強制異世界転生者、延命配信始めます? 作:異世界神(代理)
悪い夢を見て飛び起きるような、冷や汗が伴う覚醒。それがあのクソ神により異世界へ勝手に連れ去られてきた一人の日本人の始まりだった。
ありふれた日々を過ごしている途中、突然の不快感。
体調不良により倒れ込む直前の暗転。
視界に広がる白一色の謎の空間。
自分と同じようなことが起きたのか、パニック状態の人々。
うるさいなあ、と強制的に口を閉じさせ皆を黙らせた、神を自称する異常存在。
神による自分語りと身勝手な理由、説明になっていない説明。
異世界チート、と浮き足立つ人。
異世界っぽい、という言語化不十分としか言いようのない個人の判断で命を左右されることを知り青ざめる人。
――拒否権は無いと言い切った、あの顔。
どこからどこまでが確かな記憶なのかもわからない混乱の中、まずは自分がどうなっているのかを確認する。
手、無し。
足、無し。
頭、無し。
体、沼。…………沼?
生き物が持つ感覚器官としてメジャーな目も鼻も耳もないのに、なぜか自分が何であるかを理解できる。周囲の光景――湿度が高い暗い森――も感じ取ることができる。異常であったが、その異常に対する疑問は「まあ異世界だしそんなもんか」と
異世界という環境への強制適応。……あのクソいつかぶっ飛ばす、そう心の中で誓う。
最終目標をクソ神ぶっ飛ばす、に据えるならば自分が何をできるかを試す必要がある。異世界っぽい、と言うのならいつか神殺しとか出来るほどの力を手に入れる可能性があるはず。待ってろクソ神、ゴッドスレイヤーに俺はなる。
人外転生として好スタートなのか? 何もわからない。
さて。あの神が考える異世界、ならばしなければならないことがある。
『ステータス、オープン?』
能力が数値化されるタイプの異世界モノのお決まり、テンプレになりすぎた結果異世界に来たら取り敢えず言っとけなセリフランキング入賞間違い無し。それがステータスオープン。
自分が声を出すと同時にごぼごぼ、と沼に気泡が浮かび音を立てる。声の代わりとして気泡が出る仕様のようだ。いらない。
『うわ』
パッ、と思考の中に半透明の画面が出現する。
名前:未設定
種族:
心が生み出す欲望に底は無い。欲望から発生した沼は何もかもを飲み込み、模倣する。それが命であろうと、そうでなくても。
欲望の核となるアイテムを全て失うと体力が残っていたとしても即死亡する。
レベル 1
体力 100/100
魔力 100/100
物理攻撃力 20
魔法攻撃力 30
物理防御力 30
魔法防御力 30
俊敏 10
【核設定アイテム数 10/10】
所持金 0
種族特性
火属性:耐性
水属性:耐性
風属性:普通
土属性:耐性
闇属性:耐性
光属性:弱点
所持スキル
貪欲 レベル1
侵食 レベル1
模倣 レベル1
鑑定【Locked!】
アイテムボックス【Locked!】
神祝・環境適応【Locked!】
神呪・異人遊楽【Locked!】
所持アイテム
蠱毒の人骨×4【核設定中】
災禍の黄金×6【核設定中】
アイテムボックス
あー……うん。
これは、あんまり良くない生き物なのではなかろうか。スキル、というのは自分が持つ能力を言葉で表したものだろうが……明らかにあのクソ神関連だろうスキルもある上、色や表示が他のスキルとおかしい。
神祝の祝、は祝福のことだろうか。……いや、自分を勝手に作り替えやがったクソ神が与えて来るものなんて呪い一択では? 色が赤で禍々しいしこれは絶対に呪い。
異世界といえば、なテンプレートスキル。【鑑定】と【アイテムボックス】。【鑑定】、は今見えているこの画面がそうなのだろうか。そしてアイテムボックスと所持アイテムが別なのは一体?
Tips
所持アイテム
装備品や所持金や素材など常に身につけている、持ち歩いている、体内にあるものを指す。自身が死亡した場合、特殊な処理をせずとも他存在が入手可能な状態になるアイテム。
アイテムボックス
異空間へ収納しているものを指す。アイテムボックスに収納されているアイテムは時空属性意外の干渉を受け付けない。自身が死亡した場合、時空属性を使用し処理しなければ他存在が入手不可能なアイテム。
そっかぁ。じゃあこの無くしたら死ぬアイテムな核ってやつ、アイテムボックスに収納するべきでは。
と思いつくと同時に自分は【アイテムボックス】を使用する。【神
――ここまでの自分に関する情報を得た結果、今後の方針を決める。
できる限り人に関わらずレベルを上げる。
うん、これしか無いだろう。人にあったら討伐されそうだもの、この種族。
未だ名前のないモンスターである元日本人は、見事人外転生モノの出だしのように生きることができた。かわいい女の子がピンチになっているのを助けたり、ジャイアントキリングを成し遂げた……わけではない。堅実に戦闘経験を積み上げた。
大ウケはしない。起伏が少なく地味ではあるが好む人がいる。文章にしたらそう表現されるだろう生き方を続けていた――。
地中から
――うん、その案採用! 神が手を加えたのになんでか異世界モノっぽいことしないヤツが多くて困ってたんだよね〜。確かにそれならダメダメ日本人でもできるし、その上異世界モノっぽい! えー、今神の声を聞いている選ばれし元日本人達。君たちには配信業をやってもらいます!
『――は?』
――配信の機材が手元に無い? 大丈夫、もちろん神が与えるスキルでなんかこう上手いことするから安心してね! リスナーは取り敢えず異世界に来たのに腐ってる元日本人でよろ! ……何? テーマ? 動画編集? さあ……神は切り抜きしか見たことないから……。
何言ってるんだろうか、あのクソ邪神。
-続きは神が他配信系作品の誘惑と嫉妬に負けることなく執筆に専念できたら投稿されます-