今回の話も楽しんでいってください!
日が西の空より上り数刻程経っただろうか。街道のほうでも商いや人の行く音が塀越しに聞こえてくるなかこの家の居候である男が庭にて武器を腰の左側に差し、佇んでいた。それは最近身に着けていたエストックではなく男が一番初めにかの地で目覚めたときに身に着けていた武器種である刀、”打刀’’である。と言ってもそれは最初に保持していたものではなく旅の過程で手に入れた強化も何もしていないものだが。
男は右手を刀に添えゆったりと力を抜き佇んでいる。
すると風が吹きどこからともなく木の葉が飛んでくる。 ゆっくりとしかし確実に男のほうへ向かって飛んでいく。 そうしているとついに男の近くに来た瞬間、
男は一歩前に出て、刀を振り下ろし風が吹き抜ける音がした。そして打刀を鞘に戻すと同時に男の周りに刃のような風が巻き起こり葉を粉微塵にした。
パチパチパチ
「見事ねユラ」
男が視線を音のほうへ移すとそこにはここの家主である八意永琳の姿があった。
「永琳か。こんな早い時間に帰ってくるということはあれの仕上げも終わったのか」
近くに来ていた人物に気づけなかったことに自身の感覚の鈍りか、それとも彼女が近くにいることが当たり前になっているのか考えつつ、 早めの帰宅をした彼女に問いかけてみる。
「ええ、一般用の移住ロケットも完成してあとは告知や積み込みの作業だけになったから私の役目も終わりよ」
「そうか...どのくらいで出発になるのかな?」
縁側に腰かけると彼女も隣に座り答える。
「満月の日、3日後には出発よ」
あと少しかこの生活も...
「そういえば都の防衛はどうする。まさか彼らだけ都に置いていくわけにはいくまい。」
「そんなことしないわよ。明日からは自動防衛システムに任せるわ。それに最近は諦めたのかアレの襲撃もないから」
数か月前からだがこの都に竜モドキ以外の奴らが襲撃に来ていたがそれも最近はないらしい。 ツクヨミのような上流階層は一足先に月に行っている今こそねらい目に思えるがここから出ていない自分には何とも言えんな。
そこからは荷造りの手伝いをしていると時間はあっという間に過ぎいよいよ出発当日となった。
辺りを見渡せば人々が続々と乗り込んでいく。その顔は様々で新たな地に寄せる期待、無事につけるかの不安でロケットを一瞥してから乗り込む人や、生まれ故郷を惜しみ悲しみつつもどこか安堵した顔で内部に消えていく人などが見え皆がそれぞれの思いを抱えている。
みな何かを思い飛び立つ、それは地上に残る俺も例外ではなく少々落ち着いていられない。何せ明日から一人旅を再開するからな、月に興味はあるが それ以上にこの地を見て回りたい気持ちが強く誘いを断らせてもらった。
「いよいよね...」
「ああ...旅立ちには絶好の夜だな」
「...もう一度聞くけど本当に月に行くつもりはないの?」
「まあ寿命も元からないから月に行く必要も無い...それにこの世界を見て回りたいからな」
「そう...寂しくなるわね]
そういう彼女は顔は傾いており見えないが落ち込んでいるように思える。学者寄りの彼女からすれば実験対象の珍生物が自分の手元から離れるのだそれは残念なことだろな。
「そんな落ち込むことも無いだろうまたいつか会えるだろうさ」
そうして月を見ようと顔を上げた瞬間
ドオン!!
爆音が走り地面が揺れる。
「何が...あれは!」
そう言う永琳が見つめる方を見ると街道の先、門があるところで土煙が上がりその中から川の激流のごとく何かが押し寄せてくる。
壁が破壊されたことによる警報が都に鳴り響き人々は恐れの表情を浮かべながら慌てて乗り込んでいくそれはそうだ彼らからすれば突破されずここ最近襲撃の予兆もなかったものが突然絶望の淵に立たされたのだから。
思い出されるはあの会話
(”最近は諦めたのか襲撃もないから’’...違った。貯めていたのだ力を、欲を)
「時間は稼ぐ、なるべく早めに出発してくれ。」
飛び出すと同時に後ろからたった一言だけ、だが十分な意味を持つことを言われる。
「...生き延びなさいよ」
「当然!」
「...初めてだな守るために戦うのは」
今までの戦いは試練を突破する意味合いが強かったからか新鮮だ。
違うのは俺の敗北が彼女の終わりにつながる可能性があることだ。後戻りも再準備もできない一度きりの防衛線。
ああ、普通の兵士であれば覚悟を決めたり、何か誓うのだろうな。
あいにくそんなもの知らないが言うとすれば
「行儀の良い振りは終わりだ。何が目的か俺にはわからんが出立まで付き合ってもらうぞ。」
暗紫の輝石が埋め込まれ重力の力を高める”隕石の杖’’を取り出し地面に突き刺し力を込めると背後に巨大な岩塊がロケットとこちらを隔てる城壁のように並びそびえたっている。それは都の端から端までで回り込むころにはロケットは打ちあがった後のことになる。故に目の前の奴らは正面からここを突破するしかない。
タリスマンはすでに変えており、”恵みの雫のタリスマン’’、”竜印の大盾のタリスマン’’、”大山羊のタリスマン’’、最後に”シャブリリの禍’’耐久、再生により囮役として役目を果たせるだろう。保険の壁も立てたこともあり問題ないだろう。
今はもう人気のない街道、そこに立つ男は頭部に大量の蛇で飾られた青銅の兜を被り、胴体には何も纏わず両腕に蛇が巻きついておりその頭は肩越しに前方に向いている。腰には白く薄汚れた布を纏い足に頭部と同じ青銅の足甲を着け街道の真ん中で片方の刃が大型になっている”闘士の大斧’’を手に携え立っている。黒い波が2町ほどに近づくと深呼吸をした。
そして、身を屈めてから大きく雄叫びを上げた。その声は獣のように荒々しく、男の武器からは重厚なオーラが放たれ、男の体もそれに包まれた。
本来の目的が今はもう壁の向こうにある筒に詰まった人間であったはずの魑魅魍魎たちはそれを忘れ前方の自身の存在を誇示するように咆哮した邪魔者を殺さんと殺到していき先頭にいた者はまともな防具もをその爪で引き裂かんと飛び掛かるがそれは叶わなかった。男が大斧を地を揺るがす勢いで振り下ろし敵の頭蓋ごと切断し、余波で怯んだものを片端から切り裂いていく。命乞いする声も意に介さず次々と殺戮していった。男の攻撃は一撃必殺であり、防御も無意味だった。自身の保護を考えぬ暴威に体から揺らぎ出る闘志、男は狂気に満ちた闘士のごとく戦う。
大斧のオーラはとっくに消えているがその戦意はいまだ消えず、あたりに死屍累々を作った闘士は構えている。
反面侵略してきたもの達は、今だ男に手傷を負わすこともかなわずに最初の勢いもなく今や己の身が可愛いあまり距離をとる始末。この均衡を消すかのように轟音が鳴り響き空高くロケットが打ちあがり侵略者は落胆の表情で見上げるものや邪魔された怒りで闘士を睨みつけるものがいる。最も今直ぐ向かってくる気はないようだ。それはそうだ血の気の多いのや強さに自身のあったのはすでにものも言わぬ屍と化しており残るは腑抜けばかりどこに戦意があろうか、それを感じ取ったのか男は武器をしまい構えを解く。無論そこを狙い襲いかかってきたのもいたが頭を掴まれ肉片に変えられた。
目的も失った侵略者はこの都より引くだろう...無事にここから出られるかは定かではないが。
再度隕石の杖を出し体から紫の魔力、重力の力が揺らぎ杖をおろせば地を走る重力の波が残りを消し飛ばしていく残るは抉れた街道、城壁のような岩塊の列、そしてこの惨状を作った闘士。
「誰もいない...本当に月に行ったのだな...昔を思い出す。彼らは今後地上の文明より月の民と呼ばれ神とも呼ばれるのだろうな。誰も手のと届かぬ天上の民よ。」
今は都の岩塊を消し元永琳の家の庭に祝福を置いて縁側に腰かけている。誰もいない都で昔何度も仕えた王女の律のように月に行った彼らのことを考える。次会うときも友好的だといいが。それにしても久方ぶりの戦闘も大したことも無く最初に重力波を打てば終わっていただろう...いやそうすれば別れどころか強制的に月に連れていかれそうだからあれでよかったのだ。いや、壁を作ったのは見られているからどちらでも問題なかったか。
「もう少し骨のある相手...神や鬼と戦いたいものだ...」
焦って+5の闘士の大斧にしてしまったが問題ないどころか完勝もいい所だ。まあ肩慣らしにはちょうど良かったか。目的も果たせたからな、とりあえずシャブリリの渦を外すかあまり気分のいいものではない、本来なら忌避すべきものの由来だからな。
「そういえば竜モドキに大蛇の槍は有効なのだろうか?」
そう思い大槍を取り出し見ていると
ゴゴゴ...
「...地鳴りか?」
ゴゴゴゴゴゴ!
「かなりのきb」ドッパァァァン!
!?水!?なぜここに海も遠いはず!
水にもまれ建物や祝福、俺も例外なくすべてが流れ去っていく。手から大槍が流れていくもそれどころではない。
(まずい!俺は泳げ...な...い...)
意識がなくなった男は流れ、溺れ死んだ。この世界で初めての死である。
最も本当の死ではないが...
初の死亡が溺れるという結果。
まあ、星を砕いた半神も海に沈んだら帰ってきませんでしたしあらがえないことよ。
今日のワンポイントー
闘士の兜とシャブリリの渦には”敵’’を引き付ける効果があるぞ!
ここまでお付き合いありがとうございました!
ファイヤーワークス...
ハーレム要りますか?
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はい!欲しいです!
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いいえ、要りません。