呪い、呪われ、覚り、覚られ   作:謎の通行人 δ

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時間が空くって言いましたね。
嘘 で す な ん か す っ ご い 筆 が 進 み ま し た 。

まあ…正直なところ。
この小説を書くにあたって、実はこの渋谷事変とその後をやりたかったがために書き始めたという事情があったりしたわけで。

というわけで渋谷事変、基本的に最強二人目線で書きます。
正直他の人の出番薄いので…
パパ黒や直毘人さん達推しの人すみません…彼ら出ません。

誤字報告ありがとうございます。


渋谷事変 起

「一般人を閉じ込める帳、か…」

「来たね」

10月31日、高専へ要請が入った。正体不明の者により、一般人()()を閉じ込める帳が降ろされた。

範囲は、東京の東急東横店を中心に半径400m程。

そしてその中では、五条悟と夏油傑を連れてこい、という一般人の姿が見られている。

 

まあ、それは言わされているだけだろうということになっているが。

 

「…さて」

今回のこの事件…渋谷事変において、覚中は二級という階級と反転術式のアウトプットができるということで治癒要員として配属されている。

最初に五条と夏油が中に入り、それに続いて数人入るのと一緒に覚中も入る。そして帳の内側で待機、怪我人に対してできる限り処置を行い、更にきちんとした治療が必要な場合家入にパスを飛ばす役だ。

 

まあ正直なところ覚中にとって不安でしか無い。

反転術式のアウトプットができるとは言っても家入の精度には遠く及ばないのだ。彼女の反転術式は莫大な呪力で無理矢理直しているだけで、正直燃費がいいとは言えないやり方だ。

しかもちゃんと治りきらなかったりすることもあるため、基本的な治療は家入が中心なのだ。

 

「…悟と傑、大丈夫かな」

 

「二週間前にあんな啖呵切っといて負けたら私が全力で笑ってやるから心配すんな」

帳に入る少し前、帳の外で集まって待機している最中に覚中が零すと、隣で家入が笑いながら何も根拠になっていない言葉を飛ばした。

まあ実際覚中もあの二人が負けるとはあまり思えない。が、どうしても嫌な予感がするのだ。

 

「だってねぇ…まあ悟とはまともに交戦せずに封印するってのは良手かも知んないけど…特級呪物でしょ?獄門疆…だっけ」

渋谷事変については与からだいぶ多くの情報をもらっており、共有もしていた。その目的も、方法も。

 

「知ってりゃ対策するでしょ、流石に。あいつらでも流石にそれくらいはする」

むしろしないんだったらそりゃ自業自得、と言う。

それもそうだね、と納得していると、帳に入る時間が来たようだ。

 

「だいぶ忙しくなりそうだけど…頑張ってね、硝子」

「心音もな。私の方は慣れてるんだ、無理はするなよ」

 

そんな話をして帳の中に入る。と、同時に各地から濃密な呪力の気配を感じ取る。

 

「………やってる、か…」

覚中が帳に入れられたのは色々な意味合いがある。

反転のアウトプットという稀有な才能を持っており、一応戦う術も持っているため祓い漏らした呪霊の後処理という意味合いも含まれていたり、できる限り迅速に術師に治癒を施し、早急に前線に戻せるようにする意味合いもあったり。

 

そして覚中自身もその役割をある程度自覚している。周囲に呪力を巡らせて探知を開始、帳から出ようとする呪霊を祓う準備をする。

 

 

 

 

 

 

 

─────

 

「うわーこりゃ酷いね…あ、ごめんね」

夏油と五条が帳に入ると、中はまたすごい数の人でごった返していた。人にぶつかりながら夏油がつぶやくと、五条が手を差し出す。

 

「流石にここで呪霊出すのはやばい、傑掴まれ」

「はいはい」

夏油が五条の袖をつかむと五条はごった返す人の上をぴょんぴょんと飛んでいく。

 

「んー、特級(笑)共は地下か…上は混乱させてるだけっぽいかな?」

「そうだね。あと笑ってやるなよ、奴らにも矜持くらいあるだろう」

こんなときでも軽口は忘れない。

彼らには、緊張など存在し得ない。

最強という自負があるのだから、緊張などする必要もない。

 

「悟、下は頼んでもいいかい?」

「一応何でか聞いても?」

「呪霊を扱う者として上下を決めに」

「了ー解。なんちゃって特級はちゃちゃっと倒しちゃうから頑張れー。負けんなよー?」

お互いに笑いながら拳をコツ、と合わせて別れる。

彼らの目には勝利しか見えていない。そして、負ける気など毛頭もない。

互いに心配の言葉一つも交わさずにその場を離れる。

五条は地下鉄の駅のホームに。夏油はスクランブル交差点近くに。

それぞれの前には、因縁たちが立っている。

 

 

「三対一かぁ、これで負けたら言い訳できないよ?」

「こちらこそだ五条悟、初めての言い訳は考えて来たか?」

地下にて対峙するは漏醐と花御、そして呪胎九相図が一番脹相。

煽るようなその言葉に、五条はニッ、と笑う。

 

 

「やあ、こうして会うのは初めましてだね?名前は…なんと言ったか」

「荘士、そう呼んでくれよ夏油傑。しかしまあ五条悟も連れて来ずに一人だなんて、無理をするなよ?現代最強の()()()

地上で相見えるは羂索。

ズズ、と牽制代わりに放出される呪力を前に夏油はクク、と喉で笑う。

 

 

「要らないね、そんなもの」

「心配いらないよ、全くね」

両者、同時。

敵の言葉に否を突き返す。

呪術師としても呪詛師としても、呪力を扱う上での最大要点は、敵へ対する負の感情。

ここに来て二人の呪力が破裂した。

 

 

 

「「俺達、最強だから」」

 

 

 

 

 

激闘が幕を開けた。

 

 

 

 

 

先に戦況が動いたのは、夏油の方だ。

 

羂索は一瞬にして右手を巨大な鎌に変形させて夏油の首を狙いに行く。が、夏油は当然と言わんばかりに体を反らせて回避、重心がブレないように注意しながら奇襲を警戒しつつ、準一級呪霊を四体顕現させる。

その瞬間に足元にトラバサミのようなものが飛んできたがそれを飛んで回避、顕現させた呪霊を蹴って少し離れた地面に着地する。

 

羂索の攻撃は留まらない。

 

蛸のような触手を振り回して視界を遮りつつ蟹の鋏のような腕で追い詰める。

が、あえて夏油は射程範囲外に逃げようとはせずにその中で躱し続ける。

と、その隙間を縫って夏油は羂索に白いボールを投げる。

不審に思った咄嗟に避けるが、その瞬間に少し体制が崩れた。

それを隙と判断した夏油は準一級呪霊四体を躊躇わずに本体に向けて飛ばす。

羂索は危なげもなく腕の一振りで呪霊四体のうち三体を祓い、一体を吹き飛ばす。

そしてそれで一瞬視界が塞がれた夏油に肉薄し、ハンマーのように膨らませた腕で頭を殴りつけた。なんとかそれを紙一重で躱すが、二撃目で頭を殴られて少し吹き飛ぶ。

 

「器用だね、曲芸師でも向いてるんじゃないかい?」

 

「そりゃどうも、でもできれば喋らないでもらえるとありがたいな。キャラが被るんだよ、私と」

一旦、といったように交戦が止まる。

この時点で夏油はある程度相手の戦い方を把握していた。反転術式で傷を治しながらあー、と呟く。

 

「あぁそうだ、頭を殴られて思い出したよ。君そんな名前じゃなかったろ、確か…羂索、だったっけ」

 

「………」

沈黙。

 

「図星だね?」

 

「よく知ってるね。…いや、あの女の方か」

 

「ああ、知ってるのかい。そのクソみたいな肉体の子で私の幼馴染さ」

直接覚中に父親についてのことを言われたことはない。が、言いぶりや反応から明らかに嫌っているのは分かった。

しかも、ただ反抗期の子供のように嫌っている訳ではなくただ純粋な嫌悪や憎悪といった感情から突き放しているということも。

 

「つくづく邪魔をされる…全く」

 

「君が心音に何をされたのか知らないけど…」

さっ、と夏油は手を構える。中指を弾くデコピンのような、彼の親友の最大火力の技の型と似たような形に手を構える。

 

「どちらにせよ、さっさと死んでもらうよ」

ズオ、と呪力が膨らむ。

夏油の術式、呪霊操術は呪霊を使役してそれを顕現させる術式だ。それ故に手数の多さは無限大。

しかし、そんな呪霊操術にも欠点はある。

まず、術式の発展、解釈の展開がしづらく領域展開がまずまずできない。

そして、術式反転もほとんどできない。術式という基盤に呪力という電力を流して効果を発させる呪術において、術式反転というのはその呪力が正の呪力に置き換わる現象。

呪霊は負の感情の塊なのだから、それはただの呪霊を消滅させるものとなり、意味がなくなる。

しかし、夏油はそれを逆手に取った。

 

「術式反転」

ズズ、と彼の周囲に黒い不定形の塊がいくつも現れる。

それに対して羂索は嘲笑を含めて言った。

 

「術式反転…?呪霊操術でそれをやるなど何を考えて…」

が、言い終わらなかった。

弾かれた指と同時に生み出されたその黒い塊が超高速で羂索の右腕を奪い去っていったのだ。

 

「行け」

それに怯んだ羂索に向かって夏油は更に呪霊を顕現させて突貫する。

治癒させる隙もなく羂索は呪霊の相手をしなければならなくなった。が、その隙間から再び黒い塊が襲ってきていた。

 

「っ!」

これだけにはあたってはいけないと判断して羂索はそれを避ける。が、悪手だった。

躱したはいいが足元に夏油の投げた謎の球体があった。それを踏んでしまった次の瞬間。

ドン!と大きな音を立ててそれが閃光と共に爆発したのだ。

 

「どうにせよ君も人間だろう?武器には抗えまい」

 

「っつつ…やられたね。なかなか頭がキレる…」

閃光手榴弾。対人用に外装をカモフラージュしていたものだ。そんな言葉の最中にも呪霊の猛攻は止まらない。怪我を治すヒマがないと判断して羂索は大きく距離を取る。

 

「…しょうがないね」

反転術式では効率が悪い、と羂索は怪我をしたまま宣告する。ズ、と彼の身体が膨らんだ。

 

「呪霊容術極の番、キメラ…!」

ボコボコとその体が変形する。手も足も頭もすべての部位が様々な形に変形する。鎌のようなものや銃のようなもの、大槌のようなものがボコボコと体から出ており、角が生えていたり腕がそもそも六本あったりとおぞましい姿に成った。

 

「…いいね、お互い手の内を見せ合って第二ラウンドってところかい」

夏油は、それでも不敵に笑みを絶やさなかった。




基本やりたい放題です。
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