二軸デッキは一軸デッキに化しますよね?ね?
トオルの反応から察するにこのカードは一度も見せたことの無いカードだった事がわかる。それもそのはず、バスター・ブレイダー程度で制限を掛けているデッキである以上使っているわけが無い。この時代は2011年代、まだ融合魔法を使い、手札・フィールドから最低でも2体のモンスターを素材にする事で融合召喚を可能にする時代だ。消費札は最低でも3枚となるのが普通。そんな時代において2枚消費の除去能力もある融合手段など当時では超融合が精々だろう。そんな中フィールドに降り立つ黒衣を纏った少年のモンスター【アルバスの落胤】。現代遊戯王をプレイしている人なら知らない人を探す方が大変と言っても過言では無いこのカード。環境を風靡したドラグマストーリーの内、烙印テーマの1枚。
召喚、特殊召喚時手札を1枚捨て相手モンスターと融合を行うことの出来る効果を持ち、遊斗はまだ手札を1枚残している。しかし、その1枚は捨てず手札に残す。
「俺はアルバスの落胤とアトミック・スクラップ・ドラゴンを墓地に送る 融合召喚!深淵竜アルバ・レナトゥス!!」
「ハァァァァァァァ!!?効果使わず融合だと!!?」
と言ってもこの後展開が出来る訳でも無くアルバ・レナトゥスで攻撃後カードを伏せターンを終了する。
トオルLP8000→5500
遊斗LP2600
手札0
フィールド アルバ・レナトゥス(攻)
伏せ 1枚
「俺のターンドロー」
スピードカウンター
トオル 5
遊斗 7
「スクラップ・キマイラを召喚し効果発動!墓地のスクラップチューナー!ラプターを蘇生させる」
「させねぇよ!!罠発動!赫ける王の烙印!アルバ・レナトゥスを対象にそのモンスター以外の効果を無効にする!」
「クッ!ターンエンド」
トオルLP5500
手札1枚
フィールド スクラップ・キマイラ(攻)
「俺のターンドロー」
スピードカウンター
トオル 6
遊斗 8
「俺は深淵の獣アルベルを召喚!そしてアルベルをリリースし効果発動!!お前の墓地のアトミック・スクラップ・ドラゴン特殊召喚する」
「おい!待て遊斗!!お前バスター・ブレイダーはどうした!!」
「二軸デッキじゃよくある事だ気にすんな!!」
「気にするわ!!!」
そう、複数のテーマで構成されているデッキではよくある事なのだ。まるでバスター・ブレイダーが出張カードのような扱いになってはいるが誰がなんと言おうとこのデッキはバスター・ブレイダーデッキだ。異論は認めない。
「バトルフェイズ!アルバ・レナトゥスでキマイラを攻撃!」
トオルLP5500→4700
「アトミック・スクラップ・ドラゴンで直接攻撃」
トオルLP4700→1400
「ッッ!!クッソ、かなり削られた·····けど、攻撃は終わりだな!俺のターンだ!!」
1度言ってみたかったセリフがある。こうもお膳立てされたら言うしかないだろう。
「何勘違いしているんだ…!?俺はバトルフェイズを終了するぜ!!」
「··········は?」
無理なんだよね。だってモンスター2体しかいないんだもん。手札もないもん。ば〜さ〜か〜そうるぅ〜なんて言えないよ。やりたかったよ俺だって。
「アトミックの効果発動、対象はレナトゥス。ワーム、サーチャー、ラプターをデッキに戻してもらう。そしてレナトゥスを破壊。ターンエンドだ」
烙印融合モンスターは墓地に送られるとエンドフェイズに効果を発動する事が出来る。レナトゥスが墓地に送られると発動する効果
『デッキから「融合」通常魔法カードまたは「フュージョン」通常魔法カード1枚を手札に加える。』
RDでは融合魔法は1枚しか存在しない。そのカード名は「スピード・フュージョン」。レナトゥスでサーチ可能なカード。
手札0枚の遊斗がこの効果を使い態々手札に加えた理由。それはこのデュエルがRDだからである。
「·····まじか」
「さぁ頑張ってこのターンで決めてくれよ。じゃないと俺の勝ちだ」
スピードワールド2の効果
『手札のSpを見せスピードカウンターを4つ取り除くことで相手に800ポイントのダメージを与える』
そしてこの効果はカウンターがあれば1ターンに何度でも発動が可能。遊斗のカウンターは8。トオルのスタンバイフェイズで1つ加わり、次の自分のターンでもう1つ追加される。カウンターは十分にある。
ターンを返しトオルのターン。
昔から稀にとある現象が起こる。ジャンケンの時には良く起こるのだが、何となく相手が何を出すのか分かる時がある。頭を使おうとすると途端に分からなくなってしまうそれは、外れた事は一度もない。まぁ、分かると言ってもその時に頭を使う事は全然できないので勝てる手が出せるかと言うとそうでも無い。ただ、こいうことがデュエル中だと極稀に起こる。ジャンケンと違い何が出るか分かるのではなく、相手がこの盤面を返せるのかや、相手がドローするカードが打開カードか否かが何となくわかる事がある。といっても極稀も極稀。しかしそれが今まさに起きている。このターンのドローでトオルは打開カードは引けない。そう分かってしまった。
「·····トオル、言いたか無いがサレンダーしろ。もしくはそのままターンを返せ」
「ッ!舐めんなまだ負けてねぇ!!」
「お前の手札で、このターン俺のライフ0に出来るか?無理だろ。お前の最大火力アトミックを出したところで俺の場にもいる。破壊して攻撃出来ればお前の勝ちだが、そもそもそこまで繋がらねぇだろ」
この時代のスクラップデッキにそこまでの展開力は無い。現代でこそスクラップ・ワイバーン等がいるから展開力があるというだけだ。
「クソっ!!·····ターンエンドだ」
「俺のターン、スピードカウンターを4つ取り除き手札のSpを見せ相手に800ポイントのダメージを与える。コレを2度行う」
トオルLP1400→600→0
決着は静かに、RDの特性にて幕を閉じた。
ジャンケンで次の手が何となく分かるのは実体験なんですが、同じ経験した事ある方いますか?