呪い、呪われ、覚り、覚られ   作:謎の通行人 δ

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何か…すごいですね(小並感)

毎度読んでくださり、ありがとうございます。


日常(平穏とは言ってない定期)

ドオォォン!

 

「二人ぃ───!」

平穏…と言うには少し物々しい爆発音と叫び声が聞こえてきた。

東京都立呪術高等専門学校───呪術高専にて起こった一幕である。

校舎の近くにあるグラウンドには四年になった五条と夏油がおり、その近くにまたでかいクレーターができている。

覚中が校舎から走ってグラウンドに向かっている。

 

「またクレーター作ってるの!?もうちょっと大人しくして!?」

 

「いやだって手加減してたら訓練にならないし」

 

「いやまあ一理あるけども」

まあ内容がなかなかぶっ飛んでいるが、どうやらそういう事らしい。

どうやら、二人はしりとりをしながら組手をやるという事をやろうとしていたらしいのだが、清音を濁音、半濁音にしてもいいかどうかということで口論がヒートアップし、最終的に五条の術式反転「赫」と夏油の全力パンチがうまいこと作用して地面にクレーターを作ったのだと言う。

どんな状況だこれ。

 

「内容しょうもない割に被害が馬鹿にならないなぁ…組手やるんじゃなかったの?術式使ってるし…コロシアムでもする気なの?」

 

「そこまでする気はなかったけど。まー、傑だって呪霊操術使おうとしてたし」

「私はまだ使ってないから未遂だよ」

「あっ傑てめぇ逃げやがったな!」

 

「 二 人 共 ? 」

再びヒートアップしそうになった所に、ドッ、と呪力の波が流れてきた。

呪力の奔流に流されてヒートアップしかけた熱は洗い流され、二人の頬に冷や汗が一筋流れる。

 

最初の任務の一件で、一つ分かった事があった。それは、覚中は呪霊を払う時に本当に最小限の呪力しか使えていなかった、ということだ。

呪力とは、負の感情から生み出されるエネルギー。

呪霊と相対するときも「勝ちたい」「生き残りたい」よりも呪霊に対する怒りや憎悪を向けたほうが呪力の効率は良い。しかしそれを知らなかった覚中は、ずっとなけなしの呪力で戦っていたため四級呪霊程度しか祓えていなかったのだ。

あの最後の一撃で感覚をある程度掴んだらしく、呪力の操作が更に上手くなっていた。

またそれに伴って、「読心操術」と名付けた覚中の術式の精度も上がり、今ではあの自他ともに最強と言わしめる五条の感情を少し揺さぶるくらいなら何とかできるまでに至っていた。

 

しかも、これでも自分を()()()後なのだ。平常時の呪力は大体四半分程しかない。本気を出せばこれ以上なのだ。

 

と、パン、と覚中が手を叩くと、ふっと重圧が消えた。

 

「とりあえず、夜蛾先生の所に」

 

「「…あい(へい)」」

 

それより、今のところ夜蛾よりも手綱を握れてる気がするのは気のせいだろうか。

 

 

 

─────

 

 

 

「ちぇー、何で組手してただけで怒られなくちゃいけねーんだよ」

 

「組み手っていうのかなアレ…」

確か組み手って体術だけで相手と組み合う特訓法じゃなかったっけ、と思っていると、ふと夏油が立ち止まった。

 

「あぁ、そうだ心音。前に言ってた()()、良さげなのが見つかったけど試してみるかい?」

 

「えっ、見つかったの?というか探してくれてたの!?正直な所その場の思いつきも良いところだったんだけど」

 

「あぁ、任務のついでに探した程度だったし、一級レベルのものだったけど、事情話してこっちで所有してたんだよ。部屋にあるから取ってくるよ」

 

「ありがとー」

 

「心音、アレ、って何?」

夏油が自室に入るのを横目に、五条が覚中に聞く。

 

「うん、呪具か呪物みたいなやつ」

 

「みたいな、って…つか、呪具か呪物?」

 

「まあ見てもらったほうが早いんじゃないかなー」

とのこと。

そして、夏油が持ってきたのは…

 

「うわぁ…ほんとにこんなのなんだ…」

 

「は?いやいや待って待って、何ソレ」

夏油が持ってきたのは、干からびた()のようなものの入った古いペンダント。

六角形に切り取られた透明のガラスのようなものの中に一つ、赤い眼球のミイラらしきものが埋め込まれていた。中々に見た目が禍々しい。

 

「いやぁ、前から話はしてたんだよね。私の術式ってあんまり戦闘能力ないじゃない?じゃあその威力とか底上げできないかなって思って傑に話してみたら、特定の呪具とか呪物の所持とかで効果が上がるものもあるって聞いたからさ」

 

「いや…それは良いんだけど…」

どう見ても入っているのは眼球のミイラのようであるソレを指して、思わずサングラスに目を添える五条。六眼が怯えてそうだ。

まあ確かに中々見ていて気持ちの良いものではないのだが。

 

「ほら、覚って心を読む妖怪いるじゃん?そんな感じの目とかが呪具化とか呪物化したもの無いのかなーって傑に零したんだよね。そしたら…ね」

コレが出てきちゃったわけである。そんな軽いノリででてきて良いビジュアルをしていない。

 

「正確にはちょっと違うみたいだけどね」

夏油が言うには、正確に言うと覚()()()()()の眼球のミイラらしく。

過去にいた、心の読める人の眼球が呪具化したものだという。

たまたま依頼を受けた所の人が持っていたらしく、あっても気持ち悪いから、と快く渡してくれたらしい。まあそれを普通に受け取る夏油と覚中も中々だが。

 

そして、そもそもだけど覚とか言う有名どころの妖怪がいたらそれはそれで一級、最悪特級レベルの仮想怨霊になってるだろうね、と夏油は付け加える。

ちなみに、夏油の現在所有している呪霊の中で最も位が高いのでも特級よりの一級が5体ほど、らしい。

 

「これ持っとくだけでいいのかな。何か、その…まさか食べたりとかしないといけなかったりする?」

 

「「んなことしたら死ぬか受肉するぞ」」

二人から普通に怒られた。

てっきり夏油の呪霊操術とかは呪霊を食べたりするためそういうのしないといけないのかなーと思っていたらしいが、控えめに言って自殺行為である。

そういうものか、と普通に首から下げておくことにした。

 

「まあ、あれみたいなものだね、宿儺の指」

ふと夏油が零した。

 

「あぁ、あれだっけ、両面宿儺。悟でも壊せない、屍蝋になった20本の手の指があるとか」

 

「特級呪物だからねぇ…あれも実際の両面宿儺の指じゃないんだよ。千年くらい前にいた、宿儺に似ててそれに値する強さを持った呪詛師の指だから」

まあ周りから本当に人間と認識されてたかは微妙だけど、と付け加える。

つくづく御伽噺じみた話である。

 

「全盛の時の宿儺と悟と、どっちが強いかな」

 

「そう考えるとそりゃ宿儺かもな。今の状態で、傑と連携すればまあ五分じゃね?バックに硝子と心音がいてくれたらほぼ確実」

ふとこぼした覚中の疑問に、うーんと考えるように唸りつつ五条は答えた。

何気に信頼されていた。

反転術式も会得している五条だが、夏油はそこまで行っていない。

回復要因がいれば助かるのは事実だし、何より相手の動作全てを見通せる覚中がいるのは強い。

 

身体能力は割とへなへなな方だが。

 

「あーそうだ、強さで思い出したけど、そろそろまた考査が来るよ」

 

「うーわ受けたくな」

ふと思い出したように夏油が言うと、覚中は眉をひそめる。

 

「もういっそ一級まで上がっちゃえば?」

 

「やだよ面倒くさい。上から何されるかわかったものじゃないし」

そう。

覚中は毎度の如く昇級審査を全てわざと落ち、二級のままに甘んじている。

理由はまあ、命のやり取りはそんなにしたくない、から。

最初の任務で二級呪霊を祓ってしまったため二級は受からざるを得なくなってしまったが、それ以降、呪力の操作能力も格段に上手くなり、自分に()()を設けて制限し、二級のままキープしている。

 

だが、実力はそこにとどまることはなく。

 

五条曰く「呪力量だけなら俺よりずっと多い。操作能力もめっちゃ高い。ぶっちゃけサングラス越しに六眼で見てると後光が指してるみたいに見えててむしろ見づらい」とのこと。

夏油曰く「今私が持ってるすべての呪霊の呪力を総合しても多分勝てないね。もし術式が十種影法術とかなら確実に詰んでたよ」とのこと。

間違いなく、かの二人が認めているという時点で相当人外だ。

 

「まーその内実力バレそうだけどな。ワンチャン特級届くんじゃない?」

 

「やめてそのフラグ…というか私じゃ特級は無理だと思うよ。国家転覆は…ね」

 

「だね。でももし仮に心音の術式が十種影法術とか投射呪法とかだったら本当に悟と互角以上に戦えてたかもね」

 

「そうなると心音が禪院家の生まれの可能性高くなんだけど。それは嫌だな…あそこクズしかいねーし」

特級とは、一人で国家転覆が目論めるレベルの術師につけられる特殊な階級。

五条の無下限呪術、夏油の呪霊操術はそれに値し、学生の身でありながら既に特級の位を冠している。

 

そして、御三家と言われている五条家と禪院家、あと加茂家というのがあるが、その内禪院家は強い術式持ちを多数集めており、その中に十種影法術というのがあるのだ。あと五条家と禪院家は仲がすこぶる悪い。

 

「でもなぁ…そうは言っても心音の読心操術も中々強いは強いんだよな」

 

「殺傷能力はなくても無条件に相手の行動が全部読めるわけだしね。そういう意味ではほぼ最強だからね」

 

「それはそう。自衛できる程度で良かったんだけどな…」

 

「「その呪力量で言われても」」

だよねぇ、である。

 

「まあでも体力と身体能力はナメクジだしな」

 

「オッケー分かった、後で硝子にチクッとこ」

 

「あっ心音テメっ!」

人間、事実を突きつけられるとイラッと来るものである。

教室に戻った三人はえらく遅かったことを家入に詰め寄られ、事実を話した所で呆れられた。

そりゃあそうである。




作者の芥見さんいわく「五条先生は夏油さんが闇落ちしてからのほうがしっかりしてそう」とのことでしたので、覚中さんのお目付けのおかげで原作あたりまで落ち着きます。
でも原作よりおちゃらけ度は高くなりそうです。
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