ほんとにライオンV   作:bver

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ほんとにx3 象

「象なのだ」

 

「どうも。象です」とコラボ相手として紹介された象が挨拶をする。

色々とあった今月の締めくくりとして、同期の熊と雑談をすることになったのだ。

今日も暑かったと、二人が好きな水浴びができる広場でのんびりと話し始める。

配信上でもその様子が反映された涼しげな背景が使われ、そこに無駄に精緻な3Dモデルが動いている。

コメントも「こん熊」「涼しげでいいね」「画面せっま」「相変わらず簡単な挨拶」と、こちらものんびりとした様子だ。

 

「とりあえずライブお疲れ様。見事に大技も決めて大活躍だったのだ」

「そっちこそ、相変わらずすごいバランス感覚だねぇ。また乗れるもの、増えたんだろう?」

「色々試しすぎてネタ切れが心配なのだ」

 

話題は周年の大型ライブから始まった。

新人の恥ずかし気なピエロ役をからかい、ほぼほぼサーカスの公演と化してしまった自分たちのライブに笑い、コメントに感想を求める。

途端に「ヘタレ頑張ってたね」「よく回ってた」「慣れてなさが何とも」「最新ゲーム並みのグラとかやっぱ頭おかしい」「正直ビビった」「まだまだ成長中」など、様々な意見が上る。

中には「ピエロちょっと浮いてたね」「前の方が」「人はやっぱり・・・」「他みたいに獣にしとけば」「サーカスと競ってんの?」と微妙な気持ちを示すコメントもあった。

それらを水分補給しながらしばらく眺め、肯定的なコメントをいくつか拾い、苦笑とともに話題を変える。

 

「ちなみにZちゃんとは、もう話したのだったかな?」

「直接はまだなのだ。割と緊張してるのだけど、どんな感じだったのだ?」

「そうだねぇ。何と言えばいいのか・・・」

 

そう言って、鼻をくるりと回して言葉を探す。

この鼻に巻かれて、背に乗って、子供のように嬉しそうにはしゃいでいた後輩を思い出しながら。

 

「私たちに対して、怖がらない子だ、という感想かな」

「それは・・・どうなのだ?僕たちは危険な獣。怖がってもらうのも仕事なのだ」

「まあ、分かる。ただだからこそ、ここに来たのかもしれないとも、思うねぇ」

 

なるほどと軽く納得し、しかし不安がさっぱり消えたわけではないようだ。

自分たちが猛獣だと自覚している二頭だ。

これまでの経験もあることで、又聞きの感想程度では安心するまではいかないようである。

しかし――

 

「なに、ルオの奴が笑っていたからなぁ。お前も大丈夫さ」

「それはそうなのだ」

 

その言葉には軽く笑ってしまうほどの大きな説得力があった。

そのままこの園の偉大なる王についてあれこれと語りだす。

熊は自分の口調のもとになったCM巻き込み事件を、象は自分が加入した時の王の一喝を。

まだまだ短いながらも濃い思い出を語りながら、徐々に最近の出来事に話が移り変わっていく。

 

「彼女のコラボWeekは、目いっぱいやりたいことをやる気なんだろうねぇ」

「どれも幸せそうだったのだ」

「顔合わせも兼ねてのことだったとは思うが、毎回関わり方が変わるのは、あの子らしくて良かったと思うよ」

「最初は従者で次は姉弟だったりボールだったり。他のも振り切れすぎなのだ。僕の時はどうなるのか心配しかないのだ」

「楽しみだねぇ。案外、新しい乗り物でも持ってきてくれるかもしれないよ」

「心配しかないのだ」

 

片手で顔を覆って同じ言葉を繰り返し、大きなため息を吐く心配性の熊。

それに呼応するように「よく回ってたね」「先輩もジャグリングする?」「ヘタレ」「熊先輩、免許あるの?」「私用地ならワンちゃん」と可能性が挙げられていく。

一層不安を募らせてコメント欄に法律を聞き始めた同期が、なんだか少し可哀そうに思えてきて。

ある意味夢中になっているとも言えるその様子に耳をハタハタとさせて、象は穏やかに笑った。

 

夕暮れが終わるとともに配信の背景も変わっていく。

涼し気な風を感じて水場から上がっても、二頭の雑談はのんびりと続いていくのだった。

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