呪い、呪われ、覚り、覚られ   作:謎の通行人 δ

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短いです。


顔合わせ

「ん、?なんか人増えてね?」

「あっ、もしかして…」

廃ビルから虎杖と釘崎が出てきた。

と、二人の反応からあらかた察した覚中は手を揃えてお辞儀をする。

 

「もうある程度聞いてたのかな。じゃあ改めて、覚中心音です。呪術がどうとかは悟と傑のほうが適任だから、主には普通科目を教えることになるけど、よろしくね。あと、一応先生ではあるけど普通にさん付けとかでいいよ」

 

「うっす!」

「覚中さん、ね…いや、まともね。五条先生の後に見るとなんか逆に怖く感じてくるわ」

ビシッ!と礼をする虎杖の隣で一瞬眉をひそめる釘崎。

そう言われて、覚中は苦笑いしながら付け足す。

 

「あはは…よく()()()とは言われるけど、正直この界隈で本当にまともな人なんてそういないよ。私も他の人も、大体どこか狂ってないと呪術師なんてやってられないし。まあ稀に、なら本当にまともな人もいるけどね」

脳裏に京都校の生徒である水色の髪の子や、金髪に眼鏡をかけた後輩を思い浮かべつつ。

 

「覚中先生でまともじゃなかったら五条先生と夏油先生なんかは本当に狂人超えて人外ですよ」

 

「ねえ傑、さっきから僕の無下限超えてブッスブス攻撃が刺さってる気がするの気のせい?」

「奇遇だね、私も呪霊の防御機構を乗り越えて胸が貫かれてる感覚に襲われてるよ」

教え子に散々言われている完全な馬鹿二人はとりあえず置いておくとする。

 

 

 

 

 

──

 

 

 

 

 

「じゃあ全員揃ったことだし、ご飯を食べに行きましょー!」

ケロッとテンションを直して五条が言うと、また虎杖と釘崎が目を輝かせる。

が、どうやらステーキを食べたい虎杖とお寿司を食べたい釘崎で意見が食い違ってしまっているようで、結局じゃんけんをすることになって虎杖が勝ち、ステーキを食べに行くことになった。

 

「まあ、お寿司もまた今度連れて行ってあげるから、ね?」

 

「待って、覚中さん本当に優しすぎてやばい」

 

「…一応言っとくが、覚中さんだけは絶対に怒らせないほうが良いぞ」

 

「?」

感動したのか片手で両目を覆う釘崎を横目に、一応な、とだけ付け足して伏黒が前を向くが、虎杖と釘崎は何のことだか分かっていない。

覚中は「うん?」と伏黒の方を見る。

そこで、さ+すの二人が声を上げた。

 

「あーそうそう。心音が怒るのは本当に怖いよねぇ。僕でもあの状態の心音とはやり合いたくないよ」

「正直あの心音は近くにいるだけで呪力の余波が強すぎて吹き飛ばされそうになるからね。それに…ね?」

??となっている虎杖と釘崎の後ろでフッ、と覚中が消えた。

 

「二人共、ちょっと余計な所まで話しすぎ」

ぺし、と肩をはたいて言葉を途切れさせる。

まあ、過去に本当に数回キレたことがあるのだが、本当にヤバかったのだ。闇落ちサマーオイルもびっくりなキレ方した。

 

「というか、()()は伏黒君の前では使ってないし、見たことないはずだから知らないはずでしょ?何で知ってるの?」

 

「五条先生と夏油先生が話してましたよ」

 

「ちょ、恵」

静止しようとした五条の声も虚しく、ふーん、という声と同時にその隣でぱちん、と小さく呪力が弾けた。

 

「よし、二人には後で話を聞こうか」

 

「待ってほんとに違うって待って」

 

「まあまあ、言い訳はその時聞くから。ね?」

ユラ、と呪力が上った。

笑顔ではあるのだが、なんか目の辺りに影がかかっている。

この後呪術高専のグラウンドにて、特級術師二人を正座させたまま術式を使って尋問を行い、木の棒でペシペシ叩きながら説教をする二級術師とかいう面白いを超えてむしろちょっと怖い風景が流れたとかなんとか。

 

 

───《閑話》───

ステーキ店にて、ステーキを取り合う五条と夏油を尻目に、伏黒の隣の席になった虎杖は少し気になったことを聞いてみることにした。

 

「なあ伏黒、覚中さんがブチギレたことあるってマジ?」

 

「マジらしいぞ、俺も見てないから二人から聞いただけだけどな。…正直想像がつかねぇ」

油ものが得意でないため生姜焼きを注文して食べながら五条と夏油を叩く覚中を横目で見つつ、首を振って右手を目頭に置く伏黒。

普段はたまに少し楽しむ程度に落ち着いており、何か失敗をしても軽く済むものなら笑ってフォローをしてくれたり、呪力の扱い方も笑顔で教えてくれたりと基本笑っているイメージしか無い覚中が、何をしたらそんなにキレるのかも分からないし、そもそもイメージが湧かない。

 

「まじでそれ。…どんなキレ方したんだ?」

同様に感じた虎杖が聞くが…

 

「言うと俺が叱られる。本人も広めてほしくないみたいだし、嫌がることするわけにいかねぇだろ」

伏黒は片目で虎杖を一瞥して言う。

 

「それは…うん、そうだな」

こっそりと頭の中で自分が鬼の形相になった覚中にぶん殴られる想像をする虎杖。

実際はそんな感じではないのだが、想像はするだけでもブルッと来た。

 

「…っていうか、覚中先生の等級っていくつなの。やっぱ五条先生達とタメ張ってるってことは特級?」

 

「二級だ。そもそも特級は等級として()()()()として認定された時につけられる物だから、また微妙に別枠なんだよ」

軽く説明もしつつ答えると、虎杖は五条から聞いた情報と照らし合わせてまた聞く。

 

「あれ、伏黒も二級じゃなかったっけ?」

 

「ああ、書面上は先生も二級だよ。審査のたびに呪力めっちゃカットして、高専時代からわざと落ち続けてるらしい」

伏黒から貰ったその返事から、謎としか言えないその事実に虎杖の頭の上に?が出てくる。

 

「えぇ?何でまたそんな」

 

「死にたくないから、だってさ。まあそもそも、あの人戦闘に向いたような性格してねぇからな」

等級が上がると派遣される件数もレベルも跳ね上がるからな、と付け加えて伏黒はお茶に口をつける。

 

「なるほどなー…そういう所の感性とか、やっぱまともだな」

 

「まあそれはそれで、呪術師になった理由が「まだ子供みたいな子達が死ぬのは嫌だから」っていう物らしいから、(ただ)しく狂ってるって言ったほうが良いのかもな」

正直普通あそこまで実力持ってて自分のために使わないの中々だぞ、と聞いて、そういう物かと納得する虎杖だった。

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