呪い、呪われ、覚り、覚られ   作:謎の通行人 δ

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すみません…本当に話が浮かんでこないので少し休みます…


最強たる所以

「はいとうちゃーく」

おかしいなぁ。

さっきまで高専で虎杖の呪力の扱いの練習を見ていたはずだったのだが、次の瞬間には池の上。

まあ無下限呪術の「蒼」を使った瞬間移動なのだろうが、あらかじめ身構えてないとかなり驚く。本当に一瞬で背景が変わるから。

 

「は!?ここどこ!?っていうか水の上立ってる!?」

 

「悟、なんで私まで…って、あれ特級じゃないの?」

混乱する虎杖の隣でため息をつく覚中は向こうにいる山のような頭に1つ目の呪霊を見つけて聞く。

…まあ、なんか既にボッコボコなのだが。

 

「そ、未確認の特級呪霊」

 

「富士山!頭富士山!?」

 

「なんだそいつらは…盾か?」

呪霊は少ししわがれた、おじいちゃんのような声で喋った。

もう一度に大量の情報が錯綜している状況に虎杖が叫んでいる間に、五条は話を進める。

 

「いや?見学の虎杖悠仁くんと同期の覚中心音さんでーーす、拍手ー!」

パチパチー、と手をたたきながら頭を覚中に叩かれる五条を見つつ、頭富士山の特級呪霊…漏醐(じょうご)は考える。

 

「(宿儺の器…まさか考えを先読みされたか?それにあの覚中心音と言われておった術師…隠してはおるが呪力の量が半端ではない…)」

にい、とあえて口角を上げ、嘲笑うように目を大きく開いて漏醐は五条にいう。

 

「自ら足手まといを連れてくるとは…愚かだな」

それを聞いた五条は負けじとバカにしてような感じをより色濃く出して漏醐に言い放つ。

 

「はは、大丈夫でしょ。だって君………弱いもぉん

その瞬間、明らかに雰囲気が変わった。

いち早くその変化を読み取った覚中は呪力を放出して虎杖を守るように壁を作る。

一手遅れて漏醐の頭頂部と、栓の抜けた耳(?)からとてつもない勢いで溶岩が吹き溢れる。

 

「舐めるなよ小童がァ!!」

 

「バカ悟!あれどう見ても弱くはないでしょ!そもそも呪霊が喋れてる時点で異常事態だし!というかああいうタイプの火に油注がないで!!」

 

「良かったじゃん特級ー、心音からも強いって言ってもらえたねぇ、ねえねえ今どんな気分ー?」

 

「話を聞けぇ!」

こいつほんとに後でしばくと思いつつ、覚中は漏醐の方から目を離さない。

同時に虎杖の方にも気をかけておく。

と、漏醐は両手の指を絡めて顔の前で印を結び、一言、宣言する。

 

「領域展開───」

その宣言と同時に、周囲が岩肌で覆われる。

咄嗟に覚中は呪力を張り巡らせ、防御膜を構築する。

 

「悠仁君、離れないで」

 

「う、うっす」

結界で外界と完全に遮断された世界の中で溶岩が溢れ出し、あっという間に火山の内部のような風景に様変わりする。

 

「──────蓋棺鉄囲山(がいかんてっちせん)

 

「うおっ、あっつ!」

と、急激な加熱に驚いたのか虎杖はのけぞり、その時に一瞬腕が安全帯から出てしまい、思いっきり腕を振る。

 

「これが領域展開、術式を付与した生得領域を呪力で周囲に構築するものさ」

 

「ちなみに、悠仁君達が少年院で見たのも領域だよ。完成はされてなくて術式は付与されてなかったけど、もし完成してたら…一年生全員死んでたかも」

 

「うへっ…そう考えると俺たちかなり運良かったんだな」

本来、並の術師なら入った瞬間に焼ききれるような領域内で平然と話をしている三人を見て、漏醐は少しだけ評価を上方修正する。

と、五条は飛来してきた隕石のようなものを弾いて叩き落とす。

 

「で、だけど…まず。領域内では術師の力が底上げされる。ゲームのバフみたいなもんだね。そして領域内で発動し、付与された術式は今みたいに絶対当たる」

 

「絶対!?」

 

「ずぅぅぇぇぇったい!」

慌てる虎杖を横目に、五条は少しふっと笑って覚中の方を向く。

 

「でも安心して、対処法もいくつかある。ということで覚中先生に教えてもらいましょー!」

 

「こっちに振るのね…まあ良いけど。一つはさっき悟がやったみたいに、呪術で受ける。または簡易領域とかそういう、()()()()()()()()()技を使って耐え忍ぶ」

 

「えっ、これ逃げられないんすか!?」

 

「うーん、できなくはないけど、現実的じゃないね。領域は結界で包んだ中に生得領域を呪力で描くのがセオリーなんだけど、その結界は主に()()()()()()()()()()()()力が強いから」

まあ一応稀に例外はあるけど、と付け足して顔の方に飛んできた小さめの隕石を首を振って回避して見せると、隕石は軌道を変えて覚中を追尾する。

 

「ね、」

そう言ってから呪力で強化した拳でそれを粉々に砕く。

 

「うんうん、あと一つは?」

と、腕を組んで頷きながら五条が覚中の方を覗き込むと、彼女は小さくため息を付いて答える。

 

「どーせ今からやるんでしょ。悠仁君、二回目だけど私か悟、どっちかから絶対に離れないように。今度は本当に廃人になっても知らないよ」

 

「え゙っ」

その言葉にビビったのかスススーっと五条の隣にちょこんと位置を取る虎杖。

 

「ふふ、そうだね。領域展開に対する最適な対抗策は、こっちも領域を展開する事なんだ。心音、準備」

 

「はいはい」

短く応酬すると五条は黒いアイマスクをゆっくりと外し、その碧眼、六眼を顕にし、顔の前で、左手の人差し指と中指を絡めて印を作る。

覚中は呪力の防壁をよりいっそう強く持つ。

 

「領域展開、」

その瞬間に、漏醐の領域にヒビが入った。

 

無量空処(むりょうくうしょ)

その瞬間に火山の内部を象ったような領域は、宇宙のような澄んだ領域に塗りつぶされた。

同時に、漏醐は一切の動きを停止させた。

五条はその頭を片手で掴み、領域の説明を始める。

 

「ここは無下限の内側。知覚、伝達、生きるという行為に無限回の作業を強制する。…皮肉だよね、全てを与えられると何もできずに緩やかに死ぬなんて」

ちなみに虎杖は五条の隣で周りを見回しており、覚中は莫大な呪力出力で身を守っていた。

領域内では敵味方関係なく術式が発動してしまうからだ。

 

「でも、君には聞きたいことがあるからこの位で勘弁してあげる」

その瞬間、五条は漏醐の首に術式を発動し、頭を無理やり千切り取って放り投げた。

同時に領域の結界が解け、地面に転がった頭を踏みつけた。

碧眼が、漏醐を見据えていた。

 

「さて…お前って仲間とかいるの?」

ゴロゴロと漏醐の頭を足で雑に転がしながら五条は聞く。

が、漏醐は口を開かない。

まあどちらかというと無量空処のせいでスタンしているとも取れるのだが。

 

「…ま、ここには()()()()()の専門家がいるし、バトンタッチしようか」

と、その言葉に虎杖が「?」となっている隣で覚中が動いた。

 

「別に専門家じゃないんだけど」

 

「でもそういうの向きの術式でしょ?」

 

「はぁ…はいはい。えーと、仲間は五人。彼は大地への恐怖から生まれた呪霊で、他は人に対する憎悪の呪霊、水に対する恐怖の呪霊と草木に対する恐怖…というよりこれは畏怖かな。まあそっち系の呪霊。あと…呪詛師が一人ね。名前はそれぞれ…漏醐、真人(まひと)陀艮(だごん)花御(はなみ)荘士(そうし)…ね」

理由も分からぬまま、赤く目を光らせた彼女の口から詳細が事細かに語られていく。

…一瞬嫌な記憶が蘇りかけたのを抑えておく。

 

「うーん、顔まではわからないなぁ…見たら分かるのかも知れないけど、意外と映像記憶って曖昧だからなぁ…」

うーんと顎に指を置きながら、そうだ、と思いつく。

 

「じゃあ仲間たちは何処にいる?…えっと、上?」

その瞬間。空から一本の花が落ちてきた。

同時に周辺が花畑に変わる。

 

「っ!?悟!足退けて!」

が、そのとっさの判断は間に合わず、一瞬頭の中もお花畑になった五条と虎杖の隣を一体の呪霊が通り過ぎ、その首を取り去っていった。

パチン、と二人の頬を叩いて正気を取り戻させて覚中は術式を作用させる。

 

「忌忌!」

が、一歩間に合わずその呪霊は跡形もなく消えてしまった。

後ろを見るといつの間にか虎杖が謎の植物の呪霊に捕まっており、それを呪力を飛ばして引きちぎる。

 

「お、」

 

「逃げられた。逃げ足も速いし気配を消すのが上手いみたい」

 

「なるほど、ね…まあでもおかげである程度の情報は掴めた。今のが例の草花に対する呪霊、花御…だっけ?それだろうね」

ふー…と息を吐き、五条はボソリと呟く。

 

「あのレベルの呪霊が徒党を組んでるのか。…面白くなりそうだ」

不敵に笑ったその顔を見て、やれやれ、と首をふる覚中であった。




五条「そういやよくあれに反応できたね。交戦意欲を阻害する呪術でも使われてたっぽかったけど」

覚中「まあ…私精神干渉系の攻撃効かないし。術式で常に自分の心を一定に保ってるからね」

虎杖「???」
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