復讐が終わったアクアマリン   作:ぬがー

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今ガチ④

 花火回。

 夏本番はまだ先で、打ち上げ花火なんかやっているところは無い。

 だが浴衣を着て手持ちの花火を使って遊ぶのなら問題ない。

 鏑木Pが集めただけあって『今ガチ』のメンバーは美男美女揃いだ。浴衣を着て花火の灯りに照らされるとその姿はとても映える。

 スイカやスイカバーを食べながら面白いトークショーをやっていたアクアとMEMちょのコンビも人気は出たが、この回から真っ当に恋愛をやっている鷲見ゆきと熊野ノブユキのカップリングが番組の中心になっていく。

 そこに嫉妬心を見せる形でケンゴが動き、ゆきを巡る三角関係が成立。

 ゆきというゲームメーカーが機能し、その小悪魔っぷりが番組を盛り上げ、中高生を中心に人気を獲得していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクたんはいいのぉ? ゆき争奪戦に参加しなくて。私には有難いけどアクたんが売れたいならあっちに絡むのが正解だと思うよぉ」

 

「俺はいい。今でも役者の仕事は貰えてるし、そこそこ顔が売れたなら余計な事はしない奴って思ってもらえたら十分だ」

 

「富める者の余裕ってヤツだ」

 

「そっちはどうなんだ? いっちょ一噛みしに行かないのか?」

 

「私もこのままおバカ系癒し枠キープ出来ればそれでいいかなぁ。自分のチャンネルにお客の導線引くのが目的だし、今でもいい感じに成果出てるからねぇ」

 

「富める者の余裕はお前もじゃねぇか」

 

「まぁね。でもアクたんがマジでアプローチしてくるなら話は別かもよ?」

 

「なら期待するな。そのつもりはない」

 

 移動先での収録を終え、移動中の車内でアクアとMEMちょが雑談をする。ゆき、ノブユキ、ケンゴは収録で疲れて夢の中だ。

 

「でもちょっとさ、あかねが心配だよねぇ……」

 

「…………」

 

 二人の視線の先ではあかねが今日の収録中に言われたアドバイスをメモ帳にまとめ直していた。

 他のメンバーはそこそこ出番がある中、あかねは影が薄い。アクアやMEMちょが話を振れば映るが、逆を言うとそれ以外では何かしても使われていない。他のメンバーのキャラが立った皺寄せがあかねの出番に現れていた。

 

「焦っても変な事はしてない。プラスがないだけでマイナスもないなら、あかね自身はまた挑める。舞台では賞も取ってて実力は評価されてるみたいだし、次は所属事務所が活躍できる仕事を取ってきてくれるかもしれない。部外者の俺たちが出しゃばり過ぎるのは良くないだろう」

 

「……やっぱりそういう結論になっちゃうかぁ。出演者は番組を作る仲間だけど、出番の奪い合いする競争相手でもあるし。仲良くはしても慣れ合いは違うよね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『他にもやりてぇって言ってる奴が大勢いる中で選んでやったんだ! 爪痕の一つでも残させろ!!』

 

 事務所社長からマネージャーへの叱責が脳裏をよぎる。

 

『あかねは空気だから好きとか嫌いとか無い』

『そういや居たなそんな子』

 

 エゴサーチで視聴者からの無関心が目に付く。

 

『今求められてるモノは、より過激なモノなわけさ。どこまでリスクを取れるかで選択肢が―――』

 

 皆で焼肉に行った時、MEMちょから貰ったアドバイスを読み返す。

 

『あかね別に居ても居なくても同じじゃない?』

『あかね外して新メン追加希望』

 

 エゴサーチを再度行うが、やはり目に付くのはあかねへの無関心。あるいは期待の無さ。

 

「……………………頑張らなきゃ。…………もっと頑張って爪痕を残さないと…………」

 

 自宅の自室にて。

 真っ暗な部屋であかねは一人悩んでいた。

 

 あかねは一流しかいないと言われる劇団ララライにおいてすらエースであり、天才役者としていくつも賞をもらっているほどの女優だ。役者としての現在の評価で言えば星野アクアや今の有馬かなとは比べ物にならないくらい高く評価されている。

 しかしあかねの実績が通用するのは舞台界隈だけ。観客の動員数に物理的に制限があり、カメラ演技に比べて世間一般への露出の少ない舞台演技だけやっていても先がない。

 だからこそ多少無理してでもキャスティング権を持つ人に黒川あかねと言う役者がいる事を知ってもらうため、恋愛リアリティショー『今ガチ』つまりテレビへの出演を決めたのだった。

 

 だがそこであかねは躓くことになった。

 決められた役割を深掘りし没入することが求められた演技と違って、自分を出してその場その場で考えて動くリアリティショーはあかねには相性が悪かったのだ。

 正直な所向いてない仕事をさせて指導も出来ていないマネージャーにも責任がある事態だが、あかねには自分のせいでマネージャーにも迷惑をかけてしまっているとしか思えなかった。

 またこのチャンスを逃せば、次のチャンスがあるかなど誰にも分らないのだ。いや、チャンスを不意にするような奴と思われれば、次のチャンスは回して貰えないと想定するのは間違えていないかもしれない。この仕事に向いていた向いていなかったなど、傍から見て把握し切れるわけないのだから。この辺りは自分で自分の強みを売り込み、自分に向いた仕事を取ってくるのが当たり前のアクアやMEMちょだと実感が薄いだろう。

 

 ゆえにあかねは焦る。

 もらったアドバイスをまとめたメモを読み返し、自分の取るべき行動を自分だけで考える。そしてディレクターから言われた言葉に行き着いた。

 

『目立つ為にはどうすればいいかって? そりゃゆきからノブを奪う悪女ムーブだよ。これが出来たら番組の流れも変わるし間違いなく目立てる。

 もちろんこれは指示とかじゃない。でもこういう事が出来る子が売れるんだよねぇ』




芸能界での生存能力が違うと視点がまるで変わってきちゃうと思います。
アクアとMEMちょはあかねは大丈夫と思いましたが、あかねは既にかなり追い込まれてました。

なお生存能力で原作キャラを分けると
アクア、MEMちょ>ルビー>あかね>かな
こんな感じで考えてます。

なお売れた時の弾け方は
ルビー、かな>あかね、アクア>>MEMちょ
くらいの感じ。
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