内容も思い浮かばない…
これがスランプってやつですかね…?投稿し始めて二週間位しか経ってないんですが。
「……?」
ゆっくりと目を開く。
嫌な夢を見て、少し背中が汗ばんでいる。
単調な柄の天井が見えて…視界の端に、見覚えのある顔が入った。
「や、起きたかい」
声に少し驚いたのか若干目を見開くのは目の下に隈を作った同期生、家入だ。
そしてここは呪術高専の要である保健室。反転術式を他人に付与できる数少ない術師であり、(ちょっとズルをして)医師免許を取得した家入が駐屯している心臓部である。
警備もそれなりにちゃんとしており、まずこの所在地は地下にある。そして常に周囲を二級以上の術師が三人以上で見回っており、万が一の場合は保健室内に「特級呼び出しボタン」なる物があり、最悪の場合、任務中であってもこちらを優先させて五条と夏油を駆り出せる。
覚中の案である。無論二人に許可は取ってある。
「うなされてたみたいだけど、大丈夫かい?」
「あぁ…ちょっと嫌な夢を。ってそうだ、悠仁君は…」
頭に手を置き、少し首を振っているとふと思い出したように家入の方を向く。
「彼なら無事だよ。全く…無茶するね、あの宿儺とやり合うなんて」
「やりたくてやったんじゃないんだけどなぁ…何か大変な事とかなってなかった?」
想像できるのはまだ宿儺の自我が多少残っていて、主導権がまた引き戻されそうになるようなこと。
が、そんな事はならなかったらしく。
「強いて言うなら五条と夏油がキレかけてたよ。上の連中全員殺してしまおうか、だってさ。あと伊地知君が五条にマジビンタ宣告されてたよ」
前半を聞いて納得しかけ、後半を聞いた瞬間に後で伊地知君に何かあげよう…と頭を抱える。
何やってんの悟…とぼやく覚中を前に家入はふふ、と笑う。
「苦労が絶えなさそうだね」
「ほんとに、悟と傑には振り回されてるよ。でも硝子もでしょ?」
「まあね…二十四時間三百六十五日、いつでも何十人の怪我人が来るからねぇ、おかげでまともに寝れる日が少ないよ。私も心音みたいにショートスリーパーならねぇ」
「あはは…」
実は覚中はかなりのショートスリーパーで、一日二時間も寝れば日中通常のテンションで乗り切れるのだとか。
どんな休み方してるんだろうか。
「…で、あの呪胎の件は上からの嫌がらせってことで完結したの?」
「ああ。ついでに、しばらくの間虎杖悠仁を
「えっ、なんで」
復帰しないの?と聞くと、家入は小さくため息を付いて答える。
「そろそろ交流会があるだろう?乙骨が外国に行ってていないから、その代わりに一年が代打。それまでに仕上げるって悟がね」
「ほぇー…大変だねぇ」
「多分あの感じだとそのうち、呪力操作とかの方で心音にも教えてやれって言われるかもね」
突然振られた話題に、えっ、となりつつ覚中も少しため息をつく。
「私もかぁ…私結構感覚派だからなぁ」
「感覚でそこまでできるの、それはそれで凄いけどね」
反転術式のアウトプットなんてそうそう出来ることじゃないよ、と笑いつつ、手の中で震えた携帯に目を落として小さく肩をすくめる。そこには、五条からの言伝が。
「んで、悟からの連絡だよ。「心音が起きたら伝えてー、地下室に悠仁がいるからちょっと見てあげてよ」ってさ」
「早くも教えてやれって言われちゃったじゃん」
かもねじゃなくなっちゃったよこれ、と言うと、そうとも取れる、と返される。
そうとしか取れない気がする。
「まあ今日のところは通常座学が取っ払われて交流会に向けた一日特訓になってるみたいだし、様子を見に行ってみたらどうだい。元々怪我が原因の休みじゃないし、無理しなかったら普段通りしていいよ」
「…そうだね。ちょっと心配なところはあるし、行ってみるよ。ありがと、硝子」
「まーまー。普段こうして話すことも少ないからね、たまには息抜きできて私もラッキーさ」
二人共は向き合って小さく笑う。
それから覚中は手を振って保健室を出、一度長めの階段を上がって別の階段を下に降りる。
半分収容室みたいな感じにも見える無機質な階段を降りていくと、下の部屋から明かりが漏れていた。
やけに冷たいドアノブをひねってドアを開ける。
「うおっ?あ、覚中先ヘブッ」
で、そこにはクマ(?)の人形に顔面をパンチされながら映画を見ている虎杖がいた。
…うん?
「えーと、元気そうで良かった…?」
元気…?いやその人形何?と一瞬思うが、その人形の作られ方のクセが、作り主を夜蛾だと教えていた。
絶妙な癖のある顔である。
「いや覚中さんの方こそっすよ。倒れてたって聞いてましたけど、大丈夫なんすか?」
「もう大丈夫だよ。ちょっと久しぶりに全力出して体が反動食らっちゃったみたいでね。定期的に使っとかないと錆びつくからなぁ…」
呪力の許容量は人によって大体決められている。
一応縛りによって一時的に上げることは可能だが、その上昇率があまりに高いと体が耐えきれなくなってしまい、今回みたいなことになるのだという。
「へぇ「何だ小僧、人が来たなら起こさんか」ペチン!」
と、急に虎杖の手の甲に口が現れて喋った。
それを条件反射的に反対の手で叩いて潰す。
「あー悪ぃ、急に出てくんだわ、こいつ」
「宿儺かぁ」
厄介なもの抱えたよねぇと小さく笑いながら言う。と、その叩いた方の手の甲に口が現れる。
「全く、気の利かぬ奴め。俺は暇なのだ、こんな事せずとも呪力操作程度できろ」
「無茶言うなよお前…俺、お前飲んでから初めて呪力持ったんだから数日やそこらで扱える訳ねーだろ」
「フン、ならそこの覚中心音にでも聞いてみろ。認めるのは癪だが呪力操作という点では俺より上手い」
「…えっ」
信じられないといったように虎杖は覚中の方を見る。
覚中は顔を覆って少し項垂れる。
「…呪力云々はあんまり教えるのは得意じゃないんだけど」
「よく言う。自由に黒閃の打てる術師など千年前にも居なかったぞ」
???と虎杖は何の話をしているのかと手の甲の口と覚中を見比べている。
「えーっと、じゃあ覚中さんお願いしゃす」
そう頼まれ、うーん…と少し唸る。自分の呪力を操る意識に集中し、自分がどんな感覚で呪力を操っているのか、自分の意識に問いかけてみる。
「……そうだね、感覚的な話にはなっちゃうけど…呪力は負の感情から産まれるものっていうのは聞いてる?」
「あーなんか伏黒から」
悟教えてないの…?と一瞬思ったが、とりあえず後で問い詰めるとして話を進める。
「そう。で、その負の感情…嫌な記憶とかは呪力のタンクみたいになる感じなんだ。で、それをこの…おへその辺りに飼っておいて、そこから心臓にエネルギーを流して、それを腕とか手足に流していく。で、呪力が終着点に付いたら手とか足から少しずつ漏れていって、それを膜みたいに体に纏う感じ…かな?…分かりづらいなこれ」
正直、人によって感覚は変わるから、参考程度にしておいて後はやって慣れるほうが良いかも、と付け足して悩む。
あいにく、読心操術でも人の無意識に干渉するのはまだ無理だ。その内できるかもしれないが、少なくとも今はまだできない。
「あーなるほど、ちょっとわかった気がする」
「そう?伝わったなら良かった」
正直ほんとにあれで伝わるのか…とは思ったが、伝わったなら何でも良いだろう。
「それにしても…そういや黒閃ってなんすか?術式とか呪力とかの違いは五条先生に教えてもらったんすけど」
そう聞かれて、あぁ、と答える。
「黒閃っていうのは、打撃と呪力が0.000001秒以内の間隔で衝突した時に起こる現象のこと。打撃の威力が大体平均して2.5乗されるっていうね」
まあ基本的にはロマン技みたいなやつだよ、というとそれ狙って出せるんすか、と聞かれた。
「まあ、集中すればね。そうだな…お、」
と、何故か絞り上げられたみたいになってるジュースの缶を発見し、それを取る。そして、パチンと指で弾く。カコン、と鳴った缶は地面に落ちる。
「これが普通の打撃。まあ普通の「呪力を込めた攻撃」だね。で、こっちが…」
缶を再び拾って目を閉じ、息を整える。
指先に薄く、薄く呪力の膜を貼り、指の中で力を貯める。
──黒閃
バチィィッ!と音がして空き缶がはね飛ぶ。
同時に周囲に黒い雷のような模様が走る。
「これが黒閃。黒い呪力が弾けたでしょ?だから黒閃って言われてる」
と、ほわあぁぁ、と虎杖の目が輝く。
「すっげ!俺、俺にもできるかな!」
「まずは呪力を安定させてからだね。ほら、その子起きるよ」
「うおっと」
どうやら呪力の波が安定しないと起きる呪骸っぽいな、と判断して言ってみるとビンゴだった。
「まあまずは自分を呪力にならすところからだね」
「うっす!」
と、そうビシッと返事をする虎杖。
で、そこから少しの間覚中も虎杖の後ろで映画を見ていると。
「やっほー!ってあれ、心音いたの」
「あぁ悟。どしたの」
「五条先生」
「うんうん、驚かせても呪骸が起きないね。そろそろ次のステップに進んでも良さそう…だけど、その前に」
しししっ、と笑って五条は白い歯を見せながら言った。
「これからちょっと課外授業だ。呪術の極致、領域展開について教えてあげるよ」