俺は自分の家があるマンションのエレベーターに乗っていた。
「……そういえば、明日は入学式だったか」
俺が顔を上げると、エレベーターのガラスに何かが移っていた。
「ッ!?」
後ろを振り向くと、誰もいない。
幽霊などとはそんなもの信じもしなかったが……。
俺は来るべき事態に備えて、デュエルディスクを展開する。
『……セイ…………』
どこからか、声が聞こえる。
「誰だ!? どこにいる!?」
『ノ…………セイ』
声が高い。女性のようだ。俺は辺りを見渡すが、誰もいない。
くそ、なぜ今日という日にこんな目に!
――チンッ
突然の音に少し、体を揺らしてしまった。
「次会うときは潰してくれる……」
俺は、展開したディスクをしまうと、自分の部屋に向かった。
部屋が明るい。姉さんが帰ってきている。
俺は音を立てずに、こっそりと扉を開けて部屋に入った――
が。
「空樹、こんな時間まで、何してたの」
気づかれたしまった。姉さんは俺を冷たい目で見ていた。
「っく……」
「あんた、また父さんのデッキでデュエルしてたんでしょ!」
「違う! 今は俺のデッキだ!!」
――パシンッ
「あなたに父さんが作ったシルバーアイズは使いこなせない」
俺が? シルバーアイズを?
そんなはずはない。シルバーアイズを俺は使いこなせている。確かにあの時、俺は負けたが、次は必ず、
「それに、いくらこの町のルールだからって他人のデッキを狩るだなんて、デュエリスト失格よ!」
「……ッ!!」
「……ごはん食べて、早く寝なさい。明日は、入学式でしょ?」
それだけいうと、姉さんは部屋に入った。
わかっている。カード狩りはデュエリストとしての俺のプライドを傷つけていることを。
だが、そうでなければ、今日みたいにやつに会えなかった。
セカンド使い。
セカンドモンスター自体は10年前から研究され、開発されてきた。初期は二つの種族と属性を得た、他のモンスターと大差はなかったが、時代が進むにつれ、その力は多様化した。
俺は探していた、セカンド使いを……。
「奴のセカンドカードを手に入れれば……。父さんの、いや俺のこのシルバーアイズデッキはさらに強くなるはずだ……!」
夜見高校。この町に奴がきた理由はそれだろう。
俺はごはんをすぐ食べ、学生服に着替え、また家を出た。
―――――――
「ぐあぁあああ!!」
『winner!
「ふん……」
俺は倒れた敵のデッキを見て、戻す。セカンドモンスターは持っていないようだった。
「この時間帯はデュエルヤンキーが走り回っていると聞いたが……とんだ聞き間違えのようだな」
デュエルヤンキーのトップ、総長にはセカンド使いがいると聞いていた。俺はそいつを探していた。
俺はしばらく一時間ほどどのデュエリストにも壮遇しなかった。
「おかしい。この町でこれほどの時間、デュエリストと出会わないとは……?」
俺は辺りを見渡していると、横から人影がして――
――バシッッ!
「!」
俺はすかさず、黒い影のケリを受け止める。
現れたのは一見、上半身裸の細身の男性だった。
そいつは俺を試すかのように手をまじわえた。
「ふんっ!」
「はッ!」
しばらく、俺と男は手を合わせた。
この筋肉……ただのデュエリストではない。
――ドゴッ!
「おっ……」
俺は奴の腹に一発いれた。
男はにやつきながら、口を開いた。
「あんさん、なかなかのデュエルパワーどすなぁ」
「きさまこそ! ただものではないな……」
「ふふっ、なら、こちらならどうですえ?」
――ジャキッ
奴はナイフ型のディスクを展開し、俺に突きつけた。
俺はすかさずディスクを展開し、盾とする。
「いいだろう、受けて立とう!」
俺と男は一歩下がり、ディスクを向け、目標を定める。
「「デュエリストターゲットロックオン!! ……デュエル!!!」」
謎の男 LP4000
「紹介が遅れましたなぁ。わいはあんさんにお世話になったデュエルチームの風土組の副総長のホネヌキと申しますぅ」
男は一つ上品なお辞儀をして、「風」「土」と書かれたジャンバーのような布を羽る。
「なるほどな……。さっきのザコ共のボスという訳だ。だが、あんたは楽しませてくれそうだな」
やつは先ほどの部下達と違い凄まじいデュエルパワーを感じた。
「まぁ、わてからいかせてもらいましょうかぁ。手札から儀式魔法『スカルライダーの復活』を発動どすえ!」
「儀式魔法……!?」
『スカルライダーの復活』
儀式魔法
「スカルライダー」の降臨に必要。
場か手札から、星の数が合計6個以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
「わいは手札の六つ星モンスター『レッド・ドラゴン』をリリースするでぇ」
儀式召喚……始めて見るが……。
「暴走の折に魅せし者、そのすがた、まさに伝説! 雷鳴の中より
俺は後ろから何者が近づくのに気づく。俺はなんとかして、後ろからくるバイクの戦士の攻撃をよけた。
『
『スカルライダー』
儀式モンスター
闇属性 アンデット族 レベル6 攻撃力1900 守備力1850
「スカルライダーの復活」により降臨。
場か手札から、星の数が合計6個以上になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
「レベル6で攻撃力1900だと!? ふざけているのか、貴様!」
「さてさて、どうやろうなぁ……。わいはカードを二枚伏せてターンエンドですぅ」
しかも、効果なしとは……。くそッ、とんだ検討違いだったようだな。
「く、どんなモンスターが出てくると思えば……。俺のターン!! ドロー!!」
ドローカードを見る。
『
「来たか」
俺は手札を見る。
手札にはシルバーアイズを出すためのモンスター
『
「俺は『
『ファ!』
『
地属性 戦士族 レベル3 攻撃力1200 守備力400
効果
①このカードが召喚に成功した時に発動できる。
手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。
②このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
「俺はこ」
「ふふ、ちょいまち。伏せ札オープン」
「なに!?」
奴が伏せたセットカードが開かれる。
そのカードは。
「
「スキルドレインだと!?」
『スキルドレイン』
永続罠
1000ライフポイントを払って発動できる。
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上の全ての効果モンスターの効果は無効化される。
「あんさん、急ぎすぎはいけませんなぁ。上級だすんなら、もっとゆっくりしなさらんとぉ」
ホネヌキ LP4000→3000
これで俺の『
「……俺はターンエンドだ」
「あら、お得意のセカンドモンスターはださはらないのですぅ? なら仕方ありませんなぁ」
ホネヌキはニヤニヤとしながら、手札を扇子に見立てて、仰ぐ。
そして、ドローした。奴は引いたカードを見て、おや、まぁ。と何度も言う。
「ふふ、わいはフィールドに存在する『スカルライダー』をリリースしますぅ」
「!」
儀式モンスターをリリースだと……?
「このモンスターはんは場の『スカルライダー』をリリースすることで特殊召喚できるモンスターですぅ」
『スカルライダー』がリリースされ、『スカルライダー』が持っていた「怒苦露」と書かれた旗だけが残る。
――ブォンブォンブォン!!
バイクの音が鳴り、だんだん近づく。
「時代変わりしも暴走するもの、まさに今を生きる伝説。雷鳴より
『
「スカルライダー……ネオ!?」
『
『
効果モンスター
闇属性 アンデット族 レベル12 攻撃力3800 守備力2600
このモンスターは場の「ライダー」モンスター三体、または「スカルライダー」モンスター一体をリリースすることでのみ特殊召喚できる。
①???
②???
「攻撃力3800だと!?」
「ふふ、あんさんの『
巨大なバイクに乗ったスカルライダーが『
「っく……うわああああああああああああああああ!!!!」
俺のライフは削られ、俺は奴の攻撃をなんとか食いしばる。
だが、儀式モンスターをわざわざリリースしてまで召喚するとなると、なんらかの効果があるはずだが、今は『スキルドレイン』の効果で奴のモンスターもただのでくの坊のはず……。
「ふふ、そして、スカルライダーネオの効果を発動しますぅ」
「ばかな! 今は『スキルドレイン』のその圧倒敵効果により、全てのモンスターは効果を発揮できないはずだ!」
「ふふ、せやさかいに、攻撃する前にこの
「なんだと!?」
奴が指さすカードは……。
『
永続罠
①このカードは自分フィールド上に「スカルライダー」モンスターが存在する場合、発動できる。自分のフィールド上の「ライダー」モンスターは罠カードの効果を受けない。
「ばかな! そんなことがあってたまるか!」
「ふふ、いくでぇ。ネオの効果は相手にモンスターを破壊して戦闘ダメージを与えた時、そのモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらいますぅ」
『
効果モンスター
闇属性 アンデット族 レベル12 攻撃力3800 守備力2600
このモンスターは場の「ライダー」モンスター三体、または「スカルライダー」モンスター一体をリリースすることでのみ特殊召喚できる。
①このモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊し、戦闘ダメージを与えた場合、破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを与える。
②???
「『
「そう! つまり、1200のダメージですぅ!! 行きなはれ! 【
場のスカルライダーネオがタイヤを投げ、俺に突進する。
「うぁぁぁあああああああああ!!!」
俺は投げ飛ばされ、空中で一回転し、地面に叩き付けられる。
「ふふ、これでわいはターンエンド。自慢のセカンドモンスターも出せなければ意味ありまへんなぁ」
「く……。俺のターンドロー!」
今はしのぐしかない……。
「俺はカードをセット! そして、『マッシブ・ウォリアー』を通常召喚!」
俺はマッシブを召喚する。……が。
「ふふ……」
「な、なんだ! モンスターが実体化しないだと!?」
「せやせや、いい忘れてましたなぁ。わいのスカルライダーネオの②の効果」
「なに……!?」
「スカルライダーネオが存在する限り、相手はレベル4以下のモンスターを召喚、特殊召喚できません」
「なんだと……!?」
『
効果モンスター
闇属性 アンデット族 レベル12 攻撃力3800 守備力2600
このモンスターは場の「ライダー」モンスター三体、または「スカルライダー」モンスター一体をリリースすることでのみ特殊召喚できる。
①このモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊し、戦闘ダメージを与えた場合、破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを与える。
②相手はこのモンスターがいる限り、レベル4以下のモンスターの召喚、特殊召喚を行うことができない。
俺が伏せたカードは『
「これでは、シルバーアイズが出せない……!?」
だめだ、考えてもシルバーアイズを出せる方法がわかない。
いや、たとえ出せたとしてもどうなる……。
奴のスカルライダーネオの攻撃力3800。俺のシルバーアイズの効果は『スキルドレイン』の効力で無効にされ、シルバーアイズはもはやただの3000の通常モンスター……。
「ふふ……、この必殺のコンボ……。あんさんならどうしますぅ?」
奴は扇子を口に当て、不気味に笑った。
じゃあ、羽箒で。