私はただ、白い部屋から抜け出したいだけだった。 作:つのドリル
正直まだ対して登場人物が出ず、会話もなくほぼ主人公の独り言なのに評価してくれる人がいて驚いてます。感謝。
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少し時間が経ったおかげで、私はいくらか冷静になることができた。綾小路がしたことを参考に私もここから脱出することができるかもしれない。得られた情報を取り敢えず自分の頭の中で整理する。
まず綾小路はとある高校に入学をしたらしい。でもここにいては高校の入試や入学の手続きをすることはまず不可能だ。ホワイトルームでは自由時間がほとんどないし、自分の部屋も監視をされているため怪しい行動をしたらすぐバレてしまう。
じゃあどうやってそれらの問題を解決したかというと、綾小路家に勤めている執事の存在だ。恐らくかなりの地位であったであろうその執事は、生まれた時からホワイトルームにいる綾小路を可哀想に思ったのか、綾小路に手を貸し、綾小路1人では不可能なことを可能にしたのだ。
私には無理なやつじゃん。
正直思う所はいくつかある。私も一緒に脱出させてくれないか、とか、綾小路は成績優秀なんだから大人しくホワイトルームの成功作としていてくれ、何故同じホワイトルームなのに才能だけでなくチャンスすら平等に訪れないのか、など一々挙げていたらキリがない。
ただその中で根底にはある1つの感情が共通している。 「ズルい」という一種の嫉妬心だ。
だってそうだろう。前世でごく普通の生活を送っていた私にとってここは監獄のようなものだ。ホワイトルーム生は産まれた瞬間からこの檻の中で育てられ外の景色は知らずに成長していく。更にこの檻の中の方がいいと教えられている。そんな環境でここから出ようと思うことはまずないだろう。
だが私は違う。私は例えるなら外の世界からこの檻の中に理由もなく閉じ込められた冤罪者。そんな私がここから出たいと思うのは自然なことでしょう?なので私はホワイトルームから出たいという気持ちがこの中で1番強いと自負している。
それなのに。
綾小路が。私には到底実現不可能な方法で。私が1番したいことを。あっさりと成し遂げていく。
こんなことを許すことができるか?少なくとも私にはできない。
だがこの感情を持った所で綾小路はもういないのでどうすることもできない。
だから私はこの感情を忘れないよう心に刻む。そして、必ずここを抜け出す。そして綾小路にぶつけてやる。
この一方的で独善的で破滅的で攻撃的で狂的で病的で矛盾的で自滅的な、この「感情」を。
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こうやって日々を過ごしていくとある日、監視官から呼び出された。私は決意を固めた日からは元からトップだった運動に加えて学問の分野でも上位の方の成績を収めている。その為私がここを脱落するということはまずないだろう。
じゃあ何故呼び出されたのかと不思議に思いながら呼び出された部屋にいくと、そこには私を呼び出した監視官、そして拓也と一夏が、私と同様に呼び出さたれたのかそこにいた。
八神拓也と天沢一夏は私と同じホワイトルーム5期生の同期だ。同期って聞くと仲良さそうな響きに聞こえるがそんなことはない。寧ろお互いを蹴落とし合う敵という関係の方が近いのが実情だ。私としては仲良くしたい気持ちもあるんだけどね…2人は5期生の中でも特に優れた2人で文武ともにトップクラスの成績だ。武は私の方が勝ってるけど文は正直私では叶わない。人工的に天才を作るって言っても元の頭のつくりに限界はあると思うよ。
それはともかく、この超優等生2人と2人ほどの優等生ではないが成績優秀な方である私、この3人が呼び出されるということは成績で決められた何か課題でもあるのだろうか。とりあえず私は2人の横に並んでおく。当然私たちの間に交わされる言葉はない。
そして私が並ぶと、これで全員揃ったのか監視官がおもむろに語り出した。話が長いのでまとめると、
「綾小路清隆を連れ戻すために高校に潜入して退学させろ」
とのことらしい。
…いやまじか。
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それから私たちは高校に潜入するために専用のカリキュラムで授業を受け始めた。因みに拒否権はなかった。まぁ仮に拒否権があったとしても私は断るつもりはなかったし、拓也や一夏も断ることはなかっただろう。
そして潜入するためのカリキュラムだが正直私にとっては難しいものではなかった。カリキュラムの主な内容はホワイトルームと高校での生活や常識の違いなどがメインで前世で学生生活を一通り経験している私にはそうだろうな、となる内容しかなかった。
ではなぜこんなことをするのか、それは綾小路清隆だ。綾小路は高度育成高等学校に入学した際、そこの違いに慣れずに苦労したらしい。いい気味だ。
ただ綾小路が通っている高度育成高等学校という所は前世で高校を卒業した私からしても中々特殊な環境だと思った。
高度育成高等学校は東京にある全寮制の共学高だ。全寮制というのは珍しくはあるがそこまで特殊というものではない。特殊というのは高校3年間1度も外に出れないのだ。そして在学中は外部との連絡を取ることはできない。はっきり言ってかなり異常だろう。怪しさ満天ではあるが、ホワイトルームとは違って世間一般的に認知されているのでアウトなことは行われていないはずである。
え?ここ?勿論世間にバレたらアウトな施設だよ、笑っちゃうね。
そもそも私達が高校生として潜入しないと綾小路を連れ戻すことができないっていう時点でこの学校の異質さが浮かび上がってくる。綾小路の父親はこのホワイトルームを作った人である。そんなことができる人、そしてそんな施設がバレてない時点で綾小路父は相当な財力や権力を持っているのだろう。ただそれでも綾小路を無理やり退学することは出来ない。この学校が独立した権力を持っているのだろう。前世にはないような環境である。
その為私もこのカリキュラムで学ぶことはそれなりにあった。後は綾小路を退学させる為に3人が呼ばれたので拓也と一夏と協力する必要があるのだがそれが中々上手くいかない。
まず拓也だが、協力しようと持ちかけても断られてしまう。
(意訳)「お前みたいな雑魚の力なんて借りなくても大丈夫だよ」
みたいなものだ。まぁその発言自体はどうかと思うが仕方ない面もある。恐らく拓也は綾小路と1対1で対決をしたいのだろう。
私達5期生は常に1学年上の綾小路と比較されて生きてきた。拓也は5期生の中でトップの成績ではあるがそれでも1年前の綾小路の方が凄かったと常に言われてきている。綾小路に対する憎悪の感情はかなりのものだろう。そんな中今回の話が舞い込んできた。綾小路とどちらが上か明確に示せるチャンス。拓也が食いつかない訳ないだろう。これが、私が拓也達が断らないだろうと言った理由だ。
そしてそれを成し遂げる為には他の人の助けは邪魔になる。綾小路に勝った際自分の方が上だと明確に言えなくなるからだ。だから拓也は私と協力しなかった訳だ。
そして一夏が私と協力しなかった訳だけど、これが分からない。最初は拓也と同じで なのかなと思ったけど一夏を見ているとどうやら違いそうだ。綾小路を嫌うという感情は見られない。じゃあどうしてなのだろうか。私を戦力としてそもそも見ていないのか、それとも私のことが嫌いなのか、どっちにしてもまあま悲しいよ…
そんな訳で個人個人で活動すると決まった訳だけど私は私で個人的事情がある。それは今回ホワイトルームを脱出するまたとない機会だということだ。
綾小路に現状手を出せてない以上、高校に入るのがここから逃げる為にベストな選択肢だ。そして今回入学するのでまたとないチャンスである。
ただネックになるのは綾小路、そして拓也と一夏だ。拓也と一夏は綾小路を退学させてホワイトルームに連れ戻す為に入学する存在だ。私もこの狙いがバレたら同様に退学させられる可能性はある。
そして綾小路。正直これは私の感情的な問題の方が大きい。1番嫌いな人から救いの手が差し出されたの、これほど屈辱的なことがあるだろうか?しかもこれがやつあたりで綾小路自体に非がないことも自覚している。私の人間的な器の小ささ、惨めさを突きつけられているようで更に嫌になる。
やっぱり私は綾小路が嫌いだ。
ただ、それを置いといても綾小路のことは厄介である。綾小路を退学させた方がいいのか、退学させない方がいいのか、どっちが私の目標達成に近づくのかがハッキリとしない。
綾小路が退学した後に私が裏切った所で2人の標的が私に変わるだけだ。そして私には2人に対抗出来る自信はない。綾小路を退学させない方向にいこうとしても綾小路に私がホワイトルーム生だということがバレたら退学させられるかもしれないし、そもそも働いてないのがバレて退学させられるかもしれない。
中々に八方塞がりだ。
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結局私の心は決まらないまま時間が流れていき、学園理事長の月城から生徒の情報などを交え最終確認を行った。
いや、なんで理事長がこっち側なの?理事長がこっち側なら普通に退学させられないの?ますますこの学校の仕組みが謎になってきた。そして生徒の情報が細すぎて怖い。入学後の情報はともかく、どうして入学前の細かな情報も把握してるの?
やはり、この組織は恐ろしい。そんな事を思いつつ。私は情報を全て頭に叩き込む。どっちにつくかはまだ決めてないけどどっちにしろこれらの情報は持っていて有利になりそうである。
そしてスクリーンに綾小路が映る。やっぱり私は好きになることができないな。
「何か質問はありますか?」
私は首を横に振る。既に十分過ぎる情報を貰っている。これ以上質問することなんてないだろう。
「では最後に私から1つ、質問というより確認してもいいですか?」
なんのことだろうか。私は頷く。
「私に何か隠し事などしてないですよね?」
正直めちゃめちゃしている。私の狙いがバレたら間違いなく入学は取り消しになるだろう。何とかして誤魔化すしかない。
「私のこの気持ち(綾小路を嫌う気持ち)に嘘があると思いますか?」
月城は一拍置いた後、
「…大丈夫そうですね。ではここでお開きにしましょう。退室して頂いて結構ですよ。」
今の間なに?もしかしてバレてないよね?そんな事を思いつつ私はミーティングルームから退出した。
そしてその数ヶ月後、私は高度育成高等学校に入学することとなる。
******
2月某日、都内某所のミーティングルーム。そこで月城はある資料を眺めていた。
「小諸咲。運動能力や武術はトップの成績ですが他の分野では中の上から上の下といったところですね」
それは優れた能力の人が集まるホワイトルームの中での話であって同年代の子供全体と比べるとどの分野でもトップクラスの能力である優秀な子供である。だがそれでも、綾小路清隆を退学させるという任務において能力がやや足りていない。現に咲の能力を綾小路清隆だけでなく同じ任務を遂行する天沢一夏や八神拓也と比べると若干能力が低い。
その為月城は暴力勝負になったら活躍があるかもしれないがそれ以外では無理だろう。そういった評価を下していた。
だが実際に会うことで、その評価を変える。
「あの目付き、中々出せるものではありませんねえ」
評価を変える原因となったのは咲の目だ。あの目付きは中々普通の人が出せるものではない。
「八神くんも似たような目ではありましたけどね、矛先が彼女とは違う。」
八神も同じく綾小路に対し、執着していたが、彼の場合は自分を誇示するためである。だが咲は純粋に綾小路だけを見ていた。
強い憎悪が思いもよらない力になることを月城はこれまでの人生で学んでいる。
「子供同士の争いではありますが、面白くなりそうです」
咲の気持ちが綾小路の首に届くかもしれない、そんなことを思いつつ月城は準備を進めていく。何が起こっても任務を成功させるために。
【悲報】主人公以外で初めて喋る登場人物、月城
そんな小説他にはないと思います。
後ここまで主人公をヤバいやつにするつもりはなかった…
後連絡といいますか、これから更新頻度が落ちていくと思います。
理由としては2つ。
まず大学の課題が忙しい。期末試験とかも控えてるので7月後半からは更に遅くなると思います。ただ、これは夏休みになったら解決しますけど
次に原作を読み直す必要があるから。
今までの話はほぼ主人公の独り言だったので原作の設定の確認で読み直す程度だったんですけど、次からはどんどん原作キャラが出てくるので喋り方に違和感がないか、行動に違和感がないかなど調べながら書いていくので相当難航すると思います。
それでも1週間に1話は進めたいと思っているので楽しみな人は待っていて下さい。
ではここまで読んでくださりありがとうございました。