呪い、呪われ、覚り、覚られ   作:謎の通行人 δ

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本当に申し訳ありません。勉強不足でした。
よくよく考えたら覚中さん領域使えないことがわかったので、設定と色んなところを改変してきました。

この連絡のために昨日一日頭をひねって話を稔出してます。雑なところがあるかもしれませんがご容赦を。

誤字報告ありがとうございます。


少年

「えーと、で…?」

 

「はい、特訓に付き合ってもらいたいんです」

また別日。

職員室にて作業をしていた覚中の前に立つのは伏黒。

なんか傷跡が見えているが、何したのかと聞くと「女性の趣味聞かれて答えたらラリアット喰らってボコボコにされました」だそう。

葵君かぁ…と頭を抱える。

あのスタイル、斬新で嫌いじゃないけど納得できないと殴りかかってくるのは問題だよねぇ、と思う。

 

「何でまた急に。んで何で私に?十種影法術…だよね、恵君の術式。式神系の物なら相性的には傑とかのほうが良さそうだけど」

 

「…この間の呪霊相手に、俺は…逃げました。もう二度とあんな真似はしたくありません。あと、伊地知さんに覚中さんは呪力の操作能力なら誰よりも上だと聞いたので」

そう言われて覚中は頭を抑える。

なるほどね、漏らしちゃったわけか…あーうんうん、とくるくると頭を回して、頷く。

 

「……分かった、一回グラウンドに出よう。…あんまりその系統のを教えるのは得意じゃなかったりするけど…できる限りやってみるよ」

 

「ありがとうございます」

まあやれるだけやるか、という風にグラウンドに出ることにした。

 

 

 

──

 

 

 

「さて、と。じゃあまず一回組手しよう。ただし術式ありのファイトね」

 

「え゙、ちょっと待ってください」

伸びをしながら覚中が言うと伏黒はビビったように声を出す。

 

「ん?どしたの?」

「術式ありって…怪我しますよ」

「別に治せるしね。それに…攻撃、当てられる気でいるんだ」

ザリ、と足元で土を擦りながら、少し笑って言うと伏黒も体制を整えて手で影絵を作る。

 

「玉犬、黒」

と、その影絵から真っ黒な犬型の式神…玉犬黒が現れる。

 

「行きます…!」

玉犬と共に突貫し、二手に分かれる。玉犬は後ろに回り、伏黒は前から蹴りを仕掛けた。が、

 

「…え、っ!」

覚中は玉犬の攻撃を半歩ずれて躱し、伏黒の足を掬ってバランスを崩させた。

が、伏黒もすぐにはやられず、そのまま体を後ろに倒してバク転、体制を立て直す。玉犬を横から突撃させ、そちらに意識を割かせた所で新しい式神を顕現させる。

 

「鵺!」

空から妙な仮面をしたオレンジ色の鳥が電気を纏って降ってくる。覚中はそれを一瞥して一歩下がって躱し、目の前に落ちてきたタイミングに合わせて鵺を蹴りとばす。

 

「っ、!」

伏黒は、強い、と今更ながらも実感していた。

そもそも攻撃が当たらない。術式の効果か、はたまた何かしらタネがあるのか分からないが、生半で勝てる相手ではないと判断する。

 

「…!」

が、同時に伏黒は覚中の弱点も知っていた。

彼女は力が強くなく、体術は完全に呪力強化頼みなのだ。接近戦に持ち込み、三人(一人プラス二体)がかりで攻めれば捌ききれずに当たるはず、と判断する。しかし、念には念を、では無いが一度鵺を解除してもう一種類式神を顕現させる。

 

「脱兎…!」

影は兎を象り、無数の兎型式神…脱兎が現れる。そして…

 

「玉犬!」

そこに玉犬を呼び、伏黒自身も攻める。

これなら当たる…!と思った。が。

 

「甘いね」

覚中は横に飛び、脱兎を抜けると玉犬と伏黒を視界に入れる。

彼女の術式は基本的には一人にしか通用しない。思考の有無は呪力を広げるだけで分かるが、読もうとするならまた別の手段が必要になる。

が。

 

「…っ!」

覚中は三人相手に危なげなく攻撃を躱していく。

脱兎を解除して不意打ちで大蛇を顕現するも全く意に介されずに躱され、そのまま大蛇を解除して鵺を加えてみても戦況は変わらない。

鵺の急降下を避けながら玉犬の突貫を回転して躱し、伏黒の蹴りと拳をするすると避けていく。そして、

 

「そろそろ終わりにしよう」

パン!と伏黒の目の前で手を叩いてねこだましをし、一瞬のけぞって隙ができた彼の手首を掴んで足を払って、ダン、と地面に叩きつけた。

 

「よしよし、大体わかった」

 

「っはぁー…触ることすらできなかったです」

シュウ、と式神が全員消えた中で伏黒が起き上がりながら言うと、まあね、と言って覚中は彼の前に立ち、しゃがんで目線を合わせた。

 

「さて一つ問題。さっきの私はどのタイミングで術式を使ったでしょうか」

 

「…?ずっとじゃないんですか?」

と答えるとふふー、と笑って覚中は答える。

 

「正解はね、使ってないんだよ」

 

「…えっ」

嘘ですよね?と言わんばかりの驚愕の目で見る伏黒に、覚中は話を続ける。

 

「私の術式は読心操術って言って、対象の心を読んで、ほんの少しだけ操れる術式なんだ。でも、普通の使い方じゃ一人にしか使えない。あと使ってる最中は目が赤く光るから見た目でもバレる。拡張術式を使えば精度を落として探知もできるけど、どのタイミングで、どこを狙って来るかまでは分からないんだ」

 

「は、はぁ…じゃあどうやったんですか?」

聞いた伏黒に、覚中はふっと笑って言い放った。

 

「簡単に言うとね、予測だよ。相手の動き、目線、足音とか、そういう情報を呪力で強化した五感で探って攻撃を予測してたんだ。で…恵君には頑張ってこれを習得してもらおうと思って!」

 

「ま、マジですか」

 

「まじまじ。ほら、恵君人の観察とか得意でしょ。元よりそういう感性が強いと多分やりやすいよ」

私は完全にそれだったからね、と付け足す。

まあどちらかというと観察してしまっていた、なのだが、誤差だろう。

 

「…てっきり術式の強化でもするのかと思ってました」

 

「うん、それもしようと思ったけどね…まあただ……ちょっと言い方悪いけど、今の恵君じゃその術式は宝の持ち腐れかな、って思ってね。それより術者の方を鍛えたほうが良いかもなと」

少しいい方を考えるように覚中は頭を手を添える。

 

「玉犬は全体的な性能は高いけど、攻撃が単調すぎて読みやすかった。鵺も、ただただ雷をまとわせて落とすだけじゃなくてやりようはいくらでもあったはず。急襲用の大蛇も、相手の眼の前でやるのはあんまりだったし…それに、脱兎。私に対して物量戦を仕掛けたのは良かったけど、操作がうまく行ってないのか単発で終わってたしね。それに……」

 

 

 

 

「恵君…さっきの、()()()()()としか考えなかったでしょ」

ひゅっ、と息を呑む音が聞こえた。

真っ黒な双眸が伏黒の両目を射抜いていた。

 

「それじゃ駄目。実践を想定した戦い方をしないと、実践で使える戦い方は身につかない。死ぬ危険なんて無いからこそ死ぬかも知れないときのシミュレートをしないとね」

立ち上がり、覚中はパン、と手を叩いて伏黒立たせる。

 

「さて。暗いお話はこの辺にしておいて、まずは相手の動きを視る練習だ」

そう言った瞬間。

 

「やっほー心音ー」

 

「…ん?悟?」

手を振りながら、五条が歩いてきていた。

 

「あれ、恵もいるじゃん。何何、組手でもしてた?外で?」

 

「特訓に付き合ってほしいって言われたからね」

 

「えー恵、僕でも良くない?」

当てにされなかったのが気に障ったのか唇を尖らせながら言うと、まあまあ、またいろいろ教えてあげてよ、と覚中が宥める。

 

「で、何?いつもの()()?」

 

「そー!」

覚中が聞くと五条はビシッと人差し指を差して答える。

と、そうだ、と覚中は伏黒の方を向く。

 

「これから悟とさっきみたいな術式ありの組手するから、とりあえず見てみてよ。自分がどれくらい今予測できるかやってみよう。まあ最終的には避けられなくとも見える位にはなってほしいけど」

最初から難易度がルナティックである。

そもそも術式ありの五条の攻撃なんぞ見えるわけがない。

 

「まあ見えないなら見えないでも良いよ。まずは今の自分の状態を知ることから、ね」

まあ流石に悟相手に術式なしは当たるかもしれないから私も術式使うけど、と付け足して目を光らせ、覚中も体制を整える。

 

そして。

 

ヴォン!

 

凄まじい空気を切る音が響いたかと思えば覚中が首をそらしたところに五条の足があり。

 

「え」

 

「流石に速いねぇ…視るので精一杯」

 

「いやそんな簡単に躱しといて言われても」

全く見えない動きの中で二人は平然と話をしていく。

 

やっぱレベルが違うな…と思いつつ動きの一端でも見れないかと目を凝らす伏黒だったが、おおよそ五分に渡る攻防の一動作を見ることすら叶わなかった。

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