐々に深刻なものへと変化していた

 

 

 

ニクス「失礼、様子はどうだ?」

 

千束「ニクスさん……あまり状態は良くないかもね。」

 

ニクス「君はアラン機関の人口心臓で生き延びたそうだな。」

 

千束「うん、でももう代わりになる心臓は無いからさ……」

 

ニクス「そうか……」

 

 

 

 千束の瞳からは涙が流れていた

 

 いつも元気な彼女は、想像できないくらいの痛みを抱えていたのだ

 

 

 

千束「そうだ、私の心臓を……!」

 

ニクス「早まるな、そんなことをしたら……!」

 

千束「じゃあ、どうすればこの子を助けられるの!?」

 

ニクス「それは……」

 

 

 

 そんなこと、ニクスには軽々と答えられなかった

 

 自分にも娘がいる立場上、千束の気持ちも分からないことはない

 

 しかし今の技術では彼女を救えないという残酷な壁が立ち塞がっているため、かける言葉が見つからなかった

 

 

 

ニクス「見張りを変わろう、だいぶ疲れてるんじゃないのか?」

 

千束「いい、私が見てる……」

 

ニクス「……そうか、くれぐれも無理はしないようにな。」

 

ルパン「……千束、入るぜ?」

 

 

 

 そんなニクスと入れ替わって病室に入って来たのは、ルパンだった

 

 

 

千束「ルパンさん……」

 

ルパン「どうしちまったんだよ? いつもの千束らしくないぜ?」

 

千束「だって……このままじゃこの子が……っ!」

 

 

 

 俯いた千束の瞳からは大粒の涙が溢れていた

 

 ルパンは何も言わずに、その様子を見守っている

 

 その時、千束はルパンの手にスーツケースが握られているのに気が付いた

 

 

 

千束「それは……?」

 

ルパン「俺からのささやかなプレゼントさ、依頼を受けてくれたお礼の気持ちにな。」

 

千束「そう……」

 

ルパン「それがあれば、その子を救えるかもしれないぜ。」

 

千束「救えるって……もうこの子を助けられる人は居ないかもしれないんだよ……?」

 

ルパン「……」

 

 

 

 千束は、ルパンがお礼の品として持ってきたものを受け取ろうとしない

 

 そんな彼女の様子を見て、ルパンはポケットに手を突っ込み病室を歩き始める

 

 

 

ルパン「あぁ何ということだ……女の子は悪い魔法の力は信じるのに、泥棒の力は信じようとはしなかった!」

 

千束「……」

 

 

 

 ルパンは悲劇の主人公のように振る舞い、千束を勇気づけようとした

 

 しかし、千束の表情は暗いままである

 

 

 

ルパン「……ん……んんっ……! ぬぁ〜っ……!」

 

千束「……?」

 

 

 

 突然、ルパンは右手に拳を作ると、そのまま千束の前まで持っていく

 

 そしてポンという音を立てると、手のひらから小さな彼岸花を取り出した

 

 

 

ルパン「千束、諦めるには早いぜ?」

 

千束「どういうこと……?」

 

ルパン「そのスーツケースに人口心臓が入ってる、それを使えばこの子は救えるぜ。」

 

千束「でも、私にも入ってるこの人口心臓はアラン機関の技術じゃなきゃ……」

 

ルパン「そのアラン機関から、この人口心臓を盗んできたんだよ。」

 

千束「……今、何て……?」

 

ルパン「だからよ、千束と同じ人工心臓をアラン機関から頂いてきたんだよ。」

 

千束「えっ……ええ〜〜っ!!?」

 

 

 

 その日、病室には千束の声が大きくこだましたのであった

 

 

 

 

 

 







 後半のルパンと千束のシーンは、前書きでも書いたカリオストロの城をパロディするという展開に急遽書き換えてます(例のクラリスとのシーン)

 リコリコ本編にルパンが登場していたらありえた展開かもしれないですね

 本編でクローンネタやってる時にルパン公式からルパンvs複製人間に繋がる映画の情報が公開されて、かなりタイムリーだなと笑

 そしてアラン機関に関しては謎な部分が多いので独自設定となりますが、まぁルパンなら人口心臓を盗み出すのも可能なんじゃないかなと考え、ラストの展開はあんな感じにしてみました

 最後に、次回で第3章の物語が完結します

 お楽しみに!!





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