それでコレ一回完結させてからのほうが良いなと判断したので先にこっち終わらします。
でも書きだめはなくなったのでまた時間空きます。
あと高評価、誤字報告ありがとうございます。
「…で、こうして集まったと」
あれから、与から色々と相手の作戦なども聞いた覚中は東京校に戻り、とりあえず五条と夏油を呼んで話をしていた。
「そう。まあ一応元の計画だと十月三十一日とは言ってたけど、あいつのことだからもしかしたら時間をズラしてくるかも」
腹の立つ顔をしていたのを思い出す。
ああして立っていれたのも偏に虚勢。前もって証拠を集め、絶対に違うと結論付けても尚顔を見ただけでフラッシュバックしそうになるアレの前に、術式を使って感情を無理矢理抑え込んで調整していただけのことだった。
「心音の親父でしょ?その羂索とかいうやつが乗っ取ってんの」
「そ。まあでも手加減はいらないよ、ってかむしろ粉微塵にして。あいつの事はできるだけ思い出したくもないし」
あー…と五条と夏油の間で微妙な空気が流れる。それを埋めるように覚中は一つ提案をする。
「ってことでさ、久しぶりに三人でトレーニングしない?」
「お、良いね」
「パース。何でんな面倒なことを」
「悟、負けたくないからってそういうのは良くないと思うよ?正直に言っときなよ、練習試合でも負けたくないかr…」
「よし傑一回表出るぞ、心音、審判お願い」
ガシッ、と肩を組んでフフフフフ…とお互いに笑いながら二人が外に出ていく。
というか審判って何…?とか、これは多分グラウンド修繕しないといけなくなるなぁ、とか考えながら後をついて行った。
「おーし殴り合いな。あからさまな術式はナシ、身体強化はアリ、反転ナシで行こう。傑、飼ってる呪霊がうるさくて寝れねーだろ?ベッドで安静にさせてやるよ」
「良いね、そっちこそ六眼の影響も合って疲れてるだろう?ぐっすり眠らせてあげよう」
何で煽り合ってんのあの二人…と思いながら覚中は少し離れた所で観戦する。
無論術式と呪力による動体視力の強化を使って二人の行動を観測、予測する練習を兼ねる。
覚中は何も漠然とした理由からこんな事を持ちかけたのではない。
荘士、改め羂索が強いのは少なくとも確定だ。それも、未知数。
呪霊を身体に容れることで呪力量は底上げられているだろうし、反転術式で治せないレベルの怪我をしたとて大した対価無しにすぐに治せる。それこそ本当に粉々にでもしないと倒せないような相手だ。
そして、一度実際に対峙して分かったことだが、フルパワーでも出されれば下手すれば五条の奥の手、茈すらも止められてしまいかねない程には強いと推測していた。
…まあぶっちゃけこうして殴り合いを見ているとあの二人に勝てるというのは本当に想像がしにくいところではあるのだが。
「おいおい、傑クゥン?埃を立たせる為だけのキックをそんな所に振ってどうしたぁ?」
「悟こそ、そんな猫パンチで何をするつもりなんだーい?」
まあ現在だとほんとに何やってんだあの二人というのが感想ではあるが。
しかし流石は最強二人。本当に見るので手一杯で実際戦えば反応しきれるか分からない位だ。
しかも煽り合いながらやってるという。
「…あ、避けなくなった」
と、途中からとうとう回避すらせずにただひたすらに殴り続ける肉弾戦…肉弾戦?に突入した。
と、家入が様子を見に来た。
「よ、心音」
「硝子。…あー、あれか」
「そ。まあふたりとも反転使えるけど、気絶したら使い物になんなくなるし」
少しの間だけ、五条と夏油の殴り合う鈍い音が続く。
「…無理はするなよ」
「えっ」
唐突にかけられた声に少し驚く覚中の方を向かずに、彼女はため息混じりに呟く。
「少なくとも私等は心音のことを心配してるんだよ。心音は頭がいいから、私等が気づかない所まで気づいて手の届く範囲の全員を助けようとしてるかもしれない。でも私等は英雄でもアメコミのヒーローでもない、ただの呪い、呪われる呪術師だ。そりゃ土台無理な話さ」
あーあ、と足を放りだして家入は二人の最強を眺める。あいつら位とは言わないけどもうちょっと肩の力抜きなー?と付け足して小さく笑う。
「…そっか…ありがと」
「後であの二人にも言っときなよ」
多分その前に治療だろうけど、と言い終わると同時、夏油と五条が同時に地面に倒れ伏した。
「あら終わった。うん治す気はないみたいだね」
やれやれと言いながら家入は動かぬ屍どもの近くに行って反転術式を行使する。
「うぁー…サンキュー硝子」
「助かるよ」
「意識あんなら自分で治せよっ!」
あんたらみたいに呪力多くないんだよ!と言いながらなんだかんだ家入は二人共を完治させる。
「さて…今回は引き分けかな?」
「いーや、僕まだ奥の手あるから実質僕の勝ち」
「そんな事言うなら私にだって奥の手あるよ?」
「どうせうずまきだろ」
「悟だってどうせ茈だろ」
「呪霊操術ー極のばーんーうずまきーばーん」
「きょしきむらさきー、ばーん」
何やってんだコイツラという風に冷めた目で見る家入をよそに二人して再びふざけ始める。
「はいはい二人、気は済んだー?」
「「済んでねぇ」」
「……だろうね」
煽られれば煽り返す。そして煽り返されれば更に煽り返す。それがこの二人、問題教師二人だ。
「まあでも、なんとでもなるだろ。僕たち最強だし」
「まあでもなんとかなるだろう。私たち最強だから」
「飽きないよねー、あんたらその肩書き」
あはは、と笑いながら家入が言うと、一瞬二人は「?」となって同時にああ、と理解する。
「いやいや、違うよ硝子」
「そうそう。昔とはまた違う意味合いなんだよこれは」
と、今度は覚中と家入がハテナマークを浮かばせる。
「私たちは最強だ。でも、それは今や各個人で最強だ。なら最強が二人集まったらどうなるか」
「
────二人で、無敵だ。
問題児二人。ただし最強。
加え、死線を巡り戦場を生き抜き呪いを宿して鬼神となった彼らには、その称号すら生温い。
問題児教師二人、並びに無敵。
今やそれが五条悟と夏油傑という存在だった。
そんな無敵の存在にメスを入れようとする存在がある。かの目論見は当たるのか、はたまた凡夫と打ち破かれるのか。
同月末、渋谷を完全に閉鎖する帳が降ろされた。その中には未来を企む巨悪が棲んでいた。
生と死の入り交じる事変の幕がここに落とされた。
縁の捻れた、10月の異変。
渋谷事変、ここに開幕────