今後もチマチマ追加してくと思います
ガンッ!と自室に戻るなり、腹立ちまぎれに横の壁を殴りつけた、ボサボサの水色髪を肩周辺ほどに切り揃えた少女は、合わせて肩が上下に動くほど荒ぶっていた呼吸を無理矢理宥めると、デスク上のパソコンが立ち上がるまでコンタクトレンズを外しながら待つ。
いつの頃からか、自分は2つ上の姉の
だから常に周囲の関心を引き付ける姉に対し、抱いていた嫉妬や対抗心はいつしか失せ、ただ自己の有用性を示すようにノルマをこなし、一定の成果を挙げていくだけの生涯を受け入れようとした矢先、その姉から「貴女は無能のままでいなさい」と言われたことは、ある種の存在意義の否定に等しかった。以来目的を見失い、沸き上がった虚無感を埋めるように姉への憎悪と敵意を燃やし――その影響が人相にまで及んだのか、瞳孔は極端に収縮しており、常に不快感を抱いているような目つきの悪さと相まって、周囲からおそれられるようになった。その反応に辟易したのもあって、現在人前に出るときはカラーコンタクトで多少大きく見せるようにしている――その立場を脅かすことで、自身の有用性を示さんと身を削ることが、更識簪の自己誇示と姉への劣等感を払拭する手段にして、かつて憧れるとともに、いつかは自分を救ってくれると憧憬と希望を抱いたヒーロー像への身勝手な意趣返しでもあった。
そうしてISの導入から間もなく自由国籍権を取得し、ロシア代表に就任した姉に対し、日本の代表候補生にまで上り詰め、ついにはその中でも選ばれたものの象徴ともいうべき専用機が受理される話が出始めた矢先、あろうことかぽっと出の男性反応者に――それも当人側の了承どころか、事前の契約を踏み倒した挙句、実質押し付け同然に――持っていかれたことは屈辱でしかない。
幸い機体のパーツはすでに完成しており、後は組み立てるだけのところだったので、そこまでは済ませた上で引き渡されるように話をつけることには成功したが、問題は着手すらされていなかった