遊戯王 セカンド   作:ゆ9

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今回は4パートに分けて投稿します。

残りの2パートはまた、随時更新します。


第十一話 轟くこと魔轟の如し!? 迫り来るエクシーズモンスター! ⑴

 あれから、合宿はもちろんというか、中止になってしまった。

 

 あのカード(幻像器)の影響か、同時に行われていたデュエルで事故が多発し、中には入院をよぎなくされた人もでてしまったらしい。

 

「…………」

 

 彼女は僕を知っているようなそぶりだったけれど……。

 

 あんな、珍しい時計模様の服なんて着ている子を忘れるわけがない。

 

――「あなただって……人の未来を奪っちゃう悪いカードなんです……」

 

 駄目だ。あの子の言葉が耳から離れない。

 

 僕は父さんみたいにみんなに、デュエルで夢を与えるだとかそういうのは考えたことはない。

 ただ、いろんな人と楽しくデュエルをしたいだけ。それなのに……。

 

 他人の未来を奪うってどういうことだろうか…………?

 

――『そして、我が神『幻像器(げんぞうき)―スクナノトウエイキ』の効果を発動する……私は 『ブラッド・ヴォルス』をデッキに眠る上級モンスター『タイラント・ドラゴン』に書き換える!!』

 

 僕の脳裏に、カードを書き換える効果をもつ『幻像器(げんぞうき)』が浮かんだ。

 

 あの後、カードを確認したけれど、僕が戦った熊飼(くまかい)のデッキには『ブラッド・ヴォルス』のカードはなかった。

 ……その代わり、あったのは二枚の『タイラント・ドラゴン』。見ただけじゃ、全くの同じカードだけど……。僕には声が聞こえた。

 今もなお、苦しむ『ブラッド・ヴォルス』の声が。

 

 もしかすると、彼女の言っていた言葉はこのことかもしれない。

 僕は、助けることができなかった。

 デュエルに勝利をすることはできても、『ブラッド・ヴォルス』は書き換えられたまま、デュエルに負けた熊飼は意識不明の重体だ。

 

そう意味では僕はカードの未来を……。

 

 僕はデッキを広げ、みていた。

 もしかしたら、僕には何かがたりていないのだろうか。

 

ーーピンポーン

 

 部屋のベルが鳴った。

 

「あれ、なんだろう……?」

 

僕は、デッキをデッキホルダーにしまい、扉を開けた。

 

「はーい」

「こんにちは!! 軌遊 彼方さんですね、荷物をお持ちしました」

 

 訪問者は【迅速! 安全! デュエル!】が合言葉、『ロードランナー』がマスコットキャラクターである、ロード宅配便だった。

 

「このカードに印鑑をお願いします」

 

 

 

『受け取り証明』(オリカ)

魔法カード

①受け取ったならば、印鑑を押さなければならない。押せば、以下の効果を適用する。

○あなたは荷物を受け取る。

○配達員は笑顔でお礼する。

 

 

 

「はい」

 

僕はカードのイラストの真ん中の丸に印鑑を押した。

 

「ありがとうございます!」

 

宅配便のお兄さんは笑顔で、お辞儀すると、荷物を僕に渡し、去っていった。

 

「誰からだろう……?」

 

 荷物はなんだか厳重に包まれている。

 僕は荷物の主を見ると、それは驚くべきものだった。

 

「軌遊……陽手…………って父さん!?」

 

 僕はすぐテープをはがし、荷物を開封した。

 何度もなんども、紙とツブツブで包まれており、まるでマトリョシカのように荷物は小さくなっていく。

 

「こ、これって……」

 

 荷物の正体は3枚のカードだった。

 

「連絡もしないで、何を送ってきたと思えば……?」

 

 僕はそのカードを見て、不思議に思った。

 3枚のカードは真っ白なのだ。まだ、開発途中なのか、カードは軽く、テキストも書かれていない。

 僕がカードを眺めていると、小さな紙切れがカードから落ちてきた。

 

「手紙……?」

 

 やはり、手紙だった。

 だが、父さんらしいふざけた内容だった。

 

【入学祝】

 

 書かれた言葉はそれだけだった。

 

「どういうことなの……」

 

 あの父さんが理由もなく、白紙のカードを送ってくるとは思わないけど……。

 

 カードの枠が透明なので、そのカードがモンスターなのか、魔法なのか、罠なのかさえ、わからない。

 

 でも、今頃、僕にカードって……。

 

「まさか……エクストラモンスター?」

 

 僕のデッキにないカードといえば、エクストラデッキに入れるモンスターくらいだけど。でも……。

 

 僕はとりあえず、デュエルディスクのエクストラデッキに入れてみた。

 もし、エクストラデッキに入れてはいけないカードならブザーが鳴るはずだ。

 

「どうだ……?」

 

 ブザーは鳴らない。

 

「やっぱり」

 

 確かに、エクストラデッキ入れるカードなら納得だ。僕のデッキには何枚か、チューナーモンスターもいるし、かえって、なぜ「ダークライト」にシンクロモンスターなどがいなかったか不思議に思っていたくらいだ。

 

「でも、どうしろって言うんだ……?」

 

 僕は研究者でもないし、このカードを完成させることなんてできないと思うけど……。

 

 僕がしばらく考えこんでいると、足音が聞こえる。

 

「?」

 

ーーピンポーン

 

「ま、また?」

 

 まさか、また何かを送ってきたんじゃないだろうか。

 僕はとりあえず、カードをエクストラデッキに入れて、玄関の扉の小さな丸から訪問者を見た。

 

「……轟さん!?」

 

 僕が扉を開けると、彼女はにぃっと笑って、「よっ」と挨拶した。

 

「一体どうしたの?」

「いやぁ、大した用事じゃないけど……」

 

 彼女は照れくさそうにニタニタと笑って、もじもじする。

 ……なんだか、嫌な予感がする。

 

「オレにデュエルを教えてほしいなって……」

「え」

 

 デュエルを……教える…………?

 

「それって……どういうこと?」

「そのままの意味だよ、オレ、実はルールとか全く知らなくてさ…………」

 

僕は驚愕する。

 

 デュエルを…………知らない!?

 っていうか、じゃあなんでこの学校に入学できたの!?

 

「本当に……知らないの……?」

「うん」

 

 そんな。そんな人がいるなんて。確かに、仕事柄デュエルをやらない人はいる。でも、ルールを全く知らないと言うと……。

 そうか、だからあの時、参加しなかったのは、デュエルをやらなかったと言うよりはできなかったんだ。

 それにしてはデッキの完成度は高かったけど……。

 

「頼む! こんなことお願いできる奴ってお前以外におもいつかねぇんだ! オレにデュエル教えてくれよ!」

「いいけど……、ちなみに魔法、罠とモンスターくらいはわかるよね?」

「?」

 

 彼女は首を横にして、少し笑った。

 だめだ、本当に知らないらしい。

 

 

 

ーーーーーしばらくの間、僕は轟さんにデュエルの基本を教えるのであった。ーーーーー

 

「じゃあ、オレは『バイス・ドラゴン』を通常召喚!」

 

ーーブッー!!

 

警告のブザーが鳴る。

 

「あ、あれ? なんで?」

「『バイス・ドラゴン』はレベル5だから、リリースが必要なモンスターで1体をリリースして通常召喚できるんだよ」

「で、でもここに特殊召喚できるって書いてあるぞ!」

「それはえーと……」

 

ーーーーー

 

「オレはレベル3『ジャンク・シンクロン』にレベル2『サイ・ガール』をチューニング!!」

 

ーーブッー!

 

警告のブザーが鳴る。

 

「あ、あれ? なんで!?」

「シンクロ召喚はチューナー2体じゃできないよ……」

 

ーーーーー

 

ーーブッー!

 

ーーブッー!

 

ーーブッー!

 

「あああああああ!!! わっけわかんねぇ!!」

 

轟さんは髪の毛をくしゃくしゃとしながら、泣き叫ぶ。

 

「ははは……。何度か戦ってるうちにわかってくるよ。僕だってそうだし……」

「え、そうなのか? 彼方すっげぇ強いのに」

「うん、僕だって、最初の頃は父さんとデュエルしながら、慣れていったんだ」

 

一回も勝てたことはないけれどね……。

 

「だから、轟さんも大丈夫だよ。慣れないのはむしろ、当たり前なくらい。正直、デュエルはルールややこしいところはあるからね」

「いい、お父さんだな……」

 

轟さんは寂しそうな顔をして、座った。

 

「オレの家、デュエル道場やってんだけどさ」

「デュエル……道場?」

 

 そういえば、デュエル産業が盛んな夜見町ではデュエルパワーを極限に高める為の道場がいくつかあるって聞いた事がある。

 僕は父さんからずっと独学で教えてもらえたけど、親が仕事でいそがしい家とかでは普通はデュエル道場でデュエルの基礎を学ぶはずだ。

 

「うん、だから、オレのパパもデュエルやってるんだけど、何回言っても、なぜかオレにデュエルを教えてくれねぇんだ」

「デュエルを教えない?」

「うん。しかも、金もくれねぇしさ。カードもかえねぇし、デッキもダチからもらったカードとか拾ったカードを合わせて作ったんだ」

「そう……だったんだ」

 

 そうか、だから低いレベルのモンスターや泥まみれだったり、傷だらけのカードがたくさんあったのか。

 

「だから、パパに見返してやりてぇんだ。オレだってデュエルができるってとこ!」

 

 彼女はニッと笑って自分のデッキを握る。

 やっぱり、あの時の感は外れていなかったようだ。

 轟さんとデッキはかなりの友情でつながっている。おそらく、ルールさえわかれば、彼女はすぐにステップアップするだろう。

 

「なぁ、彼方。明日も放課後いいか?」

「うん。僕はかまわないよ」

 

 それから、僕と轟さんとの特訓が始まるのであった。

 

 

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