喧しいロンドンの喧騒を遮る分厚い魔法の窓ガラス。音は遮れても、排気ガスで汚染された灰色の空はどうにもできない。
「見てるだけで気が滅入る景色だね、まったく」
見事な装飾に帽子を被った魔女が苛立たしげに杖を振り、ホグワーツ特急が通り過ぎていくような湖水地方の長閑な風景を窓に映す。魔女は一瞬満足げに微笑んだが、すぐ、それを見てほしい息子たちの目が何も映さないことを確認して音を立てずにため息をついた。
「ばあちゃん、これはどこ?」
「あんたも無事ホグワーツに行けたら、そんとき見る風景さ」
ふっくらとした頬の孫は鼻をきちんとペーパーで拭った後、くりくりとした目で窓を見る。
「ぼ、ぼく、いけるかな。大おじさんはスクイブだって」
「お前の両親は二人とも素晴らしい魔法使いと魔女だ。きっと手紙が来る!来なくてもその時はその時さ」
ピシャリ!と言うと孫は石にされたように固まる。こういう臆病さはフランクにもアリスにも似ていないところだ。それでも確かに二人の息子らしい聡い所が見える時もある。だからアルジーほど心配はしていない。
「ね、ばあちゃんは"だった"ってもういわないの?」
「......若造が全然諦めないんだ、あたしたち家族だって諦めちゃダメだろう」
「ケイヒルさんのこと?さいきんきてないね」
「あの若造はホグワーツの先生になったから来れないんだ。そう手紙が来てたよ。詳しく調べるのは病院と一緒に続けてくれるって話だ」
「そうなんだ」
ラクラン・ケイヒルはロングボトム家の病室に通う数少ない人間の一人だ。最初はささやかな花も受け取れずにいた。いわゆる加害者の関係者というやつだったから。減刑のためでも許してもらうためでもなく、ただ治そうとしているとこっちがわかってやるのに随分時間をかけてしまった。
裁判がまともになされなかった批判をしてるのは知ってるし、当の友人が獄死したことも新聞で読んだ。それでも熱心さは変わらず、傷を少しでも治そうという努力をあの若造はやめなかった。
「父さんたちはおかしくなっちゃったってきいたけど。なおるの?」
正気を失った、なんていう診断を涙を飲んで信じ込んで、ただゆっくり年をとっていくのを見守っていた。ネビルはもう5歳だ。
「さあね。でもちゃあんと生きてる。少しでも治療をしてよくなる可能性を信じる方がずっといい。私らが信じて待ってやらなきゃだろ?」
若造の検査で音や光、触覚の刺激をきちんと受け取っていて反応も返そうとしていることがわかってきた。聖マンゴも融資してマグルの病院にかかり、脳の検査やら脊椎の検査やらをしている予定だ。
孫の寝癖がふと目について、ガシガシと撫でて整える。
「ば、ばあちゃん!やめてよ」
「嫌なら寝癖を魔法で治してごらん」
「できないよ!ぼくはできない!」
「ふーーむ。そう言えばあの若造も、ホグワーツから案内が来るまで魔法を使えなかったと書いてたな」
「あの人が!?」
「そうさ、危険な目にあわずあんまり癇癪を起こさなかったからだろうって言ってたな」
「だ、だから大おじさんはぼくをはしからおっことしたんだ」
穏やかな気性の孫を見下ろせば、真っ青な顔でガタガタしている。魔法の力を示せなければこれからも怖い思いをさせられると悟ったらしい。
「アルジーも困ったもんだね、死ぬ思いをしなくても、寝癖で恥ずかしい思いをしたら治せるようになるんじゃないか?」
「それもいやだよ!」
掃除機にスイッチを入れた後、ロコモーターをかけて動かしてみる。全自動掃除機になったりして。
イザベラがバフンとソファにダイブしている間にリビングの端っこまで進んだ掃除機は、辛くもターンが大きくなって石積みの柱にぶつかった。掃除機のヘッドがギャギャギャと音を立て安っぽいプラスチックの粉を撒き散らすので慌ててフィニートする。夢は遠い。
この家はイザベラがラクランと半分ずつお金を出し合って買った家だ。保護呪文をかけまくってセーフハウスにしているアランさんの小屋は誰でも招ける場所じゃないし、あそこは家族だけの大事な場所にしておきたかった。
古い柱や石は守護呪文なんかをかけるのに便利なので残しているものの、結構リフォームした。パリで買ってきたきれいな緑のカーペットを敷いたリビングには光がたくさん入るように大きな窓を作って、パステルカラーのソファや飾り気のない四角のテーブルは、いかにも最近のマグルっぽい。ゆくゆくはマグル生まれやスクイブにも来てもらいたい家だから、いくつも内見して真似をした。
コンコン、とノッカーが鳴らされてイザベラは慌てて立ち上がる。ワンピースにシワがついていないかどうか確認しながらドアへ向かった。採光ドアのすりガラス越しに、魔女にしてはイケてるタイトな帽子のシルエットが見えて、ほとんど確信を持ってイザベラはドアを開けた。
「はい、ケイヒルです」
「お願いしていたより早めに来ちゃったのだけど、よかったかしら?」
予想通り、玄関前には綺麗に整えたくるくる髪の少年を伴って、美魔女が佇んでいた。魔女の方はピッチリと髪を後ろでまとめてその上から艶やかな青いビロードでできたベレー帽を被り、首元のスカーフで彩を加えている。目元が似ていて親子だとわかるが、少年の肩に白魚のような両手が気安く乗っかっていなければ、魔女の年齢が不詳すぎてどんな関係か全然わからなかっただろう。
イザベラはにっこりと笑顔を作った。
「はい、お越しいただいてありがとうございます。ええっと、マダム......」
「うふふ、記事を読んだのね。あれから苗字が変わってしまって今はラシッドというの。あなたのことは後輩にも話を聞いたわ。この子は面接でも話したけど、息子のブレーズ。羽ペンはまだ練習中だけど、やりたいということをやらせてあげてちょうだい。よろしくね」
「はい、かしこまりました!」
頷いたマダム・ラシッドは息子の頬をひとなでしてから手首の腕時計をチラリと確認してさっさと立ち去ってしまった。
二人してマダムを見送ってから、イザベラが少し膝に手を当てて目線を合わせると、5歳になったばかりというブレーズくんは黒々とした目を一瞬だけすっと細めた。
「それじゃブレーズくん、私はイザベラ・ケイヒル。まずは一日よろしくお願いします」
「おねがいします、先生?」
身長的にイザベラを見上げているはずなのに、見下ろしているような尊大さで返事が返ってくる。
「フーム、まずは紅茶でもいかがでしょう?実はまだチャイルドマインダーの修行中だから、先生なんて大したものじゃないの。イザベラさんと呼んでもらえると嬉しいです」
「......わかりました、イザベラさん」
絶対信頼していないくせ、上下のまつ毛を絡めて人の良さそうな笑顔を作るブレーズに、イザベラは腕をまくった。
イザベラはかき集めた教材を机に広げて、小さなカップを両手で持つブレーズに見せる。どれからやる?と聞くつもりだったけど、ブレーズのほうが少し鼻を鳴らしていくつかの絵本を指差した。
「アルファベットは僕かける。これしってる、これも。母上に読んでもらった」
「それはいいですね。じゃあ、自分でも読める?試しに読んでみましょうか」
簡単だ、という顔で読み始めたブレーズだったが、話の内容はわかっていても読めない単語がいくつかあって、つっかえつっかえになった。眉を顰めて嫌な顔をしており、楽しくなさそうだ。
「読むのってけっこう難しいよね。文字通りじゃなくて、文字に合わせたフォニックスっていう音の決まりがあるんです」
「なんで文字と音がちがうの」
「アルファベットだけじゃなくて、それを組み合わせた綴りと、綴りの読み方があるからです。AだのBだのだけじゃ、いろんなことをお話しできないでしょ」
「でもめんどくさいよ」
「たしかにそうね。でもこの決まりがわかっちゃえば、知らない言葉も音を聞くだけで辞書を引けて、意味がどんどんわかるようになりますよ」
「それなら、やってみたい」
そこでやっと、ブレーズの目がきらりと光った。
まずはフォニックスを練習したが、もともとたくさんお話ができていたし、お家で夫人ともよく話しているのだろう、飲み込みは早かった。
それから音だけ知っている単語をフォニックスで考えて書いてみて、辞書で引いて答えを書くゲームをする。魔法生物や商品名なんかは辞書では調べようがなかったので、予言者新聞を見て答え合わせした。
「ニュ、ア、ン、ス」
「ズー、ウー」
「ディ、ディ、ボー、ス」
二人して単語探しに夢中になっていると、ジリリリと巻き上げ式のタイマーが鳴る。イザベラは立ち上がってキッチンから香ばしい匂いがするのを嗅ぎとり、ピシャリと額を叩いた。
「いっけない!シチューを火にかけっぱだった!お昼にしましょ」
大人しく鉄鍋の蓋の下でぐつぐつしたシチューは見事に焦げていた。焦げていないところをよそって、温めたパンと一緒に出す。お世辞にもホテルレベルではないけど、熱々で美味しそうだ。イザベラが一口食べてみせると、ブレーズも遠慮がちにフォークへ手を伸ばす。
微笑ましく見守っていると、グーでフォークを握って皿をキイキイ言わせ始めた。イザベラは慌てて手を指揮者のように振り、無言呪文で音を消す。
「ゴホン!テーブルマナーを練習しましょうか?これも慣れるまでちょっとめんどくさいけど、きっと役にたちますよ」
「......役にたつってどんな?」
「まず一つ目、お肉を切るのはそんなに大変じゃないの。そんなに指が白くなるほど握りしめて押し付けなくたって、ナイフをスッと引けばほら、この通り!それにこんなふうに音をさせたり」
ギイギイ、お皿がダイナミックな音を立てる。ブレーズはキュッと眉を寄せて耳を塞いだ。さらにスプーンのように上向きにしたフォークをくわえて歯にカチッと当て、大きな牛肉の塊を口に放り込む。
「こんなふうに大きな口でくちゃくちゃ食べたら、一緒に食事をしてるあなたはどう思うかしら?」
「んふふ、そっちが気になって、味がわからない」
ブレーズは堪えきれずに吹き出しながら答えた。
イザベラはビシッと指差してから慌ててフォークを持った手を下げた。よくない手本を見せてしまった。一口大に切った牛肉とじゃがいもを一緒に掬って頬張ってから、改めて口を開く。
「ええそのとおり!逆にこういうエチケットがしっかりしていさえすれば、おおむね楽しく食事ができます。一緒にいて良い気持ちでいられるって素晴らしいでしょう?」
「母上と食べてるとうれしいのは、そのせいかな」
「お母様と一緒にいて嬉しいというのもあるでしょうけど。たしかにあなたのお母様はとてもマナーが素晴らしいから、お料理もおいしく見えるでしょうね」
「うん、母上が食べてるチーズやワインはきらきらに見える......」
ブレーズが遠慮せず食事できるように、結構おおきな口をあけてシチューを流し込んでいたイザベラはピタリと止まった。光を纏うほど美しく食べるとは、さすが有名美魔女である。フォークの背をできるだけ優雅に唇から引っこ抜きつつ微笑む。
「どう?私は光って見えますか?」
「いいえ、ぜんぜん」
「あっそう」
どうやらイザベラのほうも修行が足りないらしい。
「ねえ、それじゃ、僕の食べ方で母上はいやな気持ちになっていたかな」
「誰でも赤ちゃんのときは手掴みですよ。だんだんできるようになっていくのを見守るのは嬉しくても、嫌なことではないでしょう。私はお母様じゃないから確かなことは言えないけど」
「手掴み?!」
「ええ、大人と子供では体の大きさも力の強さも、手先の器用さも違います。生まれたばかりの頃はみんな力が弱いしうまく使えなくて、スプーンなんか握ってもほん投げるだけなんですよ。あなたのお母様もそういう時代を過ごして立派に大きくなって、練習を重ねたから今あんなにきれいな所作になっているの」
「お母様が、手掴みで......」
「大人になってから手掴みするのは相当お腹が空いた時か、お家に誰もいなくて恥ずかしくない時です。でも大人だって昔は赤ちゃんだったんだもの。最初はみんなへたっぴですよ」
お母様が手掴み......とまだ衝撃を受けた顔で繰り返すブレーズにクスリと笑って、イザベラは食べるのを再開した。ブレーズも少ししてから現実に戻ってきて、おずおずと冷めたシチューの処理を再開する。慎重に丁寧にナイフをつかって具材を小さく切り分け、フォークで刺した。ニンジンが少し跳ねたのにもピクリと片眉を上げる。
「美味しく食べるのが一番ですよ、大丈夫。慣れればなんてことないんです。あなたがお家で食べるお肉やお野菜はもっと小さく切られていたでしょうし」
子供に出すのだから、きっとラシッドの家では小さく切られたものが出ていたのだろうと予想したイザベラが指摘すれば、ブレーズは膨れっ面で頷いた。
面談の様子や朝の会話で、ミセス・ラシッドがブレーズをとても大切に思っているのは良くわかる。きっとよく食べて愛おしいくらいにしか思っていないし、家での食事は屋敷しもべ妖精が完璧に提供しているだろう。でも彼はそれじゃ嫌なのだ。一刻も早く母親と並び立つ大人になりたがっている。
大人はどうしたって子供は子供らしくがかわいい、なんて思ってしまうけど、自分もホグワーツ生のころは散々ふざけるな!と思ったものだった。
「みんなが食べる料理を僕も食べる。あなたは小さくしないで」
「ええ、ええもちろん。あなたの希望とあらばそうしましょう」
新学期の日は短い。夕食を待たずにあっという間に日が落ちて湖から黒々とした夜が這い上がってくる。頼りになるのは揺れ動くか弱い蝋燭の灯りだけだ。
夕食後のお腹を撫でながら空き教室で5年生のレポートに目を凝らすラクランは、こしょこしょとそこかしこで相談する新入生たちの様子をそれとなく伺っていた。
教授が当番制で研究室でなく空き教室で採点作業を行い、その空き教室で自習をすれば質問などが気軽にできるという半ば自発的な自習室。新入生同士の助け合いや寮内の上級生だけではどうにもならない学習の遅れ、馴染めない生徒を早く見つけてフォローするためにはかなり合理的だ。
自身の在学中はバーティと一緒になって叩かれる前に成果を出そうと必死で、もっぱら自室と図書館の往復だったが、ラクランたちの頃からこの自習室システムはすでに存在していたという。
今見ても来ている寮に偏りがあるから、全体でのアナウンスはもっと頑張ってもいいのにな。大々的にやりすぎても来づらかったりするんだろうか。
「先生、質問よろしいですか」
「いいですよ。周りにお話を聞かれたくないかな?」
「は、はい。できれば」
ちょっと自信なさげなハッフルパフの男子生徒がやってきて、ラクランの質問に頷いたのでニッコリと笑って無言耳塞ぎ呪文をかけた。
「これで周りのみんなは私たちの会話を聞こえなくなった。どうぞそこへかけて、ご質問は何でしょう?」
「僕だけかもしれないんですけど、レポートの構成がよくわからなくて。教科書のページをまとめても全然宿題の量にならないんです。たとえ全部書き写してもひとまきにしかならなそうで」
「何の授業で......いや、この時期だから変身術か魔法薬学の二択だね。変身術の四大原則についてひとまき半、といったところかな」
「それです!どうしてわかったんですか?!」
「私も数年前までホグワーツ生だったからさ。レポートのコツは"一人ひとりに"提出が求められているということ。君が教科書を通して何を思い考えたかは、君にしか書けないだろう?こんなことをやってみたい、こんな点に特に注意したいと思った、こういう魔法もこの仕組みでかけられるのだろうか......そういう仮説や考察、感想を書いておくと良いと思う」
「たしかに先生は教科書の内容をまとめなさいじゃなく、まとめてレポートを書いてきなさいって言ってました!ありがとうございます」
「今後は宿題の指示が出たら、一言一句メモをとっとくといいよ」
「はい!」
一人目の子が声を弾ませてスキップで帰っていったので、少し足が軽くなったようだ。その後は洗濯物の行方がわからないとか、魔法界じゃない仕事につきたい場合はどうしたらいいかとか、大小様々な相談を受けた。
「さて君が最後だ。そろそろ寮に向かわないと、走って帰る羽目になるぞ。私もダッシュで見回りしないといけなくなる」
ラクランの方もトントン、と採点したレポートをまとめたところだったが、後ろの方の席で座ったままのナンシーに首を傾げて声をかける。先生らしく話しかけると開きかけた口が閉じてしまったので、ふむ、と一つ頷いてラクランは隣へ腰掛けた。
「はてさて、うちのお嬢さんはどうしちゃったのかな?」
仕事じゃなくてラクランの方で話しますよ、と意思表示のつもりで、ラクランはわざと高い声を出してティーセットを呼び寄せカチャカチャ手を動かした。チラリと横目でナンシーを見ると、突っ伏してる!完全に失敗だ。
「お、おい......ラムココアは用意がないけど、はちみつを入れちゃおう。歯磨きはちゃんとしてね」
紅茶にたっぷりのホットミルクとはちみつをいれたキャンブリックティーをふわふわ浮かせて一つ分離れたナンシーへ届ければ、ナンシーは少しだけ顔をあげて両手で挟んだ。
「ありがとう」
「どういたしまして。そうだ、イザベラに返事はしたかい?入学祝いが届いただろ」
「ラク......お父さんが知らせたの?」
「快速フクロウ便でビュンとね!......家族のことでなにか言われた?」
「いろいろあったの。正直まだいわないでほしかった。転寮するかもしれないのに、ライオンが刺繍された赤いスカーフなんてもらっちゃって」
「それはごめん。事前に話してただろ?イザベラがぜひ贈りたいって4寮全部用意してたんだ。でも君が最高の気分でなかったならおれたちの失敗だな。何があったんだ?」
「帽子にレイブンクローと迷われたの。レイブンクローにすればよかったって初日からずっと後悔してる!大広間のテーブルからずっと周りが最悪。あの人たち内輪で陰口ばっかりだよ!スリザリンは未来の犯罪者の寮だって」
「誹謗中傷だけど、事実を含んでいる分タチが悪いな......まあライバルだからある程度は仕方ないさ。おれたちも学生時代はお祭りバカどもってよく思ってた。スネイプ先生なんてしょっちゅう決闘してたんだ。でもリーマスは割と良いやつだろ?」
「良い人もいれば悪い人もいるなんて、そんなの常識じゃん。そんなこともわからない奴が......」
「ナンシー、ナンシー。常識は危険だ。お互いわかってると思い込んでてわかってないことなんていっぱいあるよ。相手は本当の本当にスリザリンの卒業生は全員アズカバン行きだと思ってるのかも」
「そんなの、じゃあやっぱりあたしはレイブンクローに行きたい。私は馬鹿な人が失礼なこと言うのを無視できないもん。いちいち喧嘩してたらろくなホグワーツ生活にならない」
「うーーん。お茶も冷めちゃうし一旦落ち着こうか」
ラクランはパンと手を叩いて話を切り、自分もカップを持ち上げて飲み干した。あんまり時間はないのだ、消灯までにナンシーを寮へ返さないと職権濫用と言われてしまう。
慌てて飲んだ紅茶は甘ったるくてぬるかった。ナンシーもぐいと飲み、口の中に膜が張ったような微妙な顔をする。甘さを乾かすために歯を剥き出した変な顔をお互い見合わせあって、少し笑った。
「ちょっと整理しようか。まず第一に、ホグワーツに転寮制度はない。帽子が決める一度きりだ。君は帽子と相談してレイブンクローよりグリフィンドールを選んだはずだ。
第二に、仮に転寮制度があったとして、君が話したやり方は逃げる方法だ。君は大事なみんなが貶められるのが嫌なんじゃなく、君の耳に届かないようにしたいと聞こえるけれど、それは君の本意かい?
それならなぜ、"勇気ある者が住う寮 勇猛果敢な騎士道で他とは違う"グリフィンドールを自分に相応しいと思ったの?レイブンクローで"機知と学びの友人を"得られる意欲があるようにも見えないけれど」
顔を引き締めて、ラクランはあえてきちんと言った。目の前で細かく揺れるナンシーの瞳を通して、一年生の頃の押し殺した自分を見ているような心地から、首を振って焦点をナンシーに合わせ直す。
おれにはとっくに覚悟を決めたバーティが側にいたし、じいちゃんに思い切り背中を押されて後には引けなかった。ナンシーには今のところおれのような微妙な立場の大人がいて、家にいるのは中退したけど立派にやってるイザベラだ。おれのときより随分と逃げやすい環境で、それが故にたくさん迷っている。
「......あたしは逃げたいんじゃない。聞きたくないけど、時間があるならちゃんと話して嫌な気持ちを解決したい。どんなに苦しいことでも痛いことでも、本当のことを知りたい。魔法を頑張るのは、パパとママと、ラクランとイザベラと、みんなのためだよ」
「そうか。そうだな、冗談でも失礼なことだった。君は昔っから学ぶことにとんでもなく意欲があるし、ものすごく勇敢な人だ。おれなど比較にならないほどにね」
立ち上がったナンシーが目を擦って、ラクランをまっすぐ見据える。震える手を胸の前で組んではいたが、声はしっかりしていた。ラクランが小首をかしげてちょっとだけ手を広げると、バフ!と思いきり飛び込んできた。
「うぉ、おも......」
「なにおう」
パチンと口に手を当てたが時すでに遅し。ナンシーは失礼な発言のお返しとばかり両足までつかってコアラの如くラクランに引っ付いてきた。ラクランはもう諦めてそのままカップを魔法で片付け、ぎくしゃくとした動きでグリフィンドール寮の方向へ歩き出す。
自動巻きの時計をちらりと確認して、靴底にグリセオをかけた。カーペットも石の廊下も、これでスケートリンクに早変わりだ。スイスイと靴の端で漕げば、自重に加えてナンシーの分で結構スピードが出る。途中でサー・ニコラスとすれ違えず彼の腹を通り抜けて、二人して鳥肌を立てながら寮へ続く廊下の曲がり角でナンシーを下ろした。
「レイブンクローもグリフィンドールも、君にピッタリだ。そしてグリフィンドールを君は選んだ」
「ふん......」
「ナンシー、ホグワーツは入学しておしまいじゃない。寮に入って全部が決まるわけでもない。それこそ、スリザリンに入ったらアズカバン行きみたいな馬鹿な話もないだろう?どう過ごすか、どういう寮にするかは君次第だ」
「じゃあこれからは自分で頑張るから、ヒントをちょうだい。お馬鹿さんに常識はどう教えたら良い?」
「お馬鹿さんも知らないだけで本当の馬鹿じゃないかもしれない。それを見分けるには、データを使うのさ。頭が腐ってなければ客観的事実は誤解のしようがないからね。たとえばデスイーターが一人も出ていない寮はハッフルパフ!とか。おれたちも学校での成績に頼って仲良くなれた。それではミス・ケイヒル、おやすみなさい」
わさわさとポプラのしげる薄暗い邸宅は、かつての夏の光をすっかり失ってしまったようだ。ノックしてからしばらくして、恐る恐ると言った具合で扉が開く。
「ミスター・クラウチのお屋敷で間違いないな。私はイグネイシャス・マグニチュード。事前にお手紙を送らせていただいたものだ。話は言っているか?」
ぷるぷると震えるウィンキーに、レギュラスはいかにも高圧的な感じで声をかけた。フランス紳士キャラならもっと穏やかにできたのだが、ラクランとのつながりを示すにはペンネームを名乗るしかない。面倒なことだ。
「は、はい。旦那様から、お伺ってございます!こちらへいらっしゃってください」
「ミスター・クラウチはご壮健だろうか。ケイヒルが今年もジャムを送ったはずだが、食べられているかな?」
「はい。今年もジャムとお花をいただきました。でもいただいてもお、お食べになりません!ウィンキーめがお花をお墓にお供えいたしますのも、旦那様はお禁じになられました!ああ、お労しい......いつも影のように俯いていらして、雪のように真っ白なお顔なのでございます」
「そうか、あまりお元気でないようだね」
さめざめと泣き、鼻を啜りながら先導するウィンキーに続いて歩きながら、レギュラスは顔をしかめた。
「逆転時計について調べていたんだ。メディの依頼でね、不法なことはしていないよ。実際に利用事例があるのかや、情報統制がどのように行われ、そして研究がどれくらい進んでいるのか――研究はあまり芳しくないみたいだけど――とにかくここ1年手が空いてるとき調べてた中で、ミスター・クラウチが調べ物してた痕跡を見つけた。バーティが収監されたあと、しばらくしてから急にね」
いつぞやの情報交換で、そうレギュラスに問いかけたラクランは冷たい瞳をしていた。
クラウチ氏は逆転時計について調べる動機があってもおかしくない立場だから、簡単にうんとは頷けない。彼はもし巻き戻せるなら時を巻き戻して、バーティがロングボトム夫妻襲撃に加わるのを未然に防いでいたはずだ。職権濫用だし体裁は悪くとも、言い訳はたつ。
「アズカバンで息子が死んでしまってから、取り戻したいと思うのだってありえない話ではないだろう?」
「だとしても愚かなことだ。逆転時計は時を戻せても事象を変える力はない。現在ですでに失われた命は現在公開されている魔法研究ではどんな手を使っても戻らない......おれもリチャードたちを失った時散々調べたよ。ミスター・クラウチはポスト的に知っていて然るべきだが」
「なんだって?いや、蘇る方法がないことは僕も知っているけれど......逆転時計は時を遡ることもできないのか?」
「いいや。時を遡れはする。だが過去の人物を救うにはおよそ過去の人物と対話が必要になるだろう?下手な干渉は未来の、つまり現在までの自分の存在を危うくする。そうすれば過去へ戻ることもできないから、結局もとの顛末に収束するんだ」
「逆転時計を使った過去での工作が非常に高い確率で徒労になるし、その確率は長期になればなるほど増すということか」
「おれの見立てで逆転時計の最も賢い使い方は、過去に足跡を残すことなく見逃した事象を丹念に確認し、現在の、これから起こることへの選択肢を増やすことだ。身近に所持していない限りはそのような使い方もできないだろうけど」
「それで、クラウチ氏も徒労に終わったというわけだね」
「バーティの死亡報道のあともしばらく調べていたみたいだが、神秘部の職員に絡んで難癖をつけた後、利用申請を出すのをやめたようだ」
「やはりあの父親でも息子の死は......」
「フン、だったらなぜ裁判のあとすぐに調べない?あれほど地位に固執していた男だぞ。なにか裏があるんだ」
ラクランはクラウチ氏の動きがバーティのためではないと確信していたが、だからと言ってバーティが生きていると希望を持つには可能性が希薄すぎた。期待して結果が伴わない時ほど絶望は大きくなる。レギュラスは希望を持つことが恐ろしかった。
車庫で二人して飲んだくれた時、ついにラクランは輝かしい顔でペラリと写真を取り出して並べて見せた。闇祓いのキングズリーに菓子折りを届けるついでで、闇祓い局の勤怠表を撮影したものの引き伸ばし。
「君を納得させるためにもう一つ根拠が必要で、それはこのほど期せずして実証できた。まだこの破れぬ誓いの印が正常に生きていて、おれの危機に反応する!そしておれの危機とは関係なく反応した際の記録と、ミスター・クラウチの勤怠表を比較してみてほしい」
ラクランの印が反応しているのは、必ずクラウチ氏の休日......。いやひとつ違っていたが、キングズリーに確認したところ屋敷からウィンキーが飛んできて早退した日だという。
ラクランの調査からわかったことは3つ。
一つ、バーティは生きている。
二つ、バーティの命の危険とクラウチ氏の在宅時期が一致することから、バーティはクラウチ邸などクラウチ氏の管理する場所にいて、移動していない。
三つ、バーティはクラウチ氏と敵対しており、命を脅かされている。
そして、疑問点も三つ。
一つ、たしかにアズカバンに収監され獄死したはずのバーティはいかにして脱獄したか。
二つ、またいかにして生きているのか。
三つ、バーティが生きているなら、ショックで衰弱したというクラウチ夫人はなぜ亡くなったのか。本当に亡くなった?
三つめの疑問はウィンキーとの会話のおかげでどうやら本当らしいとわかった。クラウチ夫人は確かに亡くなり、クラウチ氏はそれで随分と弱っているらしい。
レギュラスはぎゅっと唇を噛む。
クラウチ夫人も、バーティも密かに生きているというのが、ラクランと予測した最高のシナリオだった。
裁判の時もクラウチ夫人は随分追い詰められていたから、期待値は低かったけれど、やはり胸の内で寂しい風が吹く。レギュラスにとっては実母のような苛烈さのないクラウチ夫人も、学生時代のあの夏休みの大切な思い出の一部だった。
「旦那様、マグニチュードさまがお越しになりました!」
「ああ」
「お忙しいところお時間をいただきありがとうございます。こちら、奥様の墓前にと思ってお持ちしました」
白い顔色になんの光もない瞳で、クラウチ氏はレギュラスからスプレーマムの鉢を受け取る。
白いマムや季節にあったスノードロップといった花を、葬式と毎年の命日にラクランは送っているときいた。ラクランがアンガス・マグニチュードというのは知れているから、同じような花を持ってきたわけだ。
「これはこれは、毎年ありがとう」
「おや、お気づきでしたか。友人としてあのような本を書かせていただいたこと、後悔はなかったのですが奥様のご心労になったのではと」
生気は戻らずとも花に関心を見せたのに瞠目しつつ、自分たちの著書にも言及する。クラウチ氏はほろ苦い笑みを浮かべた。
「君たちの著書は妻が読ませてくれなかったんだ。あれの学生時代を垣間見れると言って独占してね......妻の死後読んだが、まっとうな政策批判だったと受け止めている」
「......そのようにおっしゃっていただけるなら、少し心が軽くなります」
ここ数年で滑らかになった口は簡単に真逆のことをするりと吐き出した。
逆転時計に関するラクランの考察、おそらくアタリだ。息子のためではなく、妻のために時間を遡ろうとしていたのだろう。
「私たちにとっては、本当にかけがえのない時間でした。彼もかけがえのない友人でした。しかし過去は変えられません」
「あれのことは口に出すな」
この人にとっては夫人が大事であって、息子はどうでも良かったのだ。それがもっとも夫人を傷つけただろうことも、側から見ればこんなに明白なのにこの人はわかっていない。わかっていないから、ラクランが感じるようにバーティと敵対し、その命を脅かし続けている。
「まるでまだ彼が生きているかのようにおっしゃいますね」
「なんだと?あれは死んだ!......ウィンキー、お客人をお返ししろ」
「お待ちください、奥様のお墓へ訪ねても良いでしょうか?」
「勝手に行けばいい。ウィンキー!」
静かに啜り泣いていたウィンキーは服で思い切り鼻をかんだあと、必死にレギュラスを押した。行きに通ったのと反対の階段から返されて、また逆方向の墓へ立ち寄る。
「どうしてわざわざこんな道で?」
「も、申し訳ありません!ウィンキーめは、そうしなければならないのです!お話になってはならないのです!」
「困らせるつもりはないんだ。ここまでありがとう。お墓へお祈りしたら、そのまま帰るから」
小綺麗に掃除されたこぢんまりした墓のそばには、ブルブル震える木がそよいでいた。まだ泣いているウィンキーにこれ以上負担を与えないために、レギュラスは足早に去った。
その足でホグズミードへ飛んでも良かったが、哀れな屋敷しもべ妖精を見てしまうと、クリーチャーが気になってしまう。久方ぶりに生家へ足が向いた。
「クリーチャー?いるかい?大丈夫なら開けてくれ」
ドアの前に立って、潜めた声で呼ぶ。母のヒステリー対策だ。爆発中だったら、さらに酷いことになってしまう。クリーチャーはしっかりと主人の声を聞き取って、ドアを開けてくれた。
「お久しぶりでございます、レギュラスぼっちゃま」
「クリーチャー、元気だったかい」
レギュラスは久方ぶりの家族に思わず微笑んで声をかけた。相変わらずのしゃがれ声だが、見たところ怪我などはない。
「元気?......いいえ、奥様のおかげんはおよろしくございません」
「君のことをきいたんだよ」
「クリーチャーは穢れた血が送ってくる軟膏でなんとかもっております」
「穢れた......?クリーチャー、僕の友人をなんと呼んだんだい?その言葉を使うのは嫌だといったよ」
「申し訳ありませんでした!」
「お仕置きはいらないよ!二度と呼ばないでほしいだけだ!」
ハッとした顔で額を壁に打ちつけ始めるクリーチャーの頭を手で覆って止めながら、レギュラスは必死で叫ぶ。ほとんど抱え込んだクリーチャーはもがいて涙と鼻水をいっぱい垂らしてきた。
「クリーチャー?」
「で、できません!」
「なぜ?」
「ク、クリーチャーめのご主人様はレギュラス様だけではございません!レギュラス様だけでは、クリーチャーめの言うことをお禁じになられません!クリーチャーは、穢れた血は穢れた血と呼ばなければなりません!」
「一体どうしたんだ!ラクランは僕と君を助けてくれた恩人だぞ!?アランさんもそうだ!母上に続いて君までおかしくなってしまったのか?」
「奥様はおかしくなってあらせられません!!おかしくなってなど!」
「クリーチャー!!」
雷のようなヴァルブルガの声が上階から響いた。ピシリと体を揺らして上階へ向かうクリーチャーの細い首から、一瞬金色の鎖が見える。
「それは......!」
ロケット。あのロケットだ。ここは安全な場所だ。ブラック家直系とその認めたもの以外は認識すらできない屋敷なのだから、隠し場所でここ以上はありえない。
だがやはりあれは危険だ。レギュラスはあれのために左手を無くしている。
左手を右手で握りしめて俯いたまま、しばらく上階で母の暴れる音を聞いていた。
ドタ、ズズ、ドタ、ズズと不規則な足音を立てて、クリーチャーが戻ってくる。アザや切り傷に塗れた姿は痛々しい。正気を失っても屋敷しもべ妖精を足蹴にするのだけは一人前で反吐が出る。自分が言っても悪化するだけなのは目に見えていたが、それでも助けに行くべきだった。
「クリーチャー!」
駆け寄って杖を振りエピスキーをかける。身をすくませられたのに心臓が嫌な音を立てた。
「ごめんよ、このような家に君を一人置いて......狂った母上と、そんなものを一緒に。それは外しておいてくれ、屋敷の中にあればいいから」
「できません!これはクリーチャーの誇りなのです!お屋敷の中で見つけたことを奥様が褒めてくださったのです!」
「忘れたのかクリーチャー?それはラクランと僕たちが」
「奥様が褒めてくださったのです!これをつけていないと、奥様がお許しにならないのです!」
「あの女のことはどうでもいい!」
ワッと泣き出したクリーチャーにレギュラスは手を伸ばしたが、謝りながら手を弾かれた。
「申し訳ございません、申し訳ございません」
「怒っていないよ、君は僕にとって家族なんだから」
「ヒッ!違います、クリーチャーめは家族になってはなりません!ヒック、レギュラス様は、由緒正しきブラック家のぼっちゃまです。正しき方で、ご家族を大切になさる方です」
「クリーチャー、あの母上の息子のことを言っているのなら、それはもうどこにもいないよ。この家に従順なレギュラス・アークタルス・ブラックは、あの洞窟で死んだんだ」
過去の自分への嫌悪が、ひどく冷たい声を出させた。
自分でも驚くほどの冷たさで、レギュラスは一瞬我に帰る。僕が今まさにやっているのは、クラウチ氏がクラウチ夫人にやったことじゃないか。
クリーチャーは家族みんなを敬愛してくれている。家族ができるだけ完全であることを望んでいる。でも僕はもはやその夢をとうに手放していて、家族と思える友人たちがいる。クリーチャーは家族だが、ラクランのことを悪様に罵る母を母とは呼びたくない。私の中でどうしようもなく順位が決まってしまっている。
クリーチャーはまた泣き崩れたが、レギュラスは口先へ湧いて出る言葉を次々飲み込んで、黙ってそっと屋敷から出た。
離れても離れても、クリーチャーの啜り泣きが聞こえるような気がする。心がざわめいて仕方なかった。
周辺回でした。闇の帝王の足跡を辿り友達を探す間にも刻々と時は過ぎ次の世代は育っています。
◽️ロングボトム夫妻とネビルとばあちゃん
初めはバーティの罪を一緒に背負うつもりでお見舞いに足を運んでいたラクランですが、自分がマグルの医療を実際に受けたのと、アランの終末医療でさらに触れる機会が増えたならこっちも動いてるはず。ネビル、抜けてる描写が多いわりに一年生の時からお話がしっかりしてるんですよね。誰かに思っていることを伝える勇敢さがあると思っています。
◽️イザベラのチャイルドマインダー
最初のお客さんはブレーズ・ザビニ。たくさんの結婚と死別を繰り返しているご家庭なのでこの時点では姓をラシッドとしました。広告を出した後事前に面接の上お預かりして、ちょうどイングランドの5歳児義務教育Year1のような学習と本人の希望する勉強を行う形。鬼婆さんがベビーシッターを出してるくらいなので需要はないわけではなさそう。生徒が増えるかどうかは口コミ次第です。
◽️自然発生的な自習室とナンシーの葛藤
空き教室を何かしらで使うシーンは原作でも出るのですが、そこに教授たちが足を運んでケアするのも公的には難しくてもできなくなさそうです。ラクランたちはいじめられる危惧アリアリで最初から特別措置ルーム勢だったので、学生時代見つけられなかったサービスの発見はたくさんありそう。
ナンシーはグリフィンドールに決まりましたが、環境のためにいろんな選択肢が見えていて、それが故に迷ってしまいました。ラクランは獅子の子落としタイプではなく寄り添う努力をするタイプなのでこのような仕上がりに。
◽️ブラック家
ヴァルブルガの晩年は詳しく書かれていませんが、もとは優れた魔女。落ち着いている時に邸内のロケットの存在にも気づいたのかもしれません。クリーチャーも身近にあるロケットの唆しと、ヴァルブルガの狂気に苛まれ、またレギュラスとヴァルブルガという二人の主人から矛盾する命令でダブルバインド状態です。
レギュラスだけのせいで起こった崩壊ではありませんが、優しい嘘を演じられるレギュラスはもはやいません。