「『
僕の目の前に突如現れたのは、この大きなホール全体に広がる8本の手足を持った怪物だった。
「あひ、ああっひっひっっひ!!!」
明らかに、筋肉の様子がおかしかった。前の彼はかっこつけているヤンキーのようだったが、今はまるで……4本の手、紫の肌、白い目――妖怪。そのものなのだ。
人をこんなバケモノに変えるカードなんて聞いた事がない。ましてや、リアリティソリッドビジョンとはいえ、こんなことありえるのだろうか……?
僕が『
「ゴホッ……」
口から固まった黒いモノが出てきた。
ーー血だ。
僕は吐血していた。僕の手は真っ黒になり、僕の顔は青ざめる。
「デュエルで、こんな……ことって……」
まるで、今までのダメージが後になって襲ってきたような感覚に入る。そして、吐血に続き様々な症状がではじめた。目のふらつき、疲労感、喘息。
僕は何者かに上から押されるように、尻餅をついて、その場から崩れた。
「なん……だこれ……?」
『あっひっひ……どうだ、我が闇のデュエルの感想は……』
「闇の……デュエル……!?」
彼は先ほどとは違う口調で、まるで何者かに取り憑かれたようにしゃべり出す。
『我が神、
「デュエルで死ぬ……!?」
『そう、リアリティソリッドビジョンと比べ物にならないほど気持ちいいゾォ…………』
確かに、リアリティソリッドビジョンでも、飛ばされたり、リアルを追求した演出は入る。だが、それはあくまでも、視覚情報を利用した技術の一つであり、そういう本当に攻撃されたり、その場に居合わせたような「感覚」を感じるだけにすぎない。
ましてや、本当に命を賭けたデュエルなんて……。
「こんなの……デュエルじゃない……!」
『なんとでも言うがいい……我が神は復活したばかり……このターンは攻撃できない。私はターンエンド……っひ…………』
【5ターン目
「僕のターン、ドロー!!」
僕が引いたのはモンスターカード『
転身《てんしん》テンシーン(OCG)
効果モンスター
光属性 天使族 レベル2 攻撃力800 守備力100
フィールド上に表側表示で存在する
レベル2のモンスターの数×400ポイントアップする。
ただ壁にするのが一番いいのかもしれないけど……今後の事を考えれば。
「僕は『
僕はダルクに彼の虜になった『
「お願い、ダルク!」
ダルクはうなずき、『
『ひっひ……ひひひひひ…………』
筋肉は不気味に笑いだす。
『
攻撃力8000
『
攻撃力???
『むだだぁ……我が神の攻撃力が定まらない場合、攻撃したモンスターはこの鏡に投影される!!』
「なんだって!?」
その瞬間――カメラのシャッター音がなり、『
そして、まるで鏡と入れ替わるように固まった『
『ひっひ……神に逆らった愚か者はこの鏡の世界に閉じ込まれ、真っ暗な闇の世界に閉じ込められるのだ』
『
効果モンスター
闇属性 幻器神族 レベル12 攻撃力??? 守備力???
このモンスターは自分フィールドのモンスターが相手によってフィールドから離れたターンのメインフェイズ時にデッキ・手札から特殊召喚できる。このモンスターを特殊召喚したターンは自分はこのカードの効果以外で特殊召喚を行うことができない。また、このモンスターはモンスター効果の対象とならず、戦闘以外でフィールドから離れることができない。そして罠カードの効果を受けず、魔法カードの効果は1ターンに1度しか受けない。
①このモンスターの攻撃力は自分の場のこのモンスターの効果で書き換えたモンスターの攻撃力の合計となる(いない場合は???とする)。もし、このモンスターの攻撃力が???の場合、攻撃してきたモンスターを除外し、その数値分このターンのエンドフェイズ時まで攻撃力をアップさせる
②???
③???
④???
「なんて、恐ろしい効果なんだ……」
鏡に閉じ込められた『
『ウォ……ウォアアアア……!! ウアア…………ウォアアアア!!!』
その声がホール全体に響き渡る。
「っく、」
僕はその声を聞いていられず、耳を塞ぐ。
苦しい……いくら、敵が使っていたカードとはいえ、こんな姿を永遠と見せられると思うと、心がえぐられる。
でも。
「やらなくちゃ……」
僕は自分のセットカードを確認する。
「僕はターンエンド……!」
【6ターン目 騎遊 彼方→熊飼 龍哉】
『我が神のターン……私は『ブラッド・ヴォルス』を召喚……』
『ウォア!』
『ブラッド・ヴォルス』
通常モンスター
闇属性 獣戦士族 レベル4 攻撃力1900 守備力1200
悪行の限りを尽くし、それを喜びとしている魔獣人。
手にした斧は常に血塗られている。
『そして、我が神『
「か、書き換える!?」
そんな、書き換えるって……!?
デュエルディスクで状態を確認すると、相手のデッキの数は減っていない。つまり、デッキのモンスターと同じように書き換えるのか……!!
『ブラッド・ヴォルス』がもがき苦しんで、僕に助けを求めてきたのだ。こんなことがあるのだろうか!!
まるで、ソリッドビジョン上のものであるはずのモンスターが意思を持っているようだった。
『た……すけ……』
僕は、彼の手を取ろうとする。
「『ブラッド・ヴォルス』!」
だが、もう遅かった。『ブラッド・ヴォルス』は手に持っていた剣を落とし、腹を抑える。
『グォ、グァアアアアアアアアア!!』
彼の体が闇に被われ、『タイラント・ドラゴン』にへと姿を変えた。
『タイラント・ドラゴン』
炎属性 ドラゴン族 レベル8 攻撃力2900 守備力2500
①相手フィールド上にモンスターが存在する場合、
このカードはバトルフェイズ中にもう1度だけ攻撃する事ができる。
②このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。
③このカードを他のカードの効果によって墓地から特殊召喚する場合、
そのプレイヤーは自分フィールド上に存在する
ドラゴン族モンスター1体をリリースしなければならない。
「そんな……こんなことって…………」
僕は震えていた。僕は重ねていた。
まるで自分の未来そのものが書き換えられるような気がするのだ。
正直に言うと怖い。でも……。
僕は信じている、カード達の可能性を。でも、そのカード、そのものを全く別のカードに書き換えるなんて、そのカードの可能性を奪ったのと同じ行為……。そんなのって……。
「絶対に許せない…………!!」
『これゾ、我が神の力ァアアア!! すべてのカードは我が欲望の糧となり、傀儡にへと姿を変えるのダァ!』
「お前は自分のカードが変わってもいいのか!」
『っひ……ひひひひ……我が神の意志ならば、そんな虫けらの命などどうでもいい……』
駄目だ、なにも話が通じる状況じゃない……信じられないけど、あのモンスター『
やつの目を覚まさせるにはあのモンスターを破壊するしかない。
『バトル!! 我が神ヨ、その力を示したマエ!!』
『
攻撃力2900
『
守備力1500
『
「ダルク!!」
『無駄ダァ!! 神からは逃れられないのだァ! 【セキカノトウエイジュツ】!!』
ダルクはもがきながら抵抗するが、足元から彼が石化していく。
『う、うわああああああああ!!』
そして、完全に石化してしまい、スクナノトウエイキは2本の腕で拳を握り、上から下にへと壊す。
「う……」
僕はその光景を見て、吐き気を感じてしまった。僕は見ていられずに、目をつぶった。
それだけじゃない。守備表示のはずなのに……。
僕はソリッドビジョンで表示されたLPゲージを見て驚愕する。
騎遊 彼方LP1200
「なんで、ライフが……うっ……」
LPが減ったことで僕の体は崩れ、地面に伏せてしまった。
『我が神の第3効果……モンスターを破壊した場合 、そのモンスターの攻撃力の2倍のダメージを相手に与え、そして破壊したモンスターを我が神の鏡に閉じ込めるのダァ!!』
第3……!? そんな、あんな協力な上に効果が3つもあるなんて……!?
そして、僕が立ち上がると、スクナノトウエイキに鏡の中で苦しみながら、涙を流すダルクが映し出される。
「……ッ!」
『ッヒヒッヒ! 絶望シロォ! キサマノLPハ1200ッ! 我ノ効果デ書キ換エタ、『タイラント・ドラゴン』ノ攻撃デ、キサマハ負ケ、ソシテ我ラ「
完全になにものかに乗っ取られ、全てが妖怪となってしまった熊飼が気味悪く雄叫びを上げる。
「…………」
僕が負ける…………?
確かに、僕のデッキに比べれば、このデッキは構築もいまいちで、一人一人のモンスター達の能力は弱いかもしれない……でも。
僕は、思い出す。熊飼にカードを地面に投げ捨てられ、このカード達を拾っていた
でも、あの顔は……。カードのことを大事に思っているデュエリストの顔だった。
このデッキには魂が眠っている! 投げ捨てられて、けなされても、カードがボロボロになっていても、泥まみれになっても……デッキとして大事に持っていた
僕は負けられない。このデッキが他のどんなデッキにも比べられるものじゃないなんてことを証明しなくちゃいけないんだ!
「それはどうかな」
僕は立ち上がり、熊飼に向けて得意そうに笑う。
『ナニ?』
「僕はこのデッキの可能性を信じている! 例え一体一体は弱いかもしれない……でも、彼が手を取り、力を合わせれば、どんなに強いモンスター、神と呼ばれるモンスターでさえ超えることができるんだ!!」
『ヒッヒヒ。何ヲ言イ出スカト思エバ…………負ケイヌノ遠吠エトハ!! イクノダ、『タイラント・ドラゴン』! 我ニ逆ラウ者ニ罰ヲ与エルノダ!!!』
『タイラント・ドラゴン』が僕に向けて火炎玉を放つ。
「…………」
『ヒャッハッハハハハッハハ!! シネ、シネ、シネェエエエエエ!!』
『タイラント・ドラゴン』の放った攻撃により、僕の周りが煙につつまれる。
『カッタ! カッタ! コレデ我ワ新タナ、力ヲ……力……ッヲ……!?』
騎遊 彼方LP1200
『ナ、ナゼ!? ナゼダ!? ナゼLPガ減ッテイナイ!?』
妖怪は驚き、ディスクを触り、僕のフィールドを確認する。
『コ、コレハ……!?』
「……かかったね!!」
僕のフィールドに現れたモンスターが煙を手で振り払った。
『
効果モンスター
風属性 魔法使い族 レベル2 攻撃力600 守備力400
自分のメインフェイズ時、
このカードと同じレベルのモンスター1体を手札から特殊召喚する事ができる。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
『ナ、ナゼモンスターガッ!? ソシテ、ナゼ破壊サレテイナイノダ!!!!』
僕のフィールドのセームベルが妖怪に向かってあっかんべぇーをして、自慢げな顔で直立する。
「僕は罠カード『ピンポイント・ガード』を発動したんだ!!」
『『ピンポイント・ガード』ダトォ!?』
『ピンポイント・ガード』(OCG)
通常罠
①相手モンスターの攻撃宣言時、
自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはそのターン、
戦闘・効果では破壊されない。
「このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、自分の墓地のレベル4以下のモンスターを特殊召喚するカード! そして、このカードで特殊召喚されたモンスターはこのターン破壊されない!!」
『ナ、ナンダトォォォ!!?? …ダッ……ダガッ!!、低レベルモンスターデ何ガデキル!! 我ノ攻撃力ハ貴様ノ『
「ふふ」
僕は必死で言う彼に向かって笑う。
『ナ、ナニガオカシイノダ!!』
「怖いんでしょ、その低レベルに負けるのが」
『怖イ!? 我ハ神!! 全テヲ写シ、奪ウ神、両面宿儺ッ! 負ケルハズガナイ、勝テルハズガナイ、アノ憎キ奴ラヲ見返ス為、カチ、貴様ノデッキモ全テ投影シテヤルッ!!!』
彼は焦っていた。
流れが僕に代わり、まさか、が浮かんだからだ。
彼のレベルは12。レベルが10も違うレベル2のモンスター達にやられる様を彼は脳裏に映し出したのだ。
「僕のターン!!」
【7ターン目 熊飼 龍哉→騎遊 彼方】
「ドロー!!!!!」
僕は引き当てたカードを見る。
「……来たか」
僕はカードを左腕の手札ホルダーにセットし、走る。
『ナ。ナンダ、ナゼ走ル!?』
彼は僕を目で追うが、段々スピードが増していく僕についてこれなくなった。
「僕はチューナーモンスター、『ジャンク・シンクロン』を召喚!!」
『ウウ……ハァア!!』
『ジャンク・シンクロン』(OCG)
チューナー・効果モンスター
闇属性 戦士族 レベル3 攻撃力1300 守備力500
①このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。
かわいらしい眼鏡の様な目をした小さなロボットが現れる。
『チュ、チューナーモンスターダトォ!?』
「そして、僕は『ジャンク・シンクロン』の効果を発動! 墓地からレベル2のモンスターを特殊召喚する! 現れよ! 『
『ジャンク・シンクロン』が右手を振り、地面に向けると、下から青い光りを発する穴が現れ、その中から『
『きぃー!!』
『
効果モンスター
地属性 戦士族 レベル2 攻撃力1000 守備力500
①1ターンに1度自分のメインフェイズに発動することができる。このターンのエンドフェイズ時まで、このカードのレベルは3になる。
「そして、フィールドにチューナーモンスターがいる場合、墓地から特殊召喚できるモンスターがいる! 現れよ、『ボルト・ヘッジホッグ』!」
『ちゅー!!』
『ボルト・ヘッジホッグ』(OCG)
効果モンスター
地属性 機械族 レベル2 攻撃力800 守備力800
①自分メインフェイズに発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果は自分フィールドにチューナーが存在する場合に発動と処理ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールドから離れた場合に除外される。
「まだだ! 僕は『
『ナ、ナァ……!?!?』
『
効果モンスター
風属性 魔法使い族 レベル2 攻撃力600 守備力400
自分のメインフェイズ時、
このカードと同じレベルのモンスター1体を手札から特殊召喚する事ができる。
この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。
「現れよ! 二つ星モンスター、『
『テンシーンッ!!』
『
効果モンスター
光属性 天使族 レベル2 攻撃力800 守備力100
このカードの攻撃力は、自分フィールド上に表側表示で存在する
レベル2のモンスターの数×400ポイントアップする。
『コ、コレデ……モンスターガ5体ッ!!?』
走っている僕に着いてくる僕のモンスター達を見て妖怪は驚く。
「な、なにがおこってるんだ……?」
「え」
僕は扉から聞こえた声に振り向く。
扉から着ぐるみを脱いだ軌道とアイカ、轟さんが入って来た。
「あ、あれって……オレのモンスター達……?」
轟さんは嬉しそうに目をきらきらさせながら、自分のモンスター達を見ていた。
『カ、カンキャクハイラナイゾッ!?』
「多い方が、デュエルは楽しいんだ!! 僕はレベル3『ジャンク・シンクロン』に、」
『ハッ!!』
「レベル2『ボルト・ヘッジホッグ』をチューニング!!」
『チューッ!!』
『ジャンク・シンクロン』は飛び上がって、背中に着いてあるリュックサックのような形のエンジンを動かす為のヒモ引っ張る。
――ブロロロロロロロッ……。
エンジンが動き初め、『ジャンク・シンクロン』の体が三つの青い光りとなった。
「がらくたに積もり積もった思いが今一つとなる!」
そして、5つの緑の輪っかが現れ、その中まで、『ボルト・ヘッジホッグ』を青い光り達がつれていく。
「光輝く未来を掴み取れ!」
緑の輪っかは『ボルト・ヘッジホッグ』を青色の透明な姿から2つの光と変化させ、三つの光と合わさり、5つの光がつながった一筋の光となる。
【レベル3+2=5】
「シンクロ召喚!!」
そして、輪っかと光が一つとなり、大きな光となる。
「現れよ! 『ジャンク・ウォリアー』!!」
『ハァァ……ァ……ハァッ!!』
『ジャンク・ウォリアー』(OCG)
シンクロ・効果モンスター
闇属性 戦士族 レベル5 攻撃力2300 守備力1300
「ジャンク・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上
①このカードがS召喚に成功した場合に発動する。
このカードの攻撃力は、自分フィールドのレベル2以下の
モンスターの攻撃力の合計分アップする。
『シ、シンクロ召喚ダトォォォォオオオオオオオ!?』
妖怪は光から現れた戦士を見て叫ぶ。
轟さんはぼーっとしながら、『ジャンク・ウォリアー』を見る。
「こ、これが……シンクロ召喚…………」
『ダ、ダガ、我ノ攻撃力ハ3500! ソノモンスターデハ到底及バナイ!!』
「まだわからないのか!」
『ナニ!? …………ァアア!?』
『ジャンク・ウォリアー』は『
「『ジャンク・ウォリアー』は召喚に成功した時、その時にいたレベル2のモンスターの攻撃力の合計分、攻撃力をアップさせる。そして、『
『ジャンク・ウォリアー』
元々の攻撃力2300
『
攻撃力2000
『
攻撃力600
『
攻撃力1000
『ジャンク・ウォリアー』
現在の攻撃力
2300+2000+600+1000=5900
『コ、攻撃力5900ダトォ!?』
「そして、僕は『スクラップ・フィスト』を発動!」
『スクラップ・フィスト』(OCG)
速攻魔法
①自分フィールドの「ジャンク・ウォリアー」1体を対象として発動できる。
このターン、その自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、
以下の効果を適用する。
●相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。
●対象のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、
その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
●相手が受ける戦闘ダメージは倍になる。
●対象のモンスターは戦闘では破壊されない。
●戦闘を行った相手モンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
「これでこのターン、お前の受ける戦闘ダメージは倍になる!」
『イ、イヤダ! マダ、マダァ、オレハ!!』
「バトルだ! 『ジャンク・ウォリアー』で『
『ァ、ア、ァアアアアアア!!!』
『ジャンク・ウォリアー』は飛び、空中で回転し、光を背中にして、腕を構える。
――ゴッォオオオオオオオ!!
背中のブースターが吹き、
そして、旋回しながら、スクナノトウエイキに向かって強く握った右の拳で攻撃する。
「【スクラップ・フィスト】ォォォォオオオオオオオオ!!!」
『ウォオア!!』
鏡に直撃した拳が、巨大な拳にへと姿を変え、スクナノトウエイキを地面にへと叩き潰す。
『ガァア、アア、アアアアアアアアアアアア!!!!』
妖怪はまるで、自分が攻撃されたかのように苦しみ出し、スクナノトウエイキは木くずとなってつぶれる。
熊飼 龍哉LP0
『アァア……ァアア……』
彼は廃人のようになって、口を開き、黒い煙のようなものをはき出す。
その煙はまるで生きているかのように苦しみながら、もがき、最後は薄れて、消えた。
『winner!! 騎遊 彼方!!』
幻像器が破壊されたことにより、デュエルは元の姿に戻り、勝利者を告げる音声がなる。
「……はぁ。びっくりしたぁ…………あっ」
僕はあのバケモノに勝てたと思うと、安心すると、力が抜け、地面に倒れる……かと思ったが。
「だ、大丈夫か?」
轟さんが僕を受け止めてくれた。
「あ、ありがとう……、もう大丈夫だよ」
「礼を言うのはオレの方だぞ! あ、ありがとな……」
轟さんは手を組み、顔を横にした。
「いいよ、僕だって…………」
僕は轟さんに話そうとした瞬間、負けた熊飼のデッキから『
「ちょっと、まって」
「???」
僕はよろけながら、そのカードを手に取った。
「こんな……モンスターがいるなんて……」
僕はイラストから恐ろしい気を出すそのカードを早く、なくさなくちゃいけないと思った。
このカードから解放された熊飼は元の人間の姿に戻り、今はただ気絶しているだけだけど……。
人を妖怪のような姿に変え、デュエルを命を賭けた闇のデュエルとし、カード達の可能性を奪うカード……。
「ね、誰かライター持ってない?」
僕が聞くと、轟さんがポケットからマッチを取り出した。
「こ、これならあるけど……」
「ありがとう」
僕はカードを地面に置き、マッチを箱でこすって火を付けようとした。
「早く、燃さなきゃ…………」
――そんなこと、させませんよ?
「……ッ!?」
突然、見知らぬ女性の声が聞こえた。
「だ、誰!?」
僕は立ち上がって周りを見る。
「あ、あれ……? みんな……!?」
僕は轟さんや、アイカの目の前で手を振る。
しかし、二人は何の反応も示さない。
軌道はと言うと、目をつぶったまま、動かない。
「お久しぶりです」
僕は、声の方を振り返る。
そこにいたのは、僕と同じくらいの年の、時計模様のドレスを着た少女だった。
彼女は首に付けている懐中時計の音に耳を澄ませながら、ヒールをコツコツと音を立てて、現れる。
「だ、誰だ……!!」
「あれ、忘れてしまいましたか……。仕方がありませんね」
彼女は地面に置いてある『
「これはもらっておきますね」
「駄目だ! それは危険なカードなんだ!」
「あら、あなただってそうですよ……?」
「ど、どういうことだ……!?」
彼女はクスッと笑い、一回転舞い、僕の手を触れる。
「あなただって……人の未来を奪っちゃう悪いカードなんです……」
「……ッ!?」
僕は、一瞬の出来事に驚く。分からなかった。まるで、時間を動かさずに移動したみたいな……。
「では、ごきげんよう。未来でお会いしましょう」
「ま、待て、それってどういう……!!」
僕が消えていく少女を追い掛けようとした時にはもう遅く、彼女は消えていた。
そして、止まっていた時は動き出した。
「今のは一体…………」
「彼方、どうした」
軌道は拍子抜けした僕を見てか、声を掛ける。
「なんでも……ない……」
――「あなただって……人の未来を奪っちゃう悪いカードなんです……」
どういう意味なんだ……!!
僕は『デッキ・シャッフラー』を取り出し、そして、それを持ったまま、その場で立ち尽くした。
今日のオリカ
『
効果モンスター
闇属性 幻器神族 レベル12 攻撃力??? 守備力???
このモンスターは自分フィールドのモンスターが相手によってフィールドから離れたターンのメインフェイズ時にデッキ・手札から特殊召喚できる。このモンスターを特殊召喚したターンは自分はこのカードの効果以外で特殊召喚を行うことができない。また、このモンスターはモンスター効果の対象とならず、戦闘以外でフィールドから離れることができない。そして罠カードの効果を受けず、魔法カードの効果は1ターンに1度しか受けない。
①このモンスターの攻撃力は自分の場のこのモンスターの効果で書き換えたモンスターの攻撃力の合計となる(いない場合は???とする)。もし、このモンスターの攻撃力が???の場合、攻撃してきたモンスターを除外し、その数値分このターンのエンドフェイズ時まで攻撃力をアップさせる
②自分フィールド上のモンスターを選択して、発動できる。そのモンスターをデッキの別のモンスターにへと書き換える。
③このモンスターが相手モンスターを破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力の2倍のダメージを相手に与え、破壊したモンスターを元々の攻撃力×2アップの装備カードとして、このモンスターに装備する。
④このカードが破壊された時、このモンスターの効果で書き換えたモンスター全てを破壊する。
カード達の可能性を奪うモンスター!
あまりにもおぞましいモンスターだ。
次回予告
彼方「一体なんだったんだ……あの女の子の言葉…………」
僕の手元に残った『デッキ・シャッフラー』。そんなはずはない、僕が誰かの未来を奪うだんなんて……。
轟「なぁ! 彼方! オレにデュエルを教えてくれよ!!」
彼方「え、ええぇ!? い、いいけど……」
轟父「貴様か!! 俺の娘にデュエルを教えている輩はッ! 俺とデュエルだ!!」
彼方「え、えええぇ!!?」
次回。
轟くこと魔轟の如し!? 迫り来るエクシーズモンスター!!
デュエリストターゲット!! ロックオン!!