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今後ともよろしくお願いします。
昼食を終えたライトはミヤコに寝てくることを告げた後、再び自室に戻って行った。
「お腹も膨れたことだし、さっきの続きをしようじゃないか」
『おっ、待ってました!』
「と思ったけど、先にリューク、君に言いたいことがある」
真剣な眼差しでリュークをみるライト。その表情はまるで悪戯をしたペットを叱るかのような表情をしていた。
『!!いや、あれは俺が飽きたからってわけじゃなくてだなっ』
「………」
「…はははっ。どうしたリュークそんなに慌てて。そんなの薄々気づいてたよ」
「実は飽きてたんだろ?」
『そりゃないぜライトぉ。信じてくれよぉ』
「ククッ、冗談だよリューク。やっぱり揶揄いがいがあるな」
「……それに自分で言ってたじゃないか。僕が死ぬ時はリュークのノートに僕の名前を書くって。正直逃げてる時に思ったけど、バカの松田に撃たれた傷が死ぬほど痛かったから、さっさと息の根を止めてくれた事に少し感謝してる」
「…それにしても、躊躇なく人に銃弾打ち込める松田さんって僕たちの中で一番イカれてるんじゃないか?…粧裕が靡かなくてよかったよ。ああいうのって気に食わないことがあるとDVとかしてきそうだし」
「…チッ、思い出したらムカついてきたな」
ライトの発言に対して『一番やばいのはお前だよ』と思ったリュークだったが、面倒が起こりそうな予感がしたため、表情からも察せられないよう真顔でライトが落ち着くのを待った。
――
「悪いリューク、少し脱線した。始めようか」
「そうだな…まずはこの世界どうなってるんだ?前の世界と違うのは分かるが、遠い未来ってわけでも漫画にあるような全く違う世界ってわけでもない。転生というのは何となく分かってるけど、いまいち理解が及ばなくてね。どうせリューク達死神は知ってるんだろ?」
『ケケケやっぱそこ気になるよなぁ』
『少し分かりにくいかもしれないが、話してくぞ』
「…頼む。正直僕も混乱してるから、あまり変なことは言わないでくれよ」
それはそうだ。僅か半日の中で一生分のイベントを経験したライトであったが、もしライト以外が同じ経験をしていたら、とうの昔に頭がパンクしてどうにかなっていただろう。
そもそも記憶が戻る段階で、4歳の肉体にその何倍もの記憶が流れ込んだのだ。それを耐え切って今もその影響を微塵も感じさせないところには流石という他ない。
『それは約束できないな、クククッ』
『そうだな…月、死神が何故デスノートを持っているのか覚えてるか?』
「昔したなそんな話。ノートで殺した人間の寿命を貰うためだろ?快楽殺人や人間界を良くするためにノートを使うのではなく、あくまでも自分の寿命を延ばすために使っている。そうだったよなリューク」
『ああそうだ。俺達死神は人間から寿命を戴いて生きてる。今じゃ人間界のことに興味のある奴は少ないが、それでも俺達が生きていくうえで人間の存在は欠かせない』
『そこでだ。…もし人間が滅んだらどうする?』
「人類滅亡か…。死神目線でなんて考えたこと無かったな」
「有名な滅亡シナリオだと核戦争、パンデミック、気候変動による大気の変化や海面上昇。それに隕石追突や火山の噴火などの天災か…こう考えてみると、いつ滅んでもおかしくないな」
「まあ怠け者の死神のことだし、意外と人類が滅ぶまで気付かないんじゃないか?」
…いくら死神を初めて殺したライトと言えども、少し馬鹿にしすぎである。
『クククッ確かに怠け者だから最後まで気付かないかもな。いざ蓋を開けてみたら滅んでたってのも面白いかもな』
「面白いですむかよ…まったく。さっき自分で『人間の存在は欠かせない』って言ってたじゃないか。まるでスペアがあるような扱いだな」
「…………ああ、なるほどスペアか」
「世界は一つではなく、同時にいくつか存在している。僕たち人類から見えるのは今いる世界だけだが、死神からはそうではない。だから一つの世界が滅びようとも、他の世界の人間から寿命を貰えばいい。…そういうことだなリューク」
『流石は東大主席。説明する手間が省けたぜ』
「……世界の仕組みについては分かった。ただ、僕が経験した転生はどういう理由だ?前に『死んだ奴が行くのは無だ』『死は平等だ』なんて高尚なこと言ってたけどあれは嘘なのか?」
『普通は肉体が滅びる時に魂も消えるから、正直、こんな事は想定外だ。死神大王に聞いてみてもいいが、多分知らないだろうなぁ』
『…それにしても初めて会った時から思ってたが、やっぱり月お前は普通じゃない』
『まあ命を戴く死神なんてものがいるんだから、命を授ける存在もいるんじゃないか?俺や月が認知できない以上存在の証明はできないがな。クククッ』
「なんか誤魔化されたような気もするけど今はそれでいい」
「…まあ正直なところ過程はどうだっていいんだ。重要なのは僕が僕のまま転生して、こうして再びノートを手に入れたっていう結果だけ。どこの誰がやってくれたかは知らないが、今はこの事実を噛み締めていくよ」
――
以前からリュークの奇行には気味の悪さを感じていたライトであったが、今世での偶然とは言い辛いリュークの登場についても疑問に思っていた。
「ところでリューク。こうしてまたノートをくれるのはいいけど、それにしてもこの再会は狙ってやってるよな」
ライトが殺されそうになった時に、ノートの切れ端を使った粋な登場シーン。その登場シーンはただの演出ではなく過去を模倣したものであった。恐らくリュークとしては、あの演出を見せることでライトに興味を持ってもらおうと思ったのであろう。
『ああ。っといってもストーカーをしたり、探し回ったわけじゃなくてだな……いや決して月の授乳を見て大笑いしたとかっていうのはないぞ!本当だ』
『で話が戻るが、死神の目と人間界に干渉する為のゲートみたいな奴には少し変わった力があってな、『見たいものが見える』っていう力だ。』
『…死神の目には人から寿命を戴くために必要な名前と寿命。そしてゲートはそれを覗いた死神が何をしたいか、何を見たいかという意志を汲み、それを見せるという力がある』
『月、俺はゲートに『面白い奴』を望んだ』
「…面白い奴か。生憎、僕は芸人になるつもりはないんだ。まあ僕の知性溢れる振る舞いは一種の芸術のようで、ある意味広義でいう『面白い』というのに当てはまるから間違ってはいないと思うけど」
『クククッ…お前分かってて言ってるだろ。俺が望んだのは俺を退屈させない奴だ。今回も期待してるぜ、月』
「ああ。ご期待に添えるか分からないけど頑張ってみるよ。一応プランは考えているんだ」
「…………っていう予定で進めるつもりかな」
『ウホッ!こりゃまた随分派手だな!切り口としては前回と真逆でいいんじゃないか?前回と同じじゃ詰まらなくてウッカリ名前を書いてしまうからな。ククククッ』
「そうだろ?やっぱり自分の能力は最大限活かさないとね。いずれリュークにも特等席を用意するつもりだ。楽しみにしててくれ」
「……あとノートに名前を書くのは死にそうになってからにしてくれ」
二人がどんな展望を語り、それの実現により世界がどのように変化していくのかは誰にも分からない。
ただこれだけは言えるだろう「夜神月は面白い」と。