ようこそ純愛過激派の教室へ   作:妄想癖のメアリー

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 そう言えば言い忘れてたので、無人島試験までの各クラスのポイントを書きます。

 ──5月──
 Aクラス:980cpt
 Bクラス:650cpt
 Cクラス:490cpt
 Dクラス:0cpt

 ──中間テスト後──
 Aクラス:1050cpt
 Bクラス:663cpt
 Cクラス:492cpt
 Dクラス:83cpt

 原作と多少違う所は九条が早めにシステムの概要に気が付いたり、テストで好成績を取ったりって感じです。

 高評価、感想、ここすきをいただけると作者のモチベーションになります!ぜひよろしくお願いいたします!





女王の妬心

 

 

 

 時が過ぎるのは早いもので、入学してから約3か月。1学期期末試験を終えた夏休みの初日に、俺は有栖と久々に外食をしに出かけていた。

 

「今日は俺の奢りだから。じゃんじゃん食べちゃっていいよ」

 

「ありがとうございます。それにしても、ポイントが多いのは羨ましい限りですね。今の手持ちはどのくらいなんですか?」

 

 もちろん有栖とは同じクラスだし、毎月支払われるポイントも同じ額だ。

 しかし、有栖が保有するポイントはせいぜい20万程だろうが、俺のポイント数はそれよりも多い。

 端末を取り出し保有ポイントを確認する。そこには月10万の収入からは考えられないほどの、多量のポイントが記載されていた。

 

1()3()2()()()()()()だね。綾小路が言うには色々使えるっぽいし、貯めておいて損は無いかな」

 

「あら、貴重なポイントをこんなところで使ってよろしいのですか?」

 

「何言ってんの。有栖と飯食うのに、俺がポイントケチる訳ないじゃん」

 

 好きな女の子に奢るのなんて最高じゃないか。

 最近世間では『男は飯を奢るべきかそうじゃないか』的な論争が巻き起こってるらしいが、少なくとも俺は有栖にだったらいくらでも奢ってやっていい。

 

「嬉しいことを言ってくれますね。私も、旭君と過ごす時間は楽しいですよ」

 

 そう言うと、有栖は嬉しそうに微笑んだ。

 普段行かない高級志向のお店に来たからか、その店の雰囲気も相まって笑顔の破壊力は乗数的に上がっている。

 自分の顔が熱を帯ているのを認識しながらも、俺はそれをひた隠しにして話題を振った。

 

「最近忙しかったからね。テストもそうだし、部活だってそう。充実してるのは嬉しいけど」

 

 特に7月はバタバタしていた記憶がある。月末のテストもそうだし、その前には高度育成高等学校空手部の、初めての大会が控えていたからだ。

 

「最近は入部希望者も少しずつ増えてきたと聞いています。やはり()()()()()()()()()()というのは大きな魅力でしょう。私も鼻が高いですよ」

 

 そんな、嬉しいことを言ってくれる有栖。

 

 そう、高育空手部初の大会は、俺が高校一年生の部で全国優勝という華々しい結果を残した。一緒に出た堀北さんもあと一歩及ばずといった結果だったが、それでも都で入賞するほどの高成績だ。2人とも、初めてにしては上出来すぎる結果だろう。

 

 因みに綾小路は出場資格が無いからお留守番だった。しょうがないね。

 君まだ白帯だし。昇級試験やってくれる先生もまだ見つかってないし。

 

 この学校は、特殊なシステム上外部コーチを雇うのに時間がかかる。守秘義務をちゃんと守ってくれるかとか、契約書とかいろいろ書かせなきゃいけないから大変らしい。

 一応責任者は茶柱先生にやって貰ってるが、部活に顔を出したことは一度もない。まあやってくれるだけありがたい話だ。

 

『オレも一緒に行きたかった……』みたいなこと言ってたけど、大会中でもずっと拘束されてるから観光とかは無理なんだよ綾小路。

 外部との接触を禁止するのは別に良いが、体動かす時も常に人が付いているのは、集中できないから勘弁してほしいものだ。

 

「まさかあれだけ大々的に表彰してくれるとは思わなかったけどね。ポイントもたくさん貰ったし」

 

 とまあそんな感じで、ついこの間全校集会で表彰されてきたばかりだ。

 そして、この学校の凄さを改めて実感したのもその時だったりする。

 

「100万ポイントですか。やはり実力ある生徒には財布の紐が緩くなるんですね、この学校」

 

「そのおかげで大金持ちだよ。皆の前で言ってくれたおかげで大変だったんだから」

 

 トロフィー授与と同時に、坂柳理事長から100万ポイントの贈呈されると、全校生徒の前で告げられたのだ。確かに部活に励む生徒のモチベーションは上がると思うし、普通に嬉しいけど、金を集ってくる池や山内を凌ぐのは大変だった。

 ある程度貰えるとは知っていたが、まさかこれだけ大きな額とは夢にも思わなかったしな。あとそれを事前に教えてくれなかったのは酷いと思う。

 

 そこに追加して龍園君から搾り取った90万ポイントの分け前30万ポイントを貰い、3か月の収入で大体30万ポイント。合計160万ポイントの収入を、合計で得たということになる。

 

「こうしてみると結構使ってるな俺。今度出費メモっとこ」

 

「部活動の設備代じゃないんですか? 部室は貸していただけるとはいえ、お金は必要でしょうし」

 

 有栖がタッチパネルで注文しながら指摘してきたが、残念ながらその仮説は外れている。

 

「いや、設備代は部費として学校が落としてくれるんだよね。古くなって使われてなかった設備とかめっちゃ貰えたし、足りない奴は予算の範囲で色々取り寄せてもらってるから」

 

 古くなってとか言ったけど、実際は5年くらいしか使われていない綺麗な状態のものばかりだ。

 この学校のトレーニング設備はどれも最新のものばかりだし、その設備を生徒は無料で使用できるのだ。マジでどっから金が出ているのかが気になってくる。

 

「……ちなみに、それっておいくら位ですか?」

 

「うーん……どのくらいだったかな? 大体20万くらいかな」

 

 床に敷くマットが8万くらいで、道着とかヘッドギア、ミットとグローブを3人分合わせて10万くらい。サンドバッグとかトレーニング機器は古いの回してもらったから無料として……そうだね。その位で合ってるわ。

 

 うん。破格の待遇だ。期待が重すぎて胃が痛くなってくる。

 

「私も部活を作りたくなってきました。チェス部を作ってお小遣い稼ぎしたいです。旭君を副部長にして、後は適当に真澄さんを入れれば条件達成できますよ」

 

「やだよこれだけ期待してもらってるのに2か月で兼部するの。てか多分ボードゲーム部あったしな。それに、神室さんだって確か美術部入ってただろうし」

 

 神室さんの扱い雑すぎだろ。可哀想になってくるわ。

 

「そう言えば、綾小路君はどうですか? 堀北さんも経験者のようですし、その中に混じるのは中々厳しそうです」

 

「……それ、知ってて言ってるだろ」

 

「ふふ、何のことでしょう?」

 

 思わせぶりな態度でとぼける有栖。見学にこそ来たことは無いが、もう彼女の中ではある程度の当たりはついているんだろう。

 そんな有栖に対して、俺は綾小路を指導して思った感想を正直に答えた。

 

()()()()()()()()()()()()()()()。絶対未経験者じゃない。……空手のルールじゃ負けることは無いだろうけど、MMAだったら分かんないくらいには強い」

 

 最初は綾小路特有の手抜き癖が出ていたのかもしれないが、正直その競技をやってる人から見たら、手を抜いているのはバレバレだ。「部活ぐらい真面目にやれ」と注意したら本気でやってきたが、その変わり様には大層驚いた。

 

 というより、多分()()()()()()()()()()()だ。ベースとなる格闘術に、多種多様な武術の技を織り込んでいる。だがその数は、俺とは比べ物にならないくらい多い。

 ミット打ちをしているときに、サラッと躰道の卍蹴りを打ってきた時は流石にビビった。

 

 なんだよ、「これは使っちゃダメなのか?」って。見た事ねぇよ卍蹴り使う空手家。

 

 有栖が居る前だからちょっと強がったけど、MMA……総合格闘技みたいに、ほとんど禁止技が無いルールでの戦いだったら勝てるかどうかはかなり怪しい。明らかに技術力が素人のソレではなかった。

 そもそもおかしいと思ったんだよね。中学時代に部活とか何もしてなかった割に、筋肉量とかバランスとか整いすぎだし。

 

「そうですか。では、今度手合わせをするときは私も呼んでください。どちらが勝つのか、非常に興味があります」

 

「……おっけい」

 

 流石に負けてられないな。夏休み中に追い込んで差をつけるか。

 そんな意気込みをしたと同時に、注文した料理が届いた。

 

「では、ちょうどいいので頂ましょうか」

 

「そうだね。いただきます」

 

 そう言って手を合わせ、料理に箸を差し込もうとしたそのとき、有栖が思い出したかのように声を上げた。

 

「そうだ。手を付ける前に写真を撮りましょう。旭君、カメラお願いします」

 

「ん、どうやって撮る?」

 

「そうですね……少し身を寄せて、そうです。こんな感じで」

 

 手を伸ばし、インカメで写真を撮ろうとした俺に、横に座っていた有栖が身を寄せてくる。体の半身がくっつくほどの距離で、有栖は俺の胸に手を寄せた。

 傍から見ると完全にカップルに見えるであろう様相に、心臓の鼓動が高鳴るのを感じる。……てか、マジで距離近すぎ。なんかいい匂いするし。

 

「……近くない?」

 

「あら。こういう撮り方は初めてなので、加減が分かりませんでした」

 

「普通もうちょっと離れ……あっ」

 

 俺が話している最中に、カメラのシャッター音が響いた。

 どうやら顔を検知して自動で撮る機能がオンになっていたようで。端末の画面には顔を赤くして有栖の方を見る俺と、にこやかな笑みをカメラに向ける有栖の姿が写っていた。

 

「……消すか」

 

 流石にこれは恥ずかしすぎるため、急いで削除しようと指を動かす。

 しかしあと一歩のところで、重ねてきた有栖の手によって止められてしまった。

 

「いい写真じゃないですか。後で送ってください。待ち受けに使います」

 

「……マジ?」

 

「ええ。旭君も使っていいですよ?」

 

 いや、使ったところで俺が恥ずかしいだけなんだが。……まあいいや。なんか機嫌良さそうだし。

 

「じゃ、写真も撮ったし食べよっか」

 

「そうですね。では、いただきます」

 

「いただきます」

 

 俺も有栖も食事中に喋るタイプではないため、食事が届いてからは黙々とディナーの時間を過ごした。

 いつもと何ら変わりない2人だけの食事の時間だったが、少しだけ背伸びしたこの時間は、俺の恥ずかしい写真と共に、ちょっとした思い出として記録されるのであった。

 

 

 

 

 

 その後食事を終えた俺たちは、寮へ続く道を2人並んで歩いていた。ショッピングモールと寮を繋ぐこの道中には、道中噴水のある公園があり、学生……主にカップルたちの憩いの場となっている。

 そんな公園も、夜になればその雰囲気はガラッと変わり、等間隔に植えつけられた街灯だけが光源となる。それも相まって、1人で歩くのは若干心もとない。

 

「旭君は、この学校に入学して良かったと思っていますか?」

 

 コツコツと靴が石畳の道を踏む音だけが響く中、唐突に有栖がそんなことを聞いてきた。

 

「思ってるよ。ちょっと大変なのは間違いないけど、それでも気の合う友達は出来たし、毎日が充実してて楽しいよ」

 

 放課後綾小路と堀北さんと練習している光景や、その帰りに嫌がる堀北さんを無理やり連れてファミレスに寄ったりする日々。須藤の奢りで祝賀会をやったり、休日に出かけたりした思い出が脳裏に浮かんでくる。

 

「それは良かった。ですが、こうして私と一緒に過ごせることは、あなたにとってはそれほど魅力的ではないようです」

 

「……いや。そんなこと一言も言ってないじゃん。思ってるけど、わざわざそれを本人の前で言うのは恥ずかしいってだけで」

 

「そうでしょうか? それにしては、昔に比べて一緒に過ごす時間、減っているでしょう」

 

 ……何を言いたいのかがよく分からない。この語り口は拗ねた時特有のものだが、その表情は上機嫌そのものだ。

 良い例えが思い浮かばないが、これまでとはまた違った雰囲気を感じる。それは確かだ。

 

「まあ、それはいったん置いておきましょう」

 

「置いておくんかい」

 

 そんな俺のツッコミを無視し、まるで子供に物事を教える親のように指を立て、説明を続ける有栖。

 

「旭君。あなたは学生生活を充実させる要素を、多分に満たしているということになります。友人、部活動、勉強。……ですが、一つだけ足りないものがあるはずです。分かりますか?」

 

「平穏な生活とか?」

 

 うん、間違いない。

 教室を複数個の監視カメラで見張られたり、幼馴染と友達の派閥争いに巻き込まれてクラスから浮いたり、明らかヤンキー上がりの同級生からポイントを集ったり……最後に関しては俺がやった事だけど、この学校に足りないのは平穏。それは間違いない。

 

「……はぁ。本当にこういう所は鈍いですね。恋は盲目とはよく言いますが、まさかここまでとは……」

 

「有栖?」

 

「いえ、何でもありません」

 

 ごほんと一度咳ばらいを挟むと。有栖は唐突に俺の手を、その華奢な左手で握ってきた。

 少しでも力を込めたら折れてしまいそうなほど細く温かい手が、俺の手を優しく包み込む。

 

「ちょっ……何やって」

 

「いい加減、その童貞臭い反応やめた方が良いですよ。今時流行ってませんし」

 

……お前だって処女だろうg「何か言いましたか?」いえ、何でもありません」

 

 俺が悪かったから脛を杖でべしべし叩かないで。意外と痛いんだからそれ。

 

 完全にギャグの流れになってしまったが────次の瞬間にはそんなこと忘れる程、衝撃的な言葉を有栖が発した。

 

 

 

 

 

「────なので、いい加減私たちも、()()()()()()()()()()()()()だと思いまして」

 

 

 

 

 

「……えっ」

 

 えっ、今なんて言った? 聞き間違いじゃないよな? 

 驚いて呆然と立ち尽くす俺の首に手を回した有栖は、追い打ちをかけるかのように背伸びした。勢いよく頭が引き寄せられ、お互いの鼻先がくっつくほどの距離まで近づく。

 

 そして、有栖はまるで人を堕落させる悪魔のように、俺の耳元で甘く囁いた。

 

 

 

 

 

「九条旭君。D()()()()()()()()()()()()、私と共に来てください。そうすれば、正式にお付き合いして差し上げます」

 

 

 

 

 

 ……いや、雰囲気の落差ありすぎだろ。頭痛くなってくるわ。

 

 

 





 次回は無人島編と言ったな? あれは嘘だ。
 ってことで、しばらく出番が無くなっちゃう坂柳で締めます。

 次回からは本当に無人島編です! 気合入れて書くので高評価や感想等頂けると作者のモチベーションがぐんと上がります!
 まだ評価していない方が居ましたらぜひよろしくお願いします!
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