第一話 未来へ
空に浮かぶ無数の飛行船のライトで、キラキラと光るフィールド。
幼かった僕はその中で繰り広げられる
僕は父さんからもらったレベル2のモンスターカードを手にし、デュエルする父さんを応援していた。
対戦相手は「ヴェルズ」というカードを使用した、相手の行動を封じ込めるロックデッキだった。
特殊召喚を得意とする父さんの「リターン・メイク」の行動は封じ込まれ、手札は0。誰もが見て、父さんが負けるんだって思ってた。
「俺のレベル5以上のモンスターの特殊召喚を封じる『ヴェルズ・オピオン』、特殊召喚したモンスターを裏側に変更させる『ヴェルズ・ナイトメア』の前では、お得意の特殊召喚もできまい!」
父さんの場には父さんを守るモンスターも、伏せカードもない。ライフもわずか100。会場は冷めていて、帰る人だっていた。
「それはどうかな」
「なに?」
「
僕は父さんが言っている事が信じられなかった。父さんはこのターンまで低レベルモンスターで攻撃をしのいでいただけだった。勝てるはずなんかない。
「俺のターン! ドロー!」
カードを引いた時、父さんは笑った。
引いたカードを相手に見せ、カードが会場の巨大モニターに映し出される。
僕は、目の前で何が起こっているかわからなかった。
たった1枚のカードから、今まで倒された低レベルモンスターが現れ……。
「儀式召喚! 創生の使者! 『リターン・メイク-アルティメット!』」
【レベル8 攻撃力3000 守備力2100】
「こ、攻撃力3000だと!?」
「俺は『リターン・メイク-アルティメット』で、プレイヤーにダイレクトアタック!」
父さんのモンスターが空を飛び、相手に向かって、手を握り、垂直に降りる。
『決まったァァァ! 騎遊 陽手《きゆう ようた》選手! 軌跡の大逆転で見事、優勝だァァ! 優勝した騎遊選手には賞金と新たなに開発されたセカンドカードが贈呈されるぞ!』
実況の声で会場は盛り上がり、大声援がかかった。
―――――――
「父さん!」
会場から出てきた父さんに僕は抱きついた。
「優勝おめでとう!」
「か、奏多《かなた》ぁ、見てくれていたのか?」
父さんは少し照れくさそうにしていた。
「うん! やっぱり、『リターン・メイク-アルティメット』は強いね!」
「いや、本当に強いのは『アルティメット』じゃない」
「え?」
父さんはデッキから何枚かのモンスターを出した。
「本当に強いのはこいつたちだ」
「て、低レベルのモンスター? 壁にしかなってなかったじゃん!」
「いいや、こいつたちがもし俺のデッキにいなかったら、俺は『アルティメット』をだすことができなかった。それだけじゃない。あの勝利まで、俺を連れて行ってくれたのはこいつらのおかげなんだ」
たしかに、『アルティメット』をだすための儀式カードは低レベルモンスターがそろえ、そして出すための素材となった。
「確かに、強いカードが存在するのも事実だ、でもな。弱いカードにはそれ以上の無限の可能性があるんだ」
「無限の……可能性?」
僕は昔に父さんからもらった低レベルモンスターをポケットから取り出した。
父さんはそれを見て、思い出したように、スーツケースから一つのデッキを取り出した。
「これ、お前へのプレゼント」
「え?」
それは、優勝者に与えられた、新たなに開発されたカードのデッキだった。
「これって、さっき……」
「うん、さっきもらったやつ」
「え、でも、これって強いデッキなんでしょ? 僕には無理だよ……」
「大丈夫だって、お前ならきっと、使いこなせる。それに、もしお前がピンチの時はそのカードが助けてくれるさ」
僕が取り出したカードを指さして、父さんは少し悪っぽく笑った。
あれから十年後……。
誤字、脱字等あれば、おねがいしますm(__)m