声変わりが始まったらしいラクランが喋りにくそうだったことと、慌ただしく課題に追われていたために、クリスマスはあっという間に過ぎ去った。
朝霧の中から押し寄せる銀色の細波を、シートを被せて置いてあるだけのボートに腰掛けて見つめながら、孫の掠れた声を思い返す。
あの声が、どうなっていくのだろう。
自分の声は、ずいぶん昔にしゃがれてしまった。娘は低めのハスキーな声で、ラクランはハスキーではないが、明るい声をしていた。
深く、低くなるだろうか?
それとも柔らかい声になるだろうか?
指が悴んできて、革のグローブをはめた。咳払いしてから、ヘルメットを被り、スパイクタイヤのバイクにまたがる。
この衰えた耳で父親を探すことは難しいかもしれない。
推測の通りあの子の父親が魔法使いなら、ここへ魔法でやってきた教授のように、魔法使いでない人間の前には姿を現さないかもしれない。
それでも、アランはこれから、孫の中から現れる青年をきちんと祝福して、家に迎え入れてやるために。彼の成長をたった一人の身内として、心の底から喜ぶために、探さねばならない。
咳き込みそうになって、胸ポケットに入れた、孫の写真のあたりをドンドンと叩く。
はやく、はやく探し出さねば。
三匹の蛇 11
しばらくポッターはひしゃげたメガネのまま過ごしていたが、あっというまにピカピカのメガネにかわり、シリウス・ブラックは涼しい顔のままつるんでいた。もっとも気の毒なのが被害者のルーピンで、何もわるいことはしていないはずなのに、一番沈んだ顔をしていた。ラクランは口の中がかわいてきて、ゴブレットの水をぐいっと煽る。
「最近何を気にしている?まずは選抜に集中しないと」
「それはもちろん!」
本気の本気でクィディッチをやるんだと決めてからこっち、レギュラスは本当に容赦がなくて、手はまめだらけだというのにしごきは緩まなかったし、競技場を散々飛ぶせいで高度やスタンドまでの距離もおおよそ体が覚えてしまった。
「それじゃ、的役一つを飛ばすから、ビーターはブラッジャーをうまく捌いて、3パターンの作戦をこなせるか見せてくれ。ただし敵役、味方役の俺たちにも気をつけて」
去年よりずっとハイレベルなテストに、上級生たちからも戸惑いの声が出た。チェイサーテストをなんとかパスしたエバンが向こうで自分の頭をコツンと叩いて幸運を祈ってくれている。ラクランは他の生徒に見えないように、わずかに笑って見せた。
ただブラッジャーを打つときの障害が増えたということではなく、これは飛びながら他選手の動きを把握して、効果的にブロックできるかや、相手のカットから味方を守れるかも試されるってこと。おれの得意分野だ。どんどんと胸を叩いて気合いを入れた。
「誰からやる?」
「おれ、やります!」
作戦の紙の入ったポーチから3枚引いて、ざっくりと説明を受ける。ラクランが頷いて浮上すると、ぼろぼろのローブをかけた的役の人形が浮遊呪文で飛び始め、その付近を赤と緑のベストを身につけた選手たちも飛び始める。そして、真下のトランクからブラッジャーが放たれた。
ラクランに与えられた作戦は、相手のチャージをブラッジャーで剥がすことと、こっちが攻め入られたときにディフェンスの影からブラッジャーを叩き込むこと、そして以前試合でスリザリンチームがやったような、ウロンフスキー・フェイントにかかったシーカーの上昇に叩き込む形の3つだ。
ブラッジャーのうなる音に耳をそばだて、味方とクアッフルの位置を確認。挟み撃ちをかけようとしている風だから、さっそく敵役一人にブラッジャーを打ち込んで牽制。これで試合なら一点入る。今度は一転して守りだ。
ブラッジャーの動きを目の端で追いながら、あえて上空にはいかず芝をこするように飛び、襲いかかっては剥がされる味方を目隠しにして敵役が脇に抱えるクアッフル目掛け自分の顔に迫ってきたブラッジャーを打つ。クアッフルは見事に脇から抜けたが、味方役も想定していないカットで回収はしてもらえなかった。しまった、みんながみんなレギュラスレベルじゃないんだ。
一応合格だったのか、味方役の一人がハンドサインの後ウロンスキーフェイントを始め、的役も動く。回転してマークを外しながらブラッジャーの来そうな位置を陣取って、バットを振りかぶる。
「いや...?」
タイミングがずらされた!
的役の上昇がワンテンポ遅れるのをバットで打つ寸に目の端で捉えた。
とはいえもうバットで打つところだ。打ちながら、反射的に手首を返して、ブラッジャーにバックスピンをかけた。自分の方へ戻ってくるブラッジャーを横目に見ながら、小さく左回りに旋回して、回転の外側にぶらりと投げ出した右足の爪先で中心を捉え、回転の接線方向にそのまま蹴る。
ゴスッと重い音を立てて吹っ飛んでいったブラッジャーは、魔法で操作される人形の腹をちょうど撃ち抜いて行った。
「ブラボー!!!」
上空は静かだったけど、地面に戻れば6年生のキャプテンを皮切りに、上級生たちの拍手と歓声が押し寄せてきた。エバンは背中を、レギュラスは両肩をバンバン叩いてくる。
「ほとんど反射で...痛、レギュラス、痛い!」
「こんなのなんてことないだろ!」
「いや違う、足、足が......」
「ブラッジャーを足で蹴るなんて無謀としかいいようがありません!」
「はーい」
「もっと殊勝にしろ」
ホグワーツ3年目ではじめてマダム・ポンフリーのご厄介だ。ブラッジャーをただのブーツで蹴るのはやっぱり無謀だったようで、しっかり骨が折れていた。まあ、足の指で済んでよかったってところだ。
分厚い数占い学の本をゴン、と頭に振り下ろされれば、謝るしかない。バーテミウスは呆れたようにため息をついた。
「ひとまずベンチ入りは確実らしいぞ。スラグホーン先生も鼻高々だ。怪我の甲斐があったな」
「ホント!?よかった〜!!」
狭いベッドから跳ね起きればフン、と笑われる。
「バーティには、えら昆布のプレゼンではだいぶ力を貸してもらったからね。半分はレギュラスのおかげ、もう半分はバーティのおかげだよ」
「冗談はよせ、お前の実力だろう」
改めて今度お礼をしようとラクランは心に決めた。
「退院は明日だって、でも骨折しちゃうんじゃ、あの技は封印かな。いい2段階攻撃のアイディアだったんだけど」
ベッドにごろりと転がりながらぼやく。
あれはかなりよかった。ほとんど反射だったけど、足が出たのはサッカーをテレビで見てたおかげだと思う。ケニー・ダルグリッシュのシュートを思い出しながら、包帯ぐるぐる巻きの足を眺める。学校で一番人気のスポーツは、ホグワーツならクィディッチで、マグルの学校ならサッカーだった。
クィディッチはラグビーに似てるけど、いろんなクィディッチ一本より、いろんなスポーツを見てるから出てくるアイディアもあるのかも。
「封印?......右回転して踵で打つのはどうだ」
「え?」
「だから、封印するのは勿体無いと言っているんだ。やりようはあるだろう?......なんだその顔は」
「へへ、バーティも気に入ったんだろ、あの技。確かに踵はいいかもしれないな。ヒールパスの練習しなくちゃだけど」
クィディッチ初戦の相手はグリフィンドール。残念ながら相手シーカーのポッターのメガネはもう曲がっていないが、もう一回曲げてやるぞ、と意気込んで肩を伸ばす。すでに競技場の方から大歓声が聞こえている。怪我したこともあってベンチメンバーだったが、約束通りスラグホーン先生が中古のコメット(悩んだ末にコメットにした)を個人的に買ってくれたので、練習で大暴れして無事出場選手枠を勝ち取ったのだ。もちろん、教師や来賓が座っている席にスラグホーン先生の姿もある。必ず勝たねば。
「緊張してる?」
同じく初出場のエバンが、箒片手に茶化しがてら聞いてくるので、肩を揉んでやる。
「そっちこそ。おれはむしろ楽しみなくらい」
「本当かい?」
「もっちろん!」
バットをパッと構えて見せれば、レギュラスはニッと笑った。
ついに魔法の拡声器ごしにマダム・フーチのパリっとした声が響いてきた。
大きくなった手が伸びてきて、頭を混ぜられる。革のグローブだからかなり痛いけど、しっかりやるよ、と肩をポンポン叩き返した。勝てますように、ノックオンウッド!といつものおまじないのゲンコツでエバンの頭を叩いて、自分の頬もパチン叩く。箒へ跨って、眩しい陽光降り注ぐフィールドへ飛び出た。歓声は箒に乗った途端聞こえなくなる。あたりがシンと静まり返ったかのようで、箒を握りしめるグローブの軋む音まではっきり聞こえた。
それぞれのポジションへつき、マダム・フーチが一人ひとりを鷹のような目で射抜きながらお決まりの注意をする。そして、気持ちのいい青空にクアッフルが放たれた!
続いて元気よく飛び出したブラッジャーを目で追いかけながら、クアッフルを受けるエバンをマークするグリフィンドールチームにタックルして「うっかり」妨害。そのまま横に体を回転して流れてきたブラッジャーを打つ。
「ピュシー!!」
先輩の名前を叫べばわかってるとばかり、ラクランが打ったものをダイレクトに相手チェイサーに打ち込まれた。柄で受けられたが、手くらいは痺れているだろう。
「ナイス!」
次の狙いはキーパー、おっと、いやビーターか?グリフィンドールから打ち込まれたブラッジャーを箒を軸に回転してかわす。
いや、戻ってくるな?ブラッジャーのうなる音が後ろから聞こえてくる。
風を背中で感じてから、箒に身を寄せ雪面にダイブする狐のように柔らかく垂直に飛び上がって、ひらりと敵陣ゴール方向へかわした。ラクランのローブから飛び出して行ったブラッジャーは、運良く相手ビーターのバットを吹っ飛ばしたらしく砂への軽い落下音が下から聞こえてくる。
「ラクラン!自陣の守備!」
「はい!」
そんな具合に三人削り、タイムを取られたあとはブラッジャーで牽制しながらピュシーと徹底的にポッターをマークした。ポッターとレギュラスは拮抗していたけど、レギュラスは早いし、ブラッジャーが行ってもなんとかできる。容赦なく打ち込めた。
ちょうどポッターを引き剥がすかどうか、というところで、レギュラスが緑色でうごめくスリザリンベンチの方へ矢のように飛んでいく。ドリフトみたいに急カーブをして、客席の目と鼻の先で上体を捻り、金色を掴んだ。
「ブラックがスニッチを掴んだ!30-190!初戦はスリザリンの勝利!」
ドッと耳に歓声が戻ってくる。悲鳴やうなだれた声も聞こえて、ラクランは口角をすい、とあげた。
健闘を讃えるように、お互いで拍手をしながら芝生へ降りていき、低いところで整列する。
「よかったぞ!」ピュシーにガツっとバットをぶつけられて、こっちもぶつけ返す。
「ありがとうございました!」
「ナイスカバーだったけど、もっと守備してほしかったぜ」
「それはゴメン!エバンもゴールおめでとう」
「ピュシー!ラクランも、いい妨害だった。ありがとう!みんなで掴んだ勝利だ」
金色のスニッチをしっかり左手で掲げながら、快活に笑うレギュラスが合流して、マダム・フーチの号令でお開きになった。
「バーテミウスが、写真を撮ってくれるって。みんな来てくれるかい?」
スニッチのために客席へ寄っていたレギュラスが、珍しく全体に声をかけた。
「本当はシャワー浴びたいけど、今日はビーターズのおかげで身綺麗だからいいよ」
「あいつ、わざわざ持ってきたのかよ」
「せっかくだからポジションで並んで撮ろう!」
「箒に乗って撮る?」
「いいな!それ」
宿敵グリフィンドールに大勝を飾れたあとで、みんなご機嫌だ。
それぞれ興奮に頬を赤くしたまま、ベンチ近くに寄っていけば、カメラを構えたバーティが手を振っている。
「もうちょっと寄って!もうちょっと!」
「こんなに寄るなら、いっそみんなで肩組む?」
「アハハ!グネグネする!!」
「ちょっと、しっかり飛びなさいよ!」
箒で列を作って飛んで、肩を組んだ。
ギュッと眉を寄せたバーティが、撮るぞ、と一声。
バシャッ
どんなに楽しくてもクィディッチばかりにかまけていられないのが、学校生活の辛いところだ。
マグル学と魔法生物学、薬草学あたりはなんとかなっている。呪文学はまあまあ、変身術は相変わらず理論が苦手で、故郷の石碑が読めるかもしれないと思ってとった古代ルーン文字学もなかなか大変だった。一番気が抜けないのが魔法薬学で、なんと言っても箒のためにスラグ・クラブ入りまで果たしたので、どんな実験でもうまくいくように、バーティがレポートをこなす横で一緒になって予習しなければならなかった。
「クリスマス休暇中も課題ばっかりになりそうだ」
「5年生の顔を見ろよ、O.W.L.試験の年になったらきっとこの倍は出るんだぜ」
「ミスター・スネイプの顔はいつも土気色だけど、今日はブナの樹皮みたいに薄緑に見えるな」
「グリフィンドールのリーマス・ルーピンもボロボロになってた」
「あの人はよくボロボロだけど...」
そんな会話をしている間に、あっという間に休暇が来て、あっという間に休暇は終わった。じいちゃんは相変わらず元気で、凍結に合わせてスパイクタイヤを履かせたバイクでギャリギャリと湖畔の未舗装路を走り回っていた。
短かったし、ほとんど課題に追われていたとはいえ、休暇明けの友達との再会は嬉しい。どこもかしこも賑やかな大広間で、明らかに違う空気の一角があった。
「ねえあそこ、どうしたの?」
「さあ、僕も知らない.......あそこに座ってるの、イザベラ・ブルストロードじゃないか?」
「本当だ。どうしたんだ?あいつ」
物々しい雰囲気の女子たちの真ん中にはあの自由闊達さがすっかりなりを顰めた、ラクランの恩人でもあるベラが、しゃくりあげすぎて真っ赤な顔で、肩を震わせて泣いていた。
「聖マンゴに勤めてる親戚の話だと、未だ好きな人は変わっていなかったみたいだ。それでクリスマスにアタックして、その、手ひどく振られてしまったみたい」
スリザリンの中ではかなり紳士的なピュシーが頬をかきながら教えてくれた。
「まあそれは、見ればわかるが」
「いいんじゃないか?このご時世、大々的に"血を裏切るもの"だって知られるのが良い影響なわけもないし」
エバンの言葉に、ラクランはそっと頬の内側を噛む。
「まだ気持ちに区切りがつかないんだろう。彼女は本気だったようだし、あんまりひどく言うものじゃないよ」
ピュシーの穏やかな取りなしに、バーティが頷いてくれたのに、細く息を吐き出した。
ベラの沈みぶりは激しく、テストのことしか考えないレイブンクロー生も心配して声をかけるほどだった。ずいぶん離れてしまったけれど、剛気な友として慕っていた人が、血を吐くように泣き、弱っているのは見るに耐えなかった。
「ねえ、ココアを淹れてあげたら、喜んでくれるかな」
「さあ?僕はあの人ではないから。悪くはないんじゃないか?」
「でもさ、これでも飲めよってココアを出すって、ダメだったのを慰める感じがしない?」
「結論が君の中で決まっているなら、わざわざ僕に話さないでくれよ」
「ごめん。でも他にもっとなにか、おれにできることはないかなって」
スラグ・クラブにラクランと一緒に参加することになって、魔法薬学の質問をまとめているバーティに振っていい話題じゃなかった。バーティの優先順位では、勉強が上位にあるのはわかっていたから、ラクランは素直に謝る。
バーティとしてもこのところ気が立っている自覚はあったのか、ため息をついて本をまとめてくれた。
「正直、僕もイザベラを断った彼は真っ当だと思っているから共感できない。紅茶の茶葉占いでもしてみたらいいんじゃないか?」
「あの占い学のやつ?」
「ああ。僕はあれがどういう仕組みで運命を写すのか、まだ理解できないが.....占星術の方がまだマシだ」
バーティの話を聞きながら、ペラペラと薄い紙の感触で遊ぶ。
「茶葉占いねえ.......ん?」
ペラペラめくる手を、ぴたりと止めた。
「ベラの支えになるような、良い言葉があったら教えてください」
えい、と声をあげて開いてみる。開いた聖書のページをなぞりみて、ピンとくる言葉を探す。
「それ、効果があるのか?」
イマイチだな、もう一回。
「わかんない、ものは試しだ。でも人それぞれの運命がお茶の中で泳ぐ茶葉の形に影響するんなら、手に持ってる本にも影響してもおかしくない」
「何もしないよりはマシってことか」
「まあそう......ああ、これは良いかもしれないな」
母さんが葉っぱを挟んでいないところだ。コリント使徒への手紙のところ。
愛は忍耐強い。
愛は情け深い。
ねたまない。
愛は自慢せず、高ぶらない。
礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。
不義を喜ばず、真実を喜ぶ。
すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。
「愛、か。でも随分と厳しいな」
覗き込んだバーティが、顔を顰めて言うのに、ラクランも神妙に頷く。
「そうだね。聖パウロによれば、これは神様の愛だから、人間がやるのは難しい風に書かれているんだと思う。
おれはじいちゃんが入院しちゃった時、忍耐強くもなかったし、全てを信じることもできてなかった」
寿命があるから待つにも時間の限りがある。忙しなく生きているから、ずっと一つを思い続けるのも難しいかもしれない。
「でも、ベラはずっと思い続けてるようだけど...」
「いや、あれは違うだろう。彼女は利益を求めていたはずだ。自分が報われてほしいと望んだから、裏切られたと悲しんでる」
「じゃ、ベラも人間の愛で苦しんでるわけだ。神様のもつ愛を、うまく真似できたらいいのにな。ピュシーの言っていたように、区切りがつかないなら.......」
ベラに、聖書を見せて話してみたかったが、女子の塊がベラに構うのに飽きていなくなるまで、数日待つ必要があった。待っていれば次第にベラが取り残されていくのに、やっぱり神様みたいな愛を持つなんて人間には難しいんだな、と頷かざるをえなかった。
「やあ、ベラ。そのう、久しぶり」
昼の空きコマに、中庭のベンチにポツンと座るベラを廊下から見つけた。涙こそないけれど、ぼーっと噴水を眺めているのに声をかけた。ぎこちなさすぎて、へっぴりごしになっていたかもしれない。
「久しぶりだね、ラクラン。あんたも私を笑いに来たの」
メイクもしていないなつかしい顔で、ぎりりと睨まれ、手を慌てて前に突き出す。
「違う!おれの名前、キースじゃないってちゃんと覚えてたんだ。それで、もちろん笑いになんか来てないよ、見せたいものがあるんだ。今、良いかな」
ベラは少し迷って、頷いた。それに努めて柔らかく笑ってから、ベラの目の前でバッグから聖書を取り出して、彼女の膝の上に開いておく。
「これは聖書なんだけど...聖書はわかるよね?」
「私は洗礼を受けてないけど、親戚で洗礼を受けてる家もある」
「そうなんだ。それで、もしよかったらこの文のところを読んで、考えてみて欲しいんだ」
「随分文字が小さいね」
杖でトン、と叩いて、開いたままにしながら、コリント使徒への手紙のところを示す。
ベラの目がゆっくりと文字を追った。それから、大きく瞬きして怒ったように息を吸う。
噴火する前に、ラクランはすかさず先手を打った。
「どう思った?おれはさ、じいちゃんに対して自分がどうだったかなって思い返してみたんだけど、」
「私は忍耐強い?嘘。もう待てなかった。情け深い?いいえ、ちっとも。妬まない?これもいいえね、できてない。なんなの、私は好きな人をまともに愛せてもいなかったって言いに来たの?」
矢継ぎ早に否定しながら、膝の上で硬く拳を握りしめて、目を釣り上げて見開くベラは恐ろしい。
「違う!おれもできてなかったんだ。これは人間には難しいことが書いてある。この愛は、神様の愛の有り様だから。だから」
「だからこの苦しさを抱えていけっていうの?人間だから?ごめんだね!私は報われたかったし、あの人ならきっと返してくれると思ってたんだ。私だって最初は、最初、は」
ベラはベンチから跳ねるように立ち上がって、ラクランの胸に聖書を投げるように押し付けた。慌てて受け止めてからも、指先を突き立てて捲し立てられるので、高く掲げて避ける。もう、ラクランの方が背は高いのに、やっぱりベラは大きくて怖いままだった。
「えっと、おれが言いたいのは」
予想と違った方向に跳ね飛んだベラをどう落ち着かせようかと回らない頭で言葉をまとめようとする。
「なーにしてるんだ、よ!」
バサ!と音がして、ハラハラと赤や黄、濃い緑などの色とりどりな葉っぱが舞った。
振り返ると、灰色の瞳を歪めたシリウス・ブラックが、ラクランのすぐ背後に立っていた。
「なんだこれ、第二コリント?5章、21???
どうせまた禁書を隠してるんだろ。スペシアリス・レベリオ!(化けの皮剥がれよ)」
ブラックが手に持っているのは、母さんの聖書だ。
でかいブラックの手の中にあると、なお小さく見える。
熱すぎてなんの感覚もなかった後で、喉を熱いプディングが焼いていくように、だんだん事態を飲み込めてきた。
「それ、返してくれ」
手を伸ばしても、ちょうどさっきまでのラクランがベラにしていたように、高いところでひらひらと避けられる。また葉っぱが舞うのが見えて、ラクランはブラックのローブに飛びつく。
「返して!」
「はあ?なんだよ急に!俺が読んだ後マクゴナガルにでも渡してやるよ」
「それは禁書になるような本じゃない!」
「やあ、どうしたんだい?この長閑な中庭で」
ブラックの手から、さらに大きな傷だらけの手が、聖書をするりととっていった。絶望的な気持ちで見守るラクランをよそに、ブラックは機嫌良く肩を組む。
「リーマス!いいところに来たな。こいつも他の奴らと同じように持ってやがったんだ」
「へぇ、この中庭で、女子とわざわざ?確かに小さい文字でびっしりだけど」
リーマス・ルーピンは眉をひょいとあげてから、ブラックよりかいくぶん穏やかな手つきで、ページを捲った。横からルーピンにくっついていた、こないだ泣き喚いていた小さいグリフィンドール生も覗き込んで、顔を青白くさせてから、ルーピンになにかささやいた。
「......これは、確かに君のものなんだね?」
「おれの母のものです。もういいでしょう、返してください」
ハッとした顔で目を合わせてきたリーマス・ルーピンが何か言う前に、その手から聖書をひったくって、バッグに詰めた。ブラックがなにやら喚いていたが、もう耳には入らなかった。
次の授業の鐘が鳴ったけれど、ラクランは部屋へと直行して、ベッドに腰掛けバッグから聖書を取り出す。相変わらず、使い込んで柔らかくなった革のカバーは手によく馴染む。
けれど、パラパラとめくってみても、薄いページに母さんが挟んでいたいろいろな木の葉たちはどこにもいない。止まることなく、最後のページまでめくり終わってしまった葉っぱたちがきれいに乾燥してまっすぐ挟まっていたせいか、ページに癖すらついていない。うつ伏せにベッドに倒れて、意味がないと分かりながら、ページを指で撫でた。
「ついに変身術を諦めたのか?どうして授業に来なかった?」
いつのまにか授業が終わったのか、部屋に不機嫌なバーティが帰ってきた。自分の机の方に行かずに、わざわざラクランの方へ寄る親切が、今は嫌だ。
「マダム・ポンフリーは来ていないと言っていたけど。体調が悪いのか?」
「大丈夫。...ごめん、寝過ごしちゃったみたいで」
バーティは納得したのか、ああ、と頷いた。
「練習のやりすぎだな。マダム・ポンフリーに元気爆発薬をもらいにいくといい。それからマクゴナガル先生のところにも」
バーティのもっともなアドバイスに従って部屋を出ながら、ラクランはベッドサイドに置いてこられなかった聖書をもう一度バッグに詰めた。
食べるというより、胃に流し込む作業のように適当にポリッジを食べて、バーティと一緒に部屋へ戻る途中、談話室でベラが柱の影に引っ張りこんできた。
「悪かったね。ちょっと気持ちに整理がついたよ。ずっと冷静じゃなかったし、たぶんあの人のことを愛せてもいなかった」
自嘲気味に肩をそびやかしていうイザベラは、大人のように落ち着いていた。でも自分の大事なものを思慮の足りなさから失った今となっては、嘆いていたイザベラの気持ちの方が、よくわかる。
「そういうふうに思うのも、悪いってわけじゃないと思うけど。ただおれはその考え方が君を苦しめるなら、考え方を変えれば、と思って...」
いいながら、自分がなんて無神経に、無邪気に考えを変えるだなんて提案をしていたんだろうと今更思い当たって、尻すぼみになってしまった。
「私はお礼をいったつもりなんだけど」
「そうか。ま、ちょっとでも元気になったなら良かった」
イザベラはふん、と鼻息あらく頷いた後、パッとローブのポケットに手を突っ込んで、タダー!とラクランの目の前に差し出してきた。
一枚葉っぱがなくなったナナマカドや、ひしゃげたり、折れたりした葉っぱたち。今日、中庭で散らされてしまった、母さんの挟んだ栞たちだ。
お礼を言う暇もなく、葉っぱを受け取る。カサリと受け取る時に触れた手は、少し冷たかった。
「全部は集められてないかもしれないけど。ただの木の葉じゃないんでしょ?」
「ありがとう!落とされてしまったことがショックで、もう粉々になっているかと...」
「大事なのは見ればわかったから。そんなものを、わざわざ見せてくれてありがとう」
思いがけない言葉に、ラクランは顔を上げたが、ベラも照れ臭かったのか、目は合わなかった。
「へへ、こちらこそ。おれの大事なものを、ちゃんとわかってくれてありがとう」
イザベラの気持ちはありがたかったが、一度失われてしまった母さんの思い出は戻らない。集めてくれた葉を挟んでみても、母さんが何か思って挟んだものとは意味が変わる気がした。
そうやって心の中の、いやな感じを切りはなして整理をつければ、もうそれで大丈夫だった。
だというのに、いったいどこから話が漏れたのだろう?
「人を人として見ず、人の大切なものを踏み躙り、それを歯牙にもかけず笑うあなたは、一体なんなのですか」
賑やかな大広間で、およそ聞こえてこようはずもないこわい声が聞こえてきた。氷のような笑みを貼り付けたまま、穏やかだが、明らかにレギュラスは怒っている。
ブラックは不快そうに顔を顰めて、返事もせず、肩をいからせ去っていった。リーマス・ルーピンと小柄なグリフィンドール生が青ざめた顔で謝罪しているのも見えたが、その後、チラリとおれの方をみたので、あのお互い不干渉を貫いていたブラック兄弟の決別に、おれの一件が関わっているらしいと勘づいてしまった。
「バーティ、君、レギュラスに話したな?」
イザベラはもともと、レギュラスとの関わりは控えている。男子とも没交渉になっていて、聞き出した上にレギュラスに話すのなんて、バーティしかいなかった。
「僕に嘘を言ったことについて?」
「あ、ああ。そうだ。そうだったな」
どうしてただでさえ複雑そうなレギュラスの家を拗らせるようなこと!と言おうとしていた文句は、嘘のことをつっつかれて途絶えてしまった。
「悪かったよ、自分でもなんで嘘なんか言っちゃったかわからないけど、あの時は知られたくなかったんだ」
「ふん、どうだかな」
「信じてくれよ!でも、どうしてレギュラスに話したりなんかしたんだ?ただでさえブ...お兄さんのことで悩んでるのに」
「君が怒らないで、シリウス・ブラックも当たり前に過ごしていたからだ」
「なんだって?」
「君が怒らないから、あいつも大したことはないんだと思ってる!このままじゃまた痛い目を見る。だからレギュラスに伝えて、きちんと言ってもらいたかったんだ」
効き目はあったかわからないが...というバーティに、なんだよそれ、とラクランは口を尖らせた。まるで自分で自分を守れない子供扱いだ。
それをめざとく見つけたバーティはラクランの座るベッドの目の前に椅子を引きずってきて目を合わせて座った。
「いいか、君は自分を抑えるのに慣れてるだろ。
大騒ぎもしないし、まるで他人事みたいに振る舞う時がある」
「そんなことは」
「あったさ、何度も。それこそこの間のクィディッチでも。
僕が小テストで君に負けて悔しいと思ったものでも、君は勝って嬉しがることもないし、もう一度僕が勝った時には笑って祝福してきた。それで僕がもっと負けたように思ったと言っても、君はピンとこないだろうね」
そんなことあったっけ、と振り返ってみるけれど、そもそもラクランは自分の成績で精一杯で、人の成績なんて気にしない。当然、バーティの成績が良ければ祝福するし。点数で競っていつもクラス一番でいようとしたなら、バーティの悔しい気持ちは想像できる。
「そんなことないさ、気持ちはわかるよ」
「ああ、君にも感情はあるはずだ。でも君は、そうしないほうがいいと考えればマグル育ちを隠して、魔法界のあらゆることに滅多に驚かなくなったよな。同じように表に出せなかった鬱憤も、全部飲み下して忘れてしまう。競技場ではよく笑うレギュラスのほうがまだ良いくらいだ」
鋭い茶色の目で正面から射抜かれれば、逃げ場はない。レギュラスのほうが良い、はなかなかショックだ。レギュラスは貼り付けたような下手くそな笑みなんて浮かべないけど、今日の大広間のような、氷のような微笑をする。あれはえらく怖い。競技場でだけは、大きな口を開けて快活に笑うのだけど。
「えーっと、そう!リーマス・ルーピンを利用するみたいにした、ポッターと、......ブラックにはちゃんと怒ったよ」
思い返して、このところで最も腹を立てたことを言ってみる。ブラックが無邪気に散らす葉っぱたちの残像がチラついたが、リーマス・ルーピンに対する扱いについては、今でもむかっぱらが立っている。
「それだよ」
バーティにビシッと指差されて、首を傾げた。
「大事なものだったんだろう?」
「もちろん」
「じゃどうして台無しにされたことを怒らない?」
「怒る資格がない。レギュラスやエバンに話せて、油断したのが悪かったんだ、外で出した自分が一番悪い」
ピンと糸が張り詰めたような緊張感で、自動巻き時計の音まで聞こえてきそうだ。
「ブラックがやってきて、本を雑に扱わなければ、外に出しただけでバラバラになったりしなかったはずだ」
「たしかにブラックの本の扱いは雑だったけど、エバンたちは教科書に偽装した本を持ち込んでたのは本当だし、おれはそれを知ってた。ブラックが勘付いてるのは知らなかったけど――」
「じゃあ、僕たちに怒ればいいだろう!」
バーティはバーンと爆発するような音を立てて椅子を倒しながら立ち上がった。ラクランも慌てて立ち上がって、どうどうと肩を抑えようとするが、それも思い切り払いのけられる。
「僕たちが嗅ぎ回られていることを君に教えていればこんなことはなかったんじゃないか。怒れよ!」
「怒ったってどうしようもないだろ。君たちが家の蔵書を研究する目的は聞いてたし、頑張ってるのも知ってた。おれが怒る道理がない」
「怒りに道理や資格なんかいるもんか!」
ついにバーティは胸ぐらを掴んできた。こうも怒られる理由がわからない。なにより、ラクランは自分の中で整理をつけてある。
「もういいんだって、あれは」
「よくない。お前が怒らないと、誰も謝らない」
「謝られなくたっていいんだってば」
「謝る権利もくれないのか?だって君の、唯一わかっている生みの親の遺品だぞ。一緒に怒るのも悲しむのも、友達だろう」
細くて青白かった手は、ペンだこと浮き出た血管でぼこぼこしている。けれど相変わらず日焼けはちっともしていなくてなまっ白く、緊張か怒りのためにふるえていた。それを、日焼けして手のひら全体がバットや箒で堅くなった手で無理やり掴んではなさせる。
「君の気持ちは君の自由だし、おれの気持ちはおれの自由だ。母さんの聖書に関しては、確かに悲しかったし悔しかったけど。おれはもう十分悲しんだから、もういいんだよ」
立ち上がって、レギュラスに謝りに行こうとドアへ向かう。本当はバーティと一緒に行こうと思っていたけれど、難しそうだ。
一緒になって怒ってくれるのは確かに嬉しい。イザベラが自分の大事なものを、同じく大事にしてくれたのも、嬉しかった。でも結局のところ別の生き物だから、全く同じことを思ったり、全部をわかることはきっと無理なんだ。
レギュラスに迷惑をかけたことを謝っても、かえって身内の不始末を謝られてしまった。バーティとは少しぎくしゃくしたままで、エバンと協力することが多くなった。試験に向けた勉強だ。
そもそもバーティは積み上げてきた家での勉強もあって、普段提出を求められるレポートが大変なだけで、試験にはまったく不安がなかった。鬼気迫るような勢で、一人で4、5年生の予習を進め始めていた。
「古代ルーン文字学のあの石碑、解読できたか?」
「うるさいな、俺は答え合わせなんてしないぜ。幸運を祈る!」
ノック・オン・ウッド!と言いながら頭を叩いて幸運を祈るエバンは最高にバカっぽい。
「あんまりバカっぽい顔でやるなよな」
ラクランが以前にやってしまったのを気に入ったエバンがずっと使っているが、マグルがやるおまじないを魔法族がやる、という滑稽さをネタにしているので、廊下でやってよその寮の、気の強いマグル生まれに見咎められると不味かった。
「下ろしなさい!」
噂をすれば影。女性の声はよく通る。校庭から聞こえてきたリリー・エバンズの声に、ラクランはさっと顔を顰めたが、エバンはぐるりと瞳を回して見せてから、その野次馬気質を発揮してわくわく走っていった。
行った先では見慣れた光景があった。最近ポッターどもが好んで使っている人を宙吊りにする魔法でぶら下げられたセブルス・スネイプをリリー・エバンズが庇い、やめさせるところだ。
リーマス・ルーピンもいて、小柄なグリフィンドール生は囃し立てるようにカンに触る笑い声をあげている。まともに見えてもつるみ続けているのだから、最近は同情しなくなった。友達でもないのに可哀想に思うのも、失礼というものだし。
「ほーらスニベルス。エバンスが居合わせてラッキーだったな」
頬から血を流しながら、いやに大人ぶった口調で、けれどもやっぱりこどもっぽくポッターはスネイプを辱めた。
「あんな汚らしく卑しい"穢れた血"の助けなんか、必要ない!」
慌てて立ち上がったスネイプは、その勢いのまま言い放った。
あ、と誰かが発したような気がした。不快なあの囃し立てる笑い声すら誰も漏らせなかったし、怒りの声もなかった。ただ、言ってはいけない言葉だけがしっかり響いた。
渦中のスネイプの顔からは、どんどん血の気が引いていく。対して、リリー・エバンズは眉をピクリとも動かさずゆっくりと瞬きをし、表情を変えないまま重々しく言った。
「そう結構、もう邪魔しない。ああでもスニベルス、あなた、パンツは洗濯した方がいいと思うわ」
「おいエバン、もう行こう」
見ていられなくなって、ラクランはエバンの肩をたたく。エバンもまた、見飽きたようで尻をパンパンと叩いて立ち上がった。
「さっきのスネイプの呪文、みたか?見たこともない呪いだった......」
「ポッターの頬が切れていたやつか?それより、彼大丈夫かな」
廊下を歩きながら顔色や心より真っ先に呪いのことを気にするエバンに、ロジエール家らしいなと思いながらスネイプの方を振り返れば、エバンは頭の後ろで腕を組んでからりと笑った。
「むしろ縁が切れてよかっただろ。これからはあんまり表立ってああいう手合いと関わってるのはマズイから......いやゴメン。お前は違うよ、男だし。節操なく恋愛にうつつを抜かしそうもないから大丈夫。純血の家の女が惚れ込んじまう心配もない」
ようは、"血が混じる"心配がなければ良いということだろう。それこそ純血のポッターがマグル生まれのエバンズに懸想してるなんてのは大問題なわけだ。イザベラがマグル生まれだかに思いを寄せたのも、バーティに言わせれば責任を放棄することだった。
「ひどいな、おじさんたちにはイケメンだって言われるのに」
「身内の欲目を本気にすんなよな。でも気をつけろよ?クィディッチ選手は人気なんだ。それこそ、スネイプみたいに身なりを悪くしとくのも手だな」
冗談めかして言ったのに、また嫌なところをつかれた。身なりをきちんとするのは舐められないための基本ではあるが、きちんとするのが難しそうな家庭環境なのは、夏休みのたびげっそり痩せて帰ってくるスネイプを見れば明らかだった。
「わざとじゃないんだろうなっていうのは、見てわかるだろ。エバンズも知ってていうなんて......」
「スネイプから縁を切ったことにしていいだろうけど、実際、エバンズから縁を切られたって感じだったよな。ギリギリだったけど運がいい」
「なんだって?」
「兄貴から聞いたんだけど、夏休み、6年になる人たちは闇の帝王に謁見するらしい。成人を迎えたらすぐに、活動に加われるように」
なっがくなって申し訳ない!!
【クィディッチ】
・3年生でフレッドジョージはきっちりビーターやってるので、いけるかなーと思いつつ、財源に問題があるのでアピってスラグ・クラブ入りを果たしてもらいました。中古のコメットはもちろん通販!えら昆布は割と貴重なはずなので喜んで買ってくれたでしょう。
肩やフィジカルは強めだし、サッカーみたいな他競技のアイディアもあるけど3年生って感じを目指しました。スリザリンクィディッチチーム(ハリー世代)では唯一ラフプレーをあんまりしなかった(らしい)ピュシーくんのおじさんかお父さんに相方をやってもらいました。
【写真】
・レギュラスの部屋に飾ってあった写真(ポジションで位置が決まりつつ写真の画角に最終的に全員集まる感じの写真→ぎゅうぎゅうに整列という形で描写しました。友達の初陣祝い兼ねてバーティが撮ってくれたというテイ。あとで焼き増しされてレギュラスのお部屋にも飾られます)
【聖書バラバラ事件】
・実は最初にこのお話で小さな聖書を登場させた時から、ホグワーツに持ってったら「やられそう...」と思っていたものでした。十代前半から後半の、混沌とした寮生活ですし、生まれも育ちも違うので、人の大事なものを同じように大事にするのが簡単でない状況です。
闇の魔術は閲覧禁止図書になっているものも多いけど、スリザリン系の旧家はご自宅にもあるのでダンブルドアバリバリの在学中でもリリー曰く「邪悪そのもの」の闇の魔術を修練できたのかなーと。シリウスも特別の悪意があったわけでなく、「忍びの地図」製作に向けホムンクルスの術など複雑な魔法を研究する必要があるけれど家には寄り付けないために都合がいいスリザリンの蔵書狩りをしている、というイメージです。
【ラクランとバーティ】
ぬるっと効率的な側面からダチに移行してしまったので、実のところちゃんとお互いぶつかり合えてない二人です。同じ釜の飯は食って、信頼はしちゃってるけど性根はよく分かってなかったですね。仲良くして...
【穢れた血事件】
スネイプもマローダーズも、注目を集める人ですし、実際周りの生徒たちも囃し立てていた描写があるので、ラクランも目撃しちゃいました。
リリーの「パンツを洗った方がいい」というセリフが本当にしんどいんですよね。スネイプに与えられた恥を、キッチリノシつけて返してる感じ。
パンツが汚い(灰色)のは、家庭環境とか、経済状況とか、優秀な頭だけではどうにもならない事情からだ、とリリーだけは確かに分かった上で(これを理解されるのも、おそらくスネイプにとっては苦しいことです)、なおそれを嘲笑する。完全に縁切られてる。よくこの後縋りに行ったよスネイプ...て読むたび思います。
そのシーンで死喰い人(デスイーター)になった友達もいる、とリリーに詰られているのですが、おそらくルシウスのこと?で、未成年のうちは探知もされてしまうので、6年生になる年あたりにデスイーターになるのかな、ということにしています。
拙作で描写したようなちゃんと考えてる子もいただろうけど、リリーの心を繋ぎ止めようと...というスネイプとか、若干厨二病的なノリがシームレスに過激派組織に繋がるの、恐ろしい時代ですね。