動物園、あまり行きませんが、
我が家には犬もチンチラも亀も魚もいて自宅が動物園だったりします。
※ハリーポッターの代わりの女主人公です。
それでは、どうぞ、ご覧あれ。
その日は天気も良く、土曜日で、動物園は家族連れの人々でいたく込み合っていた。
ダーズリー夫妻は入口にある"アイスクリーム・パーラー"で、ダーズリー、メイベル、ピアーズに大きなチョコレート・ミックス・アイスクリームを買い与えた。
「んー、ちべたくておいしいね!」
「メイベルのが1番大きそうに見えるね、良かったね」
「うん!」
3人はアイスクリームをぺろぺろと舐めながら、仲良くゴリラの檻を眺めた。
「ゴリラって、テレビで見るより大きいんだね」
ふと、アイスクリームを舐める手を止め、ぼそりと呟く。
「そうさ。ゴリラは自分の体重の27倍まで持ち上げられるという研究結果もあるんだよ。……って書いてあるのを読んだだけだけど」
案内をすると豪語した分、メイベルの呟きにも咄嗟に答えてあげるダドリー。
ダドリーは頭を掻きつつ、ゴリラの檻の手前にある説明板をチラリと見やりそう言う。
しかし、こんなに素晴らしい朝を過ごしたのは、メイベルにとっても久しぶりであった。昼近くになると、ダドリーもピアーズも動物に飽きてきたので、園内のレストランでランチをする事に。
ダドリーはチョコレート・パフェが小さいと軽く文句を言いだし、メイベルが食べていたストロベリー・パフェを食べさせてあげる事で落ち着いた。確かに、値段の割に小さいのは傍から見てもそうであったが、動物園レストランなんてそんなものだろう。
昼食の後で、満腹になったダーズリー一家は小動物の触れ合いコーナーへと向かった。
手作りの花飾りで彩られた触れ合いコーナーはいかにもファンシーで家族連れやカップルの心を惹かれる。
人でごった返している小屋の中はエアコンで空調が管理されているが、なにぶん人が多いので、少し暑かった。片方の壁には扇風機が空気を循環するように回っているが…効果はイマイチのようだ。
「みて、叔父さん、叔母さん。ひよこだって。こんなに小さいのね」
「メイベル、優しくよ。優しく触ってあげるのよ」
「分かっているわ、ペチュニア叔母さん。優しく、ゆっくりよね」
「メイベルみて、うさぎだよ!」
ダーズリー一家は小屋の中へと入り、いくつもの長方形の箱に入った小さなひよこやら、うさぎやら、モルモットやらが鼻をヒクヒク、ひよこはぴいぴいと鈴のような声で鳴いているうちのひとつずつを抱き上げた。
もちろん、保護者であるダーズリー夫妻は落とさないように傷付けないようにと監視するだけに留めている。
ダドリーは、小さなうさぎを抱きかかえ、メイベルに見せるように言う。
また、ピアーズはモルモットを愛おしげに優しく撫でている。
「うさぎ、可愛いね!見て、ひよこも可愛いよ」
いつ落とすんじゃないかとハラハラしているペチュニア叔母さんを尻目に、メイベルは優しく大事そうに手のひらサイズのひよこを包み込み、空いた親指で丁寧に撫でる。
「ねぇ、触れ合いが終わったら次どこ行くの?」
メイベルはひよこを置くとそう訊ねる。
「触れ合いコーナーはもういいの?じゃあ、次爬虫類館行こうよ!」
ダドリーもうさぎをそっと置いて答える。
「わかった!ダドちゃんについて行くわ」
「おいで、皆。次行くぞ!」
バーノン叔父さんはその図太い声が、鶴の一声のように響く。
こうして、ダーズリー一家は爬虫類館へと向かった。
爬虫類館の館内はヒヤッとしていて、薄暗く、壁に沿っていくつものガラスケースが並び、中には照明が付いていた。
ガラスの向こうには色々なトカゲやらヘビやらがいて、材木や石の上をスルスルと這い回っており、ダドリーとピアーズは巨大な毒ヘビコブラと、人間でも簡単に絞め殺しそうな太いニシキヘビを見たがった。
ダドリーはメイベルの手を繋ぎ、直ぐに館内で1番大きいヘビを見つけ駆け寄った。しかし、ぐっすり眠っているようだ。
「眠っているね……」
「そうだね、メイベル。……動いてくれないかなあ…」
ダドリーはガラス越しにツヤツヤと光る茶色のとぐろを見つめていた。
「パパ、動かしてみて」
ダドリーは父親に頼んだ。叔父さんはガラスをトントンと叩いたが、蛇は身動ぎ1つしない。煌々と照らされたヘビは、顔を埋めて眠っている。
「…仕方ないね。次行こう」
「うん…」
ダドリーはピアーズに呼ばれて行ってしまった。
何故か、ふと気になってメイベルはじっと蛇を見つめた。蛇の方こそ、退屈のあまり死んでしまっても不思議では無い。きっと一日中、ガラスを叩いたり、覗き込んだりする人間や、餌をやりに来る飼育員の他に友達もいないだろう。そう考えると何だか憐れに見えてきた。
突然、ヘビは小さなビーズのような目を開け、ゆっくり、とてもゆっくりとかま首をもたげ、メイベルの目線と同じ高さまで持ち上げた。
「!」
彼女が驚きに声を失っていると、ヘビがパチリとウインクをした。
メイベルは目を見張った。慌てて、誰か見ていないかと周りを見回すも、丁度ダドリーはピアーズと共に後ろのガラスケースを見ているし、ダーズリー夫妻もその後ろで2人を眺めていた。
彼女は恐る恐る、ヘビに視線を戻し、じぃっと眺める。
ヘビはかま首をバーノン叔父さんとダドリーの方へ伸ばし、目を天井に向けた。
その様子は、明らかにメイベルにこう言っていた。
「いつも、こんなものだよ」
「………」
メイベルは口をパクパクと、目は白黒させて驚きを露わにしている。
「驚かせて、すまない」
ヘビは申し訳なさそうにかま首をもたげ、ビーズのような目を伏せる。
…すると突然、後ろ手にあるガラスケースを眺めていたダドリーが慌てたように駆け寄ってきた。
「メイベル、今、何していたの?!」
「わ……わからない。ヘビが…喋ったわ…」
メイベルは驚きのあまりあんぐりとさせた口でそう語るのでいっぱいだった。
それからは、何故かニシキヘビのガラスケースが消え、大ヘビは素早くとぐろを解き、ズルズルと外へ這い出した。いわゆる脱走である。
館内にいた客たちは皆叫び声を上げ、出口へと向かって駆け出した。
ヘビがスルスルとメイベルのそばを通り過ぎた時、確かにそう聞こえた、シューシューと低い声を。
「ブラジルへ私は行く。ありがとう、アミーゴ」
爬虫類館の飼育員はショック状態だった。
「でも、一体ガラスはなぜ消えた?」と言い続けていた。
園長は自らペチュニア叔母さんとメイベルに濃い甘い紅茶を淹れ、ペコペコと何度も謝った。
バーノン叔父さんの車に全員が戻った時には、皆混乱状態であった。
やがて、落ち着いてきた時にピアーズはこう言った。
「ねぇ、蛇と話していたって、本当?」
「違うわ、ヘビが勝手に、喋っていたの。こんなの、初めてよ」
そう語るメイベル。
少し、涙声であった。
「まあまあ、蛇が喋ることなんて、ありはしない。きっと気のせいだよメイベル。それにしても、怖かったね。早く家に帰ろうね」
バーノン叔父さんはそう言うと、まずピアーズを無事家まで送り届け、プリベット通り4番地の自宅へ帰宅した。
「怖かったわね、メイベル。さぁさ、温かいココアを入れるから、そこにお座り」
「うん。あれは、なんだったんだろう。まるで夢を見ているようだったわ」
「僕が悪いんだ、メイベルをひとりにしてしまったから。ごめんね、メイベル」
「ううん、いいの。びっくりしただけだから」
ダドリーに心配され、平気と答えると、ペチュニア叔母さんからココアを貰いゆっくり、1口飲んだ。
「…そういえば、怪我はしていないか?噛みつかれたり、していないか?」
「私は平気よ叔父さん」
「僕もなんにも、されなかった」
バーノン叔父さんが訊ねる。あんな大ヘビがダドリーやメイベルの近くをスルスルと這って脱走したのだ。途中で牙を向かれたり、絞め殺されてもわけは無い。…しかし、無事だった。奇跡的に。
「…よし、じゃあ、後はプレゼントの始末をしてもらおうかな」
バーノン叔父さんがメイベルにプレゼントを開けるよう言う。
こうして、動物園でのプチ騒動は慌ただしく終わった。
Tuuriが動物園で経験した部分も含まれています。
海外に触れ合いコーナーがあるかどうかは分かりかねます。
オリジナル展開です。
ダドリーは優しくて、お兄ちゃん気質な所を全面に書いています。
苦手な方はUターンいただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。※1話からコピー
ではまた次のお話で会いましょう♪see you♩♪