担当の性癖を破壊したトレーナーと性癖を破壊された担当のお話   作:性癖のブラックホール

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酒の席は一番性癖が伝播しやすいってばっちゃが言ってた。


性癖の話を書こうとしたらおうちデートになるんやが呪いか?


皇帝編Ⅱ

「今日もお疲れ様」

「トレーナーくんもお疲れ様だ」

「いいや私はそんなに疲れていないよ。なんならこれからが本番なくらいさ」

「ふふっ、なら本日も期待しているよ?」

 

 

 トレーニング場を後にし、二人でトレーナーくんの自宅へ向かう。恒例となったトレーナーくんのおうちでマッサージだ。正直なところ、最近の楽しみでもある。疲労が抜けていく時の気持ちよさがクセになるのだ。それとトレーナーくんに遠慮なく脚をまんべんなく触って貰える時間でもある。いっぱい触れられたいという私のこの考えはどう見繕っても異端だろう。だがそれも仕方のない事なのだ。トレーナーくんに触って貰えるというだけで既に私の心臓は高鳴っている。…もう私は手遅れだな。やはりトレーナーくんには責任を取って貰わねばなるまい。

 

 

「よし、それじゃあ始めるよ」

「よろしく頼むよ」

 

 

 

 

 

----

 

 

 

 

 

 とても良かった。なんという至福の時間だったのだろう。語りたいが今私の言語能力が動かなくなったのだろう、陳腐な文字の羅列しか並べられそうにない。まあとにかく本日も堪能した所で、だ。トレーナーくんからの視線を感じる。今の私はうつぶせになっているから、トレーナーくんが何処を見ているかの詳細は分からな……いや嘘をつくのはよそう。見えていないがトレーナーくんが何処を見ているかはハッキリと解っている。レースで鍛え抜かれた感覚が日常生活にまで及んでいるので、誰かが見ているというのも解るようになった。おかげでテイオーがイタズラが効かなくなったと地団駄を踏んでいたがね。

 

 それはそうと視線の話だ。トレーナーくんが何処を見ているのか? 答えは……私の髪とうなじだ。余程気になっているのだろう、意識が割かれすぎているらしくずっと私の脚を軽く撫でているのを止めない。何故だろうと思いはしない。今日はわざと髪を後ろで一つに纏めてあるのだから。そろそろ此方からアクションを起こしてみるとするか。

 

 

「トレーナーくん」

「…なんだい?」

「私の頭に、何か付いてるのかな?」

「……いや何もないけど」

「そうかい? 先程からずっと視線を向けてくるものだから、何かあるのではと思ってね」

 

 

 私の脚を撫でる手の動きが止まったようだ。気付かれているとは思わなかったらしい。

 

 

「…何もないけど、その」

「ふふっ、別に怒っていないさ。私とキミの仲だろう?」

「……君には敵わないな」

「それにだ。私はキミになら幾らでも見られたって構わないさ」

「…かなりの問題発言だよ今のは」

「私達は当に一心同体なのだから、今更も何もないよ。トレーナーくん」

 

 

 トレーナーくんの方へ向き直すと、降参だ。と両手を挙げていた。

 

 

「……ルナの髪がね、最近になってより一層綺麗だなって感じてね。それに今髪を纏めているのも、二つ目の勝負服以来だからさ。…つい目を奪われたんだよ」

「…面と向かって言われると、流石に羞恥心が仕事をするらしい。ああ、だがトレーナーくんにそう言って貰えるのはとても嬉しいな」

 

 

 知っていたとはいえ、実際に言葉にされるとクるものがあるな。それにこのタイミングで名前を呼ばれるとは。普段ろくに名前を呼んでくれはしないから本当にドキッとする。しかしまあ、ここまで効果があるとは予想だにしなかったが…。そろそろ茶番はここまでにして、当人の口から聞くとしよう。

 

 

「実はねトレーナーくん」

「なんだい?」

「キミは、この髪型とうなじが好きだそうだな?」

 

 

 トレーナーくんはひきつった笑みを浮かべた。こんな彼の表情は初めて見たかもしれない。私も今日この彼の表情は忘れられないだろう。

 

 

「……どこで、それを?」

「ふむ。どこでと言われたら、キミの自宅前の道路辺りだな」

「…誰から聞いたの?」

「それは、キミからさ。トレーナーくん」

 

 

 混乱しているトレーナーくんは必死に記憶を掘り起こそうとしているようだ。唸りながらも脳に軽くマッサージをして活性化させようとしている。が、結果はダメだったようだ。

 

 

「…記憶にございません」

「政府の記者会見みたいだぞトレーナーくん」

「いや本当に思い出せないんだけど」

「まあ思い出せなくても仕方ないんじゃないかな? その日のキミは酔っていたからね」

「…酔ってた?」

「前に、シービーのトレーナーとマルゼンのトレーナーの三人で飲みに行った日があっただろう? その日の帰り道でキミが自分で喋ったのさ」

「……あの日かぁー!」

 

 

 頭を抱えて崩れ落ちるトレーナーくん。すまない、思わず笑ってしまう私を許してほしい。

 

 

「キミはあの日、私が肩を貸しながら帰路についていたのだよ。それも覚えていないかな?」

「……いや、ルドルフに肩を貸して貰った記憶だけはあるんだ。なんの記憶かと思ったらそれか…」

 

 

 酔っていた割には熱心に語ってきたことは、今は秘密にしておくとしよう。そんなにも言うのだから、と今日試してみたらこうだったのだから。それにあの日は他にも色々あったからな……。それはまた後日、ということにしようか。




おうちデート見たい人おる?
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