商売天下人マキマキ!   作:十六夜月mk2

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第一話 行燈屋

「……」

 

やっほー、弦巻マキだよ。

 

知らない土地に飛ばされて一文無しでここはどこだか知らない世界。

 

異世界転生ってやつなのかな?

 

「どうしよう……言葉とか通じるのかな……」

 

なんだか道は土だし、よくわからないけど暗いし……。

 

「……制服だ、もしもし?」

 

「……よかっった!現代人だ!」

 

「は?」

 

なんだか見知らぬ学生に抱きつかれて泣かれてるんだけど……。

 

何これ、どういうことなの?

 

「あ、遅れました私|麗白(ましろ)つむぎだよ!高校二年生!」

 

「あっ、弦巻マキです」

 

「今いるのは私たち達戦国時代みたいなの」

 

「……冗談きついって」

 

戦国時代ってあれだよね?

 

織田信長とか、豊臣秀吉とか、徳川家康とかいた時期だよね?

 

なんでそんな時代に飛ばされてるの?

 

そもそも、私はマンホールに落ちたらここに辿り着いただけで……。

 

「女の子一人旅じゃ危なかったから助かるよ……」

 

考えてみたらそっか。

 

こんな暗い夜道に女の子二人、真っ先にヤバいよね……。

 

「あー、麗白つむぎちゃんだっけ?とにかく2人で安全な場所までいかない?」

 

「地形わかんない……」

 

言われてみたらそうだ。私もわからない。

 

戦国時代が本当だとしたら……。

 

……今は生き延びることを考えよう。

 

4刻(2時間)後

 

「村か町ですよ!」

 

「歩き疲れた……」

 

「おねげぇします!行燈屋(あんどんや)さん!金がないのは事実ですが何も家までは!?」

 

「期限守らないもんは知らん」

 

わー、借金とりだ。

 

こんな戦国時代にもあるんだね……。

 

「ねえ、その人の借金はいくら?」

 

「麗白ちゃん!?」

 

「……100貫だ」

 

「私が稼ぐ!」

 

あーもう滅茶苦茶だよ!

 

けど、私も見捨てられないからね。

 

「5日まつ、それでいいなら」

 

「わかった」

 

「見知らぬ旅の人!ありがとうごぜぇやす!」

 

しかし、5日かあ……。

 

お金はないし稼ぐ手段もない。

 

どうする?弦巻マキ?

 

「家は差し上げます!あっしらは夜逃げさせてもらいます!ご達者で!」

 

……やられた。

 

完全にやられた。

 

「麗白ちゃん、家の中物色して」

 

「へ?」

 

「今から5日以内に金を作る」

 

「マキ……さん?」

 

「綺麗な方法でね!」

 

こうして、5日以内に私たちの家のためにお金を工面することから始まった。

 

1日目

 

「あった、刀だ!」

 

「鎧があったー!」

 

「売って商売のタシにして行商する!」

 

これしかない。

 

これしか道がない。

 

5日なんて短すぎるがこれに縋るしかない。

 

私たちが生きるためにも。

 

「……マジで稼ぐ気か、夜逃げされたってんに」

 

「何?」

 

「……本気みたいだな、なら20日にしてこれを受け取れ」

 

「……古銭だ」

 

「5貫ですね」

 

「這い上がってみろ」

 

そういうと昨日の男の人は去っていったよ。

 

何がしたいんだろう?

 

「あっ!地図だ!この近辺の!」

 

「えーとどれどれ、今はここ……雑賀の街?」

 

「なら京都には近い!」

 

「あー……大丈夫かな?」

 

「何が?」

 

「私達商才なんてないよ?」

 

「なんとかなりますって」

 

「まぁしなきゃいけないんだけどね……」

 

そして、麗白つむぎと弦巻マキは2時間かけて完全に理解した。

 

雑賀の街は鉄砲が売られており、それを売れば莫大な金にはなるが大名と仲良くなることが必須なためまず不可能。

 

次に蜜柑を売るにしてもみかんは季節ものなためいまはあまりない事。

 

この季節今は夏、ある方が珍しいのだ。

 

よって、マキ達は何故か売ってあった素麺を手にして。

 

重さ約25kgを持ち、半日かけて京の街にたどり着いた。

 

「はいはい素麺はいらないかーい?涼める食べ方があるよー?」

 

「は?素麺は熱くして食うんじゃないのか?」

 

「まずは茹で上げて今作る」

 

10分後、茹で上がった素麺で客足が沢山やってきた。

 

夏の風物詩ともいえるためにか武士も来たようだ。

 

「茹で上がったら、水で締める!って冷たすぎ!」

 

「そして……味噌ダレです!さあ食してください!」

 

「……こりゃいい!涼める!」

 

現代では冷たい素麺が大人気だが、当時の素麺は熱くして食べるため町民達は炎天下と言うこともありずるずる言わせながら客で並ぶぐらいには沢山売り上げが出来た。

 

差し引きしても5貫から25貫にはなった。

 

自分達がたらふく食べたのを除けば。

 

「さて、この25貫が大事だけど……正直言って何売ってるのかなんて私達知らないんだよね……。高く売れる物は大体高いだろうし……山賊とかに襲われたら私たち身も蓋もないよね」

 

「京都といえばお茶じゃない?」

 

「あるのかな……?」

 

「今なら茶が1貫!安いよ!」

 

「25貫下さい!」

 

「あいよ!」

 

「マキさん?」

 

「多分これは売れる!」

 

「(大阪とかに売るのかな?)」

 

弦巻マキが取った行動は商人としては非常に正しかった。

これを石山(今で言う大阪府)もしくは堺に売れば莫大な資金は確保され、25貫から100貫にするぐらい簡単だった。

なんなら25貫分から350貫ぐらいになった。

この当時の京の街は旅人も多く、山賊の心配もないために安心して商売ができた。

本人達はわからなかったが、本能的に動いたのだ。

 

「まいど、んじゃこれにて」

 

「……堺にいってみる?」

 

「いきましょうか」

 

こうして歩くこと二日、堺の町へと辿り着いた。

堺の町は地元豪族が独自にやっており、その資金力から三好家後に織田信長にも目をつけられるほどだった。

主な商品は鉄砲に家宝類、南蛮品を扱いキリスタンもいたぐらいだった。

 

「これどこに売ればいいんだろう……」

 

しかし残念なことに、この2人座の存在を知らなかったのだ。

基本的には座に売るのが当たり前の世界、これは痛手だった。

 

「すいません堺の天王寺屋なんですがいま祭りの準備で茶が欲しくて……500貫と逸品を差し上げますので売っていただけないでしょうか?」

 

「いいよ?私たちどこに売ればいいかわからないし」

 

「やったぁ!これで解決!」

 

麗白つむぎと弦巻マキは500貫を行燈屋に振り込み約束用紙を貰い、逸品をその場でもらうのだった。

 

「日本書紀です、お受け取りください」

 

「えっなんでそんなのあるの!?」

 

「麗白ちゃん知ってるの?」

 

「日本の歴史がかかれたヤバいやつ……歴史の先生がいってた……」

 

「それ貰っちゃっていいの!?」

 

「納屋に商人司(あきんどつかさ)を奪うんです、それぐらいはしなければ」

 

商人司

簡単に言えば商売の特権である。

具体的には商人司になった商家が売り買いするのに有利になる。

商人達の夢の一つで、この戦国時代大名の支援があるだけでかなり楽になった。

 

「では、大茶会の準備がありますゆえに」

 

「ありがとう!」

 

「さぁ、戻ろっか麗白ちゃん」

 

「うん!」

 

そして1日かけて、雑賀の街に戻ったのだった。

戻った先には、何やら5人の人が弦巻マキ達を待っていた。

 

「これはこれはマキ殿」

 

「確かにいただきましたぞ、借金100貫」

 

そういうと若き女性商人らしき人がこっちにやってきた。

しかし、それは見知った顔だった。

 

「ゆかりん?」

 

「マキさん!?」

 

「麗白わかんないけど現代人なんだね」

 

「あ、どうも行燈屋の主人の結月ゆかりです。話は店中でしましょう!」

 

2人は、連れゆくままに行燈屋へと向かっていくのだった。

 

行燈屋店内

 

店内は小さな商家といった感じで中途半端に高級な物と庶民農民でもなんとか手が出せる物で溢れかえってた。

それと特産品らしき物と。

 

「まぁ、緑茶でも飲んで落ち着いてください」

 

「ゆかりんなんでいるの?」

 

「私がこの店を引き継いだんですが、この店小さすぎて地元商売だけでこのままだと潰れるんですよね……」

 

「麗白ちゃんいい考えがあるよ?」

 

と、麗白つむぎが言うと商人司のことを説明した。

しかし結月ゆかりは渋い顔だった。

 

「商人司っていったって、ここらは納屋の支配ですよ?」

 

「だよねー」

 

 

3人は頭を悩ませた。

 

「だったら特産品売って稼げばいいだろ」

 

「「「それだ!」」」

 

3人は、合点が合ったのか閃いたのか行動に移そうとした。

しかし、止められるのだった。

 

「待て、金がないのにどう開発する?」

 

「マキさん達に稼いで来てもらいます!」

 

「……こうなったらうちの当主止まんないからよ、運がなかったと思って商家に奉仕してくれ」

 

「ゆかりんのことはよく知ってるしわかるよ……」

 

こうして、弦巻マキと麗白つむぎのドタバタ商人人生が始まろうとしていた

 

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